LINE相談

不動産を巡るトラブルの基礎知識

KNOWLEDGE

店舗の立ち退き料が高額になる理由|テナント退去交渉の設計

所有しているビルや区画に飲食店・物販店・事務所などのテナントが入っており、建替え・自己使用・売却のために出ていってもらいたい——。そう考えたオーナーの方が最初にぶつかるのが、「いったいいくら払えば出てもらえるのか」という問題です。

結論から申し上げます。店舗・事業用テナントの立退料は、同じ広さの住居の立退料とは桁が変わることがあります。住居であれば引越し費用と数か月分の賃料相当額で話がまとまることも多いのに対し、店舗では「営業の中断そのものが損害になる」ため、休業補償・内装造作・得意先の喪失といった項目が上に積み上がっていくからです。

実務では、数百万円台の立退料を要求されること自体は珍しくありません。そのうえで、最終的にいくらで折り合うかは、①更新拒絶や解約申入れの通知の期限をきちんと押さえたか、②正当事由の材料をどれだけ集められたか、③提示額を項目ごとに説明できる形で組み立てたか——この3点でほぼ決まります。

この記事では、賃貸オーナー・貸主の立場から、店舗テナントの立退き交渉の設計を実務の順序どおりに整理します(全体像は立ち退き・明渡し問題の解決ハブ)。

この記事でわかること

  • 店舗の立退料が住居より一桁大きくなり得る構造(何が積み上がるのか)
  • 「数百万円台の要求」が出たときの見分け方
  • 交渉の設計=通知の期限 → 正当事由の材料化 → 提示額の組み立てという順序
  • 飲食店に特有の論点(造作買取請求権・スケルトン戻し・営業許可の移転)
  • 賃料増額請求とのセット戦略が劇薬である理由
  • 中期の出口としての定期借家への切替と、手を出してはいけない自力救済

賃貸オーナーの立ち退き・滞納トラブルを無料相談(大阪・関西)

弁護士法人ブライトでは、賃貸オーナー・貸主・地主の方からの立ち退き・明渡し・賃料滞納のご相談を初回無料で承っています。「テナントに出てもらいたいが、いくら用意すればよいのか見当がつかない」「更新拒絶の通知をいつまでに出せばよいか確認したい」といった段階のご相談で構いません。オーナー側の立場から、通知の期限・正当事由の材料・提示額の組み立てまで一緒に設計します。

お電話:06-4965-9590(平日9:00〜18:00)

店舗の立退料は、住居の立退料と「桁」が変わることがある

まず、覚悟の水準を合わせるところから始めます。ここを曖昧にしたまま交渉を始めると、テナント側の金額に驚いて交渉が止まり、建替えや売却のスケジュール全体が後ろにずれます。

住居の立退きで問題になるのは、基本的に「引越しにいくらかかるか」と「移転先の家賃差額をどう埋めるか」です。ところが店舗では、賃借人にとって借りている場所は収益を生む装置そのものであり、そこを離れることは事業の一部を失うことを意味します。そのため、次のような項目が順に積み上がっていきます。

補償項目内容金額を左右する要素
移転費用(実費)引越し、什器・厨房設備の搬出入と再設置、看板・電話・通信回線の移設設備の量と重さ、解体・再据付が必要か、搬入経路の制約
内装・造作の補償現店舗に投下した内装工事費のうち、まだ使い切れていない部分施工からの経過年数、減価の程度、造作買取請求権を排除する特約の有無
移転先の取得費用新店舗の保証金・敷金・礼金・仲介手数料、賃料差額の一定期間分周辺の空室状況、同等の立地・面積・区画が現実に確保できるか
休業補償移転にともなう休業期間中の逸失利益、その間も発生する固定費・人件費休業見込み期間、直近数期の売上・利益水準、決算書の裏づけ
得意先・のれんの喪失移転によって離れる常連客、立地に依存していた売上の減少分営業年数、商圏の狭さ、業種(飲食・美容・物販で差が出ます)
営業許可・届出の再取得飲食店営業許可、深夜における酒類提供の届出などのやり直し移転先が設備要件を満たすか、許可が下りるまでの日数
その他の実費移転案内・広告費、原状回復(スケルトン戻し)の費用負担の調整契約書の原状回復条項の書きぶり、造作の帰属に関する取決め
図:店舗の立退料が積み上がる内訳と、金額を左右する要素

つまり店舗の立退料は「賃料の何か月分」という単一の物差しでは説明しきれません。賃料が月10万円台の小さな区画でも、営業年数が長く、厨房設備の投下資本が大きく、常連客に支えられている業態であれば、立退料が賃料の数十か月分に相当する水準になることがあります。賃料の何か月分という感覚だけで予算を立てると、見込みを外しやすくなります。基礎は立退料の相場と決まり方で整理しています。

「数百万円台の要求」は、実務では珍しくない

当事務所でお受けするオーナー側のご相談でも、テナントから提示される要求額は、数百万円台に乗ってくることが少なくありません。また、長年営業してきた飲食店のケースでは、オーナー側が家賃3年分程度を提示したのに対し、テナント側が桁違いの金額を希望して交渉が完全に止まる、という展開も実際にあります。

ここで大事なのは、高い要求額が出てきたこと自体は交渉の失敗ではないということです。テナント側も最初から着地点を出してくるわけではありません。問題は、「なぜその額なのか」を項目ごとに検証できる状態にあるかです。

賃借人側がどんな理屈で営業補償を積み上げるかはテナントの営業補償はいくら請求できるか(賃借人側の解説)にまとめています。相手がどこまで請求してくるかを先に知ることが、オーナーにとって最良の準備になります。

要注意:低すぎる初回提示は、交渉全体を長引かせます

「まず低めに出して、あとから上げればよい」という進め方は、店舗の立退きでは裏目に出やすい方法です。

  • テナント側が「このオーナーは本気で補償するつもりがない」と受け取り、弁護士に依頼して交渉が本格化する
  • 一度こじれると、話が賃料増額請求や調停に発展し、解決までの期間が半年から1年単位で延びる
  • 建替え・売却のスケジュールが後ろにずれ、結果として待たされた分の損失が立退料の差額を上回ることがある

実務では、金額の多寡より「その金額の根拠を説明できるか」が交渉の速度を決めます。項目ごとに積算した提示は、総額が相手の希望より低くても、検討のテーブルを用意させる効果があります。

交渉の設計① まず「通知の期限」を押さえる(法定更新されると振り出しに戻る)

金額の話をする前に、必ず先に確認していただきたいのが契約の期間と通知の期限です。ここを落とすと、どれだけ丁寧に交渉しても契約が自動的に続いてしまい、振り出しに戻ります。

期間の定めがある契約(普通借家)の場合

借地借家法26条は、建物の賃貸人が更新を拒絶するには、期間満了の1年前から6か月前までの間に更新をしない旨の通知をしなければならないと定めています。この期間を過ぎると、契約は従前と同じ条件で更新されたものとみなされます(法定更新)。

さらに注意が必要なのは、期限内に通知を出していても、期間満了後にテナントが使用を続けているのにオーナーが遅滞なく異議を述べなければ、やはり法定更新になるという点です。「通知は出したから大丈夫」と安心して半年放置してしまう、というのが実務でよく見る落とし穴です。

期間の定めがない契約の場合

期間の定めがない建物賃貸借では、オーナーからの解約の申入れによって、申入れの日から6か月を経過した時点で契約が終了します(借地借家法27条)。ただし、この場合も後述する正当事由が必要であり、通知を出せば当然に出ていってもらえるわけではありません。

いずれの場合も、建替えや売却の予定日から逆算し、いつまでに何を出すかを最初に紙に落とすことをおすすめします。この逆算表を作った時点で「今期の建替えには間に合わない」と判明することも珍しくありません。

交渉の設計② 正当事由を「材料」にする

通知を出したうえで、テナントが応じない場合に最終的な決め手となるのが、借地借家法28条の正当事由です。正当事由は、次のような事情を総合的に考慮して判断されます。

  • オーナー自身が建物の使用を必要とする事情(自己使用・建替えの必要性など)と、テナントが使用を必要とする事情の比較
  • 賃貸借に関する従前の経過(賃料の支払状況、契約の経緯、これまでの交渉の積み重ね)
  • 建物の利用状況および現況(老朽化の程度、耐震性、修繕の必要性と費用)
  • 立退料などの財産上の給付の申出

重要なのは、立退料は正当事由を「補完」するものであって、単独で正当事由を作り出すものではないという点です。オーナー側の必要性がほとんどないケースでは、金額を積み上げても正当事由が認められにくいことがあります(立ち退きの正当事由とは(借地借家法28条))。

建替えを理由にする場合は、老朽化の程度を主観ではなく資料で示せるかが分かれ目です。実務では、テナント側の代理人から「老朽化しているというなら根拠資料を出してほしい」と求められる展開が定番で、口頭で「古いから」と言うだけでは材料として弱いのが実情です(老朽化・建替えを理由とする立ち退き)。

正当事由の材料チェックリスト(交渉を始める前に集める)

  • 建物診断・耐震診断の報告書(第三者の専門家が作成したもの)
  • 修繕履歴と見積書(漏水・排水管・外壁など。今後必要な修繕費の概算)
  • 建替え計画の具体性を示す資料(設計案・資金計画・工程表)
  • 自己使用の必要性を示す資料(事業計画、他に代替物件がないこと)
  • 賃貸借の従前の経過(契約書一式、賃料の入金履歴、過去の交渉記録)
  • 周辺の類似物件の募集条件(移転先の候補が現実に存在すること)

最後の「移転先の候補」は見落とされがちですが、テナントの不利益を小さくする材料として機能します。「探したが見つからない」と言われる前に、オーナー側から具体的な候補を提示できると交渉が進みやすくなります。

交渉の設計③ 提示額を「項目ごとに」組み立てる

正当事由の材料がそろったら、次は提示額です。コツは総額をいきなり示さないこと。総額だけを示すと相手は「安い」か「高い」かの二択でしか反応できませんが、先ほどの表の項目に沿って「移転実費として◯、休業補償として◯、造作の残存価値として◯」と積算して示せば、相手は項目ごとに反論せざるを得なくなります。これが交渉を前に進める要です。

  1. 決算書・確定申告書の開示を求める——休業補償の検討には直近数期の売上と利益が必要です。開示を渋る項目の主張は弱くなります
  2. 内装・造作は「取得価額」でなく「残存価値」で見る——当時の工事費をそのまま請求されることがありますが、減価を考慮するのが通常です
  3. 移転先の賃料差額は期間を区切る——無期限に補償する必要はなく、一定期間分で調整するのが一般的です
  4. 原状回復の扱いを金額に織り込む——テナント負担の原状回復費用を免除する代わりに立退料を調整する組み立てがあります
  5. 支払時期を明渡しと引き換えにする——全額を先に払うと明渡しが遅れたときに手段がなくなります。残額は明渡し完了時に支払う設計に

オーナー側の手続全体の流れは貸主・地主のための立ち退き・明渡し総合ガイドにまとめています。

賃貸オーナーの立ち退き・滞納トラブルを無料相談(大阪・関西)

弁護士法人ブライトでは、賃貸オーナー・貸主・地主の方からの立ち退き・明渡し・賃料滞納のご相談を初回無料で承っています。「テナントに出てもらいたいが、いくら用意すればよいのか見当がつかない」「更新拒絶の通知をいつまでに出せばよいか確認したい」といった段階のご相談で構いません。オーナー側の立場から、通知の期限・正当事由の材料・提示額の組み立てまで一緒に設計します。

お電話:06-4965-9590(平日9:00〜18:00)

飲食店に特有の論点——造作買取請求権・スケルトン戻し・営業許可

テナントが飲食店の場合、補償額を押し上げる固有の論点が3つあります。交渉前に契約書を開いて確認してください。

① 造作買取請求権が特約で排除されているか

借地借家法33条は、賃貸人の同意を得て建物に付加した造作について、契約終了時に賃借人が時価で買い取るよう請求できる権利を定めています。飲食店の場合、厨房設備・空調・給排水設備・カウンターなどがこれに該当し得ます。

ただし、この造作買取請求権は特約で排除することができます(同法37条は33条を強行規定の対象に含めていません)。実際、事業用の建物賃貸借契約書には「造作買取請求権を放棄する」旨の条項が入っていることが多くあります。まず契約書にその条項があるかを確認してください。あれば、テナントからの造作買取の主張には反論の余地があります。

なお、造作の代金を理由に建物の明渡しを拒めるか(留置権)については、裁判例では造作代金債権を理由に建物そのものを留置することはできないとされた例があります。とはいえ交渉の場では、造作の価値が立退料の一項目として持ち出されます。

② スケルトン戻し(原状回復)は「交渉の材料」になる

事業用の賃貸借では、退去時に内装を撤去して躯体の状態まで戻すスケルトン戻しが約定されているのが一般的で、飲食店の場合その費用は小さくありません。ここが交渉のポイントです。オーナーが建替えを予定しているなら、そもそもスケルトン戻しは不要ですから、「原状回復義務を免除する代わりに立退料を調整する」という組み立てができます。実際には失わない負担を交渉のカードとして使える場面です。

③ 営業許可の移転は「やり直し」になる

飲食店営業の許可は、食品衛生法上、施設ごとに与えられるものです。移転先で営業するには、原則として新たに許可を取り直す必要があります。深夜における酒類提供飲食店営業の届出なども同様です。

この「やり直し」には、移転先が設備要件を満たすかの確認と、許可が下りるまでの日数がかかります。つまり営業できない期間が発生するわけで、それが休業補償の日数として立退料に反映されます。オーナーとしては、この日数が過大に見積もられていないかを確認してください。

賃料増額請求とのセット戦略は「劇薬」です

オーナーの方からしばしば受けるご相談です。「立ち退きに応じないなら、賃料を相場まで上げると伝えたい」——。

借地借家法32条は、近隣相場との比較などから賃料が不相当となった場合に増額を請求できると定めており、実際に使われる手でもあります。しかし、立退き交渉と組み合わせるときは慎重な設計が必要です。

当事務所が扱った店舗立退きの案件でも、交渉が膠着したあとに賃料増額請求が持ち出され、そこから簡易裁判所の賃料増額請求調停へ発展して、当初の立退きの話がさらに長期化した例があります。賃料の話と立退きの話が同時に走ると争点が二重になり、解決までの時間が延びます。

賃料増額請求を立退き交渉に混ぜるときのリスク

  • 正当事由の判断で不利に働き得る——「立ち退かせる目的で賃料を上げようとしている」と評価されると、賃貸借の従前の経過という考慮要素で心証が悪くなることがあります
  • 別の土俵が増える——賃料増減額請求は訴訟の前に調停を経ることが必要とされ(調停前置)、手続が一本増えます
  • 反撃材料を与える——テナント側から「この物件には漏水などの不具合がある」と物件の瑕疵を持ち出されることがあります
  • 時間の損失が金額の得を上回る——スケジュールが半年〜1年ずれれば、増額で得られる差額を簡単に飲み込みます

使うのであれば、順序と目的を先に固定してください。「立退き交渉を先に行い、一定期間内に合意に至らなかった場合にのみ、賃料の適正化を別途検討する」というように、同時並行を避けて時期をずらすだけでもリスクは下がります。

中期の出口——次の再契約時に「定期借家」へ切り替える

いま入っているテナントに出てもらう話とは別に、中期的な出口も設計しておくべきです。有力な選択肢が定期借家契約です。

普通借家契約では、期間が満了しても正当事由がなければ更新を拒絶できません。これに対し定期借家契約は期間の満了によって更新されることなく終了します。将来の建替えや売却が視野に入っているなら、契約の設計そのものを変えることが、立退料を用意するより確実な打ち手になり得ます。

ただし、既存の普通借家契約を途中で定期借家に切り替えることはできません。現実的には、いま空いている区画の新規募集や、既存テナントとの合意による再契約のタイミングで導入していくことになります。また、定期借家契約には書面の交付と事前説明という厳格な要件があり、これを欠くと普通借家として扱われてしまいます。詳しくは定期借家契約なら立ち退きを求めやすいのかをご覧ください。

オーナーが手を出してはいけないこと(自力救済は違法です)

交渉が長引くと、「鍵を替えてしまえばよいのではないか」という発想が出てくることがあります。結論として、これは違法です。行わないでください。

違法となる行為(オーナーの立場を一気に悪くします)

  • 無断で鍵を交換する・シリンダーを付け替える
  • テナントの承諾なく店舗内に立ち入る
  • 店舗内の什器・商品・帳簿などを運び出す、処分する
  • 電気・水道・ガスを一方的に止める
  • 店舗の入口を封鎖する、営業を妨害する張り紙をする

これらは自力救済と呼ばれ、法律上は許されていません。たとえテナントに賃料の滞納があっても同じです。損害賠償を請求されるおそれがあるほか、刑事上の問題になる可能性もあります。

さらに実務的な観点からも、自力救済はオーナーにとって最悪の一手です。正当事由の判断において「賃貸借の従前の経過」が考慮される以上、違法行為をした事実は交渉でも訴訟でも重くのしかかります。立退料を上乗せするより高くつく、と考えてください。

テナントが応じない場合の正しい手順は、通知 → 交渉 → 調停または訴訟 → 判決 → 強制執行という法的な道筋です。時間はかかりますが、結果として最も早く安全な道になります。

よくある質問

Q. 店舗の立退料は、賃料の何か月分が目安ですか?

A. 「何か月分」という物差しは、店舗ではあまり機能しません。住居では賃料の数か月分が一定の目安になりますが、店舗では休業補償と得意先の喪失が加わるため、同じ賃料でも業種と営業年数で大きく変わります。目安を探すより、表の項目ごとに積算するほうが現実的です。

Q. テナントが「1,000万円出せ」と言ってきました。応じる必要がありますか?

A. そのまま受け入れる必要はありません。まず金額の内訳を出すよう求めてください。休業補償なら決算書、造作の価値なら工事の請負契約書と施工時期の資料が必要です。裏づけのない項目は交渉でも裁判所の場でも通りにくい一方、内訳がしっかりしていれば、その水準が現実的な着地点である可能性もあります。

Q. 立ち退きの通知は、内容証明郵便で出すべきですか?

A. 強くおすすめします。更新拒絶の通知は「期間満了の1年前から6か月前までに出したこと」が後で争点になりますが、普通郵便では出したこと・届いたこと・その日付を証明できません。配達証明付きの内容証明郵便なら内容と到達日の双方を記録に残せます。文面の書き方は正当事由の評価にも影響しますので、送る前にご相談ください。

Q. 建物を売却する予定です。テナントが入ったままでも売れますか?

A. 売却自体は可能ですが、買主が更地または空室での引渡しを条件とする場合、立退きが売買の前提条件になります。立退きが完了しないと売買が成立しない構造になり、オーナー側が時間的に追い込まれる=交渉力の面で不利になります。売却の話を進める前に、テナントとの交渉に着手しておくことをおすすめします。

まとめ——順序を固定してから動く

店舗テナントの立退きは、金額の勝負に見えて、実は順序の勝負です。

  1. 覚悟の水準を合わせる——店舗の立退料は住居と桁が変わり得る前提で予算を組む
  2. 通知の期限を先に押さえる——更新拒絶は期間満了の1年前から6か月前まで
  3. 正当事由を材料化する——建物診断・修繕見積・建替え計画・移転先候補を資料でそろえる
  4. 提示額を項目ごとに積算する——総額でなく内訳で示し、支払時期を明渡しと引き換えにする
  5. 飲食店なら契約書を確認する——造作買取請求権の排除特約と原状回復条項
  6. 賃料増額請求は同時に走らせない——順序と目的を固定してから
  7. 自力救済には手を出さない——鍵交換・荷物撤去は違法

交渉が整わなければ、最後は建物明渡しの訴訟・強制執行という道筋になります。「最後はここまで行く」と知っておくことが、交渉のテーブルでの落ち着きにつながります。

関連記事

賃貸オーナーの立ち退き・滞納トラブルを無料相談(大阪・関西)

弁護士法人ブライトでは、賃貸オーナー・貸主・地主の方からの立ち退き・明渡し・賃料滞納のご相談を初回無料で承っています。「テナントに出てもらいたいが、いくら用意すればよいのか見当がつかない」「更新拒絶の通知をいつまでに出せばよいか確認したい」といった段階のご相談で構いません。オーナー側の立場から、通知の期限・正当事由の材料・提示額の組み立てまで一緒に設計します。

お電話:06-4965-9590(平日9:00〜18:00)

監修:弁護士法人ブライト 代表弁護士 和氣良浩

大阪弁護士会所属。弁護士法人ブライト代表。不動産トラブル・企業法務・相続を中心に、大阪・関西の案件を幅広く取り扱う。「みんなの法務部」コンセプトを提唱し、中小企業・個人の法律問題に対応。

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。

事務所概要

事務所名 弁護士法人 ブライト(大阪弁護士会所属)
開 業 平成21年(代表弁護士独立開業)
設 立 平成24年11月設立、平成27年1月に法人化
所在地 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎2丁目6番6号 コウヅキキャピタルウエスト12階
TEL 06-4965-9590(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
事業内容 法人向け(法律顧問・顧問サービス、不動産を巡るトラブル、M&A・事業承継、私的整理・破産・民事再生等、不動産を巡るトラブル、不動産を巡るトラブル、不動産を巡るトラブル、不動産を巡るトラブル、不動産を巡るトラブル、IT関連のご相談、不動産を巡るトラブルなど)、個人向け(不動産を巡るトラブル・労災事故を中心とした損害賠償請求事件、債務整理・破産・再生等、相続、離婚・財産分与等、財産管理等に関する対応、不動産の明渡し等を巡る問題など)

お問い合わせ

CONTACT

弁護士法人 ブライトへの法律相談、
メディア出演依頼・取材に関する
お問い合わせはこちら

お電話での
お問い合わせ

TEL:06-4965-9590

※受付時間 9:00-18:00

※法律相談は無料です(労災事故・交通事故は何度でも無料/企業法務・顧問弁護士は初回無料)。ただし、事前のヒアリング内容をもとに対応可否を判断させていただく場合があり、お力になれないと判断したときは、ご相談をお断りすることがございます。

法務ドックで経営が変わる

あなたの会社を法的トラブルから守る
弁護士法人ブライト (著)
多くの企業は法的トラブルを未然に防ぐ対策を講じておらず、顧問弁護士も不在です。本書では「法務ドック」を活用し、リスク回避を図る「みんなの法務部」を提案します。
多くの企業は法的トラブルを未然に防ぐ対策を講じておらず、顧問弁護士も不在です。本書では「法務ドック」を活用し、リスク回避を図る「みんなの法務部」を提案します。

顧問弁護士

経営者のための弁護士「活用」バイブル
弁護士法人ブライト (著)
顧問弁護士はトラブル対応だけでなく契約書作成など実務も担う身近な存在となりました。本書では顧問弁護士の活用メリット、自社に合う選び方、法的リスクのマネジメントについて解説します。
顧問弁護士はトラブル対応だけでなく契約書作成など実務も担う身近な存在となりました。本書では顧問弁護士の活用メリット、自社に合う選び方、法的リスクのマネジメントについて解説します。

おもてなしを守る「ホテル法務」の教科書

宿泊業経営者のための新リーガル戦略
弁護士法人ブライト (著)
2026年10月のカスハラ対策義務化から、悪質クレームと合理的配慮の境界線、合法的な宿泊拒否の手順まで。当法人が対応してきた8つの実務事案をもとに、宿泊業の予防法務を解説します。
2026年10月のカスハラ対策義務化から、悪質クレームと合理的配慮の境界線、合法的な宿泊拒否の手順まで。当法人が対応してきた8つの実務事案をもとに、宿泊業の予防法務を解説します。