このページは、老人ホーム等の施設入居にあたって「自宅を売る・貸す・残す・担保にする」の判断ポイントを、芦屋・阪神間の相続不動産のご相談を取り扱う弁護士法人ブライト(代表:和氣良浩弁護士)が、実務の視点から整理した解説記事です。
はじめに|施設入居の資金計画と「自宅の扱い」は、セットで考える問題です
老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅への入居を考え始めたとき、多くのご家庭が最初に直面するのが、「いま住んでいる家を、どうするか」という問いです。
- 入居一時金や月額費用のために、自宅を売って現金化すべきか
- 誰かに貸して、賃料を施設の費用に充てられないか
- 「戻ってくるかもしれないから」と、そのまま残しておくべきか
- 家を手放さずに、資金だけ引き出す方法はないのか
施設の費用計画と自宅の扱いは、切り離せない一つの問題です。とりわけ芦屋・阪神間のように不動産の価値が大きい地域では、自宅という資産をどう位置づけるかで資金計画の選択肢が大きく広がる一方、判断を誤ったときの影響も大きくなります。
そしてもう一つ、この問題には時間の制約があります。自宅を売る・貸す・担保に入れる——そのどれもが法律行為であり、ご本人の判断能力(意思能力)があるうちにしかできません。この記事では、自宅の4つの選択肢を法律面から整理したうえで、「いつ決めるか」がなぜ決定的に重要なのかを、弁護士が解説します。
なお、この記事は「売ったほうがよい」という前提には立ちません。売る・貸す・残す・担保にする——どれが正解かはご家庭ごとに違います。それをフラットに検討するための材料を提供することが目的です。
自宅をどうするか、まだ決めていなくても大丈夫です。売る・貸す・残す——決める前の、一度だけの法律相談として、選択肢の整理をお手伝いします。
初回相談無料/LINEでも受け付けています(お電話:06-4965-9590)
1. 自宅の4つの選択肢|それぞれの法律面のポイント
施設入居にあたっての自宅の扱いは、大きく次の4つに整理できます。
| 選択肢 | 概要 | 向いているケース | 法律面の主な論点 |
|---|---|---|---|
| ① 売る | 売却して現金化し、入居費用等に充てる | まとまった入居一時金が必要/戻る予定がない | 本人の意思能力・売買契約・税務(一般論) |
| ② 貸す | 賃貸に出し、賃料を施設費用に充てる | 立地がよく賃貸需要がある/手放したくない | 賃貸借契約・貸主の義務・共有の場合の同意 |
| ③ 残す | 当面そのまま維持する | 戻る可能性を残したい/判断を保留したい | 空き家の管理責任・将来の相続での共有化 |
| ④ 担保にする | 自宅を担保に資金を借りる(リバースモーゲージ等) | 家を手放さず資金を確保したい | 金融商品の契約条件・相続人への影響 |

1-1. 選択肢①:売る——現金化して入居費用に充てる
もっとも分かりやすい選択肢です。売却代金を入居一時金や月額費用の原資にでき、固定資産税・修繕費・火災保険といった維持費からも解放されます。現金は相続の場面でも分けやすく、不動産を「とりあえず共有」で残す事態を避けられるという承継上の利点もあります(この点は不動産を揉めずに承継するための生前対策で詳しく解説しています)。
法律面で押さえるべきは、次の2点です。
- 売主はあくまでご本人:自宅がご本人名義なら、売買契約を結ぶのはご本人です。子が代わりに進めるには委任状等の手当てが必要で、そもそもご本人に契約内容を理解する判断能力(意思能力)があることが大前提になります(後述の第2章がこの記事の核心です)
- 税務は「制度がある」ことを知っておく:マイホームを売ったとき、譲渡所得から一定額を控除できる特例(いわゆる居住用財産の3,000万円特別控除)が設けられています(租税特別措置法に定められた特例で、住まなくなってから一定期間内の譲渡などの要件があります)。施設に入って空き家にしたまま時間が経つと、適用要件を外れることがあるとされており、売却の時期の判断に関わります。ただし、適用の可否は個々の事情で変わる税務判断ですので、具体的な要件の充足は必ず税理士にご確認ください
心理面では、「帰る場所がなくなる」という不安が最大のハードルです。施設での生活に馴染めるかどうか分からない段階で退路を断つことへのためらいは、当然のものです。だからこそ、①〜④を並べて比較し、「今は決めない」ことも含めて本人が納得して選ぶプロセスが大切になります。
1-2. 選択肢②:貸す——賃料収入を施設費用に充てる
自宅を手放さずに収益化する選択肢です。芦屋・阪神間の住宅は賃貸需要が見込める立地も多く、賃料を月額費用の一部に充てる設計は十分に現実的です。
一方で、「貸す」は法律関係を新しく作る行為です。次の点は契約前に整理しておく必要があります。
- 一度貸すと、簡単には返してもらえない:建物の賃貸借では借主の保護が厚く、期間が満了しても貸主側の事情だけでは容易に契約を終了できない仕組みになっています(借地借家法26条・28条)。「体調が変わったら家に戻る」可能性を残したい場合には、あらかじめ期間の満了により確定的に終了する定期建物賃貸借(定期借家)を選ぶという設計があります(借地借家法38条)
- 貸主には修繕などの義務が生じる:賃料を受け取る以上、雨漏りや設備故障への対応義務を負います。築年数の古い邸宅では、貸す前のリフォーム費用と賃料収入のバランスの見極めが必要です
- 自宅が共有名義なら、同意の整理が先:相続などで自宅が共有になっている場合、賃貸に出すには共有者間の同意が必要です。短期間の賃貸などの管理に関する事項は持分価格の過半数で決められますが(民法252条1項)、長期の賃貸借など処分に等しい行為は共有者全員の同意が必要です(民法251条1項)。誰が賃料を管理し、どう分けるかも、先に書面で決めておくべき事項です
1-3. 選択肢③:残す——ただし「決断の先送り」と「意図した保留」は違う
「戻るかもしれない」「思い出のある家をすぐには手放せない」——残すという選択にも、十分な合理性があります。ただし、残す場合には次の3つを引き受けることになります。
- 空き家の管理責任:誰も住まない家でも、所有者には管理責任が残ります。屋根材の落下や塀の倒壊で近隣に損害を与えれば、所有者が賠償責任を問われ得ます。また、管理が行き届かない空き家について、市町村が助言・指導・勧告等を行う法律上の仕組みも設けられています(空家等対策の推進に関する特別措置法。勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例の対象から外れる場合があります)
- 維持費は出続ける:固定資産税・火災保険・庭木の手入れ・通風や通水の管理。施設の月額費用と二重にかかり続けます
- 将来の相続で「共有」になるリスク:残したまま相続が発生すると、自宅は相続人の共有に流れやすくなります。共有になった不動産は、売却にも建て替えにも全員の同意が必要になり、動かせないまま次の世代へ問題が引き継がれます。共有の何が問題で、なってしまったらどう解消するかは、相続した不動産の共有状態を解消する方法で詳しく解説しています
大切なのは、「決められないから残す」のではなく、「いつ・何があったら次の判断をするか」を決めたうえで残すことです。たとえば「2年間は残して施設生活の定着を見る。戻らないと判断したら売却し、その手順と権限はあらかじめ決めておく」——このように期限と条件を添えた保留であれば、残すことは立派な選択です。その設計を法的に支える道具(任意後見・民事信託など)は、第3章で触れます。
「残す」と「先送り」の違いは、決めごとがあるかどうかです。売る・貸す・残す——決める前の、一度だけの法律相談で、ご家庭に合う設計を整理してみませんか。
初回相談無料/LINEでも受け付けています(お電話:06-4965-9590)
1-4. 選択肢④:担保にする——家を手放さず資金を引き出す制度
「住み慣れた家の名義は保ちつつ、施設費用の資金だけ確保したい」という場合の選択肢として、自宅を担保に融資を受け、亡くなった後に自宅の売却代金等で一括返済する仕組み(いわゆるリバースモーゲージ)が、金融機関や一部の自治体(社会福祉協議会の貸付制度)で提供されています(住宅金融支援機構の保険を活用した金融機関の商品や、社会福祉協議会の不動産担保型生活資金貸付制度などがあります)。また、自宅をいったん売却して代金を受け取り、賃貸借契約を結んでそのまま住み続ける「リースバック」と呼ばれる取引もあります。
これらは有力な選択肢になり得ますが、本記事では制度が存在することの紹介にとどめます。金利・担保評価・存命中に融資枠を使い切った場合の扱い・不動産価格が下落した場合のリスク・契約時に推定相続人の同意を求められることが多い点など、商品ごとに条件が大きく異なるためです。具体的な商品内容は金融機関に、そして契約書の内容とご家族・相続への影響は、契約前に弁護士にご確認ください。特にリースバックは「売却」そのものですから、売買価格と賃料の水準が適正かどうかの検証が欠かせません。
2. 【この記事の核心】どれを選ぶにも、「本人の意思能力があるうち」でなければできない
ここまで4つの選択肢を並べてきましたが、実は、この記事でもっともお伝えしたいのは選択肢の中身ではありません。どの選択肢も、ご本人に判断能力があるうちにしか選べない、という順番の話です。
2-1. 意思能力を失うと、売買も賃貸も「無効」になる(民法3条の2)
民法は、「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする」と定めています(民法3条の2)。認知症が進行し、契約の意味を理解できない状態になった後で自宅の売買契約を結んでも、その契約は無効です。ご本人を施設に呼んで署名だけしてもらう、子が実印を預かって手続きする——そうした方法で外形を整えても、有効な売却にはなりません。むしろ後日、契約の効力や使途をめぐって家族間・買主との紛争の火種になります。
つまり、認知症が一定程度進行した時点で、「売る」「貸す」「担保にする」の3つの扉は、事実上閉じます。
2-2. 閉じた扉を開ける方法は「成年後見+家庭裁判所の許可」——ただし別のルートになる
ご本人が判断能力を失った後に自宅を売却する法律上のルートは、成年後見制度です。家庭裁判所が選任した成年後見人が、ご本人に代わって契約を行います。
ただし、自宅の売却については特別なハードルが設けられています。成年後見人が本人の居住用不動産を売却・賃貸・抵当権設定などで処分するには、家庭裁判所の許可が必要です(民法859条の3)。施設に入居して空き家になっていても、ご本人の生活の本拠であった家は「居住用不動産」として扱われ得ます。許可の判断では、売却の必要性(施設費用に本当に必要か)、ご本人の帰宅可能性、売却条件の相当性などが審査されます。
この制度はご本人の保護のためにある大切な仕組みですが、ご家族の側から見ると、次のような違いが生じます。
- 後見人の選任から売却許可まで、相応の時間と手続きを要する
- 売却の可否・時期・条件を家族だけでは決められなくなる
- 後見はいったん開始すると原則としてご本人が亡くなるまで続き、財産管理全体が後見人の職務になる
成年後見を利用した自宅売却の具体的な流れと注意点は、姉妹記事で詳しく解説しています。認知症の親の自宅売却と成年後見の流れはこちら。
2-3. 「まだ早い」が、いちばん危ない
「施設に入ってから考えればいい」「まだ元気だから、その話は先でいい」——ご本人にとってもご家族にとっても、自然な感覚です。しかし、法律の側から見ると順番は逆です。
- 元気なうち:売る・貸す・残す・担保にする、すべての選択肢を、本人が自分の意思で選べる。遺言・任意後見・民事信託といった「将来に備える道具」も使える
- 判断能力が揺らぎ始めてから:契約の有効性に疑義が生じ、金融機関や買主側が取引に応じないことも。使える道具が急速に減る
- 判断能力を失った後:本人による契約は無効(民法3条の2)。成年後見+家庭裁判所の許可(民法859条の3)という別のルートしか残らない
意思能力は、ある日突然失われるとは限りません。ゆっくり進行し、「気づいたときには遺言も信託も間に合わなかった」というご相談を、私たちは現実に受けています。選択肢がすべて開いているのは、今だけかもしれない——これが、施設入居と自宅の問題を「早めに」「元気なうちに」考えるべき、法律上の理由です。
「まだ早い」と感じる今こそ、すべての選択肢が開いている時期です。決める前の、一度だけの法律相談として、ご本人・ご家族の状況を整理してみてください。
初回相談無料/LINEでも受け付けています(お電話:06-4965-9590)
3. 家族で決めるときの法律実務|「決めたこと」を法的に有効な形で残す
自宅の扱いは、ご本人一人の問題ではなく、家族会議のテーマです。ただし、話し合って「決めたつもり」になることと、それが法的に実現される状態にしておくことは別問題です。実務では、次の3点をセットで整えます。
3-1. 本人の意思を「書面」にする
「お父さんは施設に慣れたら家は売っていいと言っていた」——口頭の意向は、時間が経ち、ご本人の判断能力が揺らいだとき、ほとんど力を持ちません。きょうだいの一人が「そんなことは聞いていない」と言えば、そこで止まります。
- 自宅をいつ・どんな条件で・誰の判断で売る(貸す・残す)のか、ご本人の意向を文書化しておく
- 売却代金の使途(施設費用・生活費・医療費)と、管理する人を明記する
- 将来の承継まで含めて固めるなら、遺言として残す(自宅を誰に相続させるか、売却済みの場合の代金の扱いまで書けます)
3-2. 家族間の合意も書面にする——「誰が管理し、誰が負担するか」
施設入居後の自宅をめぐって家族が揉めるのは、売る・売らないの対立だけではありません。むしろ多いのは、管理と費用の分担をめぐるすれ違いです。空き家の見回りは誰がするのか、固定資産税や修繕費は誰が立て替えるのか、貸すなら賃料は誰の口座で管理し、施設費用にどう充てるのか。こうした取り決めを家族間の合意書として書面化しておくだけで、後日の「言った・言わない」と、立て替えの不公平感による関係悪化を大幅に防げます。
また、親の預貯金や不動産売却代金を子が管理する場合、収支の記録を残すことが極めて重要です。相続の場面で「使い込みではないか」という使途への疑念が持ち上がり、それが遺産分割全体を紛糾させるパターンは、実務で繰り返し目にするところです。
3-3. 遺言・任意後見・民事信託との接続——「判断能力を失った後」まで設計する
第2章のとおり、判断能力を失うと本人は自宅を処分できなくなります。これにあらかじめ備える法律上の道具が、任意後見と民事信託です。
- 任意後見:判断能力があるうちに、将来の後見人(任意後見人)と委任する事務の範囲を自分で決めて契約しておく制度です。誰に任せるかを自分で選べる点が、家庭裁判所が後見人を選ぶ法定後見との大きな違いです(任意後見契約に関する法律。契約は公正証書で結び、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から効力が生じます)
- 民事信託(家族信託):自宅の管理・処分の権限を、信頼できる家族(受託者)に託しておく仕組みです。ご本人が判断能力を失った後も、受託者の判断で売却や賃貸を進められる点が、遺言にも任意後見にもない特長です。「施設生活が定着したら売る」という条件付きの将来の売却を設計できます
どの道具が合うかは、家族構成・財産の内容・誰が何を心配しているかによって変わります。実際、家族信託のご希望で始まった相談を検討した結果、公正証書遺言に落ち着いたケースも当事務所にはあります。道具ありきではなく、目的から逆算して組み合わせる——この設計の考え方は、不動産を揉めずに承継するための生前対策でも詳しく解説しています。
本人の意思の書面化・家族間の合意書・遺言や信託との接続まで、決める前の、一度だけの法律相談でまとめて整理できます。ご自宅や施設への出張相談・オンライン相談にも対応します。
初回相談無料/LINEでも受け付けています(お電話:06-4965-9590)
4. 実務の肌感|施設入居と自宅をめぐって、現場で繰り返し見る3つの光景
当事務所で扱った相続・高齢者の財産管理の事案から、固有の情報を除いて一般化した「現場の感覚」をお伝えします。
光景1:認知症の親が「相続人の一人」になった瞬間、不動産のすべてが止まる
父が亡くなり、相続人は施設に入所中で認知症の母と子どもたち——という構図は、実務ではごくありふれています。このとき、母に意思能力がなければ遺産分割協議は成立せず、不動産の名義変更も売却もできません。動かすには成年後見人の選任が必要になり、手続きの時間と費用、そして「家族だけでは決められない」状態が続きます。本記事のテーマである「本人の自宅をどうするか」を先送りした場合も、構造はまったく同じです。意思能力を失った人が一人関わるだけで、不動産は法的に動かなくなる——この事実は、元気なうちの備えの価値をそのまま裏返したものです。
光景2:間に合わせるために、弁護士が自宅や施設へ出向いて意思を確認する
高齢のご本人の判断能力がまだ保たれている段階でご家族が動いたケースでは、弁護士がご自宅まで出向き、ご本人と直接お会いして意向を丁寧に聞き取りながら、公正証書遺言や財産管理の設計を整えていきます。配偶者が認知症で施設に入所しており、「自分の亡き後、施設にいる妻の生活費と介護費用をどう確保するか」を遺言の中心に据えた設計のご依頼もありました。ここで重要なのは、遺言や信託は代理人任せでは作れないということです。ご本人の真意の確認が制度の生命線であり、だからこそ、ご本人が自分の言葉で希望を語れる時期にしか、この仕事はできません。
光景3:残した家の「後始末」は、確実に次の世代の宿題になる
誰も住まなくなった家をそのままにして相続が発生すると、次の世代には、空き家の管理・維持費の分担・処分をめぐる合意形成という宿題がまとめて引き継がれます。実務では、名義が先代のまま残った建物の解体費用が数百万円規模にのぼり、誰が負担するのかで親族間の調整が難航する事案や、相続人の一人と連絡が取れず処分が進まない事案を繰り返し見てきました。ご本人が元気なうちに方針を決めて書面にしておくことは、ご自身の資金計画のためだけでなく、子や孫に宿題を残さないための備えでもあります。
「うちはどの光景に近いだろうか」と感じたら、それが相談のタイミングです。決める前の、一度だけの法律相談をご活用ください。
初回相談無料/LINEでも受け付けています(お電話:06-4965-9590)
5. よくあるご質問(FAQ)
Q1. 施設に入る前に自宅を売っておくと、相続のとき揉めやすくなりませんか?
むしろ逆のことが多い、というのが実務の感覚です。不動産のまま相続を迎えると、分けにくい財産をめぐって「誰が取得するか」「いくらと評価するか」の対立が生じやすく、「とりあえず共有」に流れた不動産は次の紛争の種になります。生前に売却して現金化しておけば、財産は分けやすくなります。ただし一点、売却代金の管理と使途の記録は必ず残してください。施設費用に充てたはずのお金について、相続の場面で「使い込みでは」という疑念が持ち上がると、遺産分割全体が紛糾します。通帳・領収書・家族間の合意書で透明性を保つことが、売却を「揉めない選択」にする条件です。
Q2. 空き家のまま残しておくと、具体的にどんなリスクがありますか?
第一に管理責任です。塀の倒壊や屋根材の飛散で近隣に損害を与えれば、所有者が賠償責任を問われ得ます。第二に行政対応です。管理が不十分な空き家は、法律に基づく市町村の指導・勧告等の対象になり得ます(空家等対策の推進に関する特別措置法)。第三に、時間の経過そのものです。所有者であるご本人の判断能力が低下すれば売却の扉が閉じ(民法3条の2)、相続が発生すれば共有化のリスクが現実になります。残すこと自体は選択肢の一つですが、「いつまで・誰が管理し・何があったら次の判断をするか」を決めてから残すことをおすすめします。
Q3. 芦屋・阪神間の自宅について、親本人と子が一緒に相談できますか?
はい。ご本人とご家族の同席でのご相談は歓迎です。代表弁護士の和氣は芦屋在住で、路地の奥の邸宅や私道持分、古い大型の土地といった芦屋・阪神間に特有の不動産事情を、生活者としても知っています。ご本人の外出が難しい場合には、ご自宅や施設への出張・オンラインでの対応もご相談いただけます。なお、私たち弁護士は職務基本規程により不動産業者から紹介料を受け取りません。ですから、売る方向に誘導する動機がそもそもなく、売る・貸す・残す・担保にするをフラットに検討できます。芦屋・阪神間の相続不動産のご相談窓口はこちらからお問い合わせください。
6. まとめ|選択肢が全部そろっているのは、「元気な今」だけ
- 施設入居の資金計画と自宅の扱いは一つの問題です。選択肢は①売る ②貸す ③残す ④担保にするの4つで、どれが正解かはご家庭ごとに違います
- ①売却には税務上の特例の期限、②賃貸には借主保護と共有の同意(民法251条1項・252条1項)、③残す場合は管理責任と将来の共有化リスク、④担保型の商品は契約条件の検証——それぞれに法律面の論点があります
- そして何より、どの選択肢も本人の意思能力があるうちにしか選べません。失った後の売却は無効となり(民法3条の2)、成年後見人による処分には家庭裁判所の許可が必要という別のルートになります(民法859条の3)
- 決めたことは、本人の意思の書面化・家族間の合意書・遺言や民事信託という法的に有効な形で残してこそ、実現します
「まだ早い」と感じるうちが、実は一番の適期です。弁護士法人ブライトでは、売る前提ではなく、残す前提・貸す前提からも話せるご相談をお受けしています。
芦屋・阪神間にお住まいの方は、芦屋・阪神間の相続不動産のご相談はこちらもご覧ください。認知症が進んだ後の自宅売却の実務は、姉妹記事の認知症の親の自宅売却と成年後見の流れで詳しく解説しています。
その資産を、守り、受け継ぐために。施設入居と自宅のこと、決める前の、一度だけの法律相談からどうぞ。
初回相談無料/LINEでも受け付けています(お電話:06-4965-9590)
監修:和氣 良浩 弁護士(弁護士法人ブライト 代表弁護士・大阪弁護士会所属)
弁護士歴20年以上。企業法務(顧問先130社以上)から相続・不動産まで幅広く手がける。芦屋在住。「その資産を、守り、受け継ぐために。」を信条に、売る前提ではなく住み続ける前提からも話せる相談対応を大切にしている。
▶ 芦屋・阪神間の相続不動産のご相談はこちら