このページは、相続人が一人もいない方の財産をどう清算するのかについて、大阪で相続のご相談を取り扱う弁護士法人ブライト(代表:和氣良浩弁護士)が、実務の視点から整理した解説記事です。
大阪の当事務所には、こうしたご相談が届きます。
- 「身寄りのない親族が亡くなった。預金も家もあるが、誰も手を出せない」
- 「貸していた部屋の入居者が亡くなり、相続人が全員相続放棄した」
- 「隣の空き家の所有者が亡くなっているらしく、交渉相手がいない」
- 「亡くなった方の世話をずっとしてきた。何も受け取れないのだろうか」
共通するのは、財産はあるのに、それを動かす権限を持つ人が一人もいないという状態です。民法はこの状態を放置しないための受け皿を用意しており、それが相続財産清算人です。この記事では「実際に、誰が、いくら払って、どれだけの期間で、何をするのか」という実務の順序で整理します。なお一般的な法制度の説明であり、個別事案の見通しをお示しするものではありません。
「この財産、誰が動かせるのか」——その一点がはっきりすれば、次の一手が決まります。まずは状況の整理からご相談ください。
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1. 相続財産清算人とは|相続人がいない財産のための家庭裁判所の制度
1-1. 相続人がいないと、財産は「法人」になる(民法951条)
民法951条は、「相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。」と定めています。財産は宙に浮くのではなく、相続財産法人という一つの法人として扱われる建て付けです。
ただし法人ができただけでは何も動きません。会社に代表者が必要なのと同じで、財産を代表して管理・清算する人が要ります。それが相続財産清算人で、家庭裁判所が選任します(民法952条1項)。実務では多くを弁護士などの専門家が引き受けています。
「相続人のあることが明らかでないとき」には、戸籍を調べても法定相続人が見当たらない場合だけでなく、戸籍上の相続人はいるが全員が相続放棄をした場合も含まれると解されています。実務ではこの「全員が放棄した」パターンが少なくありません。
なお、「子が先に亡くなっているのに親が代襲相続をしない」といった、相続人が誰もいなくなる場面の考え方は、【子の死亡】相続人不在のときの実務|親が代襲相続できないケースで詳しく解説しています。
1-2. 2023年4月から「相続財産管理人」は「相続財産清算人」になった
検索すると「相続財産管理人」という言葉が数多く出てきますが、これは古い名称です。所有者不明土地問題に対応する民法等の改正(令和3年法律第24号)により、2023年(令和5年)4月1日から、民法952条に基づく管理人の名称は「相続財産清算人」に改められました。
変わったのは名前だけではありません。旧制度では公告を順番に重ねる必要があり、手続が長引く原因になっていました。改正後は清算人選任の公告と相続人捜索の公告が一本化され、相続債権者への請求申出の公告も、この期間内に満了するよう並行して進める形になりました(民法952条2項、957条1項)。期間短縮が狙いです。
したがって、2023年3月以前に書かれた解説の手続説明は、現行の手続にそのままは当てはまりません。いま調べるなら「相続財産清算人」で調べるのが正しい入口です。
1-3. 名前の似た制度との違い
混同しやすい制度があります。「誰が」「何のために」いなくなったかで、使う制度が変わります。
| 制度 | 根拠 | 使う場面 | ゴール |
|---|---|---|---|
| 相続財産清算人 | 民法952条 | 亡くなった方に相続人がいない(不分明) | 財産を清算し、残りを特別縁故者または国庫へ |
| 相続財産管理人 | 民法897条の2 | 相続人はいるが誰も管理していない | 財産の保存(清算はしない) |
| 不在者財産管理人 | 民法25条 | 本人は生きているが行方不明 | 不在者の財産の管理 |
| 所有者不明土地・建物管理人 | 民法264条の2(土地) 民法264条の8(建物) |
特定の土地や建物だけ所有者が不明 | その土地建物単体の管理 |
ポイントは、相続財産清算人が「人単位」で財産全体を清算する制度だという点です。空き家1軒だけを何とかしたい場合は、所有者不明土地・建物管理人のほうが管理対象が限定される分、予納金も軽く済むことがあります。
相続放棄をした方が「それでも管理義務が残るのか」で悩まれる点は、相続放棄しても管理義務は残る?2023年改正後の正しい理解で整理しています。
相続財産清算人・相続財産管理人・不在者財産管理人——どの制度を使うべきかは、事情によって変わります。判断に迷ったら、選ぶ前にご相談ください。
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2. 誰が申し立てられるのか|「利害関係人」の範囲
2-1. 条文上は「利害関係人又は検察官」
民法952条1項は、家庭裁判所は「利害関係人又は検察官の請求によって」相続財産の清算人を選任しなければならない、と定めています。申立てができるのは検察官か利害関係人に限られます。
ここでいう利害関係とは法律上の利害関係です。「故人と親しかった」といった事実上の関心では足りません。逆にいえば、法律上の利害関係を説明できれば親族でなくても申立人になれます。
2-2. 実務で利害関係人と扱われている人
実務上、利害関係人と解されているのは次の立場の方です。
| 立場 | 典型的な場面 |
|---|---|
| 相続債権者 | 管理組合が滞納管理費を回収したい/貸金の債権者 |
| 賃貸人・土地所有者 | 建物収去土地明渡しや明渡しを進めたい |
| 担保権者 | 抵当権を実行する前提として相手方が必要 |
| 特定受遺者 | 遺言で財産をもらったが渡してくれる人がいない |
| 特別縁故者だと主張する人 | 長年、故人の療養看護をしてきた |
| 亡くなった時点の成年後見人 | 財産の引継先がない |
| 相続放棄をした最終順位の相続人 | 手元の財産を引き継ぐ相手がいない |
| 遺言執行者・事務管理者 | 葬儀費用を立て替えた/財産を事実上保管している |
| 共同相続人 | 故人が相続分を持つ別の遺産の分割を進めたい |
| 国・地方公共団体 | 租税の回収/用地の買収/遺留金の引継ぎ |
大阪でも、賃貸物件の借主や区分所有者が亡くなり相続人が全員放棄した、というご相談は珍しくありません。この場合、管理組合や賃貸人自身が申立人になります。
2-3. 自治体・行政機関だけに認められた特例
民法の利害関係人にあたらなくても、次の2法には特例があります。
- 空家等対策の推進に関する特別措置法14条:市町村長は、空家等について、適切な管理のため特に必要があると認めるときは、相続財産の清算人の選任を家庭裁判所に請求できます
- 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法42条:国の行政機関の長または地方公共団体の長は、所有者不明土地について同様の請求ができます
老朽化した空き家が周辺に悪影響を与えている場合に行政が動く根拠です。空き家を相続した側の対応は空き家を相続したらどうする?管理責任・放置のリスク・処分の選択肢で解説しています。
2-4. 逆に、申立てが認められにくいケース
- 相続人が1人でもいる場合:海外にいて連絡が取りにくいというだけでは、この制度は使えません
- 管理すべき財産が実質的にない場合:積極財産がごくわずか、または債務しかない事案では、管理の必要性(実益)を欠くとして要件を満たさないと判断され得ます
- 本人の死亡が確定していない場合:行方不明でも死亡が確定していなければ、不在者財産管理人や失踪宣告を先に検討します
3. 費用と期間|予納金は100万円前後が一つの目安
3-1. 申立てそのものにかかる費用
申立てそのものの費用は大きくありません。目安は次のとおりです。
| 項目 | 金額(裁判所ウェブサイト) |
|---|---|
| 申立手数料(収入印紙) | 800円分 |
| 連絡用の郵便切手 | 裁判所ごとに異なる(申立て先で要確認) |
| 官報公告料 | 5,582円 |
| 戸籍謄本等の取り寄せ実費 | 事案により変動 |
| 予納金 | 事案により決定(3-2) |
※ 印紙額・官報公告料は裁判所ウェブサイト「相続財産清算人の選任」(2026年8月時点)による。金額は改定されることがあり、郵便切手は裁判所ごとに異なりますので、申立て前に必ず申立て先の家庭裁判所でご確認ください。
問題は、この先の予納金です。
3-2. 予納金の相場は「100万円前後」だが、固定額ではない
予納金とは、管理・清算の費用(清算人の報酬を含む)を相続財産から支払うことが難しい場合に、その原資として申立人があらかじめ裁判所に納めるお金です。
金額は100万円前後が一般的とされますが、固定額ではありません。額が固定されると少額の債権を回収したいだけの人が費用倒れで制度を使えなくなるため、現在は相続財産の内容や管理状況に応じて各家庭裁判所が事案ごとに増減を判断する運用です。目安は次のとおりです。
- 申立ての時点で相続財産の内容が詳しく把握されており、清算人がやるべき業務の範囲が限定的であれば、100万円を下回ることも十分にあり得ます
- 預貯金など、すぐに回収できる流動資産が多額にあることが明らかな場合には、官報公告料以外の予納金が不要とされるケースもあります
- 逆に、担保がびっしり付いた不動産しかない、借地上の建物しかない、といった事案では、清算人の業務が読みにくく、予納金は重くなりがちです(借地権付き建物のみの場合は、申立て前に裁判所へ相談することが求められます)
※ 予納金の目安・増減の運用・借地権付き建物の事前相談については、片岡武ほか編『家庭裁判所の財産管理実務 改訂版』(日本加除出版・2025年4月発行)27頁・30頁・32〜33頁による。
3-3. 予納金は抑えられるのか、返ってくるのか
抑えられる可能性はあります。 予納金は「清算人がどれだけの業務を、どれだけの期間やることになるか」の見積りに連動します。申立て前に相続財産の調査をできる範囲で進めておけば、清算人の業務量が縮減され、結果として予納金が下がることが期待できます。ただし、準備をすれば必ず下がるというものではありません。
不動産であれば①登記事項証明書による特定、②現況、③売却の可能性(査定書・路線価など)、④売却の障害(担保権・占有者・相続登記の未了・残置物など)を、分かる範囲で整理して申立書に添えます。裏付けのない伝聞でも「〜との情報あり」と記載しておく意味があります。
返還は条件付きです。 予納金は相続財産に関する費用として優先的に弁済を受けられる性質を持つため、清算人が不動産の売却に成功するなどして管理費用を上回る財産が形成されれば、手続の終了を待たずに返還されることがあります。他方で、回収した財産が管理費用に足りなければ不足分は予納金から補填され、残額がゼロになれば返還は受けられません。「立て替えたお金が必ず戻る」という前提で申し立てるのは危険です。
3-4. 期間感|法律が定める期間だけで9か月以上
「どれくらいで終わりますか」はよくいただくご質問です。改正で短縮されましたが、それでも法律が定める最低限の期間を足すだけで9か月かかります。
- 相続人捜索の公告期間は6か月を下ることができない(民法952条2項)
- 相続債権者・受遺者への請求申出の公告は2か月以上で、かつ上記の期間内に満了させる(民法957条1項)=この2か月は6か月の中に収まる
- 特別縁故者が財産分与を申し立てられるのは、6か月の期間が満了してから3か月以内(民法958条の2第2項)
- その申立てに対する審理、分与の実行、残余財産の国庫への引継ぎがさらに続く
2か月の公告は6か月の内側で満了させるため、単純な足し算ではなく6か月+3か月=9か月が法定の最短です。ここに財産調査・換価・弁済・審理が乗るため、選任から終了までは順調でも1年前後が現実的です。不動産の売却が難航すればさらに延び、「急いで現金化したい」という目的には応えられないこともあります。
予納金がいくらになりそうか、そもそも申立てをする価値がある事案かは、財産の中身で変わります。費用倒れを避けるためにも、動く前の見立てが大切です。
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4. 清算人は実際に何をするのか|調査・換価・弁済
4-1. 手続の全体像
選任から終了までの流れは次のとおりです。

手続全体の時計になるのは相続人捜索の公告(6か月以上)です。請求申出の公告(2か月以上)はこの内側で満了させ、特別縁故者の申立ては公告期間の満了後3か月以内に行います。
4-2. 財産の調査|「見落とされている資産」を拾う
清算人がまず行うのは、相続財産の全体像を確定させる調査です。預貯金、不動産、動産、株式、負債、そして保険が対象です。
見落とされやすいのが保険です。死亡保険金は受取人固有の財産で相続財産には属しませんが、死亡保険金以外の給付を受けられる可能性があります。相続人不存在の事案では生前の入通院給付金が未請求のままになっていることが多いとされ、清算人は関係者から生前の状況を聴き取り、診断書を取得して請求を試みます(尾島史賢編集代表『実務家が陥りやすい 相続人不存在・不在者 財産管理の落とし穴』新日本法規出版・2020年・100頁)。
逆に建物が残っている場合は火災保険の掛け直し・更新も検討します。空き家だと契約を受けてくれない保険会社もあり、複数社に打診することになります(同書101頁)。財産を守る側の判断も清算人の仕事です。
4-3. 換価|勝手には売れない(権限外行為許可)
清算人の権限は原則として保存・利用・改良の範囲に限られます(民法953条、28条前段、103条)。不動産の売却などの処分行為は、家庭裁判所の権限外行為許可を得なければできません。
実務では、任意売却のほうが競売や公売より高く早く売れることが多いため、任意売却を軸に検討します。もっとも、担保権が付いて剰余が出ない、占有者がいる、残置物があるといった障害があれば、そのぶん時間も費用もかかります。
相続財産に不動産の共有持分が含まれる場合は、共有関係の処理という別の論点が重なります。解消手段は相続した不動産の共有状態を解消する方法で整理しています。
4-4. 弁済|順番があり、足りなければ按分になる
請求申出の公告期間が満了すると、清算人は相続債権者・受遺者に対し、民法957条2項が準用する規定に従って弁済します。ここに順番があります。
- 優先権のある債権者(担保権者・一般先取特権者など)が先
- 次に一般の相続債権者
- 受遺者は相続債権者に劣後する(遺言でもらう予定だった人は、債権者への支払が終わった後の残りからしか受け取れない)
そのため、遺言があっても債務超過であれば、受遺者が予定どおり受け取れるとは限りません。遺言執行者が指定されている事案では清算人と遺言執行者の職務が併存し、どちらの処分が優先するかという難しい問題も生じ得ます(前掲『相続人不存在・不在者 財産管理の落とし穴』153〜154頁)。遺言執行者の側から見た権限の範囲(就任後の通知・財産目録・遺贈の履行)は、遺言執行者の権限はどこまで及ぶ?就任後の通知・財産目録から遺贈の履行までで整理しています。遺言があるのに相続人がいない事案は、早い段階で弁護士に整理を依頼すべき類型です。債務超過が見込まれる場合は、和解による按分弁済か破産手続への移行を検討します。
5. 残った財産はどこへ行くのか|特別縁故者から国庫まで
5-1. 特別縁故者への分与(民法958条の2)
債権者への支払を終えてなお財産が残って初めて、特別縁故者への分与が問題になります。民法958条の2は、家庭裁判所が相当と認めるときは被相続人と生計を同じくしていた者、その療養看護に努めた者その他特別の縁故があった者の請求により、清算後に残るべき相続財産の全部または一部を与えることができる、と定めています。
期限に注意が必要です。 この請求は、相続人捜索の公告期間(6か月以上)が満了した後3か月以内にしなければなりません(同条2項)。長年にわたって故人の世話をしてきた方でも、この3か月を過ぎれば、原則として分与を受ける道は閉ざされます。
実務で類型化されているのは、生計同一型・療養看護型・扶養型・精神的援助型・生活支援型などです。可否と金額は家庭裁判所が事案ごとに判断するため確約できませんが、関係を裏づける資料(介護や送金の記録、写真、手紙など)の有無で説得力が大きく変わるのは確かです。
内縁の配偶者が特別縁故者として財産を受け取る場面の考え方は、内縁の配偶者は賠償金を受け取れる?特別縁故者・固有慰謝料の活用もあわせてご覧ください。
5-2. 共有持分は、他の共有者のもとへ(民法255条)
相続財産の中に不動産の共有持分があった場合は、扱いが変わります。民法255条は、共有者の一人が死亡して相続人がないときは、その持分は他の共有者に帰属すると定めています。
もっとも、特別縁故者への分与に優先する意味ではありません。実務では分与が先に検討され、分与されなかった持分が他の共有者に帰属します。共有名義の実家がある大阪の事案では、この条文が意外な形で効くことがあります。
5-3. 最後は国庫へ(民法959条)
特別縁故者にも分与されず、共有者にも帰属しなかった財産は最終的に国庫に帰属します(民法959条)。清算人が引継ぎを終えて管理終了報告書を提出し、家庭裁判所が選任処分の審判を取り消して手続が終了します。
「国に取られてしまうのか」と受け止められがちですが、国庫は最後の受け皿です。順序は債権者への支払 → 特別縁故者への分与までが共通で、そこで分与されなかった財産のうち共有持分は他の共有者へ(民法255条)、それ以外の預貯金や単独所有の不動産は国庫へ(民法959条)と行き先が分かれます。故人の世話をしてきた方がいるなら、その前の段階で手を挙げる必要があります。
6. 弁護士に相談すべきケース|大阪で相続人不存在に直面したら
6-1. 早めに相談したほうがよい場面
- 賃貸物件の借主・区分所有者が亡くなり、相続人が全員相続放棄した
- 回収したい債権があるが、相手が亡くなり請求先がいなくなった
- 隣地・共有物の交渉相手が亡くなり所有者が不明のまま
- 身寄りのない親族の財産を事実上預かっている(勝手に処分すると責任を問われかねません)
- 長年、故人の療養看護をしてきた(分与の請求には3か月の期限があります)
- 遺言があるのに相続人がいない(清算人と遺言執行者の職務が併存し、扱いが複雑になります)
6-2. 動く前の「見立て」で結果が変わる
相続財産清算人の申立ては、やるかやらないかの判断そのものが実務の山場です。回収額より予納金が高ければ費用倒れになり、より軽い制度で足りることもあります。逆に放置すれば建物が傷み責任問題に発展しかねません。
弁護士に依頼する意味は、①戸籍の精査で「本当に相続人がいないのか」を確定させる、②財産調査を先回りして予納金の見通しを立てる、③申立て後の清算人・裁判所とのやり取りを任せる、の3点です。
6-3. 弁護士法人ブライトの体制
当事務所は大阪に拠点を置き、相続・不動産と企業法務(顧問先130社以上)の双方を取り扱っています。相続人不存在の事案は家庭裁判所の手続だけで完結せず、不動産の換価、賃貸借の終了、債権回収、税務との連携にまたがります。窓口を一本化してご相談いただける体制です。
大阪で「相続人がいない財産」にお困りの方へ。申立てをすべきかどうかの見立てから、弁護士がご一緒します。
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7. よくあるご質問(FAQ)
相続財産管理人と相続財産清算人は、何が違うのですか?
民法952条に基づく管理人の名称が、2023年(令和5年)4月1日の民法改正で「相続財産管理人」から「相続財産清算人」へ変わりました。公告も一本化され、手続期間の短縮が図られています。なお、相続人はいるが誰も管理していない場合に選任される「相続財産管理人」(民法897条の2)は別制度として存在するため、混同しないよう注意が必要です。
親族でなくても、相続財産清算人の選任を申し立てられますか?
はい。民法952条1項が求めるのは「利害関係人又は検察官」であり、親族であることは要件ではありません。大阪でも、賃貸物件の借主や区分所有者が亡くなって相続人が全員放棄したケースで、管理組合や賃貸人ご自身が申立人になる例があります。実務では相続債権者、貸主・土地所有者、担保権者、特定受遺者、亡くなった時点の成年後見人、遺留金を引き継ぎたい自治体などが申立人になっています。ただし法律上の利害関係が必要で、事実上の関心だけでは足りません。
予納金はいくらぐらい必要で、返ってきますか?
100万円前後が一般的とされますが固定額ではなく、相続財産の内容や管理状況に応じて各家庭裁判所が増減を判断する運用です。すぐ回収できる預貯金が多額にある場合、官報公告料以外の予納金が不要とされることもあります。返還は管理費用を上回る財産を回収できた場合に受けられますが、届かなければ予納金から補填され、残額がなければ返還されません。
相続財産清算人の手続は、どのくらいの期間がかかりますか?
法律が定める期間だけで9か月かかります。相続人捜索の公告期間が6か月以上(民法952条2項)、特別縁故者が分与を申し立てられるのはその満了後3か月以内(民法958条の2第2項)とされているためです。これに財産調査・換価・弁済・審理が加わるため、選任から終了まで1年前後を見込むのが現実的です。
長年、身寄りのない方の世話をしてきました。財産を受け取れますか?
特別縁故者として家庭裁判所に財産分与を請求できる場合があります(民法958条の2)。ただし相続債権者への弁済が優先され残った財産が対象となること、請求は公告期間の満了後3か月以内にしなければならないことに注意が必要です。可否と金額は家庭裁判所が事案ごとに判断するため、介護や送金の記録など関係を裏づける資料を早めに整理しておくことをおすすめします。
その資産を、守り、受け継ぐために。相続人がいない財産の扱いでお困りの方は、期限が来る前にご相談ください。
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※事案の内容により、ご相談をお受けできない場合があります。
8. まとめ
- 相続人がいない場合、財産は相続財産法人となり(民法951条)、家庭裁判所が選任する相続財産清算人が代表して清算します(民法952条1項)
- 2023年4月の民法改正で「相続財産清算人」へ名称と手続が変わり、公告が一本化されました
- 申立てができるのは利害関係人または検察官。債権者・賃貸人・担保権者・成年後見人・自治体などが実務上の申立人で、空き家・所有者不明土地には行政の特例があります
- 費用は申立手数料800円・官報公告料5,582円・郵便切手(裁判所ごとに異なる)に加え予納金が100万円前後。固定額ではなく、事前の財産調査で下がる余地があります
- 期間は法定分(公告6か月+特別縁故者の申立て3か月)だけで9か月、実際には1年前後を見込みます
- 清算人は財産調査・換価(処分には権限外行為許可が必要)・弁済を行い、受遺者は相続債権者に劣後します
- 残った財産はまず特別縁故者への分与(民法958条の2)。分与されなかった財産は、共有持分なら他の共有者へ(民法255条)、それ以外は国庫へ(民法959条)と行き先が分かれます
相続人が誰もいないという状況は、代襲相続が起きない場面など、思わぬ形で生じます。前提となる考え方は【子の死亡】相続人不在のときの実務|親が代襲相続できないケースもあわせてご覧ください。
監修:笹野 皓平 弁護士(弁護士法人ブライト パートナー弁護士・大阪弁護士会所属)
家庭裁判所から相続財産清算人に選任されて職務にあたった経験を複数持つ。財産の調査から換価にあたって必要となる権限外行為許可の申立て、特別縁故者への財産分与についての意見書の作成まで手がけている。相続人が誰もいない事案では、申立てを検討する側(債権者・賃貸人・自治体など)と清算人の側のどちらから見た実務なのかを整理して示す相談対応を大切にしている。
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