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相続(遺言作成・遺産分割等)の基礎知識

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遺言執行者の権限はどこまで及ぶ?就任後の通知・財産目録から遺贈の履行、相続人がいない場合の整理まで弁護士が解説

このページは、遺言執行者に指定された方・遺言執行者から通知を受け取った相続人の方に向けて、遺言執行者の権限がどこまで及ぶのかを、大阪・阪神間で相続のご相談を取り扱う弁護士法人ブライト(代表:和氣良浩弁護士)が、民法の条文に沿って整理した解説記事です。

「遺言執行者に指定されていました」——相続が始まった直後に、こうしたご相談を伺うことがあります。

  • 「父の遺言書を開けたら、私が遺言執行者に指定されていた。何をすればよいのか分からない」
  • 「銀行の窓口で『遺言執行者の方ですか』と聞かれたが、勝手に預金を解約してよいのだろうか」
  • 「遺言執行者から通知が届いた。遺言に書かれていない財産まで動かされてしまうのではないか」

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために置かれる人のことです。民法1012条1項は、遺言執行者について次のように定めています。

「遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。」(民法1012条1項)

「必要な一切の行為」と書かれているため、遺言執行者には何でもできる強い権限があるように読めます。しかし実際には、権限の範囲は遺言の書かれ方によって変わります。とくに「特定の財産についてだけ書かれた遺言」では、執行者の権限もその財産に限られるのが原則です(民法1014条1項)。ここを取り違えると、執行者側は権限のない行為をしてしまい、相続人側は逆に「止められるはずのこと」を見過ごすことになりかねません。

この記事では、①就任したら最初に何をするのか ②遺言執行者にしかできないことは何か ③権限はどこまで及ぶのか ④相続人がいない場合はどうなるのか——の順で、条文に沿って整理します。

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1. 遺言執行者は誰がなるのか|決まり方と、なれない人

1-1. 決まり方は3つのルートがある

遺言執行者が決まる道筋は、大きく3つに整理できます。

  • ①遺言で直接指定する:遺言者が、遺言の中で1人または数人の遺言執行者を指定する(民法1006条1項)
  • ②指定を第三者に委託する:遺言者が「執行者を決めること」自体を第三者に委託する。委託を受けた人は遅滞なく指定して相続人に通知し、辞退するときも遅滞なく通知する(民法1006条1項〜3項)
  • ③家庭裁判所が選任する:遺言執行者がいないとき、またはいなくなったときに、利害関係人の請求で家庭裁判所が選任する(民法1010条)

③は、遺言に執行者の定めがなかった場合だけでなく、指定された人が辞退・死亡・解任などでいなくなった場合にも使われます。

1-2. 未成年者と破産者は遺言執行者になれない

民法1009条は、未成年者および破産者は遺言執行者となることができないと定めています。逆にいえば、それ以外に資格の制限はなく、相続人の一人が指定されることも、弁護士などの専門家が指定されることもあります。もっとも相続人の一人が執行者を兼ねる場合、他の相続人から「自分に有利に進めているのではないか」と疑いを持たれやすく、相続人間の関係がすでに難しい場合には、第三者である専門家に委ねるかどうかが実務上の検討点になり得ます。

1-3. 引き受けるかどうかは自由。ただし「黙っていると承諾扱い」になる

遺言で執行者に指定されたからといって、必ず引き受けなければならないわけではありません。就職を承諾するかどうかは、指定された人が決められます。

ただし、ここに見落としやすい落とし穴があります。民法1008条は、相続人その他の利害関係人が、遺言執行者に対して相当の期間を定めて「就職を承諾するかどうか確答すべき旨」を催告できると定めたうえで、その期間内に相続人に対して確答をしないときは、就職を承諾したものとみなすとしています。

つまり、催告の書面を受け取ったまま放置すると、断ったつもりでも承諾したことになってしまいます。引き受けない意思であれば、期間内にその旨をはっきり返答しておく必要があります。

なお、遺言執行者が数人いる場合、その任務の執行は過半数で決するのが原則ですが(民法1017条1項本文)、遺言者が別段の意思を表示していればその意思に従い(同項ただし書)、保存行為は各執行者が単独でできます(同条2項)。

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2. 就任したら最初にやること|任務開始・相続人への通知・財産目録

2-1. 承諾したら「直ちに」任務を開始する

民法1007条1項は、遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならないと定めています。「直ちに」という強い言葉が使われており、承諾したのに動かないという状態は、条文の予定するところではありません。

2-2. 遺言の内容を相続人に通知する(1007条2項)

同条2項は、遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならないと定めています。これは執行者側の義務であると同時に、相続人側から見れば「遺言の内容を知る権利が条文で担保されている」ということでもあります。通知が来ないまま執行が進んでいるように見える場合は、まず通知を求めるところから整理していくことになります。

2-3. 相続財産の目録を作成し、相続人に交付する(1011条)

民法1011条1項は、遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならないと定めます。さらに同条2項は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって目録を作成し、または公証人に作成させなければならないとしています。

目録は「何がどれだけあるか」を相続人と共有するための土台です。作成の前提として、預貯金・不動産・保険・負債などを漏れなく把握する必要があり、ここでつまずくケースは少なくありません。財産の調べ方の実務は、相続財産の調べ方——「他人名義だった」を防ぐ不動産の登記確認と戸籍集めで解説しています。

時期 やること 根拠条文
就職の承諾時 承諾するか確答する(催告を受けた場合、期間内に確答しないと承諾とみなされる) 民法1008条
承諾後ただちに 任務を開始する 民法1007条1項
任務開始後、遅滞なく 遺言の内容を相続人に通知する 民法1007条2項
遅滞なく 相続財産の目録を作成し、相続人に交付する 民法1011条1項
相続人から請求があったとき 相続人の立会いのもとで、または公証人に目録を作成させる 民法1011条2項

2-4. 執行者の義務は「委任」に準じる

民法1012条3項は、委任に関する規定のうち644条(受任者の注意義務)、645条から647条まで、650条を遺言執行者に準用しています。報告義務や受取物の引渡義務といった、委任契約の受任者と同じ枠組みの義務が課される、という理解になります。

3. 遺言執行者にしかできないこと|遺贈の履行と、相続人の処分制限

3-1. 遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる

民法1012条2項は、はっきりとこう定めています。

「遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。」(民法1012条2項)

ここでいう遺贈とは、遺言によって財産を無償で他人に与えることをいいます。この条文の意味は、遺言執行者が置かれている場面では、遺贈を受ける人(受遺者)が相続人に「渡してください」と求めるのではなく、遺言執行者が履行の相手方になるということです。受遺者の立場では「誰に請求すればよいのか」が最初の分かれ道になり、相続人の立場では「自分が渡す立場ではない」という整理になります。実務では、この点の理解のずれが余計な対立を生むことがあります。

3-2. 相続人は、遺言の執行を妨げる行為ができない(1013条)

民法1013条1項は、遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができないと定めます。そして同条2項本文は、これに違反してした行為を無効としています。

ただし、ここには重要な限定が2つ付いています。

  • 善意の第三者には対抗できない(1013条2項ただし書):相続人が勝手に処分したことを知らずに取引に入った第三者に対しては、「無効だ」と主張できません
  • 相続債権者を含む相続人の債権者の権利行使は妨げられない(1013条3項):債権者が相続財産に対して権利を行使すること自体は、この規定によって止まるものではありません

「執行者がいるのだから相続人は一切手出しできない」と単純に考えると、第三者が絡んだ瞬間に結論が変わり得ます。不動産のように登記が絡む財産では、この違いが結果を左右し得るところです。

3-3. 執行者の行為は、相続人に直接効力が生じる(1015条)

民法1015条は、遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずると定めています。ポイントは「権限内において」「遺言執行者であることを示して」という2つの条件が明記されていることです。権限の外に出た行為まで当然に相続人へ効力が及ぶ、という条文にはなっていません。

3-4. 任務を第三者に行わせることもできる(1016条)

民法1016条1項本文は、遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができると定めます。ただし、遺言者が遺言で別段の意思を表示したときは、その意思に従います(同項ただし書)。相続人の一人が執行者になったうえで、実際の手続きを専門家に委ねるという形も見られます。

4. 権限はどこまで及ぶか|「特定財産に関する遺言」なら、その財産に限られる

4-1. 民法1014条1項——権限が遺言の対象財産に絞られる場面

ここが、一般の解説であまり触れられていない分岐点です。民法1014条1項は次のように定めています。

「前三条の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産についてのみ適用する。」(民法1014条1項)

「前三条」とは、1011条(財産目録の作成)・1012条(権利義務/遺贈の履行)・1013条(相続人の処分制限)です。つまり、遺言が相続財産のうち特定の財産についてだけ書かれている場合、これらの規定はその財産についてのみ適用されます。

実際上の意味はこうです。たとえば遺言が「自宅の土地建物を長男に相続させる」という内容だけであれば、遺言執行者の権限は原則としてその不動産をめぐる部分にとどまり、遺言に登場しない預貯金や株式にまで当然に及ぶわけではないと考えられます。遺言に書かれていない財産は、原則として相続人による遺産分割の対象として扱われることになります。

相続人の側から見れば「執行者だから何でも動かせる」という説明には条文上の裏付けを確認する余地があり、執行者の側から見れば遺言の対象外の財産に手を出すと権限外の行為として問題となり得る、ということです。

4-2. 「相続させる」旨の遺言(特定財産承継遺言)の場合にできること

特定の財産を特定の相続人に承継させる遺言——条文上は特定財産承継遺言と呼ばれます(民法1014条2項)——については、執行者の権限が具体的に定められています。

  • 対抗要件を備えるために必要な行為ができる(1014条2項):承継する相続人が民法899条の2第1項の対抗要件(不動産なら登記など)を備えるために必要な行為を、執行者が行えます
  • 預貯金なら、払戻しの請求と解約の申入れができる(1014条3項):ただし解約の申入れは、その預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限られます(同項ただし書)

ここは実務で誤解が生じやすいところです。「執行者だから口座を解約できる」と考えてしまいがちですが、口座の一部だけが遺言の対象になっている場合、解約の申入れまではできないというのが条文の建て付けです。

なお民法899条の2第1項は、相続による権利の承継のうち法定相続分を超える部分については、登記などの対抗要件を備えなければ第三者に対抗できないと定めています。「遺言があるから登記は後でよい」とは言い切れない、ということです。相続登記の手続きは相続した不動産の名義変更(相続登記)の流れで整理しています。

4-3. 遺言者が「別段の意思」を示していれば、そちらが優先する

民法1014条4項は、2項・3項の規定にかかわらず、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、その意思に従うと定めています。遺言の中で執行者の権限を広く定める条項が置かれていれば、その定めが基準になります。

実務で問題になりやすいのが、いわゆる清算型の遺言——「財産を換価し、債務等を支払ったうえで残額を分配する」といった内容の遺言です。この場合、執行者が換価・分配に必要な範囲で動く根拠は、遺言の内容を実現するための権利義務を定めた1012条1項と、遺言者の別段の意思を優先する1014条4項に求められます。もっとも「全財産を換価する」内容なのか「特定の不動産だけを換価する」内容なのかによって、1014条1項の「特定の財産に関する場合」に当たるかどうかの評価は変わり得ます。清算型だから当然に権限が広い、と一律に決めつけられる話ではありません。

遺言のタイプ 権限の及ぶ範囲の考え方 手がかりとなる条文
特定の財産についてだけ書かれた遺言 1011〜1013条の適用がその財産に限られる。遺言に登場しない財産には原則として及ばない 民法1014条1項
特定財産承継遺言(「相続させる」旨) 対抗要件を備えるための行為ができる。預貯金は払戻請求が可能/解約申入れは債権の全部が対象のときに限る 民法1014条2項・3項、899条の2
遺贈が含まれる遺言 遺贈の履行は遺言執行者のみが行える 民法1012条2項
清算型の遺言(換価して分配する内容) 換価・分配に必要な範囲で権限が及ぶ。ただし対象が特定の財産に絞られている内容なら、1014条1項の適用が問題となり得る 民法1012条1項、1014条1項・4項
遺言で執行者の権限を広く定めている場合 遺言者の別段の意思が優先する 民法1014条4項、1016条1項ただし書、1017条1項ただし書

不動産が借地上の建物である場合など、財産の性質によって執行の難易度が変わることもあります。借地権付き建物を遺言で残す場合の注意点は、借地に建てた実家は死後に売れる?借地権付き建物を相続・遺言で残すときの注意点をご覧ください。

「この遺言で、執行者はどこまで動けるのか」は、遺言の文言を読まないと決まりません。まずは条文と文言の突き合わせから。
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5. 相続人がいない場合|遺言執行者と相続財産清算人が併存する場面

5-1. 相続人がいなければ、相続財産は「法人」になる

民法951条は、相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とすると定めています。そのうえで民法952条1項は、家庭裁判所が利害関係人または検察官の請求によって相続財産の清算人を選任しなければならないとしています。

選任されると家庭裁判所は遅滞なく、その旨と、相続人があるならば一定の期間内に権利を主張すべき旨を公告します。この期間は6か月を下ることができません(民法952条2項)。相続人不存在の手続きに時間がかかるのは、この公告期間が法定されていることが大きな理由です。

5-2. 遺言があれば、遺言執行者の任務は続く

「相続人がいないなら、遺言執行者も用済みなのでは」と思われるかもしれませんが、そうではありません。遺言執行者の任務は遺言の内容を実現することであり、相続財産清算人の職務は相続財産全体の清算です。目的が違うため、相続人不存在の場面でも両者が同時に登場することがあり得ます。

清算人が相続財産法人の財産全体を把握・清算していく流れの中で、遺言執行者が遺贈の履行など遺言に基づく部分を担う——どちらが「上」ということではなく、権限が働く場面が異なるという整理です。相続人が不存在となる場面の全体像は【子の死亡】相続人不在のときの実務|親が代襲相続できないケースでも扱っています。

5-3. 清算手続では、受遺者は相続債権者に劣後する

ここが、遺贈を受ける立場の方にとって重要な点です。民法957条1項は、清算人が全ての相続債権者および受遺者に対し、2か月以上の期間を定めて請求の申出をすべき旨を公告しなければならないと定めます。そして同条2項は、限定承認に関する規定(927条2項〜4項、928条から935条まで。932条ただし書を除く)を準用しています。

この準用の中に、民法931条が含まれています。931条は次のように定めています。

「限定承認者は、前二条の規定に従って各相続債権者に弁済をした後でなければ、受遺者に弁済をすることができない。」(民法931条)

これが957条2項によって相続人不存在の清算手続に準用される結果、清算人が行う弁済の順序として、受遺者への弁済は相続債権者への弁済を終えた後でなければできないことになります。条文が想定しているのは「まず債務を清算し、残った財産から遺贈を実現する」という順番だ、ということです。

したがって、遺言に「あなたに遺贈する」と書かれていても、被相続人に債務があれば、遺贈が予定どおりの内容で実現しない場面があり得ます。なお、遺言執行者が置かれている場合に、その執行者が清算手続の進行とどのように役割を分けるのかは、遺言の内容・債務の状況によって整理が変わり得る部分です。「遺言に書いてあるのだから必ずもらえるはず」と決めてかからず、債務の有無を早い段階で確認しておくことをおすすめします。なお、清算手続そのものの流れ(誰が申し立てられるのか・予納金の相場・かかる期間)は、相続財産清算人とは|誰が申し立てられるか・予納金の相場・手続の流れで詳しく扱っています。

6. 弁護士に相談すべきケース|大阪で遺言執行者に指定された方へ

6-1. 相談を検討したい6つの場面

  • 相続人との間で対立が生じている:通知・目録の出し方の段階から整理が必要になり得ます
  • 遺言の文言の読み方が割れている:「相続させる」なのか「遺贈する」なのかで、執行者の関わり方(1012条2項・1014条2項)が変わり得ます
  • 遺言に書かれていない財産が見つかった:1014条1項の適用範囲として、権限が及ぶかが問題となり得ます
  • 不動産・借地・共有が絡む:登記・対抗要件(899条の2)や第三者の登場で結論が変わり得る領域です
  • 相続人がいない・行方が分からない:相続財産清算人の選任申立てと並行して進める必要があり得ます
  • 執行者が動かない/執行者を辞めたい:解任・辞任の枠組みを使うかどうかの判断が要ります

6-2. 解任・辞任・報酬・費用の枠組み

執行者をめぐる「出口」と「お金」については、条文が用意されています。

場面 条文の定め 根拠条文
執行者を解任したい 執行者が任務を怠ったときその他正当な事由があるとき、利害関係人は家庭裁判所に解任を請求できる 民法1019条1項
執行者を辞めたい 正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て任務を辞することができる 民法1019条2項
執行者の報酬 家庭裁判所が相続財産の状況その他の事情によって定めることができる。ただし遺言に報酬の定めがあるときはその定めによる 民法1018条1項
執行の費用 遺言の執行に関する費用は相続財産の負担。ただしこれによって遺留分を減ずることはできない 民法1021条
任務が終了したとき 委任終了時の規定(654条・655条)が準用される 民法1020条

「辞めたい」と思っても勝手に投げ出せるわけではなく、正当な事由と家庭裁判所の許可が必要だという点は、引き受ける前に知っておきたいところです(民法1019条2項)。

6-3. 大阪・阪神間での相談窓口

弁護士法人ブライトは大阪に事務所を構え、大阪府内はもとより兵庫県の阪神間(芦屋・西宮・宝塚など)からのご相談もお受けしています。遺言執行者の立場からのご相談も、通知を受け取った相続人の立場からのご相談も、どちらも取り扱っています。

遺言をこれから作る段階の方は家族信託と遺言、認知症の家族がいるときどちらを選ぶ?、遺産分割協議の書面化については遺産分割協議書の作り方も併せてご覧ください。

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7. よくあるご質問(FAQ)

Q1. 遺言で遺言執行者に指定されましたが、断ることはできますか?

就職を承諾するかどうかは、指定された方が決められます。ただし、相続人その他の利害関係人から「相当の期間内に承諾するかどうか確答してほしい」という催告を受けたのに、その期間内に相続人へ確答しなかったときは、就職を承諾したものとみなされます(民法1008条)。断るのであれば、期間内にその旨を明確に返答しておく必要があります。なお、いったん就職を承諾した後に辞めるには、正当な事由と家庭裁判所の許可が必要です(民法1019条2項)。

Q2. 遺言に書かれていない預金口座を、遺言執行者が解約できますか?

遺言が特定の財産についてだけ書かれている場合、財産目録・執行者の権利義務・相続人の処分制限に関する規定はその財産についてのみ適用されます(民法1014条1項)。遺言に登場しない預金にまで執行者の権限が当然に及ぶわけではありません。また特定財産承継遺言で預貯金が対象になっている場合でも、解約の申入れができるのは、その預貯金債権の全部が遺言の目的である場合に限られます(民法1014条3項ただし書)。個別の口座で結論が変わり得るため、遺言の文言と口座の状況を照らし合わせた確認をおすすめします。

Q3. 相続人ですが、遺言執行者が何も知らせてくれません。どうすればよいですか?

遺言執行者には、任務を開始したときに遅滞なく遺言の内容を相続人に通知する義務(民法1007条2項)と、遅滞なく相続財産の目録を作成して相続人に交付する義務(民法1011条1項)があります。相続人から請求すれば、立会いのもとでの目録作成や公証人による作成を求めることもできます(同条2項)。それでも任務が果たされない場合は、利害関係人として家庭裁判所に解任を請求する道があります(民法1019条1項)。

Q4. 相続人がいない場合、遺贈は確実に実行されますか?大阪ではどこに相談すればよいですか?

確実とは限りません。相続人のあることが明らかでないときは相続財産が法人となり(民法951条)、家庭裁判所が相続財産の清算人を選任します(民法952条1項)。清算人が行う弁済については、相続債権者への弁済を終えた後でなければ受遺者に弁済できないという順序が定められています(民法957条2項による931条の準用)。被相続人に債務がある場合、遺贈が予定どおり実現しない場面があり得ます。相続人不存在の事案は家庭裁判所での手続きが絡み、公告期間だけで6か月以上かかります(民法952条2項)。大阪家庭裁判所の管轄となる事案でお困りの場合は、大阪の弁護士法人ブライトへご相談ください。

8. まとめ|「遺言に何が書かれているか」で権限は変わる

  • 遺言執行者は、遺言の内容を実現するために必要な行為をする権利義務を持ちます(民法1012条1項)
  • 就職を承諾したら直ちに任務を開始し(1007条1項)、遅滞なく遺言の内容を相続人へ通知し(同条2項)、相続財産目録を作成して交付します(1011条)
  • 催告を受けたのに期間内に確答しないと、承諾したものとみなされます(1008条)
  • 遺贈の履行は遺言執行者のみが行えます(1012条2項)。相続人は遺言の執行を妨げる行為ができず違反行為は無効ですが、善意の第三者には対抗できません(1013条)
  • 遺言が特定の財産についてだけ書かれている場合、1011〜1013条の適用はその財産に限られます(1014条1項)
  • 特定財産承継遺言では対抗要件を備える行為ができ預貯金の払戻請求も可能ですが、解約申入れは債権の全部が目的である場合に限られます(1014条3項ただし書)
  • 遺言者が別段の意思を表示していればその意思が優先します(1014条4項)。清算型の遺言や権限を広く定めた条項があれば、権限の範囲は変わり得ます
  • 相続人がいない場合、清算人と執行者は目的が異なるため併存し得ます。清算人が行う弁済では受遺者は相続債権者に劣後します(957条2項・931条)

遺言執行者の権限は条文だけを読んで一律に決まるものではなく、目の前の遺言に何がどう書かれているかで変わります。判断に迷う場面では、遺言の文言と条文を突き合わせて確認するところから始めるのが確実です。

※本記事の法令に関する記述は、すべて e-Gov法令検索で公開されている民法(明治二十九年法律第八十九号)の条文原文を確認したうえで作成しています。個別の事案では、遺言の文言・財産の内容・相続人の状況によって結論が変わり得ます。

その資産を、守り、受け継ぐために。遺言の執行は「誰が、どこまで動けるか」の確認から始まります。まずはご相談ください。
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監修:和氣 良浩 弁護士(弁護士法人ブライト 代表弁護士・大阪弁護士会所属)
企業法務(顧問先130社以上)から相続・不動産まで幅広く手がける。「その資産を、守り、受け継ぐために。」を信条に、遺言執行者の立場からも相続人の立場からも、公正に選択肢を示す相談対応を大切にしている。
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本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。

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事務所名 弁護士法人 ブライト(大阪弁護士会所属)
開 業 平成21年(代表弁護士独立開業)
設 立 平成24年11月設立、平成27年1月に法人化
所在地 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎2丁目6番6号 コウヅキキャピタルウエスト12階
TEL 06-4965-9590(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
事業内容 法人向け(法律顧問・顧問サービス、相続(遺言作成・遺産分割等)、M&A・事業承継、私的整理・破産・民事再生等、相続(遺言作成・遺産分割等)、相続(遺言作成・遺産分割等)、相続(遺言作成・遺産分割等)、相続(遺言作成・遺産分割等)、相続(遺言作成・遺産分割等)、IT関連のご相談、相続(遺言作成・遺産分割等)など)、個人向け(相続(遺言作成・遺産分割等)・労災事故を中心とした損害賠償請求事件、債務整理・破産・再生等、相続、離婚・財産分与等、財産管理等に関する対応、不動産の明渡し等を巡る問題など)

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