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交通事故の基礎知識

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ドラレコが決め手になる事故類型5つ|サンキュー事故・すり抜け・駐車場・ゼブラゾーン・車線変更

執筆:松本 洋明(まつもと ひろあき)弁護士|弁護士法人ブライト 大阪弁護士会

監修:和氣 良浩(わけ よしひろ)弁護士|弁護士法人ブライト代表 大阪弁護士会

本記事で紹介する事例は、当事務所が取り扱った事案を再構成した解説です。ご依頼者の属性・金額・事故場所・時期等は実際の事案と異なります。特定の事件についての見解を示すものではありません。

【結論】ドラレコが効くのは「一瞬の動きで結論が変わる」類型です

  • サンキュー事故・バイクのすり抜け・駐車場内・ゼブラゾーン・車線変更。この5類型は、数秒の動きの読み方で過失割合が10〜40%動きます。だからこそ映像の価値が高くなります。
  • 類型ごとに「映像のどこを見るか」は違います。合図の秒数が効く類型、減速の有無が効く類型、位置関係が効く類型があります。
  • 駐車場内は、ドラレコの死角がいちばん大きい場所です。防犯カメラの確保が結果を分けます。上書きされる前に動く必要があります。
  • 映像があっても、当てはめる類型を間違えるとスタート地点の数字が変わりません。ここは弁護士が争う領域です。
  • 弁護士費用特約があれば費用の自己負担はほぼ発生しません。特約がない場合も着手金0円・完全成功報酬制です。

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ドラレコが効く事故と、効きにくい事故がある

同じドラレコ映像でも、事故の種類によって「効き方」がまったく違います。

たとえば信号待ちの停車中に追突された事故では、過失割合はほぼ争いになりません。相手方が全面的に責任を負うことが明らかだからです。この場合、映像があってもなくても結論は変わりません。

一方、双方が動いていて、どちらの動きがどのタイミングだったかで結論が変わる事故では、映像が決定的になります。この記事で扱う5つの類型が、まさにそれです。

図解:ドラレコの効き方
映像が効きにくい事故 映像が決め手になる事故
信号待ち停車中の追突 サンキュー事故(右折車と直進車)
センターラインオーバーの正面衝突 バイクのすり抜け・追越し中の接触
赤信号無視が明白な事故 駐車場内の出会い頭・バック接触
駐車中の車への当て逃げ ゼブラゾーン(導流帯)を通行しての事故
車線変更・割り込みによる接触

以下、類型ごとに「映像のどこを見るか」を具体的にご説明します。当事務所が実際に扱った事案での検討内容も、差し支えのない範囲でご紹介します。

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類型①サンキュー事故――「譲られた側」と「出てきた側」のどちらが見えていたか

サンキュー事故とは、渋滞などで直進車が停止して右折車に進路を譲り、右折車が「ありがとう」と会釈して曲がったところ、譲った車の脇をすり抜けてきた二輪車や自転車と衝突する、という事故です。譲った側は善意なのに、事故が起きてしまう典型例です。

この類型で映像から確認するのは次の点です。

①右折車から二輪車が見えていたか。譲った車が視界を遮っていた程度、右折車がどこまで出た時点で二輪車を視認できたか。ここが右折車の注意義務の範囲を決めます。

②右折車が一時停止したか、停止後の発進のしかたはどうか。当事務所が扱った事案では、映像から相手方が停止していたことは明らかだったものの、停止している間にこちらの接近を認識しないまま交差点へ進入していたことが読み取れたため、単に止まっただけでは義務を果たしたことにならないという主張を組み立てました。

③右折車が右方を確認していたか。別の事案では、映像から右方をほとんど確認しないまま右折を始めたと評価できると読み取り、右折車側の著しい過失を主張して、こちらの過失を数%〜1割程度引き下げる交渉を行っています。

④直進してきた二輪車の速度と進路。停止車両の脇を抜ける際に減速していたか。ここは二輪車側の修正要素になります。あわせて、二輪車が停止車両の左側を直進していたのか、右側から追い越そうとしていたのかも映像で確認します。左側を直進していた場合は二輪車の側に強い優先が認められやすく、右折車の過失がより重く評価される方向に働きます。

映像の見どころ:右折車のフロントが停止車両の車体からどれだけ出た時点で、二輪車のヘッドライトが画面に現れるか。ここが「見えたはずか」を判断する分岐点になります。

サンキュー事故の詳しい過失割合の考え方は、Uターン・サンキュー事故・ゼブラゾーン事故の過失割合で解説しています。

類型②バイクのすり抜け・追越し――速度と進路と「妨害の有無」

バイクのすり抜けや追越し中の接触は、過失割合の主張が大きく割れる類型です。四輪車側は「バイクが無理に抜こうとした」と主張し、バイク側は「進路を妨害された」と主張します。

当事務所が扱った事案を再構成してご説明します。二輪車が四輪車を追い越そうとした際に接触した事故で、相手方はこちらにも2割の過失があると主張してきました。相手方車両のドラレコ映像を確認したうえでの整理は、次のようなものです。

相手方の主張の根拠は明示されませんでしたが、考えられるとすれば、こちら側の避譲義務違反か、道路交通法27条1項違反(追い越される際に加速するなどして追越しを妨害した)あたりです。しかし映像を踏まえると、そのいずれも根拠に乏しいと判断できました。そこで、こちらは無過失である旨の主張を相手方保険会社に送付しました。

ここで争点として挙がっている道路交通法27条1項は、後車に追いつかれた車両が速度を増してはならない、という規定です。この規定が実際に適用される場面は限られており、上の事案でも根拠に乏しいと評価しました。もっとも、相手方がこうした主張をしてくる可能性がある以上、「追い越される側が加速したかどうか」は映像で確認しておく必要があります

この類型で映像から確認するのは次の点です。

すり抜け・追越し事故で映像から見る項目
確認項目 見るところ どちらに効くか
前車が加速したか エンジン音の変化、背景の流れ方、車間の詰まり方 道交法27条1項が問題となる場面では、加速の有無が争点になる
前車が進路を寄せたか 車線内での左右位置の変化 寄せていれば避譲義務違反の主張につながる
バイクの速度 白線の通過間隔、相対的な接近速度 速度超過があればバイク側に不利
追越しの場所 交差点付近か、追越し禁止区間か 禁止区間ならバイク側に大きく不利
合図の有無 双方のウインカー 進路変更を伴う場合の修正要素

当事務所には、追越し禁止場所で二輪車が追突被害を受けた事案で、相手方からの27条1項違反の主張に対して反論を組み立てた事案もあります。すり抜け=バイクが悪い、と決めつける必要はありません。映像があれば、無過失を主張できる場合もあります。

詳しくはバイクすり抜け事故の過失割合|完全ガイドをご覧ください。

バイク事故で「20:80」と言われた方へ

映像次第では無過失を主張できることがあります。

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類型③駐車場内の事故――映像の死角がいちばん大きい場所

駐車場内の事故は、当事務所への過失割合のご相談で最も件数が多い類型のひとつです。そして、ドラレコの弱点が最も大きく出る場所でもあります。

理由は3つあります。

①バックしているときの映像が残らないことが多い。前方カメラのみの機種では、後退中の状況が記録されません。駐車場での接触はバック時に集中します。

②接触部位が画角の外にある。当事務所が扱った事案では、接触した部位が前方カメラの画角の外にあり、映像に写っていませんでした。そのため周辺の防犯カメラ映像の確保に動いています。

③道路交通法上の優先関係をそのまま持ち込めないことがある。不特定多数の車両や歩行者が自由に出入りできる駐車場は「道路」として扱われるのが実務では大半ですが、私有地としての性質が強い場所ではそうならないこともあります。いずれにせよ、一般道のような明確な優先関係がないため、通路の幅、区画の配置、標示の有無から個別に判断することになります。なお、駐車場内の事故でも警察への届出は必要です。

それでも、映像が残っていれば決定的な材料になります。当事務所が扱った事案では、ドラレコ映像を確認したうえで、保険会社が前提としていたのとは別の事故類型を適用すべきではないかと検討しました。あわせて、こちらの車両の速度が駐車場内にしてはやや速く、左折して相手車の後方に進入している点を踏まえると、こちらの過失が4割程度と評価される可能性も十分にある、という見立てでした。

注目していただきたいのは「駐車場内にしてはやや速く」という評価です。一般道であればまったく問題にならない速度でも、駐車場という場所の性質から修正要素になりうる、ということです。駐車場は歩行者や後退車が予測しにくい動きをする場所なので、求められる注意の水準が高くなります。

そして最も重要なのは、防犯カメラを早く確保することです。店舗や施設の防犯カメラは、多くの場合1週間から1か月程度で上書きされます。当事務所には、ドラッグストアの駐車場での事故やコンビニエンスストアの駐車場での事故で、防犯カメラを早期に確保したことで過失割合の見直しにつながった事案があります。

駐車場事故で今日やっていただきたいこと

①ドラレコのSDカードを抜くか元ファイルをコピーする ②事故現場の施設に、防犯カメラの保存期間を電話で確認する ③保存されているうちに弁護士にご相談ください。個人からの開示依頼には応じない施設でも、弁護士からの照会には応じることがあります。

駐車場内事故の過失割合の考え方は駐車場内事故の過失割合|バック衝突・通路・出入口の判断基準で、追突との関係は追突事故・駐車場内事故の過失割合で解説しています。

類型④ゼブラゾーン(導流帯)――走ること自体は違反ではない

ゼブラゾーン(導流帯)は、交差点の手前などに白い斜線で示された区域です。右折レーンの手前によく設けられています。

まず前提を正確に押さえてください。ゼブラゾーンを通行すること自体は、道路交通法違反ではありません。導流帯は車両の安全かつ円滑な走行を誘導するための標示であり、進入を禁止する規制ではないからです。「ゼブラゾーンを走ったから悪い」という主張は、それだけでは通りません。

ただし実務では、ゼブラゾーンを通行して直進してきた車と、右折のために進路変更した車が接触した場合、ゼブラゾーンを通行していた側にも一定の修正がなされることがあります。理由は、そこを走ってくる車は通常想定しにくいため、右折しようとする車の予測可能性が低くなるという点にあります。

この類型で映像から確認するのは次の点です。

①ゼブラゾーンにいつ進入したか。交差点の直前で急に入ったのか、かなり手前から通行していたのか。手前から通行していれば、右折車から見えていたはずだという主張につながります。

②ゼブラゾーン通行車の速度。周囲の流れより明らかに速ければ、修正要素として主張されます。

③右折車の合図のタイミング。進路変更の3秒前に合図を出していたか。ここは車線変更の類型と同じ検証になります。

④右折車が後方を確認したか。ミラーや目視の動作、進路変更の緩急。

ゼブラゾーン事故で主張が分かれるポイント
ゼブラゾーンを通行していた側の主張 右折しようとした側の主張
導流帯の通行は違反ではない 通常そこを走行する車は想定しにくい
自車は直進しており進路変更していない 相手は本来の車線を外れて走行していた
相手は合図なく、または直前に進路変更した こちらは3秒前に合図を出していた
相手は後方確認をしていない 後方から異常な速度で接近してきた

ご覧のとおり、双方の主張はきれいに噛み合いません。これを決着させられるのが映像です。合図が何秒前だったか、ゼブラゾーンにいつ入ったか、速度はどうだったか——すべて映像で確定できます。だからこの類型は、映像の有無で結論が大きく変わります。

ゼブラゾーン事故の詳細はUターン・サンキュー事故・ゼブラゾーン事故の過失割合をご覧ください。

ゼブラゾーンの事故で、一方的に不利な提示を受けていませんか

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類型⑤車線変更・割り込み――合図の秒数と「どちらが先にいたか」

車線変更・割り込みによる接触は、5類型のなかで最も大きく数字が動く可能性がある類型です。理由は、そもそも「どの類型として扱うか」が争えるからです。

当事務所が訴訟まで争った事案を再構成してご説明します。ご依頼者が第3車線から第2車線へ進路変更しようとしたところ、後方から来た相手車と接触した事故です。一審判決は、これを通常の「進路変更車と後続直進車の事故」として扱い、その枠の基本割合からスタートしてこちらに不利な認定をしました。

当事務所の見方は違いました。相手方の事故直前の挙動を踏まえれば、相手車を通常の「後続直進車」として扱うことはできない——つまり、そもそも当てはめる枠が誤っている、という考え方です。控訴審では、映像上の事実として、こちらは進路変更のかなり前から合図を出しており、進路変更の態様も緩やかであったこと、そして合図を出した時点では相手車はまだその車線を走行していなかったことを指摘し、原判決の「急に進路変更した」という認定は不当であると主張しました。

結果からお伝えすると、この主張は容れられませんでした。控訴審の裁判所が示した和解案も、一審と同じ枠組みを前提としたものでした(その和解案に対しても当事務所は、枠の選択自体が結論を決めてしまっているという評価をしています)。最終的には、紛争の早期解決を優先し、金額面での和解に至っています。

それでも、ここにこの類型のすべてが詰まっています。「合図は何秒前だったか」と「合図の時点で相手はどこにいたか」。この2点は、映像がなければ立証がきわめて困難です。そしてこの2点を押さえていなければ、争うこと自体ができません

逆の立場の事案もあります。相手方が割り込んできた事案では、映像から強引な車線変更による接触と評価できるため、こちらの過失は0%と主張してよく、訴訟になっても無過失が認定される可能性が十分にあると判断したことがあります。また別の事案では、映像上、相手方がウインカーを出していないことが明白であったため、基本の割合から2割を修正して「こちら1:相手方9」が妥当と評価しました。

まとめると、この類型で映像から確認すべきは次の3点です。

  1. 合図は何秒前に出たか。道路交通法上、進路変更の3秒前が基準です。
  2. 合図の時点で、相手はどこにいたか。これが「後続直進車」といえるかを決めます。
  3. 進路変更の態様は緩やかか、急か。横移動の速度が映像から読み取れます。

5類型に共通する「映像の見どころ」早見表

図解:5類型別・ドラレコ映像の見どころ早見表
類型 映像でいちばん効く事実 見落としやすい点
サンキュー事故 右折車がどこまで出た時点で二輪車を視認できたか 「一時停止した」だけでは義務を果たしたことにならない
バイクすり抜け・追越し 追い越される側が加速したか(道交法27条1項) 追越し禁止区間かどうかで結論が大きく変わる
駐車場内 通路への進入の速度と、どちらが先に通路にいたか 接触部位が画角外=防犯カメラが必須になることが多い
ゼブラゾーン ゼブラゾーンへの進入時期と、右折車の合図の秒数 ゼブラゾーンの通行自体は違反ではない
車線変更・割り込み 合図が3秒前か/合図の時点で相手はどこにいたか そもそも「後続直進車」といえるかを争える

共通しているのは、どれも「衝突の数秒前」に答えがあるということです。事故の瞬間だけを切り出した映像では足りません。前後を含む元データを保全してください。

番外:非接触事故――映像が有利にも不利にも働く

番外として、非接触事故に触れておきます。相手車に接触していないものの、その動きを避けようとして転倒したり急ブレーキをかけたりして損害が生じた事故です。

この類型では、まず相手の動きと自分の損害の間に因果関係があるかが争われます。そして映像は、この争いで有利にも不利にも働きます。

当事務所が扱った事案では、前方の車が無理な転回をしたため急ブレーキをかけ、首の症状が悪化したという主張でした。しかし映像を見る限り強い急制動とまでは見えず、事故とケガの因果関係を争われる可能性が高いという見立てになりました。相手の違反を示す映像が、同時に「衝撃が小さかった」ことも示してしまう、という構図です。

また、過失割合についても特徴があります。同じ事案では、非接触の場合、通常の過失割合よりも過失が小さい側の割合が1割程度大きくなる傾向があるという整理でご説明しました。接触していない分、避けた側にも回避の余地があったと評価されやすいということです。ただしこれは一律の基準ではなく、相手方の動きの危険性が高い事案では接触事故と変わらない割合が認められることもあります。事故状況によって結論は変わります。

非接触事故で映像をお持ちの場合は、提出するかどうかを含めて慎重に検討する必要があります。詳しくは過失割合に納得できない|覆す方法と実例もあわせてご覧ください。

非接触事故のご相談も承っています

映像を出すべきかどうかから、一緒に検討します。

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ドラレコがあっても弁護士に相談したほうがよい理由

「映像があるのだから、自分で交渉すれば足りるのでは」とお考えの方もいらっしゃると思います。実際、映像が明白であれば、ご自身で解決できる事案もあります。

それでも弁護士にご相談いただきたい理由は3つあります。

①当てはめる類型を争えるのは弁護士だけだから。前述の車線変更の事案のように、「そもそもこの枠に当てはめるのが間違っている」という主張は、実務基準の構造を理解していないと組み立てられません。修正要素での争いが数%〜10%の勝負なのに対し、類型そのものの争いは20〜40%動くことがあります。

②映像が両方あると、裁判では尋問が省かれることがあるから。当事務所が扱った事案では、双方のドライブレコーダー映像が証拠として提出されていたため、裁判所が証人尋問に消極的な姿勢を示しました。法廷で自分の言葉で説明する機会が設けられないということです。勝負は映像の読み方と書面の構成で決まります。

③過失割合が動かなくても、回収額は増やせることがあるから。ご自身の人身傷害保険は、ご自身の過失割合にかかわらず実際の損害額を基準に保険金が支払われます。また、慰謝料を自賠責基準ではなく弁護士基準(裁判基準)で計算し直すことで、過失割合とは別に増額できることがあります。

そして費用面です。弁護士費用特約が付いていれば、多くの場合、弁護士費用の自己負担はほぼ発生しません。ご本人の保険だけでなく、ご家族の保険や、同居していないお子さまの保険から使えることもあります。「特約はないと思う」とおっしゃっていた方が、確認したら使えたという例は非常に多いので、保険証券は必ずご確認ください。

特約がない場合も、当事務所は交通事故のご依頼について着手金0円・完全成功報酬制で対応しています。

よくある質問(FAQ)

Q. サンキュー事故で、譲ってくれた車の運転者に責任はありませんか?

A. 譲った車自体は接触していないため、原則として賠償責任を負う立場にはなりません。ただし、譲る際の停止位置や合図のしかたが事故に寄与したと評価される余地がまったくないとはいえず、事案によります。まずは右折車と二輪車の間の過失割合が中心の争点になります。

Q. ゼブラゾーンを走っていました。それだけで不利になりますか?

A. ゼブラゾーン(導流帯)の通行自体は道路交通法違反ではありません。ですので「走っていたから悪い」ということにはなりません。ただし実務では、そこを走行する車は想定しにくいという理由で、一定の修正がなされることがあります。ゼブラゾーンにいつ進入したか、速度はどうだったかが映像で検証されます。

Q. 駐車場の防犯カメラは、個人でも見せてもらえますか?

A. 施設によります。プライバシーや個人情報を理由に、個人からの依頼には応じないという運用の施設が多いのが実情です。弁護士からの照会に応じるところ、警察を通じてであれば応じるところなど、対応はさまざまです。いずれにせよ保存期間が1週間から1か月程度のことが多いため、まずは保存期間をお電話で確認し、早めにご相談ください。

Q. バイクですり抜けをしていて事故に遭いました。やはり不利ですか?

A. すり抜けをしていたというだけで一方的に不利になるわけではありません。当事務所では、映像を検討したうえで無過失を主張した事案もあります。ポイントは、追越し禁止区間だったか、四輪車側が加速や進路を寄せる動きをしていなかったか、です。映像があれば検証できます。

Q. 車線変更で「7:3」と言われました。覆せますか?

A. 争う余地はあります。とくに、合図を何秒前に出していたか、その時点で相手車がどこにいたかは決定的な事実です。当事務所には、相手車を通常の「後続直進車」として扱うこと自体が誤りであると主張して控訴審まで争った事案がありますが、この主張は容れられず、最終的には金額面での和解に至りました。類型そのものを争う主張は、通れば大きく動く一方、認められないこともあります。まずは映像で合図のタイミングを確認したうえで、どこで争うのが現実的かをご相談ください。

Q. 複数の類型が重なっている場合はどうなりますか?

A. 実務ではよくあることです。たとえば駐車場内でゼブラ状の標示がある通路、交差点付近でのすり抜けなど。この場合、どの類型を基礎にするかがまさに争点になります。基礎の選び方で結論が大きく変わりますので、映像を見たうえで方針を決めます。

Q. いつまでに動けばよいですか。時効はありますか?

A. 人の生命・身体を害する不法行為による損害賠償請求権は、損害および加害者を知った時から5年で時効にかかります(民法724条の2)。物的損害の部分は3年です。5年は2020年4月1日施行の改正で3年から延長されたもので、同日時点で改正前の3年が完成していなかった事故にも適用されます(改正法附則35条2項)。ただし時効よりずっと手前に、防犯カメラの上書き(1週間〜1か月程度)とドラレコの上書きという期限があります。証拠の確保という意味では、時効まで待つ余裕はないとお考えください。

Q. 通勤の途中で事故に遭いました。労災でしょうか、交通事故でしょうか。

A. 通勤中の交通事故は、労災保険(通勤災害)と相手方への損害賠償請求の両方が使える場合があります。どちらを先に使うかで最終的な受取額が変わることがあるため、順番の設計が重要です。当事務所は労災を扱う部門と連携して対応していますので、あわせてご相談ください。

まとめ

  • ドラレコが決め手になるのは、双方が動いていて、数秒の動きで結論が変わる類型。
  • サンキュー事故は「どこまで出た時点で見えたか」、すり抜けは「追い越される側が加速したか」。
  • 駐車場はドラレコの死角が最大。防犯カメラは1週間〜1か月で上書きされるため、今日動く。
  • ゼブラゾーンの通行自体は違反ではない。争点は進入時期と、右折車の合図の秒数。
  • 車線変更は「3秒前の合図」と「合図の時点で相手はどこにいたか」。ここは映像でしか立証できない。
  • 当てはめる類型そのものを争えば20〜40%動くことがある。修正要素より先にここを見る。

ドラレコ映像をお持ちの方は、示談に同意される前に一度お持ちください。どの類型に当たるか、いまの提示が妥当か、争うとどこまで動く可能性があるかを、映像を見ながらご説明します。

ドラレコ映像を、示談の前に弁護士に見せてください

弁護士費用特約があれば自己負担はほぼ発生しません。
特約がない場合も、着手金0円・完全成功報酬制で対応しています。

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  • この記事を書いた人

代表弁護士:和氣 良浩

弁護士法人ブライト代表弁護士: 2006年に独立開業してから交通事故被害の回復に努めてきました。これまで1000件を超える交通事故を解決して参りましたが、被害者が低い賠償金で納得させられているケースをたくさん見てきました。 一人でも多くの被害者が適切な補償を受けられるように情報発信を行っています。

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。

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交通事故担当弁護士

  • 代表弁護士 和氣良浩

    代表弁護士 和氣良浩
             

事務所概要

事務所名 弁護士法人 ブライト(大阪弁護士会所属)
開 業 平成21年(代表弁護士独立開業)
設 立 平成24年11月設立、平成27年1月に法人化
所在地 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎2丁目6番6号 コウヅキキャピタルウエスト12階
TEL 0120-927-113(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
事業内容 法人向け(法律顧問・顧問サービス、経営権紛争、M&A・事業承継、私的整理・破産・民事再生等、契約交渉・契約書作成等、売掛金等の債権保全・回収、経営相談、訴訟等の裁判手続対応、従業員等に関する対応、IT関連のご相談、不動産を巡るトラブルなど)、個人向け(交通事故・労災事故を中心とした損害賠償請求事件、債務整理・破産・再生等、相続、離婚・財産分与等、財産管理等に関する対応、不動産の明渡し等を巡る問題など)

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