【この記事の結論】家賃滞納での明渡しは「正当事由+立退料」とは別ルート
- 家賃滞納を理由とする明渡しは、立ち退き(更新拒絶・解約申入れ)とは仕組みが異なります。債務不履行(賃料不払い)による契約解除という法律構成で進め、原則として立退料は不要です
- ただし、賃料滞納が一度あれば直ちに解除できるわけではありません。判例上は「信頼関係が破壊された」と評価できる場合に解除が認められます(信頼関係破壊の法理。最高裁昭和39年7月28日判決ほか)
- 実務では、滞納が3ヶ月以上に及ぶケースで解除が認められやすいとされますが、滞納額・滞納の態様・過去の経緯などを踏まえて個別に判断されます
- 手順は、①内容証明郵便での催告(支払いの督促)と解除予告(民法541条)→②契約解除→③建物明渡請求訴訟→④強制執行(明渡しの断行)の順に進みます。連帯保証人・賃貸保証会社への請求も並行して検討します
- 鍵の交換・荷物の撤去・電気やガスの停止といった「自力救済」は法律で禁止されており、行えば貸主側が損害賠償責任を負うことがあります。必ず法的手続きを踏んでください
大阪・関西で家賃滞納による明渡しをお考えの貸主・オーナーの方は、弁護士法人ブライトへ。電話:06-4965-9590(平日9:00〜18:00)
「借主が家賃を何ヶ月も払ってくれない」「督促しても連絡が取れず、部屋を占有されたままになっている」——家賃滞納は、貸主・オーナーにとって収益を直接むしばむ深刻なトラブルです。滞納が続くほど未収賃料は積み上がり、その間も固定資産税やローンの返済は止まりません。一日も早く部屋を返してもらい、新しい借主を迎えたいと考えるのは当然のことです。
ここで重要なのは、家賃滞納による明渡しは、これまで本クラスターで解説してきた「正当事由+立退料」による立ち退きとは、まったく別のルートで進むという点です。立ち退きが貸主側の都合(建て替え・自己使用など)で借主に出ていってもらう手続きであるのに対し、家賃滞納の明渡しは、借主が契約上の義務(賃料の支払い)を果たさないことを理由とする債務不履行による契約解除です。そのため、原則として立退料を支払う必要はありません。
本記事では、大阪・関西で不動産トラブルに対応する弁護士の視点から、家賃滞納で借主を立ち退かせる正しい進め方を、信頼関係破壊の法理・滞納何ヶ月で解除できるか・明渡しの流れ・自力救済の危険性に分けて整理します。立ち退き全体の流れや、別ルートである「正当事由・立退料」については、以下の関連記事もあわせてご覧ください。
- 立ち退き(明渡し)を求める貸主・地主のための完全ガイド【大阪・関西対応】(クラスターの全体像・他の手続きの一覧)
- 立ち退きの「正当事由」とは|借地借家法28条の判断要素(※家賃滞納の明渡しは、こちらの正当事由ルートとは別の手続きです)
- 立退料の相場と決まり方|居住用・店舗・事務所・借地のケース別(※家賃滞納の明渡しでは、原則として立退料は不要です)
1. 家賃滞納の明渡しはなぜ「立退料不要」なのか——2つのルートの違い
建物の借主に出ていってもらう場面には、大きく分けて2つの法律上のルートがあります。両者は根拠条文も、立退料の要否も、求められる証拠もまったく異なります。まずこの違いを理解することが、家賃滞納対応の出発点です。
| ①正当事由ルート(立ち退き) | ②債務不履行ルート(家賃滞納の明渡し) | |
|---|---|---|
| 典型場面 | 建て替え・自己使用などで貸主都合の退去を求める | 借主が賃料を滞納し、信頼関係が壊れた |
| 根拠 | 借地借家法26条・27条・28条(正当事由) | 民法541条・542条(債務不履行による契約解除)+信頼関係破壊の法理 |
| 立退料 | 原則必要(正当事由を補完するため) | 原則不要 |
| カギとなる事実 | 貸主・借主双方の使用の必要性など5要素 | 滞納の額・期間・態様(=信頼関係が破壊されたか) |
つまり、借主の側に「賃料を払わない」という契約違反がある以上、貸主が立退料という金銭を支払って退去を「お願い」する必要はない、というのが家賃滞納ルートの基本的な考え方です。借主の義務違反を理由に、契約そのものを解除して明渡しを求めることができます。
もっとも、「立退料が不要=簡単に追い出せる」という意味ではありません。後述するとおり、日本の法律は借主の生活・事業の基盤を保護しているため、わずかな滞納や一時的な遅れだけでは契約解除が認められないことがあります。ここで登場するのが「信頼関係破壊の法理」です。
家賃滞納が「立ち退き」と別ルートかどうか、判断に迷ったら
「滞納もあるが、契約更新時期も近い」「滞納だけでなく迷惑行為もある」など、複数の事情が絡むケースでは、どのルートで進めるべきかの見極めが解決のスピードを左右します。状況を整理し、最短の進め方をご提案します。
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2. 信頼関係破壊の法理とは——滞納だけでは解除できないことがある理由
賃料の滞納は、賃貸借契約上の借主の義務(賃料支払義務)の不履行です。形式的には、民法541条により「相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に支払いがなければ契約を解除できる」ということになります。
当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。(民法541条・本文)
ところが、賃貸借契約は当事者間の継続的な信頼関係を基礎とする契約です。そこで判例は、賃料滞納などの債務不履行があっても、それが当事者間の信頼関係を破壊する程度に至っていない場合には、契約の解除は認められないという考え方を確立しました。これを「信頼関係破壊の法理(信頼関係の法理)」といいます。最高裁昭和39年7月28日判決をはじめ、昭和41年4月21日判決などの一連の判例で形成された実務上のルールです。
この法理には、貸主にとって不利な面と有利な面の両方があります。
- 貸主に不利な面:1ヶ月分だけ・数日だけの遅れなど、信頼関係を破壊するとまではいえない軽微な滞納では、たとえ契約書に「賃料を1回でも滞納したら無催告で解除できる」という条項があっても、その条項どおりの解除が認められないことがあります
- 貸主に有利な面:契約書に「無催告解除特約」があり、かつ信頼関係が決定的に破壊されたといえる事情(長期・多額の滞納、督促への無視・無断不在など)がある場合には、催告をしなくても解除(無催告解除)が認められることがあります。なお、無催告解除特約があっても、信頼関係の破壊が認められない軽微な滞納では無催告解除はできないとされています
したがって、家賃滞納による明渡しの成否は、「信頼関係が破壊されたといえるだけの事実を、客観的な証拠で示せるか」にかかっています。滞納の事実を示す賃料台帳・入金記録、督促の記録(内容証明・メール・通話履歴)を日頃から整えておくことが、後の手続きを大きく左右します。
3. 滞納何ヶ月で解除できるか——実務の目安は「3ヶ月以上」
「何ヶ月滞納すれば契約を解除できるのか」は、貸主からもっとも多く寄せられる質問の一つです。法律に「○ヶ月で解除できる」という明確な数字の定めはありませんが、これまでの裁判例の積み重ねから、実務上は次のような目安が共有されています。
| 滞納の状況 | 解除の見通し(一般的な傾向) |
|---|---|
| 1ヶ月程度の滞納・初めての遅れ | 信頼関係の破壊とまではいえず、解除は認められにくい傾向 |
| 2ヶ月程度の滞納 | 他の事情次第。これだけでは解除が認められないこともある |
| 3ヶ月以上の滞納 | 信頼関係の破壊が認められやすく、解除が認められる傾向が強まる |
| 長期・多額の滞納+連絡不通 | 無催告解除が認められる場合もある |
あくまで一般的な傾向であり、「3ヶ月滞納すれば必ず解除できる」と保証されるものではありません。たとえば、長年まじめに支払ってきた借主が一時的な事情で3ヶ月滞納し、その後すぐに完済したようなケースでは、信頼関係の破壊が否定されることもあります。逆に、滞納を繰り返している、督促にまったく応じない、無断で行方をくらましているといった事情があれば、3ヶ月に満たなくても解除が認められやすくなります。
判断にあたっては、滞納の「ヶ月数」だけでなく、滞納額の大きさ・滞納の継続性・督促への対応・過去の支払い状況・借主とのやり取りの経緯といった総合的な事情が考慮されます。数字だけで安易に判断せず、自分のケースが「信頼関係の破壊」といえる水準に達しているかを、証拠とあわせて確認することが大切です。
「うちのケースは解除できる滞納か」を見極めたい方へ
滞納期間・滞納額・督促の経緯をお伺いし、信頼関係の破壊が認められる見込みがあるか、解除に進むべきか、まず督促を強化すべきかを整理してご提案します。証拠が不十分な段階での見切り発車は、訴訟で不利になることがあります。
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4. 家賃滞納による明渡しの流れ——4つのステップ
家賃滞納による明渡しは、次の4ステップで進みます。借主が任意に退去しない限り、最終的には裁判所の手続き(訴訟・強制執行)が必要になります。各段階で証拠を積み上げていくことが、スムーズな解決につながります。
STEP1|内容証明郵便で「催告」と「解除予告」を行う
まず、内容証明郵便で借主に対し、滞納賃料の支払いを督促します(催告。民法541条)。このとき、「○日以内(通常1〜2週間程度)に支払いがない場合は、本書面をもって契約を解除する」という解除予告を同時に記載しておくのが実務上の定石です。こうしておけば、期間内に支払いがなかったときに、改めて解除通知を送らなくても契約解除の効力を生じさせることができます。
内容証明郵便は、「いつ・誰が・どのような内容を通知したか」を郵便局が証明してくれるため、後の訴訟で「督促した事実」「解除した事実」を立証する重要な証拠になります。連帯保証人がいる場合は、保証人にも同時に通知しておくとよいでしょう。
STEP2|契約を解除する
催告期間内に支払いがなければ、解除予告どおり契約は解除されます(解除予告を入れていない場合は、改めて解除通知を送付します)。契約書に無催告解除特約があり、長期・多額の滞納で連絡も取れないなど信頼関係の破壊が明白な場合には、催告を経ずに解除できる(無催告解除)こともあります。もっとも、無催告解除の可否は争いになりやすいため、後の紛争を避けるには、まず催告を経て解除するのが安全です。
解除によって契約は終了しますが、借主が任意に出ていかない限り、貸主が実力で部屋を取り戻すことはできません(後述の自力救済の禁止)。次の訴訟ステップへ進みます。
STEP3|建物明渡請求訴訟を提起する
解除後も借主が退去しない場合は、裁判所に建物明渡請求訴訟を提起します。あわせて、未払賃料および明渡しまでの賃料相当損害金の支払いも請求するのが一般的です。訴訟では、賃貸借契約書、賃料台帳・入金記録、催告と解除の内容証明など、これまで積み上げてきた証拠を提出し、信頼関係が破壊されたことを主張・立証します。
なお、建物の明渡しを求める訴訟には、簡易・迅速な「少額訴訟」を使うことはできません。少額訴訟は60万円以下の金銭の支払いを求める場合に限られており、明渡し(建物の引渡し)を求めることはできないためです。明渡しは原則として通常の訴訟手続きで進めることになります。
STEP4|強制執行(明渡しの断行)で部屋を取り戻す
勝訴判決(または和解)が確定しても、借主が自ら退去しない場合は、判決を債務名義として強制執行(明渡しの断行)を申し立てます。裁判所の執行官が現地に赴き、最終的には借主の家財を運び出して部屋を明け渡させる手続きです。執行には、執行官への予納金や荷物の運搬・保管費用などの実費がかかります。
解除通知から強制執行の完了までには、借主の対応や裁判所の混み具合にもよりますが、数ヶ月単位の期間がかかることが一般的です。だからこそ、滞納が深刻化する前の早い段階で動き出すことが、損失を最小限に抑えるカギになります。
催告から強制執行まで、まとめて弁護士に任せたい方へ
内容証明の作成、解除の判断、訴訟提起、強制執行の申立てまで、家賃滞納の明渡しは一連の手続きが切れ目なくつながります。途中で証拠が不足したり、手順を誤ったりすると、解決が大きく遅れることがあります。最初の一歩からご一緒します。
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5. 連帯保証人・賃貸保証会社への請求
家賃滞納の場面では、明渡しと並行して未払賃料の回収も大きな課題になります。借主本人が支払えない、あるいは行方が分からない場合でも、次のルートで回収を図れることがあります。
- 連帯保証人への請求:賃貸借契約に連帯保証人が付いている場合、滞納賃料を連帯保証人に請求できます。なお、2020年4月施行の改正民法により、個人が連帯保証人となる賃貸借契約では、保証の上限額(極度額)の定めが必要となりました。極度額の定めがない個人根保証契約は無効となるため、契約書の保証条項が有効に成立しているかを確認することが重要です
- 賃貸保証会社(家賃保証会社)への請求:借主が保証会社と契約している場合、保証会社が滞納賃料を立て替える(代位弁済する)ことがあります。保証会社の保証範囲・手続き・必要書類を確認し、早めに連絡を取ります
もっとも、連帯保証人や保証会社がいても安心はできません。実務では、保証契約の内容自体に法的な問題があり、思ったように回収できないケースもあります。たとえば、極度額の定めを欠く・保証人の意思確認が不十分・保証会社の保証範囲が限定的、といった事情です。明渡しに着手する段階で、回収の見通しについても弁護士に確認し、現実的な回収シナリオを描いておくことをおすすめします。
6. 絶対にやってはいけない「自力救済」——鍵交換・荷物撤去・ライフライン停止
家賃滞納が長引くと、「いっそ鍵を替えて締め出してしまおう」「荷物を運び出して別の借主を入れよう」と考えたくなるかもしれません。しかし、これらの行為は「自力救済」として法律で固く禁じられています。たとえ相手が悪質な滞納者であっても、貸主が自分の判断で実力行使をすることは許されません。
- 鍵の交換・締め出し:借主を部屋に入れないようにする行為は、占有を実力で奪うものとして違法と評価されることがあります
- 荷物の撤去・処分:借主の家財を勝手に運び出したり処分したりすれば、損害賠償責任を負うほか、状況によっては器物損壊罪・住居侵入罪などに問われるおそれもあります
- 電気・ガス・水道の停止:ライフラインを止めて事実上住めなくする行為も、違法な自力救済として責任を問われることがあります
これらの「強硬手段」に出てしまうと、本来は支払いを求められる立場である貸主が、逆に借主から損害賠償を請求される側に回ってしまいます。明渡しが遅れるばかりか、貸主が不利な立場に転落するのです。どれほど腹立たしくても、必ず「内容証明→解除→訴訟→強制執行」という法的手続きを踏むこと。これが家賃滞納対応の鉄則です。実力行使は弁護士が代わりに行えるものではなく、誰が行っても違法である点に注意してください。
「もう自分で何とかしたい」と思う前に、ご相談ください
自力救済に踏み切ると、貸主の側が責任を負うことになりかねません。法的手続きを正しく踏めば、確実に明渡しを実現できます。スピードが心配な方こそ、早期に弁護士へ。最短ルートでの解決をご提案します。
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7. 実際のご相談から——家賃滞納の明渡しでよくあるパターン
当事務所にも、貸主・オーナー・賃貸管理会社の方から、家賃滞納による明渡しのご相談が数多く寄せられます。守秘のため、以下は複数の事案を一般化・再構成したものです(属性・金額・期間等は実際の事案と異なります)。
ケース1|長期滞納+連絡不通で明渡しに踏み切ったケース
店舗・住居を問わず比較的多いのが、借主が数ヶ月にわたって賃料を滞納し、督促にも応じず連絡が取れなくなるパターンです。この場合、信頼関係の破壊は認められやすく、内容証明での催告・解除予告から始めて、建物明渡請求訴訟へと進む流れが基本になります。連絡不通の借主に対しては、訴状の送達方法(付郵便送達・公示送達など)にも工夫が必要になることがあり、手続きの設計を誤ると時間を浪費します。早い段階から弁護士が関与することで、無駄なく手続きを進められます。
ケース2|滞納に加えて用法違反・迷惑行為もあるケース
賃料滞納だけでなく、部屋の使い方の問題(ゴミの放置・無断転貸・近隣への迷惑行為など)が重なっているケースもあります。たとえば、長期間にわたり室内にゴミを溜め込み、悪臭や害虫で他の入居者へ被害が及んでいるうえ、賃料も支払われず賃貸期間も満了している、といった複合的な事案です。こうしたケースでは、賃料滞納(債務不履行)に加えて用法義務違反・信頼関係破壊もあわせて解除理由として主張でき、解除が認められやすくなります。一方で、保証契約の内容に問題があって回収の見通しが立ちにくいこともあり、明渡しと回収の両面から戦略を立てる必要があります。証拠(写真・近隣の証言・督促の記録)を早めに整えることが、解決時期を大きく左右します。
いずれのケースでも共通するのは、「証拠を整え、正しい手順を踏んだ側が、最終的に確実に明渡しを実現できる」という点です。焦って自力救済に走らず、滞納が深刻化する前に専門家へ相談することが、結果的に最短・最小の負担での解決につながります。
8. 貸主・オーナーが取るべき行動と弁護士に相談するメリット
家賃滞納に気づいたら、貸主・オーナーとしては次の順序で動くのが基本です。
- 滞納の記録を整える:賃料台帳・入金記録・督促の履歴(メール・電話・書面)を時系列で整理します。これが信頼関係破壊を立証する土台になります
- 督促・催告を行う:まずは支払いを求めます。任意に支払われれば、それが最善の解決です。応じない場合は内容証明郵便で催告と解除予告を行います
- 解除・明渡しを判断する:信頼関係の破壊が認められる水準(滞納期間・額・態様)に達しているかを見極めたうえで、契約解除に進みます
- 訴訟・強制執行へ:任意に退去しなければ、建物明渡請求訴訟・強制執行で明渡しを実現します。並行して連帯保証人・保証会社への請求も検討します
これらの手続きは、一つでも順序を誤ったり証拠が不足したりすると、解除が認められず振り出しに戻ることがあります。とくに、信頼関係破壊といえるかの見極め、無催告解除の可否、連絡不通の借主への送達、自力救済の回避といった論点は、専門的な判断を要します。弁護士に依頼することで、内容証明の作成から強制執行まで一貫して任せられ、滞納の長期化による損失を抑えながら、確実に明渡しを実現しやすくなります。
9. 関連情報——立ち退き・不動産トラブルの全体像
家賃滞納の明渡しは、貸主・オーナーが直面する不動産トラブルの一つです。立ち退き全体の流れや、別ルートである「正当事由・立退料」については、以下もあわせてご覧ください。明渡し訴訟・強制執行の詳しい手続きについては、完全ガイドからたどれます。
- 立ち退き(明渡し)を求める貸主・地主のための完全ガイド【大阪・関西対応】(クラスターの全体像・明渡し訴訟と強制執行の手続きもこちらから)
- 立ち退きの「正当事由」とは|借地借家法28条の判断要素(貸主都合で退去を求める場合の別ルート)
- 立退料の相場と決まり方|居住用・店舗・事務所・借地のケース別(家賃滞納では原則不要ですが、立ち退き一般の参考に)
10. よくある質問(FAQ)
Q1. 家賃滞納で借主を立ち退かせるとき、立退料は必要ですか?
原則として不要です。家賃滞納による明渡しは、借主の契約違反(賃料不払い)を理由とする「債務不履行による契約解除」であり、貸主都合で退去を求める「正当事由+立退料」のルートとは異なります。借主側に義務違反がある以上、立退料を支払って退去をお願いする必要はないと考えられています。
Q2. 滞納が何ヶ月になれば契約を解除できますか?
法律に明確な月数の定めはありませんが、実務上は滞納が3ヶ月以上に及ぶケースで解除が認められやすいとされています。ただし、滞納額・滞納の継続性・督促への対応・過去の支払い状況などを総合して「信頼関係が破壊されたか」が判断されるため、3ヶ月で必ず解除できるわけでも、3ヶ月未満なら解除できないわけでもありません。
Q3. 契約書に「1回でも滞納したら解除できる」と書いてあれば、すぐ解除できますか?
そのような条項(無催告解除特約)があっても、信頼関係を破壊するとまではいえない軽微な滞納では、条項どおりの解除が認められないことがあります(信頼関係破壊の法理)。逆に、無催告解除特約があり、長期・多額の滞納で信頼関係が決定的に壊れた場合には、催告なしの解除(無催告解除)が認められることもあります。条項の文言だけで判断せず、実態に即して進めることが大切です。
Q4. 鍵を交換して借主を締め出してもよいですか?
絶対に行ってはいけません。鍵の交換・締め出し、荷物の撤去・処分、電気やガスの停止などは「自力救済」として法律で禁止されています。実行すれば、貸主の側が借主から損害賠償を請求されたり、刑事責任を問われたりするおそれがあります。明渡しは必ず「内容証明→解除→訴訟→強制執行」の法的手続きで進めてください。
Q5. 滞納家賃は、明渡しと別に回収できますか?
はい。建物明渡請求訴訟では、未払賃料および明渡しまでの賃料相当損害金もあわせて請求するのが一般的です。連帯保証人や賃貸保証会社がいれば、そちらへの請求も検討します。ただし、保証契約の内容に問題があると回収が難しくなることもあるため、回収の見通しを早めに確認しておくことをおすすめします。
Q6. 借主と連絡が取れなくなりました。それでも明渡しは進められますか?
進められます。連絡不通でも、内容証明での催告・解除、建物明渡請求訴訟を経て明渡しを実現できます。ただし、訴状の送達方法(付郵便送達・公示送達など)に工夫が必要になることがあり、手続きの設計を誤ると時間がかかります。連絡不通のケースこそ、早めに弁護士へ相談することで手続きを滞りなく進めやすくなります。
家賃滞納での明渡しでお悩みの貸主・オーナーの方へ
「何ヶ月も滞納されている」「督促しても連絡が取れない」「滞納に加えて迷惑行為もある」「連帯保証人・保証会社から回収できるか不安」——貸主・オーナーの立場でのご相談を承っています。滞納の状況・証拠・回収の見通しを整理し、内容証明から強制執行まで、最短ルートでの解決をご提案します。初回相談の費用については、お問い合わせ時にご確認ください。
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監修者情報
監修:弁護士法人ブライト 代表弁護士 和氣 良浩
大阪弁護士会所属。2006年弁護士登録(修習59期)。企業法務・不動産・相続を中心に20年以上の実務経験を持つ。「みんなの法務部」として中小企業・オーナー経営者の法的リスク対応をサポート。契約企業130社以上(実名公開)。
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本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、特定の案件に対する法律上のアドバイスではありません。具体的な事情については弁護士にご相談ください。