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顧問弁護士の変え方|社長が「今のままでいいのか」と感じたときに読む実務ガイド

「顧問弁護士に相談しているのに、なんとなく答えが返ってくるだけで、判断が楽にならない」。そんな感覚が積み重なっているのに、なかなか動き出せない社長は少なくありません。変えることへの罪悪感、手続きの面倒さ、次をどう探せばいいかわからない——そういった理由が重なって、「まあいいか」で一年、また一年と過ぎていきます。でも、その間に契約書レビューが雑になり、問題社員への対応が後手に回り、気づいたときには大きなトラブルになっていた、という経験をされた社長も実際にいます。この記事では、顧問弁護士を変えることを検討し始めた社長が、正しい順番で動けるよう、実務目線で丁寧に説明します。

「変えたい」という感覚はなぜ言葉にしにくいのか

顧問弁護士への不満は、最初からはっきりした形をしていません。「対応が遅い」「答えが的外れ」「費用が高い」といった明確な不満ではなく、「なんとなく頼りない気がする」「相談しても不安が解消されない」という、輪郭のぼんやりした感覚として始まることが多いものです。

この感覚が言葉にしにくい理由の一つは、「自分の判断が正しいかどうかわからない」という謙虚さにあります。弁護士は法律の専門家。その人に対して「物足りない」と感じることに、社長自身が引け目を持ってしまうのです。

しかし実際には、顧問弁護士との相性や専門性のミスマッチは珍しいことではありません。会社のステージが変われば、必要な専門性も変わります。創業初期に必要なサポートと、社員が50人を超えてきたときに必要なサポートは、まったく異なります。「変えたい」という感覚は、会社が成長しているサインである場合も十分あります。

変えるべきタイミング:この5つの感覚があれば検討を始める

顧問弁護士を変えるべきかどうかを判断するとき、「明確な失敗があったかどうか」を基準にする社長が多いですが、それでは遅すぎます。以下のような感覚が続いているなら、切り替えを検討するタイミングです。

  • 相談の回答が「問題ない」「様子を見ましょう」で終わることが多く、具体的なアクションが見えない
  • 「この件は専門外です」と言われる機会が増えてきた
  • 相談するより先に、自分でネットで調べてしまっている
  • 契約書のレビュー依頼をしても、修正が表面的でリスクを指摘されない
  • 顧問料を払っているのに、「いつ相談すればいいのか」がわからない

顧問弁護士は「揉めてから使う人」ではなく、「揉めないために使う人」です。日常の相談が億劫になっているなら、それ自体がすでに問題です。

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なぜ「変えたいのに変えられない」という状態が続くのか

変えたいという気持ちがあっても、動き出せない背景には、いくつかの構造的な理由があります。

①「義理」を感じてしまう

長年お世話になってきた、紹介してもらった、先代社長の代から付き合いがある——こういった関係性があると、変更することが人間関係を壊すことのように感じてしまいます。しかし顧問契約は、あくまでもビジネス上の契約です。会社の成長を守るための意思決定を、義理で遅らせる必要はありません。

②手続きが面倒そうに感じる

実は、顧問弁護士の変更手続き自体はそれほど複雑ではありません。多くの場合、顧問契約書に解約の条件(予告期間など)が定められており、それに従って通知すれば終わります。進行中の案件があれば引き継ぎが必要ですが、それも次の弁護士と連携して進めることができます。

③次をどう選べばいいかわからない

「変えよう」と決めても、「どうやって次を選ぶか」がわからないと行動できません。この問題については後述しますが、まず現状の整理から始めるというステップが有効です。

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顧問弁護士を変える際の実際の手順

顧問弁護士を変えるときは、以下の順番で進めることをお勧めします。

  1. 現在の顧問契約書を確認する
    解約予告期間(1ヶ月前・3ヶ月前など)が定められている場合があります。まずここを確認しましょう。
  2. 進行中の案件を整理する
    現在依頼している案件があれば、それが解決するまで待つか、引き継ぎをするかを判断します。引き継ぎの場合は、次の弁護士に対して状況を説明できる形で資料を整理しておきましょう。
  3. 次の弁護士を探す・面談する
    変えることを決める前に、次の候補をいくつか面談することをお勧めします。面談は無料で対応している事務所も多く、「比較検討のために話を聞きたい」という姿勢で臨めば問題ありません。
  4. 現在の顧問弁護士に解約の意思を伝える
    電話でも書面でも構いませんが、記録に残る形(メールや書面)で伝えることを勧めます。理由は丁寧に説明する義務はありませんが、「事業の方向性が変わった」「体制を見直したい」などの表現で問題ありません。
  5. 引き継ぎを進める
    新旧の弁護士間で直接連絡を取ることはほとんどありませんが、必要な書類・経緯・契約内容などを社長側で整理して次の弁護士に共有しましょう。

手順自体はシンプルです。最も重要なのは「今の状態を続けることのコスト」を正しく認識することです。

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失敗事例の構造:相談が遅れた会社で起きていたこと

実際に経営上のトラブルが深刻化した会社の多くには、共通するパターンがあります。顧問弁護士との関係が「形骸化」していたのです。

たとえばこういうケースがあります。社員との労使トラブルが発生したとき、社長は「顧問弁護士に相談しようか」と思いつつも、「以前相談したときあまり参考にならなかったな」「また時間がかかりそうだな」という経験から、相談を後回しにしてしまいました。その結果、証拠を保全する機会を逃し、社内での対応が感情的になり、問題が拡大した——これは実際に起きやすい流れです。

なぜ相談が遅れたのか。それは「相談のコスト(時間・気力)が返ってくるもの(回答の質)に見合っていなかった」からです。顧問弁護士への不信感が、相談のハードルを上げていたのです。

また、証拠が残っていなかったケースでは、「何かあれば記録しておこう」という習慣が根付いていませんでした。顧問弁護士が日頃から「こういう場面では記録を残してください」という予防的な指導をしていれば、防げていたことです。証拠は紛争になってから急に作れるものではありません。

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次の顧問弁護士を選ぶときに確認すべき3つのポイント

顧問弁護士を変えるとき、多くの社長が「安い」「紹介された」「名前を知っている」という理由で選んでしまいます。しかし、顧問契約は単発の依頼と違い、継続的な関係です。以下の3点を面談で確認することをお勧めします。

①企業法務の実務経験が豊富かどうか

弁護士と一口に言っても、専門領域は大きく異なります。刑事事件・離婚・相続に強い弁護士が、企業の日常法務(契約書・労務・交渉)に強いとは限りません。顧問弁護士として機能するためには、企業の日常的な意思決定に寄り添う経験が必要です。担当する弁護士の業務経歴や、どんな企業の顧問を担当しているかを確認しましょう。

②相談しやすい体制があるかどうか

いざというときに「電話してもつながらない」「メールの返信が遅い」では顧問契約の意味がありません。相談の方法(電話・メール・チャット)、レスポンスの目安時間、担当弁護士以外にも相談できる体制があるかを確認しましょう。

③自社の業種・規模・課題に合っているかどうか

会社のフェーズや業種によって、必要な法務サポートは変わります。面談では、自社が抱えている課題(労務・取引先との契約・M&A・知財など)を正直に話し、その弁護士がどう対応できるかを聞いてみましょう。「得意ではないが何とかします」という返答より、「そこは専門家を紹介します」という誠実な回答の方が信頼できます。

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顧問弁護士を変えた後にやるべき再発防止策

顧問弁護士を変えることは、会社の法務体制を見直す絶好の機会です。ただ変えるだけでなく、以下のことを新しい顧問弁護士と一緒に整備することで、次のトラブルを防ぐ体制を作れます。

  • 相談のルールを決める:どんな場面で、誰が、どのように相談するかを社内で明確にする。「担当者がまず相談する」「契約書は全件レビューを依頼する」など。
  • 証拠の残し方を習慣化する:問題社員対応・取引先との交渉・クレーム対応など、後から記録が必要になる場面で、何を残すべきかを弁護士に確認しておく。
  • 定期的な法務ドックを実施する:会社の契約書・就業規則・社内規程などを定期的に点検し、リスクを早期に発見する仕組みを作る。
  • 顧問弁護士との接触頻度を上げる:月1回の定期ミーティングや、気軽に相談できるチャンネルを確保することで、問題の初期対応が可能になる。

顧問弁護士は「問題が起きてから呼ぶ専門家」ではなく、「問題を起こさないための安全装置」です。相談すればするほど、会社は強くなります。

顧問弁護士を変えることは、単なる担当者交代ではなく、会社の法務体制そのものを見直すきっかけです。新しい顧問弁護士との関係を作るとき、就業規則・取引基本契約・社内規程など、「前の弁護士時代に見直せていなかったもの」を棚卸しする機会にしてください。弁護士法人ブライトでは、顧問先130社以上(実名公開)との継続的な関係のなかで、弁護士歴平均14年以上のチームが「みんなの法務部」として企業の日常的な意思決定を支えています。一度だけのスポット対応ではなく、経営判断の質を継続的に上げていく体制を、一緒に作っていきます。

よくある質問

Q. 顧問弁護士を変えることを現在の弁護士に言いにくい場合はどうすればいいですか?

解約の連絡は義務的に理由を詳細に説明する必要はありません。「会社の方針変更により顧問体制を見直すことにしました」という表現で十分です。感情的になる必要はなく、ビジネス上の判断として淡々と伝えることが最も適切です。書面やメールで記録が残る形で伝えることをお勧めします。

Q. 進行中の案件がある場合、変えるタイミングはいつが良いですか?

訴訟など期日のある案件が進行中の場合は、その案件の一区切りを待つか、引き継ぎの段取りをしっかり組むかの選択になります。顧問弁護士の変更と案件の引き継ぎは別々に考えることができるため、まず新しい弁護士に相談したうえで、引き継ぎのスケジュールを決めるのが現実的です。

Q. 顧問契約書に解約の条項がない場合はどうなりますか?

顧問契約は継続的な委任契約であるため、明示的な解約条項がない場合でも、民法上の委任契約の規定(いつでも解除可能)が適用されます。ただし、相手方に不利な時期に解除した場合は損害賠償義務が生じる可能性があるため、できる限り余裕を持って(1〜2ヶ月前を目安に)解約の意思を伝えることが望ましいです。

Q. 前の顧問弁護士に作ってもらった契約書や就業規則は、新しい顧問弁護士に引き継げますか?

はい、可能です。これらの書類は会社の財産ですので、そのまま新しい顧問弁護士に内容を確認・引き継いでもらうことができます。むしろ、切り替えのタイミングで既存の書類を一度棚卸しし、内容が時代や法改正に対応しているかを確認する良い機会になります。


和氣良浩 弁護士

この記事の監修者

和氣 良浩(わけ よしひろ)

弁護士法人ブライト|代表弁護士/パートナー弁護士

弁護士歴20年(2006年登録)/大阪弁護士会/大阪大学法学部卒

専門:顧問弁護士・企業法務・M&A・経営権紛争・事業再生

顧問弁護士の変更・新規契約など、企業法務の体制見直しを継続的に相談できる弁護士をお探しの方は、弁護士法人ブライト「みんなの法務部」にお問い合わせください。顧問先130社以上の実名を公開しており、弁護士歴平均14年以上の経験豊かな弁護士が対応します。企業法務窓口:0120-929-739(平日9:00〜18:00)

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セカンドオピニオンプラン 月額 3万円(税別)

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「みんなの法務部」というブライトの考え方

中小企業の社長に「専属の法務部」を持っていただく——これがブライトの顧問サービスの基本姿勢です。社内に法務部を置けない規模でも、契約書・労務・債権回収・M&Aまで日常的に相談できる体制を、月額固定で。弁護士歴平均15年以上のチームで、120社超の顧問先と向き合っています。

▶ みんなの法務部とは(詳しく見る)

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  • この記事を書いた人

笹野 皓平

弁護士法人ブライト パートナー弁護士: あなた自身や周りの方々がよりよい人生を歩んでいくために、また、公正な社会を実現するために、法の専門家としてサポートできることを日々嬉しく感じています。

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。

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顧問弁護士担当弁護士

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    笹野 皓平

    2008年

    京都大学 法学部(Kyoto University Faculty of Law)卒業

    2010年

    司法試験合格・立命館法科大学院修了

    2011年

    弁護士登録(大阪)

    2019年

    大阪弁護士協同組合 総代

    法人向け・個人向けを問わず、幅広い業務に取り組んできました。その場しのぎの単なる助言だけで終わるのではなく、最終的な局面を見据えた「真の問題解決」を目指す姿勢を大切にしています。

    プロフィールを詳しく見る

事務所概要

事務所名 弁護士法人 ブライト(大阪弁護士会所属)
開 業 平成21年(代表弁護士独立開業)
設 立 平成24年11月設立、平成27年1月に法人化
所在地 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎2丁目6番6号 コウヅキキャピタルウエスト12階
TEL 0120-931-501(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
事業内容 法人向け(法律顧問・顧問サービス、経営権紛争、M&A・事業承継、私的整理・破産・民事再生等、契約交渉・契約書作成等、売掛金等の債権保全・回収、経営相談、訴訟等の裁判手続対応、従業員等に関する対応、IT関連のご相談、不動産を巡るトラブルなど)、個人向け(交通事故・労災事故を中心とした損害賠償請求事件、債務整理・破産・再生等、相続、離婚・財産分与等、財産管理等に関する対応、不動産の明渡し等を巡る問題など)

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