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遊覧船・クルージング船でのケガ|運航会社への損害賠償請求を弁護士が解説

【執筆】松本 洋明(まつもと ひろあき)弁護士
修習63期・大阪弁護士会/弁護士法人ブライト 交通事故部 主任弁護士
【監修】和氣 良浩(わけ よしひろ)弁護士
弁護士法人ブライト 代表弁護士

この記事を読んでわかること

  • 遊覧船・クルージング船・マリンアクティビティ中のケガで、運航会社に損害賠償請求ができる場合があること
  • 運航会社が負う「安全配慮義務」の内容と、争点になりやすい3つのポイント
  • 個人間の事故と比べて、事業者相手の請求は回収可能性が高いと考えられる理由
  • 事故直後にすべき証拠保全の具体的な方法
  • 治療費・休業損害・慰謝料など請求できる損害費目と、賠償請求の進め方

遊覧船・クルージング船・マリンアクティビティ中に転倒・転落などでケガをされた方は、まず無料相談をご利用ください。

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1. 遊覧船・クルージング船事故の実態——増えるマリンレジャーとケガのリスク

近年、大阪湾・瀬戸内海をはじめとした遊覧船・クルージングツアー、マリンアクティビティ(バナナボート・ウェイクボード等の曳航アクティビティを含む)の利用者は増加しています。船内は自動車の車内と異なり、揺れ・傾斜・段差が常に生じる環境であり、着席案内の不徹底、急旋回・急停止、悪天候下での運航継続などが重なると、乗客が転倒・転落してケガをする事故が起こり得ます。

交通事故(自動車事故)であれば自賠責保険という最低限の補償制度がありますが、船舶事故にはこれに相当する強制保険はありません。そのため、「誰に、どう請求するか」を正しく組み立てられるかどうかで、実際に回収できる賠償額が大きく変わります。この記事では、遊覧船・クルージング船・マリンアクティビティ事業者を相手にした損害賠償請求の考え方を解説します。

想定される事故の類型

  • 着席・移動中の急旋回・急加速・急停止による転倒
  • デッキ・タラップ・乗降口での段差・濡れた床面による転倒
  • 荒天時の運航継続による大きな揺れでの転落・打撲
  • 曳航アクティビティ(バナナボート等)での振り落とし・衝突
  • 他船との接触・衝突

2. 事故直後にすべきこと——安全確保と証拠保全

ケガをした直後は治療が最優先ですが、可能な範囲で以下を確保しておくと、後の賠償請求が格段にスムーズになります。

確保しておきたい証拠

  • 受傷部位・状況がわかる写真(現場の床面・段差・手すりの状態を含む)
  • 運航会社の名称・便名・乗船日時・座席位置
  • 同乗していた同行者・他の乗客の連絡先(目撃者)
  • 船内アナウンス・注意喚起の有無に関するメモ
  • けがをした直後に受診した医療機関名・診断内容
  • 運航会社に事故報告をした際の担当者名・やり取りの記録

運航会社側には航行記録(GPSログ・速度記録等)や乗船名簿が残っていることが多く、これらは事業者側が保有しています。弁護士が代理人として開示を求めることで、証拠として活用できる場合があります。時間が経過すると記録が更新・消去されることもあるため、ケガをした場合はできるだけ早い段階で弁護士にご相談ください

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航行記録・乗船名簿は時間の経過とともに更新・消去される場合があります。
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3. 運航会社が負う「安全配慮義務」とは

船舶運航事業者は、乗客を安全に目的地まで運送する契約上の義務(運送契約に付随する安全配慮義務)を負っています。これは、乗客の生命・身体の安全に配慮しながら運航する義務であり、具体的には次のような内容が含まれると考えられています。

  • 乗客に対する着席・手すりの利用等の安全案内
  • 天候・海象に応じた運航可否の判断
  • 船体・設備(手すり・滑り止め等)の適切な維持管理
  • 急旋回・急停止等、乗客に過度な衝撃を与える操船を避ける注意
  • 負傷者が発生した場合の応急手当・救護体制の整備

安全配慮義務違反が認められると考えられる場合、運航会社は不法行為(民法709条)または債務不履行(運送契約上の安全配慮義務違反)に基づく損害賠償責任を負う可能性があります。もっとも、義務違反の有無・程度は事案ごとの個別判断であり、最終的な法的評価は裁判所が行うものです。

4. 賠償請求で争点になりやすい3つのポイント

ブライトが交通事故部門で船舶事故のご相談・ご依頼を受ける中で、実務上とくに争点になりやすいと考えられるのは、次の3点です。

争点1:操船過失(速度超過・急旋回等)

速度超過、必要以上に急な旋回・加減速、悪天候下での無理な運航継続などが「通常求められる操船の注意義務」を逸脱していたかどうかが問題になります。乗客の証言、船体の揺れの程度、航行記録(残っている場合)等が重要な証拠になります。

争点2:救護体制の不備

負傷者が発生した後の対応、すなわち応急手当の実施状況、医療機関への搬送手配の適切さ・迅速さも、独立した論点として争われることがあります。「事故そのものの過失」だけでなく、「事故後の対応が適切だったか」も賠償額に影響し得る点は、見落とされがちですが重要な視点です。

争点3:注意喚起・説明義務違反

乗船前の安全説明、着席案内、揺れが予想される場面での事前アナウンスが十分だったかどうかも争点になります。案内が不十分なまま急な操船が行われた場合、事業者側の落ち度が認められやすくなる方向に働くと考えられます。

操船過失・救護体制の不備の主張には専門的な整理が必要です

争点の組み立て方で交渉結果が変わります。まずは弁護士にご相談ください。
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5. 個人間の事故より回収可能性が高いと考えられる理由

マリンレジャー中のケガは、加害者が「個人」であるケースと「事業者」であるケースに分かれます。個人加害者の場合、賠償金を実際に支払う資力があるか、個人賠償責任保険に加入しているかが不透明なことが少なくありません。

これに対して、遊覧船・クルージング船・マリンアクティビティを運営する事業者は、一般的に船客賠償責任保険(船客保険)・施設賠償責任保険等の任意保険に加入していることが多く、賠償金の支払い原資(資力)が確保されている可能性が個人間事故より高いと考えられます。もっとも、保険の加入状況・補償内容は事業者ごとに異なるため、実際にどの保険が使えるかは個別に確認が必要です。

弁護士法人ブライトでは、①事業者が相手で保険・資力による回収が見込めるケース、②個人加害者でも個人賠償責任保険への加入が確認できるケース、③骨折以上の重篤な受傷であるケースを中心に、事件処理の見通しを丁寧にご説明したうえでご依頼をお受けしています。まずはご自身のケースがどのパターンに当たるか、無料相談でご確認ください。

6. 損害賠償請求の流れ

運航会社を相手にした損害賠償請求は、一般的に次のような流れで進みます。

遊覧船・クルージング事故の損害賠償請求の流れ(事故発生から証拠保全・保険会社交渉・示談・訴訟までの5ステップ図解)

証拠保全(STEP2)を丁寧に行えるかどうかが、その後の交渉(STEP3)の成否を大きく左右します。示談交渉がまとまらない場合は、調停・ADR(裁判外紛争解決手続)を経て、最終的には訴訟による解決を目指すことになります。

交渉から訴訟まで一貫してサポートします

示談で終わらない場合も、そのまま同じ弁護士が訴訟対応いたします。
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7. 請求できる損害費目

運航会社の責任が認められる場合、一般的な人身傷害と同様に、次のような損害費目を請求できます。

損害費目内容
治療費・通院交通費ケガの治療にかかった実費
休業損害治療のために働けなかった期間の減収分
入通院慰謝料治療期間・入通院日数に応じた精神的苦痛への賠償
後遺障害慰謝料・逸失利益後遺障害が残った場合に等級に応じて発生
物損破損した所持品(スマートフォン・眼鏡等)の損害

賠償額の算定にあたっては、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準(裁判基準)という3つの考え方があり、弁護士が代理人として交渉する場合には弁護士基準に近い金額での解決を目指します。一般的に、弁護士基準は自賠責基準・任意保険基準よりも高額になる傾向があります。

8. 後遺障害が残った場合の等級認定

転倒・転落による受傷で骨折等の重い後遺症が残った場合、後遺障害等級(自賠責保険の後遺障害等級表に準じた1級〜14級の区分)に応じた賠償を請求できる場合があります。船舶事故には自賠責保険そのものは適用されませんが、後遺障害の程度を評価する際の等級表・認定基準は、交通事故の実務で用いられているものと同様の考え方が参考にされます。

脊椎の圧迫骨折・骨盤骨折・大腿骨骨折など、部位別の等級認定基準・慰謝料相場については、下記の詳細記事もあわせてご確認ください。

9. 保険会社が示談交渉で使いやすい主張とその考え方

運航会社側の保険会社は、次のような主張を行うことがあります。

  • 「揺れは通常の運航の範囲内だった」——事前の注意喚起の有無、揺れの程度に関する客観的証拠(航行記録・目撃証言)で反論を組み立てます。
  • 「本人の不注意(手すりを持っていなかった等)による」——事業者側の過失割合を主張しつつ、案内の不十分さを併せて指摘します。
  • 「後遺障害の程度は軽い」——後遺障害診断書の記載内容を医学的知見に基づいて精査し、適切な等級認定を目指します。

いずれも、事業者側に有利な事実関係を先に確定させようとする交渉手法です。示談書に署名する前に、必ず弁護士にご相談ください。

10. 弁護士に依頼するメリット

船舶事故を含むレジャー事故は、交通事故と比べて確立された裁判例・実務の蓄積が少なく、争点の組み立て方に専門性が求められます。弁護士法人ブライトは交通事故部門として人身傷害の賠償実務に長年取り組んでおり、事業者相手の証拠開示請求・保険会社との交渉・訴訟対応まで一貫して対応します。

  • 航行記録・乗船名簿等の証拠開示請求のノウハウ
  • 安全配慮義務違反・操船過失の主張立証の組み立て
  • 後遺障害等級認定に向けた診断書内容の精査
  • 示談がまとまらない場合の訴訟対応まで同じ弁護士が継続対応
  • 着手金0円・完全成功報酬制での対応(事案により異なります)

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着手金0円・完全成功報酬制。弁護士費用特約があれば実質0円でご依頼いただけます。
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11. 関連記事への案内

あわせて読みたい関連記事はこちらです。

12. よくある質問(FAQ)

Q1. 遊覧船・クルージング船の事故で、運航会社に賠償請求できますか?

運航会社に安全配慮義務違反(操船過失・救護体制の不備・注意喚起不足等)が認められる場合、損害賠償を請求できる可能性があります。ただし義務違反の有無は事案ごとの個別判断であり、最終的な法的評価は裁判所が行います。

Q2. 遊覧船には自動車の自賠責保険のような強制保険はないのですか?

船舶には自賠責保険に相当する強制保険制度はありません。運航会社が任意で加入している施設賠償責任保険等の有無・内容を確認する必要があります。

Q3. 加害者が個人で、保険(個人賠償責任保険)に入っていない場合はあきらめるしかないですか?

個人が相手で無保険・無資力の場合は、回収が難しくなるケースもあります。しかし本記事で解説した遊覧船・クルージング船などの「事業者」が相手であれば、事業用の賠償責任保険に加入していることが多く、個人間事故よりも適正な賠償を受けられる可能性が高いと考えられます。もっとも、保険の加入状況は事業者ごとに異なるため、個別の確認が必要です。

Q4. 賠償請求の時効はいつまでですか?

2020年4月1日以降に発生した事故(人の生命・身体を害する不法行為)については、損害及び加害者を知った時から5年間が時効です(改正民法724条の2)。傷害分は事故発生日から、後遺障害分は症状固定日から、それぞれ5年が原則です(物損部分は3年)。時効が近づいている場合は早急にご相談ください。

Q5. 弁護士に依頼するといくらかかりますか?

弁護士費用特約があれば実質0円です。特約がない場合も、着手金0円・完全成功報酬制でご依頼いただけます(増額できなければ費用はいただきません)。

Q6. 事故から時間が経ってしまいましたが、相談できますか?

時効にかかっていなければご相談は可能です。ただし証拠(航行記録・目撃者の記憶等)は時間の経過とともに失われやすいため、できるだけ早いご相談をおすすめします。

13. まとめ

  • 遊覧船・クルージング船・マリンアクティビティ中のケガは、運航会社の安全配慮義務違反が認められれば損害賠償請求ができる場合がある
  • 争点になりやすいのは「操船過失」「救護体制の不備」「注意喚起・説明義務違反」の3点
  • 個人間事故と比べ、事業者相手は保険・資力による回収可能性が高いと考えられる
  • 事故直後の証拠保全(航行記録・目撃者・写真)が交渉結果を左右する
  • 後遺障害が残った場合は等級に応じた慰謝料・逸失利益を請求できる場合がある
  • 賠償請求の時効は人身傷害について原則5年(2020年4月1日以降の事故)
  • 弁護士費用特約があれば実質0円、なくても着手金0円で相談可能

遊覧船・クルージング船でケガをされた方へ

示談書にサインする前に、まず弁護士に無料相談してください。
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フリーダイヤル:0120-927-113(交通事故専用・24時間受付)
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この記事の監修者

松本 洋明(まつもと ひろあき)
弁護士法人ブライト 交通事故事業部主任
司法修習63期(2010年登録)
交通事故・レジャー事故による人身傷害の損害賠償請求を多数担当。

  • この記事を書いた人

代表弁護士:和氣 良浩

弁護士法人ブライト代表弁護士: 2006年に独立開業してから交通事故被害の回復に努めてきました。これまで1000件を超える交通事故を解決して参りましたが、被害者が低い賠償金で納得させられているケースをたくさん見てきました。 一人でも多くの被害者が適切な補償を受けられるように情報発信を行っています。

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。

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交通事故担当弁護士

  • 代表弁護士 和氣良浩

    代表弁護士 和氣良浩
             

事務所概要

事務所名 弁護士法人 ブライト(大阪弁護士会所属)
開 業 平成21年(代表弁護士独立開業)
設 立 平成24年11月設立、平成27年1月に法人化
所在地 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎2丁目6番6号 コウヅキキャピタルウエスト12階
TEL 0120-931-501(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
事業内容 法人向け(法律顧問・顧問サービス、経営権紛争、M&A・事業承継、私的整理・破産・民事再生等、契約交渉・契約書作成等、売掛金等の債権保全・回収、経営相談、訴訟等の裁判手続対応、従業員等に関する対応、IT関連のご相談、不動産を巡るトラブルなど)、個人向け(交通事故・労災事故を中心とした損害賠償請求事件、債務整理・破産・再生等、相続、離婚・財産分与等、財産管理等に関する対応、不動産の明渡し等を巡る問題など)

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