この記事の結論
- 労災で腕(上肢)を切断した場合、労災保険の障害(補償)給付とは別に、会社へ損害賠償を請求できる場合があります(安全配慮義務違反・労働契約法5条)
- 上肢切断は指の切断とは異なる後遺障害等級が適用されます。どの関節(肩・ひじ・手首)で切断したかによって等級・補償額が大きく変わります
- プレス機・ベルトコンベア・巻き込まれ型機械のインターロック(安全装置)の未設置・不備が会社の責任を問う際の中心的な論点になります
- 利き手か非利き手か、職種によって労働能力喪失率の評価が変わることがあります
- 着手金0円・完全成功報酬で対応可能。将来の義肢・職業訓練費用まで含めた適正な賠償額の算定が重要です
プレス機に腕を挟まれた、ベルトコンベアに袖口を巻き込まれた、機械の点検中に回転部に腕を持っていかれた——。腕(上肢)の切断は、指の切断とは比べものにならないほど生活・仕事への影響が大きい重篤な労災です。被災された方やご家族がまず直面するのは、「これから仕事はどうなるのか」「利き腕を失って家事や育児もできないのではないか」という、生活全体を揺るがす不安です。
労災保険からは障害(補償)給付を受けられますが、会社の安全管理に問題があった場合には、それとは別に会社へ損害賠償を請求できます。ところが、「指の切断」に関する情報は比較的見つかりやすい一方で、「腕(上肢)の切断」に特化した情報は驚くほど少なく、多くの方がご自身のケースに当てはまる正確な補償の目安を知らないまま、会社側の提示額をそのまま受け入れてしまっているのが実情です。
このページでは、弁護士法人ブライトの労災事故部統括・笹野皓平弁護士が、労災で腕を切断した場合の後遺障害等級・損害賠償の考え方・会社の責任を問うポイントを解説します。
労災専用フリーダイヤル:0120-931-501(平日9:00〜18:00)
会社の提示額に納得できない場合は、まずご相談ください。
腕(上肢)切断の後遺障害等級は「どこで切ったか」で大きく変わる
多くの記事は「指を切断したら〇級です」という指の切断の説明にとどまり、腕(上肢)そのものを失った場合の等級まで踏み込んで説明していません。しかし、上肢の切断は指の欠損とは比較にならないほど重く評価され、切断した部位(肩関節・ひじ関節・手関節のどこで失ったか)によって等級が大きく変わります。
| 後遺障害等級 | 症状の目安 | 労働能力喪失率の目安 |
|---|---|---|
| 1級 | 両上肢をひじ関節以上で失った場合 | 100% |
| 2級 | 両上肢を手関節以上で失った場合 | 100% |
| 4級 | 1上肢をひじ関節以上で失った場合 | 92% |
| 5級 | 1上肢を手関節以上で失った場合 | 79% |
| 6級 | 1上肢の3大関節中2関節の用を廃した場合 | 67% |
| 7級 | 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残す場合 | 56% |
| 8級 | 1上肢に偽関節を残す場合(7級ほど著しい運動障害を伴わない場合) | 45% |

指の切断(多くは8〜14級)と比べて、上肢そのものの切断(欠損障害)は1級〜5級という高い等級に該当し、労働能力喪失率も79〜100%と極めて高くなります。切断に至らない場合でも、関節の機能喪失(6級)や偽関節(7級・8級)など機能障害・変形障害として認定されることがあります。この等級区分を正確に理解しないまま会社や保険会社の提示額を受け入れてしまうと、本来請求できる金額を大きく下回る可能性があります。
【ブライトの判断基準】
上肢切断のご相談では、当初の等級認定が実態より低く見積もられていることがあります。断端の状態(義肢を装着できるか)、関節の可動域制限、神経症状の有無まで含めて、実際の障害の程度が正しく反映されているかを精査することが重要です。
「ブライトは最初に出た等級を鵜呑みにしない。断端の状態・可動域・神経症状まで確認し、実態に見合った等級かどうかを検証する。」
これが、ブライトが上肢切断の労災で一貫して大切にしている考え方です。
等級認定の見直し・異議申立てのご相談も承っています。
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会社の安全配慮義務違反を問うポイント
プレス機・ベルトコンベア・ロール機など、腕が巻き込まれる労災事故の多くは、会社側の安全管理体制の不備が背景にあります。会社への損害賠償請求では、以下の点が主な争点になります。
- インターロック(安全装置)が設置されていたか:機械のカバーを開けると自動的に動力が停止する仕組み(労働安全衛生規則)が備わっていたか
- 手袋・袖口など巻き込まれやすい服装への指導があったか(労働安全衛生規則111条[作業衣等]・124条[回転する刃物への手袋使用禁止])
- 点検・清掃時に機械を完全停止させる手順(ロックアウト)が徹底されていたか
- 安全教育・作業手順書の整備・周知が行われていたか
- 老朽化した安全装置の点検・更新が行われていたか
これらの義務を怠っていたことが確認できれば、労働契約法5条に基づく安全配慮義務違反(民法415条の債務不履行責任)、または民法709条・715条に基づく不法行為責任(使用者責任)により、会社へ損害賠償を請求できる可能性が高くなります。事故当時の機械の状態を示す写真、点検記録、同僚の証言などが立証の手がかりになります。
労災保険の障害(補償)給付との関係|年金と一時金の違い
上肢切断のように高い等級(1〜7級)に該当する場合、労災保険からの障害(補償)給付は「年金」として毎年支給される仕組みになります。一方、8〜14級に該当する場合は「一時金」として一度だけ支給される仕組みです。年金と一時金では、将来にわたる補償の総額や、会社への損害賠償額を算定する際の損益相殺の考え方が異なります。
また、障害(補償)年金には、症状が変化した場合に等級の見直し(変更申請)ができる制度もあります。切断部位の状態が悪化した場合や、義肢の適合が難しく実際の労働能力の喪失が大きいと考えられる場合は、等級の再評価を検討する余地があります。
損害賠償額はどう計算されるか
上肢切断で会社への損害賠償請求が認められた場合、主に次の項目を積み上げて損害額を算定します。
- 後遺障害慰謝料:等級に応じた金額(等級が高いほど高額になります)
- 逸失利益:労働能力喪失率(例:5級なら79%)×基礎収入×就労可能年数に対応するライプニッツ係数で算定します
- 入通院慰謝料・治療費:切断部位の手術・リハビリ期間に応じて算定します
- 義肢の費用・将来の交換費用:義手の耐用年数に応じて将来分も請求できる場合があります
- 職業訓練・転職に伴う費用:利き腕を失った場合、従来の職種を続けられないケースもあります
特に利き腕を切断した場合、非利き腕の切断と比べて労働能力喪失率の評価が高くなる傾向があります。また、手先の器用さが求められる職種(技能職・調理師・美容師等)では、等級表上の喪失率よりも実際の減収が大きくなるとして、増額を主張できる場合があります。
従来の職種への復職が難しい場合には、障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく職業リハビリテーション(障害者職業センター等)の利用や、事業主に対する合理的配慮の提供義務も選択肢になります。もっとも、これらの福祉的な制度の利用可否は、会社への損害賠償請求の当否や金額に直接影響するものではなく、あくまで生活再建のための別の手段として並行して検討することになります。
実務上のポイント
機械への巻き込まれ事故では、会社側から「手袋をしていた本人の不注意」として過失相殺(賠償額の減額)を主張されることがあります。しかし、そもそも手袋の着用が労働安全衛生規則で制限される作業だったにもかかわらず、会社が指導・注意喚起を怠っていた場合は、会社側の義務違反が優先される可能性があります。「自分にも落ち度がある」と思い込んで請求をためらう前に、会社側の管理体制まで確認することが重要です。
「自分の不注意」と言われても諦めないでください。
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Before / After:損害賠償への向き合い方の変化
| Before(ご相談前) | After(ブライトへのご相談後) |
|---|---|
| 指の切断の情報しか見つからず、腕の切断でどれくらいの補償を受けられるか分からなかった | 上肢切断特有の等級表・労働能力喪失率をもとに、正確な損害賠償額の見通しを持てた |
| 会社から「手袋をしていたあなたにも落ち度がある」と言われ、請求をためらっていた | 労働安全衛生規則上の指導義務違反を確認し、会社側の責任を主張できた |
| 義肢や将来の交換費用まで請求できることを知らなかった | 将来の義肢費用・職業訓練費用まで含めた損害額を積み上げて請求できた |
※上記は一般的な相談内容を参考に抽象化したものです。個別の案件の結果を保証するものではありません。
着手金0円・完全成功報酬でご相談いただける理由
腕の切断という重篤な後遺障害を負われた方に、経済的な負担をかけずに正当な賠償を受けていただきたいという考えから、弁護士法人ブライトでは着手金0円・完全成功報酬制で対応しています。ご相談時に費用が発生することはなく、賠償金を回収できた段階で成功報酬をお支払いいただく仕組みです。初回のご相談も無料で承っています。
※交渉・訴訟を行う際の実費(印紙代・郵送代・医学的意見書の作成費用等)は別途ご負担いただく場合があります。費用の詳細は、ご相談時に分かりやすくご説明いたします。
労災事故部統括の笹野皓平弁護士が、後遺障害等級の見直しの要否確認から、会社の安全配慮義務違反の立証、将来の義肢費用・逸失利益まで含めた損害賠償額の算定まで一貫して対応します。会社側からすでに一定の提示を受けている場合でも、その金額が適正かどうかをセカンドオピニオンとして確認することも可能です。
将来の義肢費用・職業訓練費用まで含めたご相談も可能です。
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よくある質問(FAQ)
Q1:腕を手首から失った場合と、ひじから失った場合で補償に差はありますか?
あります。上肢の後遺障害等級は、肩関節・ひじ関節・手関節のどの部位で機能を失ったかによって区分されており、失った範囲が広いほど(肩に近いほど)等級が高く評価される傾向があります。
Q2:利き腕ではない方の腕を切断しました。補償は少なくなりますか?
後遺障害等級表上は利き手・非利き手を区別しない等級が基本ですが、逸失利益の算定においては、職種や実際の減収状況を踏まえて労働能力喪失の程度を主張できる場合があります。個別の事情を丁寧に確認することが重要です。
Q3:義肢の費用は将来分も請求できますか?
義肢(義手)には耐用年数があり、将来にわたって交換が必要になるため、将来分の費用も損害賠償として請求できる場合があります。義肢の種類・耐用年数を踏まえた算定が必要です。
Q4:会社から「手袋をしていたのが悪い」と言われました。それでも請求できますか?
手袋の着用状況だけで請求を諦める必要はありません。労働安全衛生規則上、回転軸等の危険な作業では手袋の着用が制限されている場合があり、会社側にその指導・注意喚起の義務違反があれば、会社側の責任が優先される可能性があります。
Q5:労災保険からすでに障害補償給付を受け取っています。会社への請求と二重取りになりませんか?
労災保険からすでに受け取った障害(補償)給付(年金・一時金の本給付)は、会社への損害賠償額のうち逸失利益など同じ性質を持つ項目から差し引かれます(損益相殺)。ただし、社会復帰促進等事業から支給される障害特別支給金・障害特別年金などの「特別支給金」は損益相殺の対象外で、会社からの賠償金とは別に受け取れます。また、慰謝料は労災保険から一切支給されないため、丸ごと会社に請求できます。
Q6:事故から時間が経っていますが、今から会社に請求できますか?
会社への損害賠償請求と、労災保険の給付請求とでは時効が異なります。会社への損害賠償請求権については、2020年4月以降に生じた損害の場合、不法行為(使用者責任等)に基づく場合も、安全配慮義務違反(債務不履行)に基づく場合も、改正民法により損害及び加害者(権利を行使できること)を知った時から5年が目安とされています(民法724条・724条の2・166条1項)。あわせて権利を行使できる時から20年という客観的な期間制限もあります。不法行為構成(民法724条2号)はもともと20年、安全配慮義務違反構成(民法166条1項2号)は本来10年ですが、人の生命・身体の侵害の場合は民法167条により20年に延長されるため、いずれの構成でも20年が目安になります。2020年4月より前に発生した事案には旧法が適用される場合もあります。一方、労災保険給付そのものの請求期限は、療養(補償)給付・休業(補償)給付が2年、障害(補償)給付・遺族(補償)給付が5年です。時効の判断は事案ごとに異なるため、早めのご相談をお勧めします。
Q7:弁護士に依頼する費用が心配です。
弁護士法人ブライトでは、労災の会社への損害賠償請求について着手金0円・完全成功報酬制で対応しています。初回のご相談も無料ですので、費用面の不安だけで相談を諦める必要はありません。
まとめ
労災で腕(上肢)を切断した場合の損害賠償について整理します。
- 上肢切断は指の切断とは異なる等級区分が適用され、切断部位(肩・ひじ・手首)によって等級・補償額が大きく変わります
- 会社への損害賠償請求では、インターロック未設置・手袋着用への指導不足などの安全配慮義務違反が主な争点になります
- 損害賠償額には後遺障害慰謝料・逸失利益に加え、義肢の将来費用・職業訓練費用まで含めて検討する必要があります
- 「自分の不注意」という会社の主張だけで請求を諦める必要はありません
- 着手金0円・完全成功報酬で対応可能です
腕の切断という重篤な後遺障害を負われた方は、労災保険の手続きと並行して、会社への損害賠償請求もご検討ください。弁護士法人ブライトの労災事故部統括・笹野皓平弁護士が対応します。
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