この記事の結論
- じん肺・アスベスト(石綿)関連疾患による死亡は、労災保険の遺族補償とは別に、会社へ損害賠償を請求できる場合があります(安全配慮義務違反・労働契約法5条)
- 「何十年も前に働いていた職場が原因」でも、会社を特定できれば損害賠償請求は可能な場合があります。消滅時効の主観的起算点は、原則として死亡・因果関係を知った時から5年(改正民法724条の2・166条1項)ですが、客観的な期間制限(人の生命・身体の侵害の場合は20年)や旧法適用の可能性もあり、判断には注意が必要です
- じん肺・アスベスト関連死は石綿健康被害者向けの「特別遺族給付金」(国の救済制度)と、労災保険の遺族(補償)給付、会社への損害賠償請求の3つが別制度である点の整理が重要です
- 会社の防じんマスク支給義務・特殊健康診断実施義務(じん肺法・石綿障害予防規則)の違反が立証できれば、会社の安全配慮義務違反を問える可能性が高くなります
- 着手金0円・完全成功報酬で対応可能。ご遺族の経済的リスクを抑えてご相談いただけます
「父はじん肺と呼吸不全で亡くなりました。会社に何か請求できるのでしょうか」——長年、粉じん作業やアスベスト(石綿)を扱う現場で働いていたご家族を亡くされた方から、こうしたご相談をいただくことがあります。多くの方が最初に感じるのは、「もう定年退職してから何年も経っている」「会社自体が今もあるか分からない」「今さら請求しても手遅れではないか」という諦めに近い気持ちです。
じん肺やアスベスト関連疾患(石綿肺・肺がん・中皮腫など)は、曝露から発症・死亡まで数十年の潜伏期間があることが特徴の職業病です。この「時間の長さ」こそが、ご遺族が請求をためらう最大の理由になっています。しかし、労災保険からの遺族補償や国の救済制度と、会社への損害賠償請求は法的にまったく別の制度であり、時効の起算点も「曝露した時」ではなく「死亡や因果関係を知った時」からと考えるのが原則です。
このページでは、弁護士法人ブライトの労災事故部統括・笹野皓平弁護士が、じん肺・アスベスト(石綿)関連疾患による死亡事案で、ご遺族が会社に損害賠償を請求できるかどうかの判断基準と、実務上の注意点を解説します。
労災専用フリーダイヤル:0120-931-501(平日9:00〜18:00)
「もう時効かもしれない」と思っても、まずはご相談ください。
じん肺・アスベスト(石綿)関連疾患とは
じん肺は、粉じん(鉱物性の細かい粒子)を長期間吸入することで肺が線維化する職業病です。アスベスト(石綿)は、かつて建材・断熱材・自動車部品などに広く使われていた鉱物繊維で、吸入することで石綿肺・肺がん・悪性中皮腫・びまん性胸膜肥厚などを引き起こすことが分かっています。いずれも、建設業・造船業・鉱業・製造業などで長年働いてきた方に多い職業病です。
| 疾患名 | 主な原因作業 | 潜伏期間の目安 |
|---|---|---|
| じん肺(けい肺等) | 採石・トンネル工事・鋳物工場・金属研磨 | 数年〜数十年 |
| 石綿肺 | 石綿吹付け・解体工事・断熱材施工 | 10〜20年以上 |
| 肺がん(石綿関連) | 同上 | 15〜40年程度 |
| 悪性中皮腫 | 同上 | 20〜50年程度 |
潜伏期間が長いため、発症・死亡した時点では本人がすでに退職・転職しており、原因となった会社との関係が「昔の話」になっていることが少なくありません。この「時間の壁」が、ご遺族の相談をためらわせる一因になっています。
なぜ「もう時効だろう」という思い込みが危険なのか
多くの記事は「じん肺・アスベストは労災認定される病気です」という説明で終わります。しかし、ご遺族が本当に知りたいのは、労災認定された先にある「会社への損害賠償請求」がまだ間に合うのかどうかではないでしょうか。曝露から数十年が経っていても、法律上は請求できる可能性があります。ただし、時効・除斥期間の考え方はやや複雑なため、正確に整理しておく必要があります。
2020年4月1日以降に生じた死亡・損害については、改正民法により「損害及び加害者を知った時から5年」(主観的起算点・民法724条の2、166条1項)が消滅時効の目安です。じん肺・アスベスト関連死のケースでは、この「知った時」は曝露していた時点ではなく、死亡診断や病理診断によって因果関係が判明した時点と考えるのが一般的です。つまり、曝露自体は数十年前でも、死亡・診断が最近であれば、主観的起算点からの時効はまだ完成していない可能性があります。
一方で、権利を行使できる時から20年という客観的な期間制限も別途存在するため、「主観的に知ってから5年以内なら何年前の曝露でも必ず請求できる」というわけではありません。不法行為構成(民法724条2号)はもともと20年、安全配慮義務違反構成(民法166条1項2号)は本来10年ですが、人の生命・身体の侵害の場合は民法167条により20年に延長されるため、いずれの構成でも20年が目安になります。また、2020年4月1日より前に発生した死亡・損害には、改正前の旧民法(不法行為は知った時から3年、安全配慮義務違反は権利を行使できる時から10年)が適用される場合がある点にも注意が必要です。時効・除斥期間の判断は事案ごとに異なるため、「もう無理だろう」と自己判断せず、まずは弁護士にご相談いただくことをお勧めします。
【ブライトの判断基準】
「働いていた工場はもう存在しない」「会社が何十年も前に廃業・合併している」といった理由で、ご遺族自身が請求を諦めてしまうケースを数多く目にしてきました。しかし、会社が組織変更(合併・事業譲渡)をしていても、責任を承継した法人に請求できる場合があります。
「ブライトは『会社がもう無いから』で終わらせない。誰が責任を承継しているのかを徹底して調査する。」
これが、ブライトがじん肺・アスベスト関連の労災死亡事案で一貫して大切にしている考え方です。
会社が存続しているかの調査も含めてご相談いただけます。
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労災保険の遺族補償・国の救済制度・会社への損害賠償請求の3つを整理する
じん肺・アスベスト関連死のご遺族が受けられる補償には、性質の異なる3つの制度があります。混同すると請求漏れが生じるため、まず整理が必要です。
| 制度 | 請求先 | 性質 |
|---|---|---|
| 労災保険の遺族(補償)給付・葬祭料 | 労働基準監督署(国) | 労働者災害補償保険法に基づく給付。会社の過失の有無を問わない |
| 石綿による健康被害の救済に関する法律に基づく特別遺族給付金 | 労働基準監督署 | 労災保険(遺族補償給付)の時効が完成してしまった石綿関連疾患の遺族を救済する特別制度 |
| 会社への損害賠償請求 | 会社(または責任を承継した法人) | 安全配慮義務違反という会社の落ち度を立証して請求する民事上の権利 |

労災保険からの遺族補償年金・一時金は、会社の過失を問わず支給される最低限の補償です。一方で、会社に安全配慮義務違反があった場合には、労災保険ではカバーされない慰謝料や逸失利益の上乗せ分を、会社に対して別途請求することができます。すでに受け取った労災保険給付の一部は損害賠償額から差し引かれます(損益相殺)が、慰謝料は労災保険から支給されないため、損益相殺の対象になりません。
会社の安全配慮義務違反はどこで立証するのか
じん肺・アスベスト関連疾患による死亡で会社の責任を問うためには、会社が粉じん・石綿への曝露を防止する法令上の義務を怠っていたことを具体的に示す必要があります。主な着眼点は次のとおりです。
- 防じんマスク・保護具の支給・着用指導があったか(じん肺法・粉じん障害防止規則、石綿障害予防規則)
- 局所排気装置・全体換気装置などの設備が設置されていたか
- じん肺健康診断・特殊健康診断(じん肺法・石綿障害予防規則)を実施していたか
- 離職時に健康管理手帳制度(じん肺・石綿に関する国の制度)の案内をしていたか
- 作業環境測定を実施し、結果を労働者に周知していたか
これらの義務違反が確認できれば、労働契約法5条の安全配慮義務違反(民法415条または709条に基づく損害賠償請求)が認められる可能性が高くなります。当時の在職証明・作業内容の記録・同僚の証言などが立証の手がかりになります。
実務上のポイント
じん肺・アスベスト関連の死亡相談では、当初「労災の因果関係の立証が難しいのではないか」として相談自体を断られてしまうケースがあることが実務上知られています。因果関係の立証が難しい類型だからこそ、労災の認定記録・医証(診療記録、病理所見)・作業歴の丁寧な精査が重要になります。ブライトでは、労災の不支給・認定の壁で諦めかけたご遺族からのご相談にも対応しています。
労災が認定されていない場合のご相談も承っています。
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損害賠償額はどう計算されるか
じん肺・アスベスト関連死で会社への損害賠償請求が認められた場合、主に次の項目を積み上げて損害額を算定します。
- 死亡慰謝料:本人分に加え、遺族固有の慰謝料も請求できます
- 逸失利益:死亡当時の年齢・収入・就労可能年数(高齢で退職済みの場合は、その後の就労可能性を踏まえた算定)を基に計算します
- 葬儀費用
- 入通院慰謝料・治療費(死亡までの療養期間がある場合)
すでに定年退職して年金生活だった方の場合でも、当時の就労状況や再就労の可能性を踏まえて逸失利益を検討することがあります。個別の事情によって金額は大きく変わるため、一律の相場を示すことは困難ですが、死亡慰謝料と逸失利益を合わせた損害額が高額になりやすい類型であることは押さえておく必要があります。
Before / After:ご遺族の状況の変化
| Before(ご相談前) | After(ブライトへのご相談後) |
|---|---|
| 「もう何十年も前のことだから、会社に請求するのは無理だろう」と諦めていた | 時効の起算点は死亡・因果関係を知った時からと分かり、請求の可能性を検討できた |
| 労災保険の遺族年金だけで、会社への請求は考えていなかった | 会社の安全配慮義務違反を確認し、労災保険とは別に損害賠償を請求する道筋が見えた |
| 会社がもう存在しないと思い込み、調査すらしていなかった | 責任を承継した法人の有無を弁護士が調査し、請求先を特定できた |
※上記は一般的な相談内容を参考に抽象化したものです。個別の案件の結果を保証するものではありません。
損害賠償額の見通しについても、無料相談で確認いただけます。
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着手金0円・完全成功報酬でご相談いただける理由
じん肺・アスベスト関連死の会社への損害賠償請求は、当時の資料収集や医学的な因果関係の整理に時間がかかることが多く、ご遺族に費用面の負担をかけたくないという考えから、弁護士法人ブライトでは着手金0円・完全成功報酬制で対応しています。ご相談時に費用が発生することはなく、賠償金を回収できた段階で成功報酬をお支払いいただく仕組みです。初回のご相談も無料で承っています。
※交渉・訴訟を行う際の実費(印紙代・郵送代・医学的意見書の作成費用等)は別途ご負担いただく場合があります。費用の詳細は、ご相談時に分かりやすくご説明いたします。
労災事故部統括の笹野皓平弁護士が、労災保険の認定記録の取り寄せから、会社の安全配慮義務違反の立証、損害賠償額の算定まで一貫して対応します。
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よくある質問(FAQ)
Q1:曝露から30年以上経っていますが、今から会社に請求できますか?
可能性はあります。2020年4月以降に生じた死亡・損害については、損害及び加害者を知った時から5年(改正民法724条の2・166条1項)が消滅時効の目安とされ、死亡・因果関係が判明した時点が起算点になると考えられます。ただし、権利を行使できる時から20年という客観的な期間制限もあり(安全配慮義務違反構成は本来10年ですが、人の生命・身体の侵害の場合は民法167条により20年に延長)、2020年4月より前の事案には旧法が適用される可能性もあり、判断は事案ごとに異なります。曝露から時間が経っていることだけを理由に自己判断で諦める前に、まずご相談ください。
Q2:働いていた会社がすでに廃業・倒産しています。請求先はありますか?
会社が組織変更(合併・事業譲渡)をしている場合、責任を承継した法人に請求できることがあります。会社が完全に消滅し、承継先も存在しない場合は請求が難しくなりますが、調査によって請求先が判明するケースもあります。
Q3:労災保険の遺族年金を受け取っていますが、それとは別に会社に請求できますか?
できる場合があります。労災保険の遺族(補償)給付は会社の過失を問わない制度であるのに対し、会社への損害賠償請求は会社の安全配慮義務違反を立証して行う別制度です。労災保険からすでに受け取った分は損害賠償額から損益相殺されますが、慰謝料部分は損益相殺の対象になりません。
Q4:石綿健康被害救済法の特別遺族給付金と、会社への損害賠償請求は両方使えますか?
特別遺族給付金は、労災保険の時効が完成してしまった石綿関連疾患の遺族を救済するための国の制度で、会社への損害賠償請求とは別制度です。個別の受給状況によって調整が必要になる場合がありますので、弁護士にご確認ください。
Q5:会社が「因果関係が分からない」と言って取り合ってくれません。
じん肺・アスベスト関連疾患は、作業歴・曝露状況・医学的所見を積み重ねて因果関係を主張立証していく必要がある類型です。会社の初期対応だけで請求を諦める必要はなく、労災認定の記録や当時の作業内容の資料を確認しながら整理することが可能です。
Q6:本人が亡くなった後でも、遺族だけで会社に請求できますか?
できます。生命侵害による損害賠償請求権は、相続人であるご遺族が承継して行使することができます。また、ご遺族固有の慰謝料も別途請求できる場合があります。
Q7:弁護士に依頼する費用が心配です。
弁護士法人ブライトでは、労災の会社への損害賠償請求について着手金0円・完全成功報酬制で対応しています。初回のご相談も無料ですので、費用面の不安だけで相談を諦める必要はありません。
まとめ
じん肺・アスベスト(石綿)関連疾患による死亡について整理します。
- じん肺・アスベスト関連死は、労災保険の遺族補償・国の救済制度・会社への損害賠償請求の3つが別制度です
- 会社への損害賠償請求の時効は、曝露時ではなく死亡・因果関係を知った時から原則5年が目安です
- 会社の防じんマスク支給義務・特殊健康診断実施義務などの違反が立証できれば、安全配慮義務違反を問える可能性があります
- 会社が廃業・組織変更していても、責任を承継した法人に請求できる場合があります
- 着手金0円・完全成功報酬で対応可能です
「もう時効だろう」「会社がもう無いから無理だろう」と自己判断で諦めてしまう前に、弁護士法人ブライトの労災事故部統括・笹野皓平弁護士にご相談ください。
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