【この記事の結論】底地(借地)の立ち退きは、建物賃貸借より明渡しのハードルが高い
- 底地(貸宅地)の地主が借地契約を終わらせて土地を返してもらう場合、対象は「土地」ですが、その上に借地人が自分の建物を所有しているため、建物を貸しているケースより明渡しのハードルが格段に高くなります
- 普通借地契約は、期間が満了しても地主が更新を拒絶し、その拒絶に「正当事由」がなければ法定更新され、契約は続いてしまいます(借地借家法5条・6条)。正当事由の判断要素は、建物賃貸借の28条と同じ枠組みです
- 最大の負担が建物買取請求権(借地借家法13条)です。地主が更新を拒絶して契約が終了した場合でも、借地人は地主に対し「建物を時価で買い取れ」と請求でき、地主はこれを拒めません。立退料に加えて建物代金という重い出費が生じ得ます
- 平成4年8月1日より前に設定された借地は旧借地法が適用され、存続期間が長く(堅固建物60年・非堅固30年など)、地主からの終了はさらに困難です
- 地代の長期滞納(信頼関係の破壊)による解除、底地の買取・等価交換、借地非訟(賃借権譲渡・増改築の許可)など、状況に応じた選択肢があります。底地整理は専門的判断が要となります
大阪・関西で底地(借地)の立ち退き・契約終了・底地整理をお考えの地主・オーナーの方は、弁護士法人ブライトへ。電話:06-4965-9590(平日9:00〜18:00)
「先代から引き継いだ底地(貸宅地)を整理したい」「借地契約を終わらせて土地を返してほしい」「借地人が地代を滞納したまま土地を使い続けている」——底地を持つ地主・オーナーにとって、借地関係の解消は古くて新しい悩みです。底地は地代収入が固定資産税に見合わないことも多く、相続のたびに権利関係が複雑になりがちです。一方で、いざ「土地を返してほしい」と申し入れても、借地人が応じてくれるとは限りません。
ここで決定的に重要なのは、底地(借地)の立ち退きは、本クラスターで解説してきた「建物を貸している場合」の立ち退きよりも、土地を返してもらうハードルが格段に高いという点です。理由はシンプルです。借地の場合、土地の上に建っているのは借地人が所有する建物だからです。建物賃貸借なら借主に「出ていってください」で済む場面でも、借地では「借地人の建物が土地の上に存在し続ける」という問題を乗り越えなければなりません。
本記事では、大阪・関西で不動産トラブルに対応する弁護士の視点から、底地(借地)の立ち退き・契約終了を地主が求める方法を、普通借地の更新拒絶と正当事由、建物買取請求権(借地借家法13条)、旧借地法と定期借地権の違い、地代滞納による解除、底地買取・等価交換・借地非訟まで整理します。立ち退き全体の流れや、共通する「正当事由」「立退料」については、以下の関連記事もあわせてご覧ください。
- 立ち退き(明渡し)を求める貸主・地主のための完全ガイド【大阪・関西対応】(クラスターの全体像・他の手続きの一覧)
- 立ち退きの「正当事由」とは|借地借家法28条の判断要素(※借地の更新拒絶でも、正当事由の考え方が用いられます)
- 立退料の相場と決まり方|居住用・店舗・事務所・借地のケース別(※借地では立退料に加え建物買取の負担も生じ得ます)
1. なぜ底地(借地)の立ち退きは建物賃貸借より難しいのか
まず、底地(借地)の立ち退きが「建物を貸している場合」と何が違うのかを整理します。両者は同じ「土地・建物の貸し借り」のように見えて、地主が土地を取り戻すうえでの難易度がまったく異なります。
| 建物を貸している場合(建物賃貸借) | 土地(底地)を貸している場合(借地) | |
|---|---|---|
| 貸している対象 | 建物(地主=建物所有者) | 土地(地主=土地所有者)。建物は借地人の所有 |
| 適用される主なルール | 借地借家法26条・27条・28条(建物賃貸借) | 借地借家法3条〜13条(借地)/旧借地法 |
| 契約期間 | 2年が一般的(期間の定めなしも可) | 普通借地は最短30年(更新後は20年→10年) |
| 終了時の特有の負担 | 立退料 | 立退料に加え建物買取請求権(13条) |
| 地主が取り戻す難易度 | 一定のハードルあり | さらに高い |
借地が難しい理由は、大きく3つあります。第一に、存続期間が長いこと。普通借地権の存続期間は最短でも30年で、合意があってもそれより短くはできません(借地借家法3条)。建物賃貸借の数年とは時間軸が違います。第二に、更新が原則であること。期間が満了しても、地主が更新を拒絶し、その拒絶に正当事由がなければ、契約は法律上当然に更新(法定更新)されてしまいます(同法5条・6条)。第三に、建物買取請求権(同法13条)です。仮に更新拒絶が認められて契約が終了しても、借地人は地主に建物を時価で買い取らせることができ、地主はこれを拒否できません。
つまり、土地を返してもらうには「正当事由のある更新拒絶」と「建物の処理(買取または収去)」という二段階の壁を越える必要があり、いずれも地主にとって重い負担となります。だからこそ、底地の立ち退きは早い段階での見通し立てと交渉設計が結果を大きく左右します。
底地整理・借地の立ち退きは「最初の見立て」で道が分かれます
「更新拒絶を通せそうか」「建物買取の負担はどの程度か」「いっそ底地を売る・交換するほうが得か」——底地は選べる手段が多いぶん、最初の方針選択を誤ると時間も費用も大きく膨らみます。状況とご希望をうかがい、現実的な出口をご提案します。
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2. 普通借地の更新拒絶と「正当事由」——借地借家法5条・6条
平成4年8月1日施行の借地借家法(新法)が適用される普通借地権では、地主が契約を終わらせるには、まず期間満了時に更新を拒絶する必要があります。しかし、ただ「更新しません」と言えば終わるわけではありません。
借地借家法5条は、借地人が更新を請求したとき、または期間満了後も土地の使用を継続しているとき、建物がある限り、従前と同一の条件で契約を更新したものとみなす(法定更新)と定めています。地主がこの更新を阻止できるのは、遅滞なく異議を述べ、かつその異議に「正当事由」がある場合に限られます。
借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。(借地借家法5条1項)
そして、この異議が認められるための「正当事由」については、借地借家法6条が判断要素を定めています。
前条の異議は、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、述べることができない。(借地借家法6条)
整理すると、借地の正当事由の判断要素は次のとおりです。これは建物賃貸借の借地借家法28条とほぼ同じ枠組みで、借地版が6条にあたります。
- 地主・借地人それぞれが土地の使用を必要とする事情(最も重視される中心的要素)
- 借地に関する従前の経過(地代の支払い状況、契約の経緯、これまでのやり取りなど)
- 土地の利用状況(現に建物が使われているか、有効利用されているかなど)
- 立退料など財産上の給付の申出(正当事由を補完する要素。それ自体で正当事由を生むものではない)
建物賃貸借でも借地でも、正当事由の中心は「双方が土地・建物をどれだけ必要としているか」の比較衡量です。借地の場合、借地人は通常そこに自宅や店舗・工場という生活・事業の基盤を構えているため、借地人側の必要性が高く評価されやすく、地主が更新拒絶を通すのは容易ではありません。地主側に「自己使用の差し迫った必要」など強い事情がない限り、立退料による補完を前提とした交渉が現実的な落としどころになることが多いといえます。
更新後の存続期間についても確認しておきます。借地借家法4条により、更新後の存続期間は、最初の更新では20年、2回目以降の更新では10年とされています(当事者がこれより長い期間を定めることは可能です)。いったん法定更新されると、次の終了機会はさらに先になります。
3. 最大の壁——建物買取請求権(借地借家法13条)
底地(借地)の立ち退きで、地主が最も注意すべきなのが建物買取請求権です。これは、地主が更新を拒絶するなどして借地契約が期間満了で終了したのに更新されなかった場合に、借地人が地主に対して「建物その他借地人が権原により土地に附属させた物を、時価で買い取れ」と請求できる権利です(借地借家法13条1項)。
借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。(借地借家法13条1項)
この権利の重さを、地主の立場から正しく理解しておく必要があります。
- 形成権である:建物買取請求権は、借地人が一方的に意思表示するだけで効力が生じる「形成権」です。借地人が請求した瞬間に、建物について地主との間で時価による売買契約が成立したのと同じ効果が生じます。地主が「買いたくない」と拒むことはできません
- 地主は二重の出費になり得る:更新拒絶の正当事由を補完するための立退料に加え、建物の時価相当額という代金を支払うことになり得ます。古家であっても、立地・構造によっては相応の評価額がつくことがあります
- 「時価」は更地価格ではない:ここでいう時価は建物そのものの価格であり、原則として借地権価格は含まれません。もっとも、建物の場所的環境(その場所に建っていること)が加味される場合があり、評価をめぐって争いになりやすい部分です
- 地代滞納による解除では発生しない:建物買取請求権が認められるのは「期間満了による終了で更新がない」場合です。借地人の債務不履行(地代滞納など)を理由に契約を解除した場合には、建物買取請求権は認められないとされています(後述)。この違いは地主にとって極めて重要です
つまり、「更新拒絶(正当事由)」ルートで底地を取り戻そうとすると、正当事由のハードルを越えたうえに建物買取の代金まで覚悟しなければならない、という二重の負担が生じます。この負担の大きさが、底地(借地)の立ち退きを建物賃貸借より難しくしている本質です。地主側としては、買取費用の見通しも含めて、当初から出口戦略全体を設計しておくことが欠かせません。
「建物買取請求権でいくら払うことになるのか」を早めに把握しておきたい方へ
更新拒絶ルートでは、立退料に加えて建物の買取代金が地主の負担になり得ます。逆に、地代滞納による解除ルートなら買取請求は生じません。どのルートが現実的か、費用全体の見通しを含めてご一緒に検討します。
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4. 旧借地法が適用されるケースに要注意——平成4年8月1日が分かれ目
底地の立ち退きを検討するとき、最初に確認すべきは「いつ設定された借地か」です。借地のルールは、平成4年8月1日の借地借家法施行を境に大きく変わっており、それより前に設定された借地には、現在も旧借地法が適用され続けるからです。
借地借家法の附則により、施行日(平成4年8月1日)より前に設定された借地権の存続期間や更新については、原則として従前の例(旧借地法)によるものとされています。先代・先々代から続く古い底地ほど、旧借地法が適用される可能性が高くなります。
| 旧借地法(平成4年8月1日より前の設定) | 借地借家法(平成4年8月1日以後の設定) | |
|---|---|---|
| 建物の区別 | 堅固建物(石造・鉄筋等)と非堅固建物(木造等)で期間が異なる | 建物の構造による区別を廃止 |
| 当初の存続期間 | 期間を定めない場合:堅固60年/非堅固30年。期間を定める場合:堅固30年以上/非堅固20年以上(これより短いと期間の定めがないものとみなされる) | 一律30年(合意でそれ以上) |
| 更新後の期間 | 堅固30年/非堅固20年(最短) | 1回目20年・2回目以降10年 |
| 更新拒絶・買取請求 | 正当事由が必要/建物買取請求権あり | 正当事由が必要/建物買取請求権あり(13条) |
ポイントは、旧借地法のほうが存続期間が長く、地主からの終了がより困難だということです。特に堅固建物(鉄筋コンクリート造の店舗・マンションなど)の場合、期間を定めなければ60年という長い法定期間となるため、契約終了の機会自体がなかなか訪れません。「古い底地だからもう契約は切れているはず」と思い込んでいたら、実は旧借地法でまだ存続期間中だった、というケースは少なくありません。
底地整理を考える際は、まず契約書・登記・固定資産税の経緯などから「新法・旧法のどちらが適用されるのか」「現在の存続期間はいつまでか」を確定させることが出発点になります。ここを誤ると、その後の方針すべてが狂ってしまいます。
5. 定期借地権なら更新がない——期間満了で確実に終了する
ここまで見てきた普通借地権が「更新が原則で地主から終わらせにくい」のに対し、定期借地権は仕組みがまったく異なります。定期借地権は、平成4年の借地借家法で新設された類型で、更新がなく、期間満了によって確実に契約が終了し、土地が更地で返ってくるのが最大の特徴です。
- 一般定期借地権(借地借家法22条):存続期間50年以上。公正証書等の書面(電磁的記録を含む)で、更新・建物再築による期間延長・建物買取請求権を「いずれも認めない」特約を定めます。期間満了で借地人は建物を収去して土地を返還します
- 事業用定期借地権等(借地借家法23条):専ら事業用の建物所有を目的とし、存続期間10年以上50年未満。必ず公正証書で設定する必要があります。ロードサイド店舗・倉庫・クリニックなどで広く使われます
- 建物譲渡特約付借地権(借地借家法24条):30年以上経過した時点で、地主が建物を相当の対価で譲り受ける(買い取る)特約を付すもの。建物の所有権が地主に移ることで借地権が消滅します
定期借地権では、普通借地のような正当事由の判断も、建物買取請求権による負担も原則として生じません(一般定期借地権・事業用定期借地権では建物買取請求権を排除する特約が前提です)。地主にとっては「期限が来れば確実に返ってくる」安心感がありますが、設定の方式(公正証書の要否など)を誤ると、定期借地権として無効になり普通借地権として扱われてしまうリスクがあります。たとえば事業用定期借地権を公正証書で作らなかった場合、その効力が問題となり得ます。
当事務所でも、事業用定期借地契約の合意書について、更新・買取・原状回復に関する条項が定期借地権の要件を満たしているかを契約段階でチェックする、といった企業法務・不動産の実務に対応しています。これから底地を活用する地主の方は、入口の契約設計の段階で専門家の確認を受けておくと、将来の「返ってこない」リスクを大きく減らせます。
これから土地を貸す方・定期借地の契約内容に不安がある方へ
定期借地権は方式を一つ誤ると「更新のある普通借地」になってしまい、将来土地が返ってこないリスクがあります。契約書のチェック、公正証書の作成サポート、既存契約の見直しまで、不動産・企業法務の視点でご対応します。
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6. 地代の長期滞納による解除——信頼関係破壊の法理
借地人が地代を長期にわたって滞納している場合は、更新拒絶(正当事由)ルートとは別に、債務不履行による契約解除を検討できます。これは、本クラスターの家賃滞納による明渡しの記事で解説した建物賃貸借のケースと同じ考え方が、借地にも当てはまるものです。
地代の支払いは借地人の基本的な義務であり、これを怠れば民法541条により、相当の期間を定めて催告したうえで契約を解除できるのが原則です。ただし、賃貸借が継続的な信頼関係を基礎とする契約である以上、ここでも「信頼関係破壊の法理」が働きます。すなわち、わずかな遅延や一時的な滞納では足りず、当事者間の信頼関係を破壊する程度の滞納があって初めて解除が認められます。借地は契約期間が長く地代も比較的低額なことが多いため、相応の期間・回数の滞納が必要と考えられています。
地代滞納による解除ルートには、地主にとって大きなメリットがあります。前述のとおり、債務不履行による解除の場合には、借地人の建物買取請求権が認められないという点です。借地人の義務違反を理由に契約を解除する以上、借地人に建物を買い取らせる利益保護を与える必要はない、と考えられているためです。更新拒絶ルートでは避けられない建物買取の負担を、地代滞納による解除では負わずに済む可能性があります。
もっとも、解除が認められるだけの滞納の実態(額・期間・督促への対応など)の立証が必要であり、また鍵の交換・建物の撤去・占有の排除といった「自力救済」は法律で固く禁じられています。地代滞納があるからといって、地主が自ら建物に手を出すことは決して許されません。内容証明による催告・解除から、建物収去土地明渡請求訴訟、強制執行という法的手続きを順に踏む必要があります。
7. 立ち退き以外の選択肢——底地買取・等価交換・借地非訟
底地の悩みは、必ずしも「借地人を立ち退かせる」ことだけが解決策ではありません。むしろ、立ち退き(更新拒絶+建物買取)のハードルが高いことを踏まえ、権利関係を整理する別の出口を選んだほうが、地主にとって有利になることも少なくありません。
- 底地(借地権)の売買:地主が借地人へ底地を売る、または借地人から借地権を買い取って完全所有権(更地評価に近い価値)に戻す方法です。一般に、底地と借地権が別々に存在するより、両者を一体化させたほうが土地全体の価値は高まります。借地人との合意ができれば、立ち退きよりスムーズに整理できることがあります
- 等価交換:一筆の土地について、地主の底地と借地人の借地権を、それぞれの価値割合に応じて土地を分割し、互いに完全な所有権を取得し合う方法です。双方が「自分の土地」を持てるため、合意が得られやすい場面があります
- 第三者(底地買取業者など)への売却:借地人との交渉がまとまらない場合、底地のまま第三者へ売却する選択肢もあります。ただし底地単独の市場価格は完全所有権より低くなりがちで、価格の妥当性の見極めが重要です
- 借地非訟(借地借家法19条・17条):借地人が借地上の建物を第三者に譲渡したいが地主が承諾しない場合(賃借権譲渡の許可)、あるいは増改築禁止特約があるのに増改築したい場合(増改築の許可)などに、裁判所が地主の承諾に代わる許可を与える手続きです。地主側からは、許可の際に承諾料(譲渡承諾料・増改築承諾料)の支払いや財産上の給付を求めることができ、底地の収益化の一場面となります
どの方法が最適かは、底地の立地・面積、借地人との関係、旧法か新法か、相続税評価との関係など、多くの要素で変わります。「土地を返してほしい」という当初のご希望が、検討の結果「底地を整理して現金化する」「等価交換で一部を完全所有にする」といった形に着地することも珍しくありません。出口の選択肢を広く持っておくことが、底地問題を有利に解決する鍵です。
「立ち退き」か「底地整理」か——どの出口が得かを一緒に見極めます
底地は、立ち退き・売買・等価交換・借地非訟など選べる手段が多いぶん、方針選びがそのまま結果を左右します。先代から引き継いだ古い底地、地代が見合わない貸宅地、相続を見据えた整理など、状況に応じた現実的な出口をご提案します。大阪・関西の地主・オーナーの方はお気軽にご相談ください。
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8. 底地(借地)の立ち退きを進めるときの流れと注意点
更新拒絶ルートで底地を取り戻す場合の、おおまかな流れと地主が押さえておくべき注意点を整理します。
- 契約内容の確定:新法か旧法か、堅固・非堅固の別、現在の存続期間、地代の支払い状況などを契約書・登記から確認します。ここがすべての出発点です
- 方針の選択:更新拒絶(正当事由)で進むか、地代滞納による解除を狙うか、あるいは底地買取・等価交換へ切り替えるかを決めます。建物買取の負担見通しも含めて比較します
- 更新拒絶の意思表示:期間満了に向け、遅滞なく更新拒絶(異議)の意思を明確に伝えます。正当事由を裏づける事情(自己使用の必要性など)を整理します
- 立退料・建物買取の交渉:正当事由を補完する立退料や、建物買取の金額について借地人と協議します。多くはこの交渉段階で着地を目指します
- 訴訟・借地非訟:協議がまとまらない場合、建物収去土地明渡請求訴訟や、事案に応じた借地非訟手続きを検討します
- 明渡し・強制執行:判決等を得たうえで、最終的には強制執行により土地の明渡しを実現します
注意点として、更新拒絶の異議は「遅滞なく」述べる必要があり、タイミングを逃すと法定更新されてしまうこと、また前述のとおり自力救済(建物への立ち入り・撤去・占有排除)は厳禁であることが挙げられます。底地問題は時間軸が長く、一つの判断ミスが何年もの遅延につながりかねません。期間満了が近づく前の早い段階で、出口戦略を設計しておくことを強くおすすめします。
9. まとめ——底地(借地)の立ち退きは「ルート選び」がすべて
底地(借地)の立ち退きは、建物賃貸借よりも明渡しのハードルが高い分野です。ポイントを整理します。
- 普通借地では、地主が契約を終わらせるには正当事由のある更新拒絶が必要(借地借家法5条・6条)。判断枠組みは建物賃貸借の28条と同じ
- 更新拒絶が通っても、建物買取請求権(13条)により、借地人から建物を時価で買い取らされる二重の負担が生じ得る
- 平成4年8月1日より前の借地は旧借地法が適用され、存続期間が長く終了がより困難
- 定期借地権(22〜24条)は更新がなく期間満了で確実に終了するが、設定方式を誤ると無効になるリスクがある
- 地代の長期滞納による解除なら、信頼関係破壊が認められれば建物買取請求権は生じない
- 立ち退き以外に、底地買取・等価交換・借地非訟など、底地を整理・収益化する出口も検討に値する
底地問題は、最初の「ルート選び」と「契約内容の確定」で結果の大半が決まります。立ち退き全体の流れや、共通する正当事由・立退料については、以下もあわせてご覧ください。
- 立ち退き(明渡し)を求める貸主・地主のための完全ガイド【大阪・関西対応】(クラスターの全体像)
- 立ち退きの「正当事由」とは|借地借家法28条の判断要素(借地でも用いられる正当事由の考え方)
- 立退料の相場と決まり方|居住用・店舗・事務所・借地のケース別(借地のケースも解説)
10. よくある質問(FAQ)
Q1. 借地契約の期間が満了すれば、土地は自動的に返ってきますか?
いいえ。普通借地権では、期間が満了しても建物がある限り、地主が正当事由のある更新拒絶(異議)をしなければ、契約は法律上当然に更新(法定更新)されます(借地借家法5条・6条)。「期間が来たから終わり」とはならない点が、建物賃貸借と大きく異なります。
Q2. 更新を拒絶できれば、借地人はすぐ建物を壊して出ていきますか?
必ずしもそうとは限りません。更新拒絶が認められて契約が終了しても、借地人は建物買取請求権(借地借家法13条)を行使でき、地主に建物を時価で買い取らせることができます。地主はこれを拒めず、立退料に加えて建物代金を負担することになり得ます。買取費用の見通しを含めて検討することが大切です。
Q3. うちの底地は古いのですが、新しい法律と古い法律のどちらが適用されますか?
借地権が設定された時期によります。平成4年8月1日より前に設定された借地には旧借地法が適用され、堅固建物で原則60年、非堅固建物で原則30年など、存続期間が長く設定されている場合があります。それ以後に設定された借地には現在の借地借家法が適用されます。まず契約書・登記から設定時期と存続期間を確定させることが出発点です。
Q4. 地代を長期間滞納している借地人がいます。立退料や建物買取は必要ですか?
信頼関係を破壊する程度の地代滞納があれば、債務不履行による契約解除が可能です。この解除のルートでは、原則として建物買取請求権は認められないとされており、更新拒絶ルートのような建物買取の負担を避けられる可能性があります。ただし滞納の実態の立証が必要で、自力救済(鍵交換・撤去等)は厳禁です。法的手続きで進める必要があります。
Q5. 立ち退いてもらうより、底地を売ったほうがよい場合もありますか?
あります。立ち退き(更新拒絶+建物買取)はハードルが高いため、地主が借地人へ底地を売る、借地人から借地権を買い取って完全所有権に戻す、等価交換で土地を分け合う、といった整理のほうが現実的・有利になることがあります。状況に応じて、立ち退きと底地整理のどちらが得かを比較して判断するのがおすすめです。
Q6. これから土地を貸します。将来確実に返してもらうにはどうすればよいですか?
更新のない定期借地権の活用が選択肢になります。一般定期借地権(50年以上)、事業用定期借地権(10年以上50年未満・公正証書が必須)などがあり、期間満了で確実に土地が返ってきます。ただし設定方式を誤ると普通借地権として扱われ、更新が生じてしまうおそれがあるため、契約設計の段階で専門家の確認を受けておくと安心です。
底地(借地)の立ち退き・底地整理でお悩みの地主・オーナーの方へ
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監修者情報
監修:弁護士法人ブライト 代表弁護士 和氣 良浩
大阪弁護士会所属。2006年弁護士登録(修習59期)。企業法務・不動産・相続を中心に20年以上の実務経験を持つ。「みんなの法務部」として中小企業・オーナー経営者の法的リスク対応をサポート。契約企業130社以上(実名公開)。
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本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、特定の案件に対する法律上のアドバイスではありません。具体的な事情については弁護士にご相談ください。