LINE相談

不動産を巡るトラブルの基礎知識

KNOWLEDGE

建物明渡し訴訟と強制執行の流れ|期間・費用・断行までの手順を弁護士が解説【大阪・関西】

【この記事の結論】交渉が決裂しても「建物明渡し訴訟→強制執行(断行)」で確実に明渡しは実現できる

  • 立ち退き交渉や家賃滞納の督促がまとまらない場合、最終手段は建物明渡請求訴訟です。判決(または訴訟上の和解)を得たうえで、それでも借主が出ていかなければ強制執行(明渡しの断行)に進みます(民事執行法168条)
  • 標準的な流れは、①内容証明郵便での催告・解除/更新拒絶→②占有移転禁止の仮処分(占有者すり替え対策・民事保全法)→③建物明渡請求訴訟(管轄=物件所在地の地裁または簡裁)→④判決・和解→⑤強制執行(執行官による明渡しの催告→断行)です
  • 期間の目安は、訴訟でおおむね3〜12ヶ月、強制執行で1〜3ヶ月。費用は印紙代・予納郵券・執行予納金に加え、断行時の動産の運搬・保管・廃棄費用(数十万円〜100万円規模になることもあり、貸主がいったん立て替えます)が必要です
  • 明渡しと並行して、未払賃料・明渡しまでの賃料相当損害金も請求します。借地で建物が借主のものの場合は「建物明渡し」ではなく「建物収去土地明渡し」になり、手続き・費用が変わります
  • 鍵の交換・荷物の搬出・締め出しといった「自力救済」は法律で禁止されています。必ず法的手続きを踏んでください

大阪・関西で立ち退き交渉が決裂し、訴訟・強制執行をお考えの貸主・地主の方は、弁護士法人ブライトへ。電話:06-4965-9590(平日9:00〜18:00)

「立退料を提示して何度も話し合ったが、どうしても合意できない」「家賃滞納の督促を続けても支払われず、連絡も取れなくなった」——立ち退き・明渡しの交渉は、どれだけ丁寧に進めても決裂することがあります。そのとき貸主・地主に残された道が、建物明渡請求訴訟と、その先にある強制執行(明渡しの断行)です。

「裁判」と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、明渡しの場面では、訴訟は決して特別な手続きではありません。むしろ、交渉でまとまらない以上、判決という公的な根拠を得て強制執行につなげることが、確実かつ安全に部屋・土地を取り戻す唯一の正攻法です。鍵を替えて締め出す、荷物を勝手に運び出すといった「自力救済」は法律で禁止されており、行えば貸主側が損害賠償責任を負うおそれがあります。

本記事は、本クラスター(立ち退きを求める貸主・地主向けガイド)の「出口」にあたる記事です。大阪・関西で不動産トラブルに対応する弁護士の視点から、交渉決裂後に実際にどう進むのか——内容証明から占有移転禁止の仮処分、明渡し訴訟、そして強制執行(断行)まで——を、時系列・期間・費用に分けて具体的に解説します。立ち退き全体の流れや、訴訟に至る前段階の手続きについては、以下の関連記事もあわせてご覧ください。

1. 交渉決裂後の全体像——内容証明から強制執行(断行)までの5ステップ

交渉がまとまらないとき、明渡しは大きく5つのステップで進みます。いきなり訴訟を起こすのではなく、その前後で内容証明郵便占有移転禁止の仮処分という重要な手続きを挟むのが実務の定石です。まず全体像を時系列で押さえてください。

ステップ内容期間の目安
①内容証明郵便賃料支払いの催告と契約解除、または更新拒絶・解約申入れの意思表示を、証拠の残る形で行う到達まで数日〜2週間程度
②占有移転禁止の仮処分訴訟中に占有者が入れ替わる(第三者へのすり替え)のを防ぐための民事保全手続き申立てから発令まで数日〜2週間程度
③建物明渡請求訴訟物件所在地を管轄する地方裁判所または簡易裁判所へ提訴。未払賃料・賃料相当損害金もあわせて請求おおむね3〜12ヶ月
④判決・和解判決言渡し、または訴訟上の和解(退去期限・立退料・残置物処理などを取り決める)③に含む
⑤強制執行(断行)執行官による明渡しの催告→断行。動産の搬出・保管・廃棄を経て、貸主が占有を回復する申立てから断行まで1〜3ヶ月

全体の期間は、争いの内容や借主の対応によって幅がありますが、内容証明の発送から明渡し完了まで、順調でも半年前後、争いが大きいと1年以上かかることもあります。「一刻も早く取り戻したい」という気持ちは当然ですが、各ステップで証拠と手順を正確に積み上げることが、結果的に最短ルートになります。順序を誤ったり証拠が不足したりすると、振り出しに戻ってかえって長期化するからです。

とくに、当事務所が立ち退き交渉に関与した事案では、相手方が任意交渉の段階で「合意できなければ訴訟に移行する」という見通しを早期に共有しておくことで、かえって現実的な和解条件への歩み寄りが生まれたケースがあります。訴訟・執行という「出口」を正しく理解しておくことは、交渉を有利に運ぶうえでも意味があります。

「交渉が行き詰まった。次にどう動けばいいか」とお考えの方へ

交渉決裂後の進め方は、占有移転禁止の仮処分の要否、訴訟の管轄・訴額、強制執行の費用見込みなど、判断すべき点が多くあります。弁護士法人ブライトでは、現在の状況・証拠から「訴訟・執行まで進んだ場合の期間と費用の見通し」を整理してご説明します。

電話:06-4965-9590(平日9:00〜18:00)
LINEでのご相談も受け付けています。

2. 【ステップ①】内容証明郵便——催告・解除/更新拒絶を「証拠が残る形」で行う

訴訟の前提として、まず契約を終わらせる意思表示を、後で証拠として使える形で行います。これが内容証明郵便(多くは配達証明付き)です。どの理由で明渡しを求めるかによって、内容証明の中身が変わります。

  • 家賃滞納のケース:相当の期間を定めて未払賃料の支払いを求める「催告」を行い、期間内に支払いがなければ契約を解除する旨を通知します(民法541条)。長期・多額の滞納で信頼関係が破壊されている場合は、無催告解除特約に基づく解除が認められることもあります(信頼関係破壊の法理。詳しくは家賃滞納での明渡しの記事をご覧ください)
  • 貸主都合(更新拒絶・解約申入れ)のケース:借地借家法に基づき、期間満了の一定期間前までに更新拒絶の通知を行うなど、法律で定められた時期・方法を守る必要があります。正当事由の有無が後の訴訟の中心争点になります(正当事由の記事を参照)

この段階で、相手方が支払いや退去に応じれば訴訟は不要です。応じない場合に、はじめて次のステップへ進みます。なお、契約書に強制執行認諾文言付きの公正証書がある場合、金銭債権(未払賃料)については訴訟を経ずに差押えができることがあります。ただし、建物の明渡し自体は公正証書では強制執行できず、判決等の債務名義が必要です。この点は誤解が多いため注意が必要です。

3. 【ステップ②】占有移転禁止の仮処分——「占有者すり替え」を防ぐ生命線

明渡し訴訟で見落とされがちですが、実務上きわめて重要なのが占有移転禁止の仮処分(民事保全法に基づく保全処分)です。これは、訴訟の相手方(借主)を被告として勝訴判決を得ても、判決前に占有者が別の人物に入れ替わっていると、その新しい占有者には判決の効力が及ばず、強制執行ができなくなるという問題に備えるための手続きです。

たとえば、訴訟の途中で借主が知人や別会社に部屋を又貸ししたり、名義だけ第三者に変えたりすると、せっかく判決を得ても「判決に書かれた相手とは違う人が住んでいる」として執行が止まってしまいます。これを防ぐのが占有移転禁止の仮処分で、これを得ておくと、その後に占有者が代わっても、原則として元の判決で強制執行を進められるようになります。

  • 申立先:原則として本案訴訟(明渡し訴訟)の管轄裁判所、または物件所在地を管轄する地方裁判所
  • 担保(保証金):仮処分の発令にあたり、裁判所が定める担保金を法務局に供託する必要があります(金額は事案により異なります。後に取り戻せるのが原則です)
  • 必要な場面:占有者が入れ替わるおそれがあるケース(又貸し・反社会的勢力の関与・連絡不通で実態が把握できないケースなど)では、ほぼ必須と考えるべき手続きです

この手続きを省略したために、訴訟の終盤で占有者が入れ替わり、最初からやり直しになってしまう——というのは、明渡し実務で最も避けたい失敗の一つです。占有移転禁止の仮処分を打つべきかどうかの見極めは、弁護士に依頼する大きなメリットの一つといえます。

4. 【ステップ③】建物明渡請求訴訟——管轄・訴額・あわせて請求するもの

交渉がまとまらない以上、明渡しを実現するには判決等の債務名義が欠かせません。そのための裁判が建物明渡請求訴訟です。

(1) どこの裁判所に起こすか(管轄)

建物明渡しは不動産に関する訴えなので、物件の所在地を管轄する裁判所に起こすのが原則です。訴額(後述)に応じて、訴額140万円超は地方裁判所、140万円以下は簡易裁判所が管轄になります。もっとも、不動産に関する訴訟は、訴額が140万円以下であっても地方裁判所に提起することができ(民事訴訟法13条)、実務上も建物明渡し訴訟は地方裁判所に起こされることが多くあります。大阪・関西の物件であれば、大阪地方裁判所や各地の簡易裁判所が窓口になります。

(2) 訴額(訴訟物の価額)の算定

裁判所に納める印紙代は「訴額」をもとに計算します。建物明渡しの訴額は、その建物の価額(固定資産税評価額)の2分の1を基準に算定するのが実務上の取扱いです(土地の明渡しの場合は土地の価額の2分の1)。これに未払賃料などの金銭請求を加えて、最終的な訴額が決まります。訴額が大きいほど印紙代も高くなりますが、明渡しだけであれば、固定資産税評価額の2分の1を基準とするため、不動産の時価に比べると印紙代は抑えられる傾向があります。

(3) 明渡しとあわせて請求するもの

建物明渡請求訴訟では、明渡しだけでなく、次のものをあわせて請求するのが一般的です。

  • 未払賃料:解除・契約終了までに発生した滞納賃料
  • 賃料相当損害金:契約終了後、明渡しが完了するまでの間、借主が建物を占有し続けたことによる損害(おおむね従前賃料と同額で、月額で計算します)。明渡しが長引くほど積み上がるため、必ず請求しておきます
  • 原状回復費用・残置物の処分費用:事案により、別途請求や和解条件として整理します

立ち退き交渉では、残置物の処分費用や明渡し遅延に伴う損害をあらかじめ金額化し、立退料や和解金の増減要素として早期に交渉のテーブルに乗せることが、合意形成の鍵になることがあります。訴訟になった場合も同じ発想で、回収すべき金銭を漏れなく請求の中に組み込むことが大切です。

「訴訟になったらいくらかかるのか」を先に知りたい方へ

印紙代・予納郵券・執行予納金・断行費用・弁護士費用——明渡しの費用は項目が多く、全体像が見えにくいものです。弁護士法人ブライトでは、物件の状況をうかがったうえで、訴訟から強制執行まで進んだ場合の費用と回収見込みを整理してご説明します。

電話:06-4965-9590(平日9:00〜18:00)
LINEでのご相談も受け付けています。

5. 【ステップ④】判決・和解——「出ていく日」と「お金」を確定させる

訴訟は、判決で終わることもあれば、途中で訴訟上の和解がまとまって終わることもあります。明渡し事件では、和解で解決するケースが少なくありません。和解では、退去期限・立退料や和解金の有無・残置物の処理・未払賃料の支払い方法などを、当事者の合意で柔軟に取り決められます。

  • 判決の場合:勝訴すれば「建物を明け渡せ」という判決が得られます。これが強制執行の債務名義になります。相手方が控訴すると、確定までさらに時間がかかります
  • 和解の場合:和解調書も債務名義になります。退去期限を区切ったうえで「期限までに退去しなければ強制執行できる」とする内容にしておけば、万一守られなくても執行に進めます。立退料を支払って円満に退去してもらう設計も可能です(立退料の考え方は立退料の記事を参照)

和解で「いつまでに、どういう条件で出ていくか」が確定し、相手方がそのとおり退去すれば、強制執行は不要です。多くの事案は、ここで実質的に決着します。

6. 【ステップ⑤】強制執行(明渡しの断行)——民事執行法168条の手続き

判決・和解を得てもなお借主が出ていかない場合、いよいよ強制執行(明渡しの断行)に進みます。建物の明渡しの強制執行は民事執行法168条に基づき、裁判所所属の執行官が中心となって行います。お金の差押え(金銭執行)とは手続きがまったく異なる「直接的な明渡し」です。

(1) 明渡しの催告

執行官はまず現地に赴き、明渡しの催告を行います。このとき「いつまでに明け渡さなければ断行する」という断行(強制的な退去)の予定日を告知します。催告から断行までは、通常1ヶ月程度の期間が置かれます。この間に借主が自主的に退去すれば、断行は行われません。

(2) 断行(強制的な明渡しの実行)

予定日になっても明け渡されない場合、執行官が断行を実施します。執行官の指揮のもと、執行補助者(業者)が室内に立ち入り、借主の動産(家具・荷物)を搬出し、貸主が建物の占有を回復します。搬出した動産は、すぐに廃棄できるわけではなく、いったん保管したうえで、法律の定める手続きを経て処分します。借主が立ち会わない場合でも、執行官の権限で建物を解錠して断行が行われます。

このように、強制執行は貸主が自分で荷物を運び出す手続きではなく、執行官という公的な担い手のもとで行われる点が重要です。だからこそ、貸主が自力で鍵を替えたり荷物を運び出したりする「自力救済」は不要であり、かつ法律で禁止されています。手順を踏めば、安全に・確実に明渡しを実現できます。

7. 費用と期間の目安——印紙代・予納金・断行費用・弁護士費用

明渡しは費用項目が多く、全体像が見えにくいものです。代表的な費用を整理します(いずれも事案により変動し、あくまで目安です)。

費用項目内容・目安
印紙代訴額(建物の固定資産税評価額の2分の1+金銭請求額)に応じて算定。明渡し単独であれば比較的抑えられる傾向
予納郵券訴状などの送達に使う郵便切手。数千円程度
仮処分の担保(保証金)占有移転禁止の仮処分を行う場合、裁判所が定める担保金を供託(後に取り戻せるのが原則)
執行予納金(執行官手数料)強制執行を申し立てる際に裁判所へ予納する費用。執行官の手数料等にあてられる
断行費用(運搬・保管・廃棄)執行補助者による動産の搬出・運搬・保管・廃棄の実費。数十万円〜100万円規模になることもあり、まず貸主が立て替えます。荷物の量が多いほど高額になりがち
弁護士費用着手金・報酬金などは事案の難易・請求額により異なります。費用の目安はご相談時にご案内します

とくに注意したいのが断行費用です。これは本来、最終的に借主へ請求できる性質のものですが、借主に資力がない(無資力)ケースでは回収が難しく、貸主の立替えが事実上の最終負担になってしまうこともあります。だからこそ、訴訟・執行まで進める前に、和解での円満退去や、回収見込みを踏まえた費用対効果の検討が重要になります。

期間の目安は、前述のとおり訴訟でおおむね3〜12ヶ月、強制執行で1〜3ヶ月です。占有移転禁止の仮処分を挟む場合や、相手方が争って控訴する場合は、さらに長くなります。「いつ部屋が戻るか」の見通しは、新しい借主の募集計画や資金繰りにも直結するため、早い段階で弁護士に確認しておくことをおすすめします。

強制執行・断行までを見据えたご相談を承ります

「断行費用はどのくらいか」「借主に資力がない場合どうなるのか」「占有移転禁止の仮処分は必要か」——明渡しの最終段階には専門的な判断が必要です。弁護士法人ブライトでは、内容証明から強制執行まで一貫して対応し、損失の長期化を抑えながら確実な明渡しをめざします。

電話:06-4965-9590(平日9:00〜18:00)
LINEでのご相談も受け付けています。

8. 借地のケース——「建物明渡し」ではなく「建物収去土地明渡し」になる

ここまでは、貸主が建物を所有し、それを借主に貸している場面(建物賃貸借)を前提にしてきました。これに対し、地主が土地を貸し、借主(借地人)がその土地の上に自分の建物を建てて所有している場面(借地)では、明渡しの構成が変わります。

  • 建物賃貸借:求めるのは「建物の明渡し」。借主は出ていけばよく、建物自体は貸主のものとして残ります
  • 借地(土地賃貸借):建物は借地人の所有物なので、土地を返してもらうには、建物を取り壊して(収去して)土地を明け渡す必要があります。これを「建物収去土地明渡し」といいます

建物収去土地明渡しの強制執行では、建物の取り壊し(収去)の費用が別途かかり、その額は建物の規模によっては大きくなります。また、借地の場合は借地人に建物を時価で買い取るよう求められる建物買取請求権が問題になることもあり、手続き全体が複雑になりがちです。借地・底地のトラブルの考え方については、クラスターの完全ガイドからたどれる関連記事もあわせてご覧ください。

9. 自力救済は厳禁——必ず法的手続きで進める理由

最後に、改めて強調しておきたいのが自力救済の禁止です。判決前はもちろん、たとえ勝訴判決を得た後であっても、貸主が自分の判断で鍵を交換して締め出す・荷物を運び出す・廃棄する・電気やガスを止めるといった行為は許されていません。明渡しの実現は、必ず執行官による強制執行という手続きを通じて行う必要があります。

自力救済を行うと、借主から損害賠償を請求されたり、不法行為・建造物侵入などの責任を問われたりするおそれがあります。「自分の建物なのだから」という感覚は理解できますが、占有という事実状態は法律で保護されており、その回復は公的手続きによらなければなりません。遠回りに見えても、内容証明→(仮処分)→訴訟→強制執行という正攻法こそが、最も安全で確実な道です。

10. 関連情報——立ち退き・不動産トラブルの全体像

明渡し訴訟と強制執行は、立ち退き・不動産トラブルの「出口」にあたる手続きです。交渉や解除の前段階を含む全体像については、以下もあわせてご覧ください。

11. よくある質問(FAQ)

Q1. 交渉が決裂したら、すぐに強制執行できますか?

いいえ。強制執行(明渡しの断行)には、判決や訴訟上の和解調書などの「債務名義」が必要です。交渉が決裂しても、まずは内容証明での催告・解除等を行い、建物明渡請求訴訟を経て債務名義を得たうえで、はじめて強制執行に進めます。いきなり鍵を替えて締め出すなどの自力救済は法律で禁止されています。

Q2. 明渡し訴訟はどのくらいの期間がかかりますか?

事案によりますが、訴訟でおおむね3〜12ヶ月、その後の強制執行で1〜3ヶ月が一つの目安です。相手方が出廷せず争わない場合は比較的早く進み、正当事由などで激しく争われる場合や控訴された場合は長くなります。占有移転禁止の仮処分を挟む場合は、その分の期間も加わります。

Q3. 占有移転禁止の仮処分は必ず必要ですか?

すべての事案で必須というわけではありませんが、訴訟中に占有者が入れ替わるおそれがあるケース(又貸し・名義変更・連絡不通で実態が把握できないケースなど)では、ほぼ必須と考えるべき手続きです。これを怠ると、勝訴判決を得ても新しい占有者に執行できず、最初からやり直しになるリスクがあります。要否の判断は弁護士にご相談ください。

Q4. 断行(強制執行)の費用は誰が負担しますか?

動産の搬出・運搬・保管・廃棄にかかる断行費用は、まず貸主がいったん立て替えます(数十万円〜100万円規模になることもあります)。本来は借主に請求できる費用ですが、借主に資力がない場合は回収が難しく、結果として貸主の負担になってしまうこともあります。費用対効果を踏まえ、和解での円満退去も含めて方針を検討することが大切です。

Q5. 強制執行認諾文言付きの公正証書があれば、訴訟なしで追い出せますか?

公正証書の強制執行認諾文言で訴訟なしに強制執行できるのは、原則として「金銭の支払い」(未払賃料など)に限られます。建物の明渡し自体は、公正証書では強制執行できず、判決等の債務名義が必要です。「公正証書があるから訴訟は不要」と考えるのは誤りですので、注意してください。

Q6. 借主が建物を所有している借地の場合は、手続きが違いますか?

はい。地主が土地を貸し、借地人がその上に自分の建物を所有している場合は、「建物明渡し」ではなく「建物収去土地明渡し」になります。土地を返してもらうために建物を取り壊す必要があり、収去(取り壊し)の費用が別途かかります。建物買取請求権が問題になることもあり、建物賃貸借よりも手続きが複雑になりがちです。

Q7. 明渡しまでの間の家賃(損害)も取り戻せますか?

はい。契約終了後、明渡しが完了するまでの間に借主が建物を占有し続けたことによる損害は、「賃料相当損害金」として請求できます。通常は従前の賃料と同額で月額計算します。未払賃料とあわせて訴訟の中で請求するのが一般的です。明渡しが長引くほど積み上がるため、請求から漏らさないことが大切です。

立ち退き交渉が決裂し、訴訟・強制執行をお考えの貸主・地主の方へ

「何度交渉してもまとまらない」「滞納が続き、連絡も取れない」「占有者がすり替わりそうで不安」「訴訟・執行までの期間と費用が知りたい」——貸主・地主の立場でのご相談を承っています。現在の状況・証拠を整理し、占有移転禁止の仮処分の要否から、訴訟・強制執行(断行)までの見通しを具体的にご説明します。初回相談の費用については、お問い合わせ時にご確認ください。

電話:06-4965-9590(平日9:00〜18:00)
LINEでのご相談も受け付けています。大阪・関西の不動産トラブルに対応します。

監修者情報

監修:弁護士法人ブライト 代表弁護士 和氣 良浩

大阪弁護士会所属。2006年弁護士登録(修習59期)。企業法務・不動産・相続を中心に20年以上の実務経験を持つ。「みんなの法務部」として中小企業・オーナー経営者の法的リスク対応をサポート。契約企業130社以上(実名公開)。

弁護士法人ブライト
〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満2-6-8 堂島ビルヂング823号室
電話:06-4965-9590(平日9:00〜18:00)

本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、特定の案件に対する法律上のアドバイスではありません。具体的な事情については弁護士にご相談ください。

関連記事・サービス

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。

事務所概要

事務所名 弁護士法人 ブライト(大阪弁護士会所属)
開 業 平成21年(代表弁護士独立開業)
設 立 平成24年11月設立、平成27年1月に法人化
所在地 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎2丁目6番6号 コウヅキキャピタルウエスト12階
TEL 0120-931-501(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
事業内容 法人向け(法律顧問・顧問サービス、不動産を巡るトラブル、M&A・事業承継、私的整理・破産・民事再生等、不動産を巡るトラブル、不動産を巡るトラブル、不動産を巡るトラブル、不動産を巡るトラブル、不動産を巡るトラブル、IT関連のご相談、不動産を巡るトラブルなど)、個人向け(不動産を巡るトラブル・労災事故を中心とした損害賠償請求事件、債務整理・破産・再生等、相続、離婚・財産分与等、財産管理等に関する対応、不動産の明渡し等を巡る問題など)

お問い合わせ

CONTACT

弁護士法人 ブライトへの法律相談、
メディア出演依頼・取材に関する
お問い合わせはこちら

お電話での
お問い合わせ

TEL:06-4965-9590

※受付時間 9:00-18:00

※無料相談は、事前のヒアリング内容をもとに対応可否を判断させていただく場合がございます。お力になれないと判断した場合は、相談をお断りすることがございますので、あらかじめご了承ください。

法務ドックで経営が変わる

あなたの会社を法的トラブルから守る
弁護士法人ブライト (著)
多くの企業は法的トラブルを未然に防ぐ対策を講じておらず、顧問弁護士も不在です。本書では「法務ドック」を活用し、リスク回避を図る「みんなの法務部」を提案します。
多くの企業は法的トラブルを未然に防ぐ対策を講じておらず、顧問弁護士も不在です。本書では「法務ドック」を活用し、リスク回避を図る「みんなの法務部」を提案します。

顧問弁護士

経営者のための弁護士「活用」バイブル
弁護士法人ブライト (著)
顧問弁護士はトラブル対応だけでなく契約書作成など実務も担う身近な存在となりました。本書では顧問弁護士の活用メリット、自社に合う選び方、法的リスクのマネジメントについて解説します。
顧問弁護士はトラブル対応だけでなく契約書作成など実務も担う身近な存在となりました。本書では顧問弁護士の活用メリット、自社に合う選び方、法的リスクのマネジメントについて解説します。