この記事の結論(先に要点)
- 事業用賃貸借契約は、結んだ後で「読めば不利だった」と気づくことが多く、トラブルは契約書を交わす前の段階でほぼ決まっています。
- 出店・移転・更新・増床のたびに「契約書を弁護士に見せる」習慣を持つことが、事業を守る最大の予防策です。
- スポット(単発)依頼でも対応はできますが、顧問契約なら、その都度の発注・見積取得の手間なく、すぐに契約書レビューを依頼しやすくなります。
- 顧問契約の効果は賃貸借にとどまりません。取引基本契約・労務・債権回収・クレーム対応まで横断的に相談しやすくなります。
- 顧問料の額や費用対効果は事務所・契約内容により異なります。まずは自社の状況に合うかをご相談ください。
1. 事業用賃貸のトラブルは「契約を結んだ後」では取り返しにくい
オフィス・店舗・飲食店を借りるとき、賃貸借契約書は貸主(またはPM会社・仲介)が用意した雛形で提示されるのが通常です。
借主側は「条件はだいたい聞いているし、契約書は形式的なもの」と考え、内容を精査しないまま署名・押印してしまいがちです。
しかし、事業用賃貸借契約のトラブルの多くは、契約書に書かれていた(あるいは書かれていなかった)ことから生じます。
- 退去時に高額な原状回復費用を請求された → 原状回復特約の文言が借主に不利だった
- 数年で賃料を大幅に増額された → 賃料改定条項の作り方に問題があった
- 中途解約したいのに多額の違約金を求められた → 解約予告・違約金条項を見落としていた
- 連帯保証人(個人)に想定外の重い責任が及んだ → 極度額の定めや根保証の理解が不十分だった
これらは、契約を交わした後に交渉で覆すのは容易ではありません。 だからこそ、トラブルは「起きてから対応する」のではなく「契約前に潰す」のが鉄則です。
(賃貸借トラブル全体の見取り図は【関連記事:事業用賃貸借契約トラブル総まとめ(ピラー)】をご覧ください。)
2. 「契約書チェックを継続的に受ける」ことが予防法務の核心
予防法務とは、紛争が起きる前に、契約・書面・運用を整えてリスクを抑えておく取り組みです。
事業用賃貸において、その中心になるのが契約書の事前レビューです。
2-1. 賃貸借契約の節目は何度もやってくる
事業を続ければ、契約に手を入れる場面は繰り返し訪れます。
| 場面 | 確認したいポイント(例) |
| 新規出店 | 原状回復・解約・賃料改定・保証の各条項、用途制限、競業 |
| 移転 | 旧物件の解約条件、新物件の入居前条件、二重賃料の期間 |
| 契約更新 | 更新料、賃料改定の有無、条件変更の妥当性 |
| 増床・区画変更 | 追加区画の条件、既存契約との整合、保証範囲の拡大 |
こうした節目ごとに「結ぶ前にもう一度プロの目を通す」ことで、不利な条項を事前に発見・修正しやすくなります。
(具体的な確認項目は【関連記事:事業用賃貸借契約 締結前のチェックポイント】【関連記事:賃貸借契約書レビューチェックリスト】で整理しています。)
2-2. 一度きりの確認では足りない
契約書の雛形は貸主ごとに違い、法改正や相場の変化も起こります。
「以前チェックしたから大丈夫」とは限りません。節目のたびに継続的に確認できる体制こそが、予防効果を高めます。
3. スポット依頼と顧問契約の違い — なぜ「継続」なのか
単発(スポット)でも契約書チェックは依頼できます。実際、初めてのご相談はスポットから始まる方がほとんどです。
ただし、契約書を見せる機会が繰り返しある事業者にとっては、顧問契約のほうが相性が良い場面が多くあります。
3-1. 依頼の「立ち上がり」が速くなりやすい
スポットだと、案件のたびに事務所探し・見積取得・委任手続から始める必要があります。
顧問契約では、事業内容や過去の契約を把握した弁護士に、メールや電話ですぐ相談しやすくなります。出店スケジュールがタイトな賃貸借では、このスピードが効きます。
3-2. 「相談のハードル」が下がり、早期相談につながりやすい
スポットだと「この程度で頼んでよいか」「費用がいくらかかるか」と迷い、相談が後回しになりがちです。
顧問契約なら、ちょっとした疑問でも気軽に相談しやすくなり、結果としてトラブルを早い段階で潰しやすくなります。予防法務は早ければ早いほど選択肢が広がります。
3-3. コストの見通しが立てやすい
そのうえで一般論として、顧問契約は月額の範囲で一定の相談・レビューに対応する設計が多く、案件ごとに都度見積もる方式に比べ、費用の予測が立てやすいという特徴があります。自社の相談頻度に合うかどうかは、相談頻度の見込みを踏まえてご検討ください。
4. 効果は賃貸借にとどまらない — 横断的に相談しやすくなる
賃貸借契約をきっかけに顧問契約を結ぶと、事業全般の法務を同じ弁護士に相談しやすくなります。事業者が直面しやすい主な領域は次のとおりです。
- 取引基本契約・業務委託契約:仕入先・取引先との契約書レビュー、不利な条項の修正
- 労務:就業規則・雇用契約、残業・ハラスメントなど労務トラブルの予防
- 債権回収:売掛金・未収金の回収、内容証明や法的手続の検討
- クレーム・トラブル対応:顧客・近隣・SNS等の対応方針の相談
自社の事業を理解した弁護士に窓口を一本化できると、領域をまたぐ相談もスムーズになりやすく、判断のブレも抑えやすくなります。
5. 複数店舗・多拠点ほど、契約管理の価値は大きくなる
店舗や拠点が増えるほど、賃貸借契約の数も増え、契約条件・更新時期・原状回復の取り決めを社内だけで把握し続けるのは難しくなります。
- 物件ごとに契約条件がバラバラで、どこが不利か分からない
- 更新時期・解約予告期限を見落とし、不利な自動更新や違約金が発生する
- 拡大局面で契約書の質を一定に保てない
顧問弁護士が継続的に関与していれば、新規契約を同じ基準でチェックし、節目を見据えた助言を受けやすくなります。多拠点展開を進める事業者ほど、契約管理を仕組みとして持つ意味が大きくなります。
6. こんな事業者の方は、顧問契約のご検討をおすすめします
- これから出店・移転・増床の予定があり、契約書チェックを繰り返し受けたい
- 過去に原状回復や賃料・立ち退きでもめた経験があり、再発を防ぎたい
- 連帯保証・個人保証の条項が自社にとって妥当か、継続的に確認したい
- 賃貸借に限らず、取引・労務・債権回収まで気軽に相談できる窓口がほしい
- 複数店舗・多拠点を展開しており、契約管理の質を一定に保ちたい
(個別論点は【関連記事:連帯保証の極度額(個人根保証)】【関連記事:賃料改定・増額請求への対応】【関連記事:立ち退き・更新拒絶への対応】もあわせてご覧ください。)
よくある質問(FAQ)
Q. まずは1件だけ契約書を見てほしいのですが、顧問契約は必須ですか?
A. いいえ。単発(スポット)での契約書チェックも承っています。実際にご利用いただいたうえで、相談の頻度が多そうであれば顧問契約への切り替えをご検討いただく流れでも構いません。
Q. 顧問料はいくらですか?費用に見合いますか?
A. 顧問料の額や料金体系はご契約内容によって異なります。 相談頻度や事業規模をお伺いし、自社に合う形をご提案します。「必ずお得」と一律に申し上げることはできませんので、まずは見通しをご相談ください。
Q. 賃貸借以外のことも相談できますか?
A. はい。取引基本契約・労務・債権回収・クレーム対応など、事業に関わる法務を横断的にご相談いただけます。窓口を一本化できる点が顧問契約のメリットです。
賃貸借契約を「結ぶ前」に、継続的なチェック体制を|弁護士法人ブライト
事業用賃貸のトラブルは、契約書を交わす前の段階でほとんど決まります。
出店・移転・更新・増床のたびにプロの目を通す習慣を持つことが、最も確実な予防策です。
弁護士法人ブライトは、オフィス・店舗・飲食店の事業用賃貸借契約に注力し、契約書レビューから交渉、トラブル対応まで一貫して対応しています。単発のご相談はもちろん、継続的に契約書チェックを受けられる顧問契約まで、事業の規模・相談頻度に合わせてご提案します。
「この契約書、結んで大丈夫か」——その一件のご相談から始められます。まずはお気軽にお問い合わせください。
| 事務所 | 弁護士法人ブライト(担当弁護士:和氣 良浩) |
| 所在地 | 〒530-0057 大阪市北区曽根崎2-6-6 コウヅキキャピタルウエスト12階 |
| TEL | 06-4965-9590 |
| FAX | 06-6366-8771 |
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本記事は一般的な法律情報の提供を目的とするものであり、個別の事案については弁護士にご相談ください。






