【執筆】松本 洋明 弁護士(弁護士登録2010年・修習63期・交通事故主任)
【監修】和氣 良浩 弁護士(弁護士法人ブライト代表)
この記事のポイント
- 保険会社の提示額は弁護士基準の半額以下になることが多い
- 示談書にサインすると原則として後から増額できない
- 「早く解決しましょう」は保険会社に有利な誘導の可能性がある
- 弁護士に依頼することで2〜3倍の増額が見込めるケースがある
保険会社の提示額はなぜ低いのか
交通事故で家族を亡くした遺族のもとに、加害者側の任意保険会社から「示談の提示」が届くことがあります。この提示額は多くの場合、裁判所が認める基準(弁護士基準・裁判基準)よりも大幅に低い金額です。
理由は明確です。保険会社は自社の支払い基準(任意保険基準)で計算しており、この基準は裁判で認められる弁護士基準とは異なります。死亡慰謝料だけで比較すると以下のとおりです。
| 項目 | 任意保険基準(目安) | 弁護士基準(目安) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 死亡慰謝料 | 800〜1,500万円 | 2,000〜2,800万円 | 1,000〜1,300万円以上 |
| 近親者固有慰謝料 | 計上なしも多い | 100〜500万円 | 全額が追加 |
| 弁護士費用相当額 | 計上なし | 損害額の10%程度 | 数百万円が追加 |
| 遅延損害金 | 計上なしが多い | 年3%・事故日から | 数十〜数百万円が追加 |
ブライトが取り扱った実案件では、相手方任意保険未加入でも判決総額約8,400万円+遅延損害金を獲得しました。保険会社の当初提示とは2〜3倍の差が生じたケースもあります。
示談書にサインするとなぜ後から変更できないのか
示談は民法上の「和解契約」(民法695条・696条)です。当事者双方が合意して締結すると、その後に事情が変わっても原則として蒸し返しができません(既判力に準じた確定効)。
具体的には次のような場面で問題が生じます。
- 示談後に後遺症が重篤化した(死亡前に受傷していた場合)
- 示談後に相続関係の調査が進み、慰謝料が低すぎたと判明した
- 弁護士に相談したら逸失利益の計算が誤っていたと判明した
一部の例外(詐欺・錯誤・重大な勘違いがあった場合等)を除き、示談書の内容を後から覆すことは非常に困難です。
「早期解決」を勧められたときの対処法
保険会社の担当者が「早く解決しましょう」「今なら上乗せします」と言ってくることがあります。これは保険会社にとって早期解決がコスト面で有利だからです。遺族にとって急ぐ理由は何もありません。
対処法は以下のとおりです。
- 回答を保留する:「弁護士に相談してから返答します」と伝えれば問題ありません
- 書面での提示を求める:口頭での話を証拠に残すために書面で提示させる
- すぐに弁護士に相談する:電話1本で相談できるので、その場でサインしない
和解か判決か|遅延損害金・弁護士費用が争点になる
訴訟まで進んだ場合、「和解で解決するか、判決まで争うか」という選択に直面します。ブライトの実案件でこの判断が明暗を分けた例があります。
バイク右直事故で20代女性が死亡したケースでは、裁判所から和解案が提示されましたが、和解だと遅延損害金・弁護士費用が削られるため、弁護士が判決取得を選択しました。結果として判決総額約8,400万円+遅延損害金の全額が認められました。
一方、70代女性の横断歩道死亡事故では、裁判所の和解案(4,700万円)が当初見込み3,000〜4,000万円を上回る内容だったため、依頼者の同意を得て和解を選択しました。
和解か判決かは、加害者の資力・事案の争点・証拠の強弱・遺族の精神的負担等を総合的に判断する必要があります。弁護士なしで判断するのは困難です。
弁護士費用特約の活用|実質自己負担ゼロ
自動車保険に「弁護士費用特約」が付いている場合、弁護士費用300万円まで保険でカバーされます。死亡事故では弁護士費用が特約の上限内に収まることも多く、遺族の実質的な自己負担がゼロになるケースがあります。
特約がない場合も、ブライトでは着手金0円・完全成功報酬制での対応が可能です。費用の心配なく相談できます。
実際の増額事例(匿名・金額レンジ表示)
ブライトが取り扱った死亡事故案件での増額実績(抽象化・匿名化済):
- 20代女性(右直事故):保険会社当初提示→判決取得で約8,400万円(遅延損害金別)
- 70代女性(横断歩道死亡):当初見込み3,000〜4,000万円→和解で4,700万円(当初見込みを1,700万円上回る)
- 60代男性(通勤中死亡):年収600万円で総額約5,300万円の試算(弁護士基準で再算定)
内部リンク
よくある質問(FAQ)
Q1. 保険会社の担当者に「これが上限です」と言われたら?
保険会社の「上限」は任意保険基準の上限であり、弁護士基準の上限ではありません。弁護士が交渉・訴訟に移行することで、さらに増額できる可能性があります。
Q2. サインしてしまった後でも相談できますか?
示談成立後の増額は原則困難ですが、詐欺・錯誤等の場合は例外があります。まず弁護士に相談してください。なお、まだサインしていない場合は今すぐ相談することを強くお勧めします。
Q3. 弁護士を立てると保険会社との関係が悪くなりませんか?
なりません。弁護士を立てることは遺族の正当な権利です。弁護士が窓口になることで、かえって交渉が円滑に進むことが多いです。
Q4. 死亡後いつまでに弁護士に相談すればいいですか?
できるだけ早いほど望ましいですが、時効(2020年4月以降の事故は5年)の範囲内であれば相談可能です。ただし証拠が消えたり、保険会社との交渉が進んでしまう前に相談することをお勧めします。
Q5. 示談交渉と訴訟、どちらが有利ですか?
一概には言えません。示談は解決が早く精神的負担が少ない反面、弁護士費用・遅延損害金が削られることが多いです。訴訟は時間はかかりますが、全損害の完全認定が見込めます。弁護士が案件の状況を見て判断します。
Q6. 交渉中に保険会社から電話が来た場合はどうすれば?
弁護士を立てた後は、すべての連絡を弁護士経由にするよう保険会社に通知できます。それ以降は保険会社が直接遺族に連絡することはなくなります。
まとめ
死亡事故の示談は、一度サインすると原則として変更できません。保険会社の提示額は弁護士基準より大幅に低い場合が多く、弁護士に依頼することで数百万〜数千万円の増額が見込めます。「早期解決」の誘導には乗らず、まず弁護士に無料相談することが最善の選択です。
示談前に必ずご相談を|無料・秘密厳守
弁護士法人ブライト|交通事故専門チーム(松本洋明弁護士・和氣良浩代表)
受付:平日9:00〜18:00(土日祝も電話可)
LINEでの相談も可能です
※着手金0円・完全成功報酬制。弁護士費用特約対応。




