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交通事故の基礎知識

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後遺障害9級の慰謝料相場|逸失利益・等級が争われるケースと弁護士基準

この記事の執筆弁護士

弁護士 松本 洋明(まつもと ひろあき)

弁護士登録2010年・修習63期・交通事故チーム主任

監修弁護士

弁護士 和氣 良浩(わけ よしひろ)

弁護士法人ブライト 代表弁護士

この記事のポイント

  • 後遺障害9級の慰謝料は自賠責基準616万円・弁護士(裁判)基準690万円
  • 逸失利益は労働能力喪失率35%・就労可能年数までが認められるため、賠償総額が2,000万〜5,000万円超になるケースも多い
  • 9級は複数の後遺障害が「併合」して認定されるケースが多く、等級設定の根拠が争点になりやすい
  • 外貌醜状9級では逸失利益ゼロを主張される場合があり、弁護士による対抗主張が不可欠
  • 着手金0円・完全成功報酬制で依頼可

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後遺障害9級とはどのような等級か

後遺障害9級は、自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づく後遺障害等級表の中で、比較的重い部類に入ります。1〜14級の中では上から9番目で、労働能力喪失率35%が設定されており、賠償総額が数千万円規模になるケースも多くあります。

9級に該当する主な号と内容は以下のとおりです。

号数 内容 代表的な傷病・状態
9級1号 両眼の視力が0.6以下になったもの 眼球外傷後の視力低下
9級7号 1上肢に偽関節を残すもの 上腕骨・橈骨骨折後の骨癒合不全(偽関節)
9級10号 1下肢に偽関節を残すもの 大腿骨・脛骨骨折後の骨癒合不全(偽関節)
9級11号 身体の露出面に手のひら大以上の醜状を残すもの(外貌醜状) 顔面・頸部・手の醜状瘢痕(女性は7級2号の可能性あり)
9級16号 通常の労務に服することはできるが、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの(高次脳機能障害) 脳挫傷後の認知・記憶・注意・遂行機能障害

交通事故で9級が問題になるのは「複数の後遺障害が残り、併合等級が9級になる」ケースか、「骨折後の偽関節」「外貌醜状」「高次脳機能障害の一部」などが単独で9級に認定されるケースです。

後遺障害9級の慰謝料相場|3基準の比較

後遺障害9級の慰謝料を3基準で比較します。

※「自賠責基準」の金額は自賠責保険が支払う損害賠償(慰謝料・逸失利益等)の支払い上限額です。実務上この上限額が保険会社の初回提示の目安として機能することが多いです。

基準 後遺障害損害賠償の目安 特徴
自賠責基準(支払い上限額) 616万円 法定の支払い上限。慰謝料・逸失利益等を含む損害全体の上限
任意保険基準 616万〜640万円程度 保険会社独自基準。自賠責基準とほぼ同等
弁護士(裁判)基準 後遺障害慰謝料690万円+逸失利益 後遺障害慰謝料690万円に逸失利益を別途計算(民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準)

弁護士基準では後遺障害慰謝料690万円に逸失利益が加わるため、自賠責上限616万円と比べると総額で数千万円の差が生まれます。9級案件では慰謝料よりも逸失利益の交渉が主戦場です。

入通院慰謝料の相場(弁護士基準)

9級が認定される案件は重傷(骨折・脳外傷など)が多く、入院期間が長くなる傾向があります。

入院期間 通院期間 弁護士基準(別表Ⅰ)
3ヶ月 6ヶ月 242万円
4ヶ月 6ヶ月 265万円
6ヶ月 6ヶ月 300万円

逸失利益の計算と相場(9級の場合)

後遺障害9級の労働能力喪失率は35%。逸失利益の計算式は以下のとおりです。

逸失利益 = 基礎収入 × 労働能力喪失率(35%)× ライプニッツ係数(就労可能年数)

9級の逸失利益は、年収・年齢次第で数千万円規模に達します。

※ライプニッツ係数は改正民法3%基準(2020年4月以降の事故)

年齢・年収 逸失利益(就労可能年数まで)
30代・年収400万円 約3,009万円(35年・係数21.4872)
40代・年収500万円 約3,208万円(27年・係数18.3270)
50代・年収600万円 約2,762万円(17年・係数13.1661)
一人親方・年収450万円(30代) 約3,385万円(35年・係数21.4872)

ブライトが経験した案件では、骨盤骨折・大腿骨骨折後に12級が認定されたケースで、弁護士が「労働能力喪失率を10級相当(27%)へ引き上げ」「喪失期間を就労可能年数まで」と主張し、訴訟・和解で賠償総額が2,000万円台を超えた事例があります(Slack実案件より抽象化・匿名化済)。等級そのものだけでなく、喪失率・喪失期間の主張が重要です。

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弁護士介入で変わる示談総額の全体像

後遺障害9級(骨折後偽関節・40代・年収500万円・入院3ヶ月通院6ヶ月)の典型例で示談前後を比較します。

損害項目 保険会社提示(自賠責基準) 弁護士交渉後(弁護士基準)
入通院慰謝料 約100万円 約242万円
後遺障害慰謝料 616万円 690万円
逸失利益(10年→27年・年収500万円・3%ライプニッツ) 約1,530万円(10年・係数8.7521) 約3,208万円(27年・係数18.3270)
合計 約2,346万円 約4,140万円

差額は約1,794万円。弁護士費用(成功報酬)を差し引いても、手取りが大幅に増えます。弁護士費用特約があれば被害者負担ゼロです。

等級が9級で争われやすいケース

1. 偽関節(骨癒合不全)での9級認定

大腿骨・上腕骨などの長管骨で骨折後に骨が癒合せず「偽関節」が残ると、9級7号・9級10号の対象になります。ブライトが経験した大腿骨開放骨折の案件では、当初自賠責認定14級9号に対し、CT画像で骨癒合不全を新たに証明して訴訟・異議申立で8級〜9級への格上げを主張した事例があります(Slack実案件より抽象化・匿名化済)。「骨はついた」という医師の説明だけを鵜呑みにせず、CT画像による骨癒合状態の確認が重要です。

2. 外貌醜状9級と逸失利益ゼロ問題

顔・頸部・手など露出部に醜状瘢痕が残った場合に9級11号が認定されますが、保険会社・裁判所が「逸失利益ゼロ(労働能力喪失なし)」と判断するケースが多いのが問題です。

ブライトが経験した18歳のアルバイト(ゲーム業界志望)の外貌醜状9級案件では、裁判所が「逸失利益ゼロ・過失割合20%」の和解案を提示。依頼者側弁護士は「醜状障害の逸失利益を9〜14%で認めさせ、喪失期間を67歳まで」と主張し、和解案を受諾せず判決・控訴方針を選択した事例があります(Slack実案件より抽象化・匿名化済)。外貌醜状9級の場合、弁護士が対抗主張することで逸失利益を認めさせる可能性があります。

3. 高次脳機能障害9級16号の認定

高次脳機能障害が比較的軽い場合(通常の労務は可能だが職種範囲が制限される)に9級16号が認定されます。この場合も逸失利益の基礎収入・喪失率・喪失期間が争われます。一人親方の場合は収入立証(確定申告書と実態の差)が特に重要なポイントです。

4. 複数部位の後遺障害が併合して9級になるケース

例えば12級+12級(各部位の障害)が組み合わさり、併合9級が認定されることがあります。この場合、各障害に対応する損害を適切に積み上げることが必要です。骨盤骨折で腹部臓器損傷が加わるなど、複数の障害を抱える案件ではブライトのような総合的な対応が重要です(人工肛門造設・鎖骨骨折の案件で併合11級から逸失利益・休損・付添看護費を積み上げた事例を参照:匿名化済)。

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隣接等級との賠償額の差

9級前後の等級で慰謝料・逸失利益がどう変わるかを確認しておくことが重要です。

等級 後遺障害慰謝料(弁護士基準) 労働能力喪失率
10級 550万円 27%
9級 690万円(+140万円) 35%(+8%)
8級 830万円(+140万円) 45%(+10%)
7級 1,000万円(+170万円) 56%(+11%)

等級が1つ変わるだけで慰謝料で140万円、逸失利益でさらに数百万円の差が生まれます。初期認定に不服がある場合は、異議申立の検討価値があります。

素因減額への対処

既往症(脊柱管狭窄症・変形性関節症・後縦靱帯骨化症など)がある場合、保険会社は素因減額(例:損害の20〜30%を差し引く)を主張することがあります。ブライトが経験したバス事故の案件では、OPLL(後縦靱帯骨化症)・DISHがある被害者に対し「骨折を伴う本件は既往症の影響が限定的」と主張し、素因減額を最小化した実績があります(Slack実案件より抽象化・匿名化済)。弁護士が適切な反論をすることで、素因減額の幅を抑制できます。

消滅時効(2020年改正民法)

2020年4月1日以降の事故は改正民法724条の2が適用されます。

  • 傷害分:事故発生日から5年(人身傷害)
  • 後遺障害分:症状固定日から5年
  • 物損:3年(改正対象外)

後遺障害9級が認定される重傷案件では、治療・入院期間が長くなりがちです。症状固定後は速やかに弁護士に相談し、時効を意識した対応が必要です。

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よくある疑問(FAQ)

Q1. 後遺障害9級の認定を受けるには何が必要ですか?

認定事由によって異なります。偽関節(9級7・10号)はX線・CT画像で骨癒合不全の証明が必要。外貌醜状(9級11号)は醜状の大きさ・部位が要件(手のひら大以上・露出面)。高次脳機能障害(9級16号)は脳画像(MRI・CT)+神経心理検査(MMSE・WMS-R等)+日常生活・就労への影響の証拠が必要です。

Q2. 外貌醜状9級で逸失利益がゼロと言われました。増額できますか?

対抗主張の余地があります。特に対人業務・外見が関係する職業(サービス業・接客・エンタメ系など)では、逸失利益を認める判断が出ることがあります。ブライトでも外貌醜状9級の案件で「醜状障害の逸失利益を9〜14%で認めさせる」主張を展開した事例があります。弁護士に相談してください。

Q3. 高次脳機能障害で等級認定に不服がある場合はどうすればいいですか?

異議申立が有効な場合があります。特に初回申請時に神経心理検査の資料が不足していたケース、職場・家庭での行動変容の記録が不十分だったケースでは、追加資料を整えて異議申立を行うことで等級が上がることがあります。詳しくは高次脳機能障害の後遺障害認定解説もご参照ください。

Q4. 9級の示談交渉は保険会社と直接できますか?

法的には可能ですが、逸失利益が数千万円規模になる9級案件で保険会社と直接交渉するのは、専門知識の差から不利になる可能性が高いです。弁護士費用特約があれば費用ゼロで弁護士に依頼できます。特約がない場合も着手金ゼロ・成功報酬制での依頼が可能です。

Q5. 通勤中の事故で9級が認定されました。労災保険と自賠責の両方を使えますか?

はい。通勤災害として労災保険(障害給付・休業補償)と相手方への損害賠償(自賠責・任意保険)の双方が適用できます。給付の調整(填補)関係がありますが、弁護士が適切に整理することで受取総額を最大化できます。詳しくは後遺障害認定の基礎知識もご参照ください。

Q6. 自賠責保険の上限(4,000万円)を超えた場合はどうなりますか?

自賠責保険の支払限度額は後遺障害の場合は等級ごとに定められており、9級では616万円が上限です。これを超える損害は相手方の任意保険または相手方本人への直接請求(訴訟)によって回収します。任意保険が無い・不足する場合は、自分の人身傷害保険を活用する方法もあります。

Q7. 一人親方が後遺障害9級を取得した場合の逸失利益はどう計算しますか?

基礎収入は確定申告書の所得金額が基本ですが、経費計上額が大きく実態と乖離している場合は、実際の支払明細書・取引先の証明書などを用いて実収入を立証する方法があります。ブライトでは、確定申告ベースと支払明細書ベースの複数パターンを試算し、最も有利な基礎収入で主張した事例があります(Slack実案件より抽象化・匿名化済)。

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まとめ

後遺障害9級の慰謝料は自賠責基準616万円・弁護士基準690万円。賠償総額の核心は逸失利益(労働能力喪失率35%・就労可能年数まで)で、年齢・収入によっては2,000万〜3,000万円超に達します。

9級案件で特に注意すべきなのは「外貌醜状9級の逸失利益ゼロ問題」「偽関節の画像立証」「複数障害の併合主張」「素因減額への対抗」の4点です。いずれも弁護士が適切に主張・立証しなければ大きな損失につながります。

弁護士法人ブライトの交通事故チームは、松本洋明弁護士(修習63期・登録2010年)を主任として、重傷後遺障害案件を多数手がけています。着手金0円・完全成功報酬制ですので、まずはお気軽にご相談ください。

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  • この記事を書いた人

代表弁護士:和氣 良浩

弁護士法人ブライト代表弁護士: 2006年に独立開業してから交通事故被害の回復に努めてきました。これまで1000件を超える交通事故を解決して参りましたが、被害者が低い賠償金で納得させられているケースをたくさん見てきました。 一人でも多くの被害者が適切な補償を受けられるように情報発信を行っています。

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。

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交通事故担当弁護士

  • 代表弁護士 和氣良浩

    代表弁護士 和氣良浩
             

事務所概要

事務所名 弁護士法人 ブライト(大阪弁護士会所属)
開 業 平成21年(代表弁護士独立開業)
設 立 平成24年11月設立、平成27年1月に法人化
所在地 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎2丁目6番6号 コウヅキキャピタルウエスト12階
TEL 0120-931-501(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
事業内容 法人向け(法律顧問・顧問サービス、経営権紛争、M&A・事業承継、私的整理・破産・民事再生等、契約交渉・契約書作成等、売掛金等の債権保全・回収、経営相談、訴訟等の裁判手続対応、従業員等に関する対応、IT関連のご相談、不動産を巡るトラブルなど)、個人向け(交通事故・労災事故を中心とした損害賠償請求事件、債務整理・破産・再生等、相続、離婚・財産分与等、財産管理等に関する対応、不動産の明渡し等を巡る問題など)

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