監修:和氣 良浩(わけ よしひろ) 弁護士法人ブライト|代表弁護士|大阪弁護士会 大阪で長年にわたり、中小企業の企業法務・顧問弁護士サービスを提供。顧問先130社以上に透明性の高いリーガルサポートを実践している。 「今月末には必ず払います」。取引先から同じ言葉を聞くのは、これで三度目——。 売掛金や請負代金の支払期日が過ぎ、督促のたびに相手は「払う意思はある」と言う。けれども入金はない。強く出れば取引関係が壊れるかもしれない。相手の資金繰りにとどめを刺してしまうかもしれない。かといって待ち続けて回収できなくなれば、傷むのは自社の資金繰りです。この板挟みで消耗している経営者・経理責任者は、決して少数派ではありません。 結論から言います。「この相手を信用してよいか」を気持ちで決めるのをやめることです。決めるべきなのは相手の誠意ではなく、申し出の種類と、応じてよい条件。この記事では、債務者からの申し出を5つの類型に分け、それぞれ「何を判断材料にし、どの条件が揃えば応じてよいのか」を整理します。大阪の中小企業から実際に寄せられる回収相談の中で、弁護士法人ブライトが下してきた判断をもとにした、会社側(債権者側)のための基準です。 結論|申し出は5類型に分け、判断材料は「担保・書面・入金実績」の3つだけ まず、自社の状況がどれかを決める 相手からの申し出は、次の5つのどれかにほぼ収まります。自社が受け取っている申し出がどれかを決めれば、今日やるべきことが決まります。 類型 相手の申し出 判断材料にすべきもの 応じてよい条件 条件が揃わないときにやること A 「今月末には払います」(口約束) 入金の事実だけ 猶予するとしても、督促・法的手続の準備と並行する場合に限る 手続を止めない。入金実績を記録し、支払予告を書面で出させる B 「和解したい」「減額してほしい」 減額の根拠資料と、執行力のある書面・担保 金額の根拠が資料で示され、かつ公正証書か担保がセットのとき 根拠のない和解案は時間稼ぎと推定し、法的手続へ切り替える C 「担保(仮差押え)を外してほしい」 代替担保があるかどうか 同等以上の代替担保(連帯保証・別の担保)とセットのときだけ 外さない。支払いが始まった原因が担保にあるなら維持する D 猶予要請が続き、資料要求に態度を硬化 態度の変化そのもの 返済原資と期日を書面で示し、担保を付けられるときだけ 交渉終了のシグナル。資産の存在を確認したうえで保全へ E 「破産するかもしれない」 相手にキャッシュ・資産があるか 自社単独の判断で強硬手段に出ない 待つのも危険。証憑を揃え、二段構えの設計を弁護士と組む 判断材料にしてよいのは、担保・執行力のある書面・入金実績の3つだけです。「誠意」「これまでの付き合い」「相手の口ぶり」は、どれも判断材料になりません。 その申し出に応じてよいか、判断の線引きからご相談ください 弁護士法人ブライトは、法務部がない会社の「外部法務部」です。顧問先130社以上を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが、大阪の中小企業に伴走します。 外部法務部サービス(みんなの法務部プラン)を見る 相談する(0120-929-739) ※本記事で紹介する事例は、いずれも守秘義務に配慮して金額・時期・当事者の属性を加工しています。回収できるかどうか、どの程度回収できるかは、相手方の資産状況や証拠の有無など個別の事情によって異なり、同じ結果をお約束するものではありません。 待っている間に進む「3つの時計」 「もう少し様子を見よう」という判断は、何もしない判断ではありません。待っている間、3つの時計が同時に進みます。 時効の時計:売掛金などの債権は、権利を行使できることを知った時から原則5年で時効にかかります(民法166条1項1号)。起算点の判断は取引形態によって変わるため、期日から漫然と数年が経っている場合は放置しないことです。 財産の時計:相手の預金は日々出入りし、不動産の名義は動きます。担保のない状態で待つほど、差押えの対象は減っていきます。 他の債権者の時計:同じ相手に債権を持っているのは自社だけではありません。先に債務名義(判決や公正証書など)を取った債権者から順に、残った財産に手をつけていきます。 「待つこと自体にコストがある」——これが、申し出への返事を気持ちで決めてはいけない最大の理由です。 実は、約束が守られるかどうかは「約束に形があるか」で決まる 実は、支払いの約束が守られるかどうかは、相手の誠意よりも「約束に形があるか」でほぼ決まります——これは弁護士法人ブライトが顧問先の回収相談で繰り返し見てきた実感です。誠意があっても形のない約束は破られ、誠意が感じられなくても担保のある約束は履行される。この非情に見える経験則を出発点にすると、判断はずっと軽くなります。 類型A|「今月末には払います」——口約束は入金だけで評価する なぜ「入金の事実」しか見ないのか 口約束は、相手にとってコストがゼロです。電話で一言「払います」と言えば、その日の督促は止まります。だから何度でも出せる。そして期日は「今月末」から「来月頭」へ、そして「入金があり次第」へと、少しずつ後ろへ動いていきます。 ここで見るべきなのは、言葉の真剣さではなく約束と入金のズレの履歴です。3回約束して3回とも入金がなかったなら、4回目の約束の価値も同じだと考えるのが実務的です。 実際の判断|「支払われたら取り下げる」と返した例 弁護士法人ブライトが扱った貸金の回収では、相手が音信不通になったところから手続を始め、判決を得て執行の段階まで進みました。この段階で相手方から出てきたのが、次の2つの申し出です。 「残額を払うから、差押えを取り下げてほしい」→ 回答は「支払われたら取り下げます」。順番を逆にしない。 「月末に払う」→ 回答は「支払っていただけると考えられないので、取り立ては進めます」。 結果として、預金と給与の差押えにより、500万円台の貸付が遅延損害金を含めて600万円台の回収に至りました(受任から約2年・結果は個別の事情により異なります)。相手の言葉ではなく入金だけを判断材料にし、手続を止めなかったことが結果を分けています。 この例は債権者が個人事業主のケースですが、法人が売掛金を回収する場合も構造は同じです。ただし会社を相手にするときは、預金・売掛金といった法人の資産を先に押さえるのが原則です。給与の差押えは、代表者が個人保証をしている場合のサブシナリオと考えてください(相手の生活や信用への影響が大きく、感情的な反発を招きやすいためです)。 今日やること 入金実績を記録する:約束の日付・約束された金額・実際の入金日・実際の入金額を1枚の表にする。これが「待つ/待たない」を決める唯一の客観データになります。 支払予告を書面で出させる:メールでも構いません。債務を認めた事実が残ることには、時効の更新(民法152条1項)という意味もあります。口頭のやり取りは、後で「言った・言わない」になります。 督促と法的手続の準備は止めない:猶予に応じると決めた場合でも、書面の作り方次第でリスクは大きく変わります。合意書の具体的な作り方は支払猶予を求められたときの対応|合意書の作り方にまとめています。 類型B|「和解したい・減額してほしい」——根拠と担保が揃わなければ時間稼ぎ なぜ「金額の根拠」を先に求めるのか 減額に応じることは、債権の一部を放棄することです。放棄する以上、なぜその金額なら払えるのかの説明が要ります。試算表、資金繰り表、他の債権者への支払状況——根拠が資料で出てくるなら、検討する価値があります。 逆に、金額の根拠を最後まで示さない和解案は、実務上「時間稼ぎ」と推定して扱うのが安全です。交渉のテーブルに座っている間、相手は督促からも手続からも解放されるからです。 判断材料になる「書面」とならない「書面」 ここで多くの会社が取り違えるのが、「書面をもらったから安心」という誤解です。判断材料になる書面は、次の2種類に限られます。 区分 書面の種類 できること 判断材料になる 強制執行認諾文言付きの公正証書(執行証書) 約束が破られたとき、訴訟を経ずに差押えへ進める(民事執行法22条5号) 判断材料になる 担保設定契約書(不動産への抵当権設定、連帯保証、債権譲渡担保など) 相手が倒れても、その担保から優先的に回収できる可能性が残る 判断材料にならない 念書・覚書・支払確認書 訴訟での証拠にはなるが、それ自体では差押えができない 「念書を書くので待ってください」は、頻出の引き延ばしパターンです。念書の作成に2週間、内容の調整にさらに2週間——そうして1か月が過ぎます。単なる念書だけで猶予期間を与えることは、相手に時間を渡し、自社は何も得ていない状態だと理解しておく必要があります。 実際の判断|「相殺する形なら和解したい」を時間稼ぎと見切った例 顧問先の企業が、取引先から300万円台の売掛金を支払ってもらえなくなった案件があります。弁護士法人ブライトは訴訟の前に相手方の銀行口座を仮差押えし、そのうえで訴訟を提起しました。 相手方の対応は、理由の分からない請求棄却の答弁から始まり、期日調整への非協力、そして期日直前の欠席と続きました。あわせて出てきたのが「不利益分を相殺する形なら和解したい」という書面です。ただし相殺したいという不利益の金額は、最後まで主張も立証もされませんでした。 ここで「金額の根拠のない和解案は時間稼ぎ」と見切り、裁判所に経緯を具体的に説明して、速やかな判決を求めました。「期日が延びている間に相手が破産してしまえば、勝っても回収できない」という時間リスクの認識が、この判断を動かしています。結果は請求の全額認容判決。先に打っておいた仮差押えを本差押えにつなぎ、預金差押えと供託金の配当により、遅延損害金を含めた回収に至りました(受任から1年あまり・結果は個別の事情により異なります)。 今日やること 減額の根拠資料(試算表・資金繰り表・他の債権者への支払状況)を、期限を切って求める。 出てきた場合は、公正証書か担保とセットにできるかを確認する。セットにできないなら、和解の実益は小さい。 期限までに根拠が出てこなければ、交渉を続けない。どの手続に進むかの選択肢は内容証明・仮差押え・支払督促・強制執行の選び方で整理しています。 類型C|「担保(仮差押え)を外してほしい」——代替担保なしには応じない なぜ担保を外してはいけないのか 考えるべき問いは1つです。「相手が今、払えているのはなぜか」。 仮差押えをしてから急に分割払いが始まったのなら、支払いの原因は担保にあります。原因を取り除けば、結果も消えます。担保を外した瞬間に不動産の名義が動いたり、口座の資金が移されたりすれば、その後の回収手段は事実上なくなります。 担保を外す・和解に応じる前に、一度ご相談ください 弁護士法人ブライトは、法務部がない会社の「外部法務部」です。顧問先130社以上を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが、大阪の中小企業に伴走します。 外部法務部サービスを見る 相談する(0120-929-739) 実際の判断|第三者経由で「取り下げてあげては」と打診された例 次の例は債権者が個人(貸主の遺族)のケースですが、売掛金回収のために設定した担保を外させようとする債務者企業のケースでも構造は同じです。 事業資金として数千万円規模を貸し付けた相手が返済を止め、音信不通になりました。任意の交渉には一切応じません。そこで相手方が所有する不動産の仮差押えを実行したところ、そこで初めて毎月の分割返済が始まりました。 しばらくして、第三者を介して「仮差押えを取り下げてあげてはどうか」という打診が入ります。弁護士法人ブライトは、依頼者に次の2点を具体的に説明しました。 担保を外せば名義が移転し、回収が不能になりうること 取り下げても、依頼者側に得られるメリットが現状と比べて何もないこと そのうえで代替案(連帯保証を付ける、第三者の立替払いを求める)も並べ、依頼者が冷静に判断できる材料を揃えました。最終的には依頼者の意思を確認したうえで和解による中途終結となり、分割返済による回収を積み上げたうえで、供託していた担保金も取り戻して終結しました(結果は個別の事情により異なります)。 今日やること 紙に1行で書く:「相手が今払っている原因は何か」。担保だと書けるなら、外す選択肢は原則ありません。 取り下げの見返りを確認する。「取引を続けてくれる」という約束だけなら、それは代替担保ではありません。 応じるとしても、同等以上の代替担保とセットにする。順番は「代替担保の設定が完了してから取り下げ」です。 類型D|猶予要請が続き、資料要求に態度を硬化——交渉終了のシグナル 4つのシグナルが出たら、交渉で得られるものはほぼない 交渉を打ち切る判断は、感情ではなくシグナルで決められます。実務でくり返し現れるのは、次の4つです。 資金繰りを理由とする支払猶予の要請が、繰り返される 連帯保証の追加や、資料の提出を求めると態度を硬化させる こちらの交渉態度を「威圧的だ」「一方的だ」と非難し始める いったん合意した内容の効力を争うと言い出す とくに4つ目は決定的です。合意済みの内容を蒸し返し始めたということは、交渉によって新しい約束を作っても、同じように蒸し返されるということだからです。ここから先、交渉のテーブルで得られるものはほとんど残っていません。 条件が揃わないときに何が起きるか この状態で交渉を続けると、その間に相手の資産は動きます。とくに不動産は、名義を移すのに時間がかかりません。「もう一度だけ話し合ってみよう」を3回繰り返した結果、押さえるべき資産が残っていなかった——というのは、回収の現場でよく起こることです。 今日やること 資産の存在を確認する:相手方の住所の不動産登記を取り寄せ、必要に応じて固定資産税の評価証明まで取る。保全(仮差押え)は、資産の存在確認とセットで初めて意味を持ちます。 資産が確認できたら、保全と本手続の順番を決める。手続ごとの向き・不向きは内容証明・仮差押え・支払督促・強制執行の選び方を参照してください。 例外を1つだけ覚えておく:相手が具体的な返済原資(資産の売却代金など)と期日を書面で示す場合に限り、担保を付けたうえで待つ選択が残ります。 類型E|「破産するかもしれない」——待つのも、焦って回収するのも危ない 待つのは最悪手。だが強硬回収も後で取り返される この局面はいちばん判断が難しいところです。整理すると、危険は2方向にあります。 方向①:待つ危険。相手が破産すれば、債権は配当の対象になり、回収できるのは債権額のごく一部になるのが通常です。何もしないまま破産開始を迎えるのは、選択肢を自ら失う行為です。 方向②:焦って強硬回収する危険。他社に先駆けて回収できたとしても、その後に相手が破産すると、特定の債権者だけを優遇した弁済(偏頗弁済)として、破産管財人から返還を求められることがあります(破産法162条の偏頗行為否認)。倒産の局面では「早い者勝ち」が成立しません。加えて、仮差押えによる口座凍結が相手の資金繰りを止め、倒産の引き金を引いてしまうこともあります。 実際の判断|あえて強硬手段を打たなかった例 顧問先の企業が、取引先に対する商品代金200万円台の未払いに直面した案件があります。相手方の資金繰りが急激に悪化している兆候がありました。 ヒアリングで「相手にキャッシュがない」と判明した時点で、弁護士法人ブライトは強硬手段を打たない判断に切り替えました。依頼者が当初望んでいた強硬策について、リスクを一つずつ具体的に説明しています。 キャッシュのない相手に電話・書面を重ねても、回収は生まれない 他社に先駆けて回収できても、その後に倒産すれば払戻しを求められうる 仮差押えによる口座凍結が、倒産の引き金を引く可能性がある 相手方の破産申立て準備が判明した後は、「債権届を出して配当を待つ」方針へ即座に切り替えました。個別の回収は断念し、この案件の回収額は0円です。それでも依頼者は、リスクの説明に納得したうえで自ら方針を決めることができました。回収できないケースこそ、判断の根拠が残っているかどうかが効いてきます。 「どちらに転んでも権利を失わない」二段構えを組む 相手が破産するかどうかが読めない局面では、両にらみの手続を並行させるのが実務の設計です。 破産する場合に備える動き:債権届出の準備。契約書・注文書・納品書・請求書といった証憑を、債権1件ごとに揃えておく。 破産しない場合に備える動き:債務名義(判決、仮執行宣言付支払督促、公正証書など)の確保。破産しなかったときに、すぐ執行へ進める状態を作っておく。 あわせて、費用倒れを避けるために手続の範囲を段階で区切る設計も有効です。たとえば最初は支払督促と一審までに限定し、財産開示や強制執行に進むかどうかは、その時点の情報で改めて決める。費用の考え方は債権回収を弁護士に依頼する費用で整理しています。 今日やること 証憑を債権1件ごとに揃える(契約書・注文書・納品書・検収書・請求書・督促の履歴)。破産に転んでも転ばなくても、この作業は無駄になりません。 自社単独で強硬手段に出る前に相談する。どの手段が「後で取り返されない形」なのかは、相手の状況によって変わります。 相手が「破産するかも」と言い出したときの動き方を設計します 弁護士法人ブライトは、法務部がない会社の「外部法務部」です。顧問先130社以上を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが、大阪の中小企業に伴走します。 外部法務部サービスを見る 相談する(0120-929-739) 「信用するか」を問うのをやめる——条件を切ることは、相手のためにもなる ここまで読んで、「取引先に対して冷たすぎるのではないか」と感じた方もいるかもしれません。実務の実感は逆です。 「誠意を見せてほしい」と言われた相手は、何をすればいいのか分かりません。だから、とりあえず「払う意思はあります」と言うしかない。一方で「◯月◯日までに◯円、遅れる場合は◯◯を担保に入れる」と条件が示されれば、相手は何をすればいいのかが分かります。条件が明確なほど、相手も動きやすくなる。これが、条件を切ることが取引関係を長持ちさせる技術でもある理由です。 顧問先130社以上の回収相談を通じて見えてくるのは、支払いが始まるか止まるかの分かれ目が、債務者の誠意ではなく「担保と手続の有無」に表れるという一点です。「信用するかどうか」という答えの出ない問いを、「どの条件が揃ったら応じ、揃わなければ何をするか」という設計の問いに置き換える。それだけで、夜に一人で抱え込む時間は小さくできます。 今日から自社でできること 受け取っている申し出が、A〜Eのどれかを判定する。 支払予告を書面(メール可)で出してもらう。 約束と入金のズレを記録する表を作り、更新し続ける。 ここから先は個別判断になります 一方で、「どの条件なら応じてよいか」の線引きそのものは、一般論では決められません。担保としてどの種類・どの金額・どの期限なら妥当かは、債権額、手元にある証拠、相手の資産状況、その取引を続ける価値によって変わります。同じ「担保を外してほしい」でも、答えが正反対になることがあります。 この線引きこそが個別判断です。弁護士法人ブライトは大阪で中小企業の企業法務を担う外部法務部サービスとして、回収の手続に入る前の「応じるか・応じないか」の判断から関わっています。判断の材料が足りないまま待ち続けている状態が一番危ないので、迷った段階でご相談ください。関連するテーマは企業法務トップにまとめています。 よくある質問 「払う意思はある」と言われて待っていた期間は、時効に影響しますか? 相手が債務の存在を認めた事実(債務の承認)があれば、時効が更新されることがあります(民法152条1項)。ただし口頭でのやり取りは、後から立証するのが難しいのが実情です。メールや書面など形の残る方法で「いくらを、いつまでに支払う」と表明してもらってください。売掛金などは権利を行使できることを知った時から原則5年で時効にかかります(民法166条1項1号)。個別の起算点や更新の有無は事情によって変わるため、期日から年単位で経っている場合は早めに弁護士へご確認ください。 数十万円の債権でも、弁護士に相談する意味はありますか? あります。金額が小さいほど、どの手続を選ぶかで結果が変わるためです。内容証明で足りるのか、支払督促や少額訴訟が向くのか、そもそも回収見込みが薄く損切りすべきかは、相手の資産状況によって答えが変わります。手続ごとの向き・不向きは「内容証明・仮差押え・支払督促・強制執行の選び方」、費用と回収見込みの比較の考え方は「債権回収を弁護士に依頼する費用」の記事で整理しています。 取引を続けたい相手に法的な手続をとると、関係は壊れますか? 条件を明示することと、取引を続けることは両立します。実務では、担保や書面を整えたうえで取引を継続する例もあります。むしろ曖昧なまま督促だけを繰り返すほうが、担当者同士の感情がこじれやすい傾向があります。関係を続けたい相手ほど、「何をすれば正常な取引に戻れるのか」を具体的な条件で示すことが有効です。 相手が「弁護士に依頼した」と言ってきたら、どうすればよいですか? 代理人が就いた後は、原則として本人への直接の連絡を控え、窓口を代理人に一本化するのが実務です。自社側も代理人を立てて交渉の記録を残す形にしたほうが、後の手続がスムーズになります。相手方の代理人から示された和解案についても、判断の基準はこの記事の類型Bと同じで、金額の根拠と担保・書面の有無で評価してください。 大阪で相談する場合、何を準備していけばよいですか? 契約書・注文書・納品書・検収書・請求書といった債権の証憑、督促のやり取り(メール・書面・通話の記録)、そして約束と入金のズレが分かる入金実績の記録があると、初回の相談で方針まで踏み込めます。相手方の商業登記や、判明していれば取引銀行の情報も有用です。弁護士法人ブライトは大阪の中小企業の外部法務部として、資料が完全に揃っていない段階からのご相談も受けています。 大阪の中小企業の債権回収を、判断の段階から支えます 弁護士法人ブライトは、法務部がない会社の「外部法務部」です。顧問先130社以上を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが、大阪の中小企業に伴走します。なお、初回のご相談は無料です。 外部法務部サービスを見る 相談する(0120-929-739)