この記事の監修者 和氣 良浩(わけ よしひろ) 弁護士法人ブライト|代表弁護士/パートナー弁護士 /大阪弁護士会/大阪大学法学部卒 注力分野:顧問弁護士・企業法務・M&A・経営権紛争・事業再生 顧問契約 141社 / 企業法務部の弁護士歴平均14年以上 / 大阪・全国対応 経験豊富な専属チームが、貴社の"法務部"になります 弁護士法人ブライトの「みんなの法務部」は、契約書・債権回収・労務トラブル・M&Aまで伴走支援します。 📄 法務チェックリスト 無料ダウンロード ▲ M&A・契約・労務の必須チェック項目をPDFで配布中 ▶ 顧問契約・スポット相談はこちら 📞 06-4965-9590💬 LINE相談 平日 9:00-18:00(TEL)/ LINE 24時間受付 📋 この記事の法律問題について、顧問弁護士に相談しませんか? 弁護士法人ブライトは大阪の中小企業の外部法務部として、継続的に法務課題をサポートします。顧問先141社・企業法務部の弁護士歴平均14年以上。 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 無料で相談する(お問い合わせ) 結論から言うと、ネット上の風評被害への法的対応は「①投稿の削除請求」「②発信者の特定(発信者情報開示)」「③損害賠償請求・刑事告訴」の3本柱です。権利侵害が明らかな投稿は、仮処分などの法的手続により削除が認められる場合があります。さらに2025年4月施行の情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)により、大手SNS・掲示板等は削除申出への対応体制の整備と、原則14日以内の判断通知が義務付けられ、削除請求の実務は大きく前進しました。本記事では、3つの法的手段の進め方・費用感・かかる期間と、法的手段と並行して行うSEO面の対策までを、大阪の弁護士法人ブライト(顧問先141社・企業法務部の弁護士歴平均14年以上)が解説します。 📌 この記事でわかること 風評被害への法的手段3本柱(削除請求・発信者情報開示・損害賠償)の進め方と期間 2025年4月施行「情プラ法」で大手SNSの削除対応がどう変わったか Googleの口コミ・転職口コミサイト・SNS別の対応の考え方 逆SEO・評判管理など、法的手段と並行して行う対策 弁護士とWeb業者(風評対策業者)の役割分担・使い分け 風評被害対策の全体像|法的手段とSEO対策の使い分け 風評被害対策は、大きく「法的手段」と「Web上の評判管理(SEO対策等)」に分かれます。それぞれ目的と効果が異なるため、被害の内容に応じて組み合わせるのが基本です。 手段 目的 期間の目安 向いているケース 削除請求(任意交渉・ガイドライン通報) 投稿そのものの削除 数日〜1か月程度 規約違反が明確な投稿・情プラ法対象の大手プラットフォーム 削除の仮処分(裁判手続) 投稿そのものの削除 1〜2か月程度で削除が実現するケースも 虚偽の摘示による名誉毀損が明白で、任意の削除に応じない場合 発信者情報開示命令 匿名の投稿者の特定 数週間〜数か月 損害賠償請求・再発防止まで行いたい場合 損害賠償請求・刑事告訴 金銭賠償・制裁・抑止 数か月〜1年超 売上減少など実害が生じている場合・悪質な場合 SEO対策・逆SEO・評判管理 ネガティブ情報の露出低下 数か月〜(継続的) 削除が法的に難しい投稿・検索結果全体の改善 まずは風評被害の基礎から確認し、そのうえで法的手段の具体的な進め方を見ていきます。すでに被害が発生している方は、削除請求の章からお読みください。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ 弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先141社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。 法務チェックリスト 無料ダウンロード 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 06-4965-9590(みんなの法務部)LINE相談(無料) 風評被害とは? 現代における風評被害は、インターネットやSNSの普及により、かつてないスピードと規模で広がる深刻な問題となっています。さらに、匿名性の高い投稿が多く、発信者特定が困難であるため、被害を受けた側は対応に苦労するケースが多々あります。 企業としては、誤った情報への迅速な対応や正しい情報発信に加え、従業員への研修やリスク管理の強化が求められます。 風評被害の定義と影響 風評被害とは、事実に基づかない噂や不確かな情報が広まることで、個人や企業、地域などが経済的・社会的な損害を被る現象を指します。 企業にとって風評被害は、単なる評判の悪化に留まりません。具体的には、以下のような多岐にわたる悪影響が考えられます。 1.リピーターやリードの減少 顧客が自社の商品やサービスを避け、競合他社へと流れることで、売上や市場シェアが減少します。マイナスの口コミは顧客の購買意欲を著しく低下させる要因となります。 2.信頼やブランドイメージの失墜 長年かけて築き上げてきた企業の信頼やブランドイメージが損なわれ、取引先との関係悪化や契約解除に繋がる可能性もあります。 3.従業員の士気低下 根拠のない悪評は、従業員のモチベーションや企業への帰属意識を低下させ、休職や離職を引き起こす可能性があります。 4.採用の機会損失 就職活動者は企業の評判を事前に調査することが一般的であり、風評被害は優秀な人材の獲得を困難にする要因となります。 5.株価の下落 上場企業の場合、ネガティブな情報は株価に影響を与え、企業価値を毀損する可能性があります。 デジタル化が進んだ現代において、SNSをはじめとするインターネット上の情報は拡散力が強く、一度広がった風評を完全に打ち消すことは容易ではありません。 風評被害の原因と事例 風評被害の根本的な原因は、「不正確な情報の発信と拡散」にあります。かつてはテレビや新聞などのマスメディアが主な情報源でしたが、現代においては、SNS、掲示板、口コミサイト、個人のブログなど、あらゆるインターネット媒体が風評の発信源となり得ます。 誰もが情報発信者になり得る現代において、意図しない誤解や悪意のある中傷が、瞬く間に広範囲へと拡散していくリスクが高まっているのです。 東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター長の関谷直也氏が提唱する風評被害のメカニズムは、以下の3段階で進行するとされています。 1.集合的増幅 社会全体に不安や不信感が広がり、不確かな情報が拡散され始める段階。 2.組織的増幅 少数の意見が過剰に増幅され、負のスパイラルが生じる段階。 3.自己成就 根拠のない噂が人々の間で事実として認識され、定着してしまう段階。 過去には、以下のような事例が風評被害によって企業に深刻な影響を与えました。 原因 影響 事例1 製品不良 一つの製品や原材料に関する問題が、他の製品や企業全体の信頼を揺るがし、「原材料偽装」などといった事実無根の疑念を招く。 事例2 金融機関の信用不安、取り付け騒ぎ デマ情報がSNS等で拡散され、預金者の不安を煽り、経営危機に陥る。 事例3 従業員のSNSの不適切投稿 従業員の個人的な投稿が企業のコンプライアンス意識を疑わせ、ブランドイメージを大きく損なう。 事例4 経営者の噂 経営者に関する根拠のない情報が企業のイメージを低下させ、取引や採用に悪影響を及ぼす。 事例5 コロナ禍における企業名・商品名への風評被害 新型コロナウイルスの感染拡大期に、商品名や企業名に「コロナ」という文言が含まれるだけで、実際には無関係であるにもかかわらず、買い控えや誤解が生じる。 事例6 東日本大震災後の福島県産品への風評被害 原子力発電所事故の影響により、安全性に問題のない食品までもが買い控えの対象となり、経済的な損害が発生する。 これらの事例からも明らかなように、風評被害は業種や規模を問わず、あらゆる企業にとって潜在的なリスクであり、適切な対策を講じることが不可欠です。 【法的手段1】投稿の削除請求|任意交渉から仮処分まで 風評被害への最も直接的な対応が、問題となる投稿・記事・口コミの削除請求です。削除請求には段階があり、コストの低い順に検討するのが実務の基本です。 STEP1:サイト内の通報・削除依頼フォームの利用 Google・X(旧Twitter)・各種口コミサイトなどの多くは、規約違反・権利侵害の通報窓口を設けています。投稿がプラットフォームのポリシー(なりすまし・嫌がらせ・虚偽情報など)に明確に違反している場合、通報のみで削除される場合があります。費用がかからない一方、判断基準は各社の運用に委ねられるため、削除されないことも少なくありません。 STEP2:送信防止措置依頼(プロバイダへの法的根拠を示した削除依頼) サイト管理者・サーバー運営者に対し、権利侵害の根拠(どの投稿が・どの事実摘示により・どのように名誉権等を侵害するか)を特定した書面で削除を依頼する方法です。弁護士名で法的根拠を整理して送付することで、任意の削除に応じてもらえる場合があります。後述の情プラ法により、大手プラットフォームはこの申出への対応体制の整備が義務付けられました。 STEP3:削除の仮処分(裁判手続) 任意の削除に応じない場合は、人格権(名誉権)に基づく差止請求として、投稿削除の仮処分(民事保全法23条2項)を申し立てます。名誉毀損性と保全の必要性が疎明されれば、訴訟よりも短期間で削除が認められる場合があり、1〜2か月程度で削除が実現するケースもあります。 削除が認められるかどうかの判断枠組み すべてのネガティブな投稿が削除できるわけではありません。裁判所は概ね次の観点で判断します。 社会的評価の低下:投稿が企業・個人の社会的評価を低下させるものか 事実の摘示か、意見・論評か:「料理がまずい」のような主観的評価は意見・論評として許容されやすく、「産地を偽装している」のような具体的事実の摘示は、真実でなければ違法と判断されやすい 公共性・公益目的・真実性:公共の利害に関する事実を公益目的で摘示し、内容が真実(または真実と信じる相当な理由がある)場合は違法性が否定される したがって、「事実無根の具体的な事実を書かれた」ケースは削除が認められやすく、単なる低評価・感想は法的削除が難しいため、後述のSEO対策・評判管理で対応する、という切り分けになります。 【法的手段2】発信者情報開示|匿名の投稿者を特定する 損害賠償請求や刑事告訴を行うには、匿名の投稿者を特定する必要があります。2022年10月施行の改正により、従来の2段階の裁判手続(コンテンツプロバイダへのIPアドレス開示請求→アクセスプロバイダへの契約者情報開示請求)に加えて、1つの非訟手続で一体的に審理される「発信者情報開示命令」制度が新設され、迅速化が図られました。開示により、投稿者の氏名・住所等の契約者情報を取得できる場合があります。 開示の要件:権利侵害の明白性(名誉毀損の成立が明らかで、違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情がないこと)+開示を受ける正当な理由(損害賠償請求の準備など) 期間の目安:開示命令制度では数週間〜数か月程度で開示に至る場合があります(争われる場合はより長期化します) 最大の注意点=ログの保存期間:アクセスプロバイダの通信ログは一般に3〜6か月程度で消去されるため、投稿を発見したらすぐに証拠保全(URL・スクリーンショット・投稿日時)と開示手続の検討に着手することが重要です 【法的手段3】損害賠償請求・刑事告訴 民事上の損害賠償請求 発信者を特定できたら、不法行為(民法709条・710条)に基づき損害賠償を請求できる場合があります。企業の場合、虚偽の投稿により売上・取引が現実に減少したときは、因果関係を立証できる範囲で逸失利益の賠償を求めることも考えられます。無形損害(社会的信用の毀損)や、調査・特定に要した費用、弁護士費用の一部が損害として認められる場合もあります。あわせて、名誉回復措置(民法723条)として謝罪広告等を求める方法もあります。 刑事告訴 悪質な投稿は刑事責任の対象にもなり得ます。具体的な事実を摘示して名誉を毀損した場合は名誉毀損罪(刑法230条)、事実の摘示がなくても公然と侮辱した場合は侮辱罪(刑法231条・2022年の法改正で法定刑が引き上げ)、虚偽の風説の流布により信用を毀損し又は業務を妨害した場合は信用毀損罪・偽計業務妨害罪(刑法233条)が問題になります。刑事告訴の可能性を示すことが、任意の削除・示談の交渉材料になる場合もあります。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ 弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先141社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。 法務チェックリスト 無料ダウンロード 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 06-4965-9590(みんなの法務部)LINE相談(無料) 【2025年4月施行】情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)で削除対応が変わった プロバイダ責任制限法は2024年の改正で「情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)」に改称され、2025年4月1日に施行されました。総務大臣が指定する大規模なSNS・掲示板等(大規模特定電気通信役務提供者)には、次の義務が課されています。 削除申出窓口・手続の整備と公表:被害者が削除を申し出るための窓口を分かりやすく公表すること 調査義務・専門員の選任:申出を受けた投稿について権利侵害の該当性を調査し、十分な知識経験を有する侵害情報調査専門員を選任すること 原則14日以内の判断通知:削除申出に対し、原則として14日以内に削除するかどうかの判断結果を申出者に通知すること 削除基準の策定・公表:削除基準を定めて公表し、削除した場合は発信者に通知すること 従来は「削除依頼を送っても返答すらない」ことが珍しくありませんでしたが、情プラ法の施行後は、大手プラットフォームに対する削除申出には期限のある応答義務が生じています。もっとも、同法はプラットフォームに削除義務そのものを課すものではなく、削除するかどうかの判断は各社の削除基準・権利侵害性の判断に委ねられるため、申出書面で権利侵害を的確に構成できるかが引き続き結果を左右します。 実務上よく問題になるポイント|弁護士が現場で直面する論点 当事務所が顧問先等から受ける相談では、次のような点が実務上よく問題になります。 複数媒体への同時拡散:Webメディア・X・YouTube・まとめサイト等に同時多発的に投稿された場合、すべてを一度に潰そうとするのではなく、拡散力・検索露出・立証のしやすさから優先順位を付け、費用対効果を設計することが最初の課題になります。 プラットフォーム側の反論:X社・Google社などに削除の仮処分を申し立てると、大手法律事務所を代理人として「投稿者と直接解決すべきで、プラットフォームに削除を求める保全の必要性がない」「全世界向けの削除は技術的にできない(日本向けに限定すべき)」といった反論がなされることがあり、これを見越した申立ての組み立てが必要です。 「争いのない部分」の切り分け:投稿の一部にでも真実が含まれると反真実性の立証が難しくなるため、争いのない投稿は任意削除で先行させ、争いのある投稿だけを裁判手続に乗せる、といった進め方が有効な場合があります。 開示請求の予告による任意削除:発信者情報開示請求に進む姿勢を示すだけで、投稿者が投稿を自主的に削除する場合もあります。 いずれも、初動での証拠保全(スクリーンショット・URL・投稿日時・魚拓)を済ませているかどうかで、その後に取り得る選択肢が変わります。風評被害・誹謗中傷は役員や従業員の不正・内部告発と絡んで発生することも多く、その場合は顧問弁護士サービス「みんなの法務部」による継続的な体制整備と一体で対応することをおすすめします。 🛡️ 風評の発生源が「社内」にあるケースも少なくありません 退職者・従業員による内部情報の暴露、横領・不正発覚時の情報流出など、風評被害は企業不正と表裏一体で発生します。不正調査・証拠保全・懲戒・刑事告訴まで含めた対応は、企業不正対策の特設ページで解説しています。 企業不正対策の特設ページを見る 弁護士とWeb業者(風評対策業者)の役割分担 風評被害対策をうたう業者は多数ありますが、削除請求・発信者情報開示などの法的手続を業として代理できるのは弁護士だけです(弁護士法72条)。弁護士資格のない業者による「削除代行」は非弁行為として違法となるおそれがあり、依頼した企業側もトラブルに巻き込まれる可能性があります。 担い手 担当領域 弁護士 削除請求(送信防止措置依頼・仮処分)/発信者情報開示/損害賠償請求・刑事告訴/再発防止の社内体制整備 Web業者(SEO・評判管理) モニタリング/自社サイト・公式情報のSEO強化/逆SEO(適法な手法に限る)/MEO・レビュー運用 「法的に削除を求めるべき投稿」と「検索結果の改善で対応する投稿」の切り分け自体が法的判断を含むため、まず弁護士に相談して全体方針を立て、Web施策を並行させる進め方が安全です。 風評被害対策の基本 風評被害から企業を守るためには、早期の検知と対策が非常に重要であり、そのためには基本的な対策をしっかりと理解し、実行することが不可欠です。 以下に、風評被害対策の基本的な考え方を解説します。 透明性の確保と情報発信 風評被害が発生した場合、あるいはその兆候が見られた場合の最も重要な対応の一つが、透明性の確保と迅速かつ正確な情報発信です。不確かな情報が拡散するのを防ぎ、誤解を解くためには、企業自身が積極的に正しい情報を発信する必要があります。 具体的には、以下のような対応が考えられます。 1.公式声明や訂正の発表 事実に基づかない情報に対しては、速やかに公式サイトや公式SNSアカウントを通じて、正確な情報を発信し、誤解を解く声明や訂正を発表します。 2.積極的な情報公開 製品やサービスに関する情報をオープンにし、顧客の疑問や不安に真摯に答える姿勢を示します。 3.質疑応答の実施 顧客やステークホルダーからの質問や意見に対して、誠実かつ丁寧に対応します。 透明性の高い情報発信は、風評被害の拡大を食い止めるとともに、企業の誠実な姿勢を示すことで、信頼回復にも繋がります。 評判管理とSNS活用 インターネット上の評判を積極的に管理し、SNSを効果的に活用することも、風評被害対策の重要な要素です。 1.評判のモニタリング 自社に関するインターネット上の言及(SNSの投稿、掲示板の書き込み、レビューサイトの評価など)を継続的に監視し、ネガティブな情報や風評の兆候を早期に発見します。専門のツールやサービスを活用することも有効です。 2.公式SNSアカウントの活用 自社の公式SNSアカウントを通じて、企業理念、製品・サービス情報、社会貢献活動など、ポジティブな情報を積極的に発信します。顧客とのコミュニケーションを深め、良好な関係を構築することも、風評被害の抑制に繋がります。 3.エンゲージメントの強化 顧客からのコメントやメッセージには積極的に返信し、双方向のコミュニケーションを図ります。誠実な対応は、顧客ロイヤルティを高め、ネガティブな意見の拡散を防ぐ効果が期待できます。 社内教育とガイドライン策定 風評被害の発生原因の一つに、従業員による不用意な情報発信が挙げられます。そのため、従業員への教育を徹底し、明確なガイドラインを策定・浸透させることは、風評被害を未然に防ぐための重要な対策となります。 1.ソーシャルメディアポリシーの策定 従業員がSNSを利用する際の注意点、禁止事項、推奨される行動などを具体的に定めたポリシーを策定し、全従業員に周知徹底します。 2.情報セキュリティ教育の実施 機密情報や顧客情報の取り扱いに関する教育を徹底し、情報漏洩による風評被害のリスクを低減します。 3.コンプライアンス研修の実施 法令遵守の重要性を啓発し、不適切な行為による風評被害の発生を未然に防ぎます。 4.SNSリスク研修の実施 SNSの特性やリスク、炎上事例などを共有し、従業員のSNSリテラシーを高めます。アルバイトを含む全従業員を対象とすることが望ましいでしょう。 明確なルールと教育を通じて、従業員一人ひとりが企業の代表としての自覚を持ち、責任ある情報発信を行うように促すことが、風評被害の予防に繋がります。 SEO対策の重要性 風評被害対策において、SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)は非常に重要な役割を果たします。ネガティブな情報が検索結果の上位に表示されると、多くの人の目に触れやすくなり、風評被害が拡大する可能性があります。SEO対策を通じて、自社の発信するポジティブな情報を上位表示させることで、ネガティブな情報の露出を抑え、企業イメージの維持・回復を図ることが可能になります。 SEO対策の概要 SEO対策とは、自社のWebサイトやコンテンツを検索エンジンのアルゴリズムに合わせて最適化することで、検索結果での表示順位を向上させるための取り組みです。風評被害対策においては、自社の公式情報やポジティブな情報を検索結果の上位に表示させることで、ネガティブな情報を押し下げる効果が期待できます。 具体的には、以下のような効果が期待できます。 1.ポジティブな情報の露出増加 自社の公式サイト、製品・サービス紹介ページ、プレスリリース、公式SNSアカウントなど、信頼性の高いポジティブな情報を検索結果の上位に表示させることで、ネガティブな情報がユーザーの目に触れる機会を減らします。 2.ネガティブな情報の順位低下 SEO対策によってポジティブなコンテンツの評価を高めることで、相対的にネガティブな情報を含むWebサイトや記事の検索順位を押し下げることが可能になります。これは「逆SEO」と呼ばれる手法の基本となります。 3.信頼性の向上 検索結果の上位に自社の公式サイトや信頼できる情報源からのコンテンツが表示されることで、ユーザーは企業に対して安心感や信頼感を抱きやすくなります。 被リンクの否認とドメインパワーの強化 SEO対策においては、良質な被リンク(外部サイトからのリンク)を獲得することが重要とされていますが、質の低い、あるいは悪質なサイトからの被リンクは、Webサイトの評価を下げ、風評被害に繋がる可能性も否定できません。 【被リンクの否認】 もし、悪質なサイトや風評被害に関連するようなネガティブなサイトからの不自然な被リンクが多い場合、GoogleのSearch Consoleなどのツールを利用して、これらの被リンクを否認(評価の対象外とする)申請を行うことが有効な場合があります。これにより、ネガティブな被リンクによる悪影響を軽減することが期待できます。 一方、Webサイト全体の信頼性や評価を高めるためには、ドメインパワーの強化が不可欠です。 【ドメインパワーの強化】 良質なコンテンツの継続的な発信、他の信頼できるサイトからの被リンク獲得、サイト構造の最適化など、総合的なSEO対策を行うことで、自社Webサイトのドメインパワーを高めることができます。ドメインパワーの高いWebサイトは、検索エンジンからの評価も高まりやすく、ポジティブな情報を上位表示させ、ネガティブな情報を押し下げる効果が期待できます。 社内教育とガイドライン策定 従業員への教育とガイドライン策定は、風評被害対策だけでなく、SEO戦略においても重要な役割を果たします。 1.コンテンツ作成ガイドライン SEO対策を考慮した質の高いコンテンツを作成するためのガイドラインを策定します。キーワードの選定、見出しの構成、文章の書き方、画像の最適化など、検索エンジンとユーザー双方にとって有益なコンテンツ作成の基準を明確にします。 2.著作権・引用ルールの遵守 コンテンツ作成においては、著作権や引用ルールを遵守することを徹底します。著作権侵害や不適切な引用は、法的な問題だけでなく、検索エンジンからの評価低下や信頼失墜に繋がりかねません。 3.最新SEO情報の共有 検索エンジンのアルゴリズムは常に変化しているため、最新のSEO情報を社内で共有し、コンテンツ作成やWebサイト運営に反映させる体制を構築します。 SEO対策は、短期的な効果を期待するものではなく、継続的な取り組みが重要です。社内全体でSEOの意識を高め、質の高い情報を発信し続けることが、風評被害に強く、検索エンジンからも評価されるWebサイト作りに繋がります。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ 弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先141社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。 法務チェックリスト 無料ダウンロード 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 06-4965-9590(みんなの法務部)LINE相談(無料) 逆SEOの効果と手法 風評被害対策として特に注目されるのが「逆SEO」という手法です。逆SEOとは、SEOの技術を応用して、特定のキーワードで検索された際に、自社にとって好ましくない情報(ネガティブな記事、口コミ、画像など)の検索順位を押し下げ、代わりに自社の発信するポジティブな情報や中立的な情報を上位に表示させるための対策です。 ネガティブな情報に対して、直接的な削除が困難な場合に、逆SEOは有効な対抗手段となります。 逆SEOの基本と効果 逆SEOの基本的な考え方は、ネガティブな情報よりも質の高い、検索エンジンの評価が高いコンテンツを大量に作成・最適化し、上位表示させることで、相対的にネガティブな情報の順位を下げるというものです。直接的な削除依頼や法的措置と並行して、あるいはそれらが難しい場合に、企業の評判を守るための重要な戦略となります。 逆SEOの主な効果としては、以下の点が挙げられます。 1.ネガティブ情報の視認性低下 検索結果の上位からネガティブな情報が押し下げられることで、ユーザーがそれらの情報に接触する機会が大幅に減少します。 2.ポジティブなイメージの向上 自社の公式サイトや関連する信頼性の高い情報が上位表示されることで、ユーザーに安心感や信頼感を与え、企業イメージの回復や向上に繋がります。 3.風評被害の抑制 ネガティブな情報の拡散を抑制し、新たな風評被害の発生を防ぐ効果が期待できます。 ポジティブなコンテンツの強化 逆SEOの最も基本的な手法は、ポジティブなコンテンツを強化し、検索エンジンからの評価を高めることです。具体的には、以下のような取り組みが有効です。 方法 詳細 自社WebサイトのSEO対策 質の高いコンテンツの拡充、キーワード対策、内部リンクの最適化、サイト構造の改善など、総合的なSEO対策を実施し、自社Webサイトの検索順位を高めます。 関連性の高いWebサイトの活用 グループ会社、取引先、業界団体など、関連性の高い信頼できるWebサイトからのリンクを獲得したり、これらのサイトにポジティブな情報を掲載してもらったりすることで、自社Webサイトの評価を高めます。 ソーシャルメディアの活用 公式SNSアカウントを積極的に活用し、ポジティブな情報を発信し、エンゲージメントを高めます。ソーシャルメディアの投稿も検索結果に表示されることがあります。 プレスリリースの配信 新製品・サービスの発表、イベント開催、社会貢献活動など、企業のポジティブな情報をプレスリリースとして配信し、多くのメディアに掲載されるように働きかけます。信頼性の高いメディアに掲載された情報は、検索エンジンからの評価も高くなります。 第三者機関からの評価 受賞歴や認証などを積極的にアピールします。第三者機関からの客観的な評価は、ユーザーの信頼を得やすく、検索結果でも有利に働くことがあります。 動画コンテンツの制作・配信 YouTubeなどの動画プラットフォームで、製品紹介、企業紹介、顧客の声などを発信します。動画コンテンツは視覚的に訴求力が高く、SEO効果も期待できます。 Q&Aサイトへの積極的な参加 Yahoo!知恵袋やOKWAVEなどのQ&Aサイトで、自社や業界に関する質問に専門的な立場から回答することで、専門性と信頼性を示し、ポジティブな情報を拡散します。 これらの活動を継続的に行うことで、検索結果におけるポジティブな情報の割合を増やし、ネガティブな情報の相対的な順位を下げることが期待できます。 リスクと注意点 逆SEOは効果的な対策となり得る一方で、いくつかのリスクと注意点も存在します。 1.即効性がない SEO対策と同様に、逆SEOも効果が現れるまでに時間がかかる場合があります。 2.ステルスマーケティングの禁止 意図的に良い評判を装う行為(いわゆる「やらせ口コミ」など)は、景品表示法に抵触する可能性があり、逆効果となるため厳に避けるべきです。 3.過度なSEO対策のリスク ブラックハットSEOと呼ばれる、検索エンジンのルールを不正に利用するような過度なSEO対策は、一時的に効果が得られても、後々ペナルティを受け、検索順位が大幅に下落するリスクがあります。 4.情報公開のバランス あまりにも多くのポジティブな情報ばかりを強調すると、逆にユーザーから不信感を持たれる可能性もあります。客観的でバランスの取れた情報開示を心がけることが重要です。 逆SEOを行う際には、上記の点に注意し、倫理的かつ持続可能な方法で取り組む必要があります。場合によっては、Webの専門業者に相談し、適切な戦略を立てることが賢明でしょう。 風評被害対策の事例と成功例 実際に風評被害に直面し、適切な対策を講じることで事態を収束させ、評判回復に成功した企業の事例から、学ぶべきポイントは多くあります。 企業の風評被害対策事例 事例1:コロナが名称に含まれる企業 新型コロナウイルスの感染拡大時、商品名や社名に「コロナ」を含む企業は、事実無根の風評被害に悩まされました。これらの企業の中には、新聞広告やマスコミへの反論といった対策を実施し、自社製品や企業活動とウイルスとの関連性を否定し、正しい情報を発信することで、風評被害からの回復に努めた事例があります。 事例2.東日本大震災による原子力発電所事故 福島県産の食品を扱う企業は、原子力発電所事故による風評被害に長年苦しめられてきました。これに対し、日本政府や福島県は、メディアや公報を通じて食品の安全性を科学的なデータに基づいて強調したり、現地の生産者の努力や安全管理の状況を伝える情報発信を継続的に行うことで、風評被害の払拭を目指しています。 事例3.SNSでの炎上事件 従業員の不適切なSNS投稿が発端となり、企業イメージが大きく損なわれた事例では、企業は迅速に事実関係を調査し、謝罪声明を発表するとともに、再発防止策を策定・実行することで、社会からの信頼回復に努めました。また、SNSガイドラインの策定や従業員への研修を徹底することで、同様の事態の再発を防ぐ取り組みも行われています。 従業員によるSNS炎上について、炎上事例から対処方法、防止策まで知りたい方は、以下の記事もぜひ合わせてご覧ください。 関連記事 従業員のSNSが炎上してしまったら。炎上事例や対処方法、未然防止策を紹介 この記事の監修者 和氣 良浩(わけ よしひろ) 弁護士法人ブライト|代表弁護士/パートナー弁護士 /大阪弁護士会/大阪大学法学部卒 注力分野:顧問弁護士・企業法務・M&A・経営権紛争・… >続きを読む 成功事例から学ぶポイント これらの事例から学ぶべきポイントは、風評被害が発生した際には、まず迅速に事実関係を調査し、正確な情報を公表することの重要性です。また、関係各所と連携し、一貫性のあるメッセージを発信することも信頼回復には不可欠です。さらに、一方的な反論だけでなく、消費者の不安や疑問に寄り添い、丁寧な説明を継続することも、風評被害を乗り越えるための重要な要素となります。 1.迅速な対応 風評被害が発生したら、初期対応の遅れは被害を拡大させる可能性があります。事実関係の確認、情報収集、対応方針の決定を迅速に行うことが重要です。 2.正確な情報発信 不確かな情報に対抗するためには、客観的なデータや根拠に基づいた正確な情報を、公式サイトや公式SNSなどを通じて積極的に発信することが不可欠です。 3.誠実な姿勢 消費者や社会に対して誠実な姿勢を示すことが、信頼回復の第一歩となります。過ちがあった場合は、素直に認め、謝罪し、再発防止策を講じることが重要です。 4.継続的なコミュニケーション 一度対策を行っただけで終わらせるのではなく、継続的に情報発信や顧客とのコミュニケーションを図り、信頼関係を再構築していく努力が必要です。 5.専門家の活用 風評被害の状況によっては、弁護士やWebの専門家など、外部の専門家の知識やノウハウを活用することも有効です。弁護士とWeb業者それぞれの専門性を理解し、適切な役割分担を行うことが、効果的な風評被害対策の鍵となります。法的な対応が必要な場合は弁護士に、Web上の評判管理やSEO対策はWeb業者に依頼するなど、状況に応じて最適な協力を得るべきでしょう。 風評被害対策の将来展望 インターネット技術の進化や情報発信の多様化に伴い、風評被害の手法や対策も常に変化しています。今後、企業が風評被害対策に取り組む上で、どのような動向を注視し、どのような方向性で対策を進めていくべきでしょうか。 風評被害対策の最新動向 近年では、AI技術を活用したインターネット上の情報モニタリングサービスが登場し、風評被害の兆候を早期に検知し、迅速な対応を支援する動きが活発化しています。また、SNSプラットフォーム自身も、フェイクニュースや誤情報の拡散を防ぐための対策を強化する傾向にあります。 1.AI技術の活用 AIを活用したリアルタイムなモニタリングツールの進化により、大量のインターネット上の情報を瞬時に分析し、風評被害の兆候を早期に発見することが可能になっています。 2.SNSプラットフォームの対策強化 SNSプラットフォーム側も、フェイクニュースや誹謗中傷対策を強化しており、違反コンテンツの削除やアカウントの凍結などの措置が取られるようになっています。 3.法的規制の強化 インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損に対する法的規制も強化される傾向にあり、発信者情報開示請求の手続きが簡略化されるなど、被害者救済の動きが進んでいます。 4.企業のレピュテーションリスク管理の高度化 風評被害を単なる個別の事案として捉えるのではなく、企業全体のレピュテーションリスク管理の一環として、より戦略的かつ包括的な対策に取り組む企業が増えています。 5.従業員の意識向上 企業による継続的な教育や啓発活動により、従業員のSNSリテラシーや情報モラルが向上し、不用意な情報発信による風評被害の発生を未然に防ぐ意識が高まっています。 企業が取り組むべき方向性 今後、企業は風評被害対策をリスクマネジメントの重要な一環として捉え、より戦略的に取り組む必要があります。平時からの情報発信体制の強化、従業員の情報リテラシー向上、危機管理体制の整備といった事前対策の重要性はますます高まると言えるでしょう。 また、自社だけで対応が難しい場合には、専門の風評被害対策サービスや弁護士などの専門家のサポートを得ることも有効な選択肢となります。 1.予防対策の強化 風評被害が発生してから対応するだけでなく、発生を未然に防ぐための対策(従業員教育、ガイドライン策定、リスクモニタリングなど)をより一層強化する必要があります。 2.早期発見・早期対応 AI技術などを活用したモニタリング体制を構築し、風評被害の兆候を早期に発見し、迅速かつ適切な対応を行うことが被害の拡大を防ぐ鍵となります。「即座に検知して対策する」体制の構築が不可欠です。 3.専門家との連携 法的な問題や高度なWeb対策が必要となる場合には、弁護士やWebの専門業者との連携を強化し、それぞれの専門知識を活かした効果的な対策を講じるべきです。 4.情報発信力の強化 自社がコントロールできるメディア(公式サイト、公式SNSなど)を通じた情報発信力を強化し、正確な情報を迅速かつ効果的に発信する体制を整えることが重要です。 5.風評被害対策サービスの活用 自社だけで対応が難しい場合には、専門の風評被害対策サービスの利用を検討することも有効な選択肢となります。 顧問契約 141社 / 企業法務部の弁護士歴平均14年以上 / 大阪・全国対応 経験豊富な専属チームが、貴社の"法務部"になります 弁護士法人ブライトの「みんなの法務部」は、契約書・債権回収・労務トラブル・M&Aまで伴走支援します。 📄 法務チェックリスト 無料ダウンロード ▲ M&A・契約・労務の必須チェック項目をPDFで配布中 ▶ 顧問契約・スポット相談はこちら 📞 06-4965-9590💬 LINE相談 平日 9:00-18:00(TEL)/ LINE 24時間受付 風評被害対策の重要性と今後の展望 風評被害は、いついかなる時に企業を襲うかわからないリスクの一つです。デジタル化が加速する現代において、その影響力は増すばかりであり、適切な対策を講じることは、企業の持続的な成長と信頼維持のために不可欠です。 これまで解説したように、風評被害対策は多岐にわたり、その基本となるのは、透明性の確保、評判管理、社内教育です。そして、Webからの集客が重要となる現代においては、SEO戦略を効果的に活用し、ポジティブな情報を上位表示させ、ネガティブな情報を押し下げる「逆SEO」の考え方も重要となります。 また、風評被害の状況によっては、弁護士による法的措置やWeb業者による専門的な対策が必要となる場合もあります。状況に応じた適切な専門家の活用は、風評被害の早期解決と被害の最小化に繋がります。 今後も、技術の進化や社会情勢の変化に伴い、風評被害の手法や対策も変化していくことが予想されます。企業は常に最新の情報を収集し、自社の状況に合わせて柔軟かつ継続的に対策を講じていく必要があります。 企業の法律問題でお困りの経営者様へ 弁護士法人ブライトは、初回相談無料/顧問契約・スポット相談まで幅広く対応します。 無料相談を申し込む📞 06-4965-9590 監修 和氣 良浩 弁護士(大阪弁護士会) 弁護士法人ブライト 代表弁護士。企業法務・顧問弁護士業務を中心に、中小企業の法的リスク管理をサポート。 関連記事 特定商取引法とは|会社が守るべきルールと違反した場合のリスク 定期借家契約の途中解約は可能か|借主・貸主それぞれの対応を解説 従業員のSNS炎上で会社が問われる責任|初動対応と再発防止の法的手順 ⚖️ 風評被害・ネット誹謗中傷の法的対応と発信者情報開示 発信者情報開示請求(2022年改正プロバイダ責任制限法):旧法では開示請求に数か月〜1年かかっていたが、2022年の改正で「発信者情報開示命令申立」制度が新設。裁判所への一本化・迅速化(数週間〜2か月程度で開示)が実現。開示される情報はIPアドレス・通信日時・契約者情報(氏名・住所等)。 名誉毀損・不法行為(民法710条):虚偽・誇張した投稿で企業・個人の名誉を毀損した場合は不法行為として損害賠償請求可能。「事実の摘示」があれば名誉毀損罪(刑法230条)、「事実なし」なら侮辱罪(刑法231条)の刑事告訴も選択肢となる。 削除請求の仮処分:名誉毀損的投稿の削除は仮処分(民事保全法23条2項)により比較的迅速に認容される。投稿内容が特定されており、名誉毀損性・保全の必要性が疎明されれば1〜2か月で削除が実現するケースもある。 企業の信用毀損に対する損害賠償:虚偽の口コミ・SNS投稿で企業の売上・取引が実際に減少した場合は、逸失利益として損害賠償請求できる。ただし因果関係の立証が必要。弁護士費用相当額も損害に含めて請求できる(弁護士費用10〜15%が認容される裁判例が多い)。 根拠条文:情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法。2025年4月1日改称・施行)5条/刑法230条・231条・233条/民法709条・710条・723条 よくある質問 Q. ネット上の根拠のない悪い口コミは削除できますか? A. 投稿内容が明らかに虚偽で、企業に重大な損害を与えている場合、法的手段による削除請求が可能です。ただし発信者の特定や法的証明には時間がかかるため、専門的なサポートが必要な場合が多いです。まずは弁護士へのご相談をおすすめします。 Q. 風評被害対策にはどのくらいの費用がかかりますか? A. 対策内容により異なりますが、社内体制の整備や監視システムなど段階的に実施できます。法的対応が必要な場合は案件の複雑さで変動します。弁護士法人ブライトではスポット相談から継続サポートまで対応しており、ご予算に合わせたプランが選択できます。 Q. 風評被害が発生したら、すぐに弁護士に相談すべきですか? A. 被害が大きい場合や企業の根幹に関わる情報の場合は、早期の法的相談が重要です。特に発信者の特定を視野に入れる場合、プロバイダの通信ログは一般に3〜6か月程度で消去されるため、時間との勝負になります。まずは証拠保全(スクリーンショット・URL・投稿日時の記録)を行ったうえで、早めにご相談ください。 Q. 2025年施行の「情プラ法」で何が変わりましたか? A. プロバイダ責任制限法が改正・改称された情報流通プラットフォーム対処法(2025年4月1日施行)により、総務大臣が指定する大規模なSNS・掲示板等には、削除申出窓口の整備・公表、申出への調査、原則14日以内の判断結果の通知、削除基準の公表が義務付けられました。削除の申出に対して期限のある応答が得られるようになった一方、削除するかどうかの判断は各社に委ねられるため、権利侵害を的確に構成した申出が引き続き重要です。 Q. 匿名の投稿者を特定するには、どのくらいの期間がかかりますか? A. 2022年10月に新設された発信者情報開示命令制度を利用した場合、数週間〜数か月程度で開示に至る場合があります(プラットフォーム側が争う場合はより長くかかります)。従来の2段階の裁判手続では半年〜1年程度かかることも珍しくありませんでした。いずれの場合も、ログの保存期間の関係で早期の着手が重要です。 顧問弁護士のご相談・無料問い合わせ 弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部として、継続的に法務課題をサポートします。顧問先141社・企業法務部の弁護士歴平均14年以上。まずはお気軽にご相談ください(無料)。 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 無料で相談する