「今朝、知らない番号から電話があって、退職代行の業者だと名乗られました。うちの社員が辞めるって……どう対応すれば?」 こうした相談が、近年の顧問先から増えています。退職代行サービスの利用は年々拡大しており、ある日突然、見知らぬ第三者から「御社の従業員の退職を代理しています」と連絡が入るケースが珍しくなくなりました。 社長としては「どこまで話せばいいのか」「本当に辞めるのか」「トラブルになるのか」という不安が一気に押し寄せてくる瞬間です。この記事では、退職代行から連絡が来たときに企業側が取るべき初動対応と、顧問弁護士との連携のポイントを整理します。 📞 退職代行から連絡が来てお困りですか? 「何を確認すればいい?」「どこまで対応すべき?」という初動の疑問に、顧問弁護士がすぐ答えます。初回相談は無料です。 無料相談を申し込む → 退職代行とは何か——企業側が知っておくべき基本 退職代行サービスとは、労働者に代わって退職の意思を使用者へ伝える民間サービスです。利用者(従業員)がサービス業者に依頼すると、業者が電話・メール・FAXなどで会社に連絡し、「本日をもって出社しません」「退職手続きをお願いしたい」と通知してきます。 退職代行には大きく3種類あります。 一般業者(民間企業):意思の伝達のみ。交渉はできない。 労働組合が運営するもの:団体交渉権を持つため、条件交渉も可能。 弁護士が運営・監修するもの:法的交渉・未払い賃金請求なども行える。 連絡してきた業者がどの種類に当たるかによって、企業側の対応も変わります。特に労働組合型・弁護士型の場合は、退職条件の交渉や残業代・有給消化の請求が伴うことがあるため、初動から法的知識が必要です。 退職代行から連絡が来たとき——最初の15分でやること 突然の連絡に動揺してしまうのは無理もありません。しかし最初の対応が後の交渉全体のトーンを決めます。以下の点を落ち着いて確認してください。 ① 業者の名称・連絡先・担当者名を記録する 口頭で話したことは後から争いになります。電話の場合は「書面またはメールでいただけますか」と伝え、記録を残してください。 ② 本人確認の意思を伝える 「従業員本人から直接確認を取りたい」という姿勢は適法です。ただし、本人が強く拒んでいる場合に無理に連絡を取ろうとするとハラスメントと受け取られるリスクがあるため、方法については弁護士に確認するのが安全です。 ③ 業者種別を確認する 「貴社は弁護士法人ですか、労働組合ですか、それとも民間企業ですか」と聞くだけで、対応の方向性が大きく変わります。弁護士法人であれば相手方の弁護士と会社側の弁護士が交渉する形になります。 【図解】退職代行から連絡が来たときの初動フロー ① 業者情報を記録 → ② 業者種別を確認 → ③ 顧問弁護士に報告 → ④ 方針を決定・対応 ※ 感情的な対応・即答は禁物。まず弁護士に相談してから動く。 ⚖️ 顧問弁護士がいれば「初動」が変わります 退職代行への返答・書面対応・記録の取り方——すべてに法的な落とし穴があります。ブライトの顧問弁護士が即日サポートします。 顧問弁護士に相談する → 絶対にやってはいけない対応3つ 退職代行から連絡が来ると、感情的になったり、あるいは「丸く収めよう」と焦ったりして、かえって問題を大きくする対応をしてしまう会社があります。 ❌ 従業員に直接・繰り返し連絡を取ろうとする 「本人に聞かないとわからない」という気持ちはわかりますが、本人が退職代行を使っている時点で「直接連絡を取りたくない」という意思を示しています。電話・メッセージを執拗に送り続けると、ハラスメントや退職妨害と捉えられる可能性があります。 ❌ 退職を認めないと口頭で伝える 「うちは引き継ぎが終わるまで辞めさせない」「就業規則で2か月前申告が必要だ」などと感情的に主張することは逆効果です。民法上、雇用期間の定めがない場合、労働者は2週間前に申告すれば退職できます(民法627条)。就業規則の規定がそれを超える場合でも、裁判例では必ずしも有効とはされていません。 ❌ 退職金・未払い賃金について口頭で約束・拒否する 「有給はもう使えない」「退職金は出ない」などを口頭で言い切ってしまうのも危険です。後で「そう言われた」として証拠に使われることがあります。支払いに関する判断は、必ず弁護士と内容を確認してから回答してください。 🔍 「口頭で言ってしまった」後でも相談できます 初動で誤った対応をしてしまっても、早めの修正で被害を最小化できるケースがほとんどです。今の状況を整理するだけでも構いません。 今すぐ無料相談する → 顧問弁護士がいる会社といない会社——対応力の差 退職代行案件が来たとき、顧問弁護士がいる会社とそうでない会社では、対応スピードと品質に大きな差が生まれます。 顧問弁護士がいる場合、連絡が来た当日に「どう返答するか」「書面を送るかどうか」「有給消化の計算は正しいか」を確認できます。交渉が必要な場面では弁護士が窓口になることもでき、社長が直接折衝する精神的負担を減らせます。 顧問弁護士がいない場合、ネット情報を頼りに対応するしかありません。退職代行業者は毎日このような案件を処理しているプロです。法的根拠を踏まえた交渉をしてくる相手に、素人対応で臨むのはリスクが高い状況です。 ブライト法律事務所では、顧問弁護士サービスの一環として、退職代行対応もスタンダードプランから対応しています。詳しくは顧問弁護士サービスのご案内ページをご覧ください。 退職代行対応でよく問題になる論点 退職代行が関わる案件では、単純な退職の受理だけで終わらないことが多くあります。以下は実際によく出てくる論点です(個別事案についての法的判断は弁護士にご確認ください)。 有給休暇の消化 退職代行経由で「残りの有給をすべて消化したい」という要求が来るのは非常に多いパターンです。残日数の確認・業務引き継ぎとのバランス・時季変更権の適否など、複数の法的論点が絡みます。感情的に拒否すると後で問題になるため、事実確認を先に行い、法的に整理した上で回答することが重要です。 未払い残業代・給与の請求 弁護士型の退職代行では、退職と同時に未払い残業代や深夜割増賃金の請求書が届くことがあります。「払っていないつもりはなかった」という会社がほとんどですが、タイムカードの記録・36協定の内容・給与明細との照合が必要になります。労務管理の記録が整っているかどうかが、対応の成否を左右します。 競業避止・守秘義務 退職者が競合他社へ転職する懸念がある場合、就業規則や秘密保持契約の内容を確認する必要があります。退職代行側から「一切の連絡を拒否する」とされた場合でも、書面での確認・念書の送付などは法的に適法な行為です。 📋 残業代・有給消化の計算、合っていますか? 「払っていると思っていた」が通じない場面が増えています。退職代行案件を機に、御社の労務管理を一度チェックしませんか。 労務チェックを依頼する → 退職代行対応を機に整備しておきたい社内ルール 退職代行案件は、会社の内部の「隙間」をつくことが多いです。整備されていれば問題にならなかったことが、ルール不在のせいでトラブルになるケースが目立ちます。以下の点を顧問弁護士とともに確認・整備しておくことをお勧めします。 就業規則の退職手続き規定:2週間前申告・引き継ぎ義務・有給取得の扱いが明確か 労働時間管理:タイムカード・勤怠システムで客観的な記録が残っているか 秘密保持・競業避止条項:入社時の誓約書、退職時の確認書が整っているか 退職金規程:支給要件・計算方法・非支給事由が明確に定められているか 第三者連絡への対応窓口:退職代行・弁護士・行政機関からの連絡を誰が受けるか 就業規則の整備については、ブライトの労務・就業規則サポートページもあわせてご参照ください。 「退職代行が来た=会社が悪い」ではない——でも振り返りは必要 退職代行を使われると、「なぜ直接言ってくれなかったのか」「うちに何か問題があったのか」と自問する社長は多くいます。退職代行を使う理由は様々で、単純に「話しにくい」という心理的ハードルや、友人が使っていたからという理由もあります。必ずしも会社に問題があるとは限りません。 しかし、退職代行案件をきっかけに「なぜこの従業員は辞めたのか」を振り返ることは、組織の健全化につながります。特に短期間での離職が続いている場合や、同じ部署から複数名が辞めている場合は、職場環境・マネジメントの問題が潜んでいる可能性があります。顧問弁護士はこうした組織課題への気づきを提供する役割も担っています。 🏢 退職代行案件、一緒に整理しませんか 今起きていることへの対応と、再発防止のための体制づくり。ブライトの顧問弁護士が両面からサポートします。初回相談は無料です。 無料相談を申し込む → ブライト法律事務所の顧問弁護士サービスについて ブライト法律事務所では、中小企業・オーナー企業向けの顧問弁護士サービスを提供しています。退職代行対応のような「突然の法的問題」に即対応できる体制を、月額定額でご利用いただけます。 顧問弁護士サービス料金(税別) スタンダードプラン(中小企業向け/顧問先の95%) 月額 5万円(税別) 上場企業・グループ会社対応プラン 月額 10万円(税別) セカンドオピニオンプラン 月額 3万円(税別) ※追加費用は事前にご説明します。ご納得いただいてからのご契約です。 退職代行対応はもちろん、労務トラブル・契約書レビュー・取引先とのトラブルまで、社長が「ちょっと確認したい」と思ったときにすぐ連絡できる環境を整えます。詳細は顧問弁護士サービスの詳細ページからご確認ください。 まとめ:退職代行は「突然来るもの」と思って準備しておく 退職代行の利用は今後も増加が予想されます。「うちの会社には関係ない」ではなく、「いつ来てもいいように準備しておく」という発想に切り替えることが、企業としての成熟につながります。 退職代行から連絡が来たら、まず記録・業者種別確認・弁護士報告の3ステップ 感情的な返答・執拗な本人連絡・口頭での確約はしない この記事の監修者 和氣 良浩(わけ よしひろ) 弁護士法人ブライト|代表弁護士 弁護士歴20年(2006年登録)/大阪弁護士会