医療機関の督促状・内容証明の書き方|そのまま使える文例3種と書いてはいけないこと【病院・クリニック向け】

医療機関の督促状・内容証明の書き方|そのまま使える文例3種と書いてはいけないこと【病院・クリニック向け】


和氣良浩 弁護士

この記事の監修者

和氣 良浩(わけ よしひろ)

弁護士法人ブライト|代表弁護士

大阪弁護士会

取扱分野:顧問弁護士・企業法務・債権回収・M&A・事業再生

病院・医療法人・クリニックの医事課や事務長から最も多くいただくのが「督促状の文面をどう書けばよいか分からない」というご相談です。強く書けば患者さまとの関係を損ねかねず、やわらかく書けば読み流される。しかも医療機関には、一般の企業間取引にはない配慮——療養中である可能性、ご家族への連絡の可否、そして守秘——が重なります。

結論から書きます。医療機関の督促は、「文面のうまさ」ではなく「段階の設計」で決まります。院内からの案内、配達証明付きの催告、内容証明郵便という3段階を用意し、どの条件で次へ上げるかをあらかじめ決めておく。文面はその段階に合わせて選ぶだけにする。これが、担当者の負担を減らしながら回収率を上げる形です。

この記事では、大阪で企業法務を扱う弁護士法人ブライトが、医事課・事務長がそのまま使える督促文例を3種類お示ししたうえで、内容証明に書いてはいけないこと、そして催告が時効に対して持つ効果の限界までを整理します。なお、個別の債権について最終的な判断をするものではありませんので、実際の対応は事案ごとに弁護士へご確認ください。

督促の設計から相談できます

文面を1通ずつ考えるのではなく、院内で回る「段取り」に落とすことが要です。弁護士法人ブライトは大阪で医療機関の未収金を継続受託する体制を用意しています。顧問先142社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが対応します。

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督促は3段階で設計する——いきなり内容証明を出さない

未収金対応で多い失敗は、同じ文面の督促状を毎月送り続けることと、その裏返しで反応がないからといきなり内容証明を出すことです。前者は何も伝わらず時間だけが過ぎ、後者は支払う意思のあった患者さまを硬化させます。医療機関の督促は、次の3段階で組むと運用に乗ります。

段階 手段 出す時期の目安 この段階の目的 差出名義
第1段階 院内からのご案内(電話・はがき・普通郵便) 支払期日の翌日〜30日 行き違い・失念・請求書の不着を解消する 医事課
第2段階 期限を切った催告書(配達証明付き普通郵便) 第1段階に反応がないまま60〜90日 到達の証拠を残し、支払期限を明示する 事務長・院長
第3段階 内容証明郵便(配達証明付き) 第2段階の期限を過ぎ、なお無反応 内容と到達を証明し、法的手続の前提を作る 理事長・院長または弁護士
※時期は一般的な目安です。時効の残存期間が短い債権は、段階を飛ばす判断が必要になることがあります。

次の段階へ上げる判断基準を、あらかじめ数字で決めておく

段階を分けても、「いつ上げるか」を担当者の感覚に委ねると運用は止まります。先に決めておくべき判断軸は次の4つです。

判断軸 次の段階へ上げる目安 据え置いてよいケース
金額 院内で決めた基準額(例:3万円)を超える 基準額未満で、通信費・人件費が回収額に見合わない
経過期間 支払期日から90日を超えて入金がない 分割の合意に沿って入金が続いている
反応の有無 電話・書面いずれにも2回連続で反応がない 連絡は取れており、支払時期の相談が進んでいる
時効までの残存期間 残り1年を切っている 発生から間もなく、期間に余裕がある

とくに4つ目の時効までの残存期間は、金額の大小より優先して見るべき軸です。医療費(診療費・入院費)の消滅時効の考え方は別記事で整理していますので、院内の未収金台帳を並べ替える前に一度ご確認ください(医療費(診療費・入院費)の消滅時効は何年か)。

第1段階を飛ばすと、回収できるはずの未収金を失う

未収金の相当部分は、支払う意思がないのではなく、請求書が届いていない・入院中で手続ができていない・限度額適用認定証の手続と行き違っているといった事務的な理由で残っています。この層に内容証明を送ると、以後の連絡が取りづらくなります。第1段階は、回収できる層を早く拾い上げるための工程です。

医療費の未収金対応を、続けられる形に

段階設計・文例・記録の残し方まで含めて、院内で回る仕組みとして整えます。弁護士法人ブライトは法務部がない会社の「外部法務部」として、大阪の医療機関の債権管理を継続的にお預かりしています。

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そのまま使える督促文例3種——医事課・事務長向け

3段階それぞれに対応する文例をお示しします。【 】を院内の情報に置き換えれば、そのまま使える形にしてあります。いずれも病名・診療内容・診療科名を書かない構成にしている点が、一般の売掛金の督促状との最大の違いです。

文例(a)|初回のご案内(第1段階・普通郵便)

最初の1通は督促ではなく「ご案内」として出します。行き違いへの詫びを先に置き、支払方法と相談窓口を明示するのが要点です。

文例(a) 診療費のお支払いについてのご案内

第1段階/普通郵便/差出名義:医事課

令和【 】年【 】月【 】日

 

【 患者氏名 】 様

 

                〒【   】 大阪府【 】市【 】町【 】丁目【 】番【 】号

                医療法人【 】会 【 】病院 医事課

                担当 【 】 電話 【 】-【 】-【 】(平日9:00〜17:00)

 

       診療費のお支払いについてのご案内

 

拝啓 平素より当院をご利用いただき、誠にありがとうございます。

 

 さて、下記の当院ご利用分につきまして、本日現在お支払いの確認ができておりません。お手元の控えをご確認のうえ、お手続きをお願い申し上げます。なお、行き違いにお支払いが済んでおります場合は、何とぞご容赦ください。

 

               記

 

一、対象   令和【 】年【 】月【 】日ご利用分

一、金額   金【   】円

一、お支払期限 令和【 】年【 】月【 】日

一、お支払方法 当院1階会計窓口、または下記口座へのお振込み

       【 】銀行【 】支店 普通 【   】 医療法人【 】会

 

 ご事情により一括でのお支払いが難しい場合は、分割でのお支払いについてもご相談を承っております。まずは上記担当までお電話ください。

 

敬具

文例(b)|期限を切った催告書(第2段階・配達証明付き普通郵便)

2通目は名義を事務長または院長に上げ、支払期限と「期限を過ぎた場合に検討すること」を明示します。ここで配達証明を付けることが後の手続で効きます。同時に、療養中の事情や分割の相談窓口を必ず残してください。連絡経路を閉じると、支払う意思のある患者さまからの申し出まで止まります。

文例(b) 診療費お支払いのお願い(再度のご連絡)

第2段階/配達証明付き普通郵便/差出名義:事務長

令和【 】年【 】月【 】日

 

【 患者氏名 】 様

 

                大阪府【 】市【 】町【 】丁目【 】番【 】号

                医療法人【 】会 【 】病院

                事務長 【   】

                電話 【 】-【 】-【 】(平日9:00〜17:00)

 

      診療費お支払いのお願い(再度のご連絡)

 

 前略 令和【 】年【 】月【 】日付および同年【 】月【 】日付の書面にてお願い申し上げました当院ご利用分の診療費につきまして、本日現在もお支払いの確認ができておりません。

 

 つきましては、下記の金額を、令和【 】年【 】月【 】日までにお支払いいただきますよう、あらためてお願い申し上げます。

 

               記

 

一、対象   令和【 】年【 】月【 】日ご利用分

一、未払金額 金【   】円

一、お支払期限 令和【 】年【 】月【 】日

一、振込先  【 】銀行【 】支店 普通 【   】 医療法人【 】会

 

 上記期限までにお支払いまたはご連絡をいただけない場合には、当院といたしましても、今後の対応を検討せざるを得ませんので、あらかじめご承知おきください。

 

 なお、ご療養中であるなど、お手続きが難しいご事情がある場合や、一括でのお支払いが難しい場合には、期限までに上記担当までご連絡ください。ご事情をうかがったうえで、お支払方法についてご相談いたします。

 

草々

文例(c)|法的手続の予告(第3段階・内容証明郵便)

3通目は内容証明郵便で出します。内容証明には形式上の制限があるため(後述)、装飾を排し、事実・金額・期限・次の手続だけを簡潔に書くのが基本形です。ここでも分割の相談窓口は残します。相手を追い込むことが目的ではなく、支払うか、話し合うかの二択を明確に提示することが目的だからです。

文例(c) 通知書(診療費のご請求)

第3段階/内容証明郵便+配達証明/差出名義:理事長または院長(弁護士名で出す場合もあります)

            通知書

 

 前略 当院は、貴殿に対し、下記のとおり診療費債権を有しております。

 

               記

 

一、発生日 令和【 】年【 】月【 】日

一、金額  金【   】円

一、内訳  当院における診療費(ご負担分)

 

               以上

 

 当院は、令和【 】年【 】月【 】日および同年【 】月【 】日、貴殿に対し書面にてお支払いをお願いいたしましたが、本日に至るもお支払いをいただいておりません。

 

 つきましては、本書面到達後【 】日以内に、上記金額を下記口座にお振込みいただきますよう、あらためてご請求いたします。

 

 振込先 【 】銀行【 】支店 普通預金 口座番号【   】 口座名義 医療法人【 】会

 

 上記期間内にお支払いまたはご連絡をいただけない場合には、当院といたしましては、支払督促の申立てまたは訴訟の提起など、法的手続をとることを検討せざるを得ませんので、その旨申し添えます。

 

 なお、お支払いが困難なご事情がある場合には、分割によるお支払いについてご相談に応じますので、上記期間内にご連絡ください。

 

草々

 

令和【 】年【 】月【 】日

 

     大阪府【 】市【 】町【 】丁目【 】番【 】号

     医療法人【 】会 【 】病院

     理事長 【   】

 

 大阪府【 】市【 】町【 】丁目【 】番【 】号

 【 患者氏名 】 殿

3通で変わっているのは「名義」「期限の切り方」「次の手続の明示」の3点だけです。毎回ゼロから考える必要はありません。この3種を院内の定型として保存し、どれを出すかだけを判断する運用にしてください。

文例の院内定型化までお手伝いします

文例の調整、差出名義の決め方、記録の残し方まで含めて設計します。弁護士名で出すべき段階の見極めもご相談ください。顧問先142社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが大阪から対応します。

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医療機関ならではの配慮——文面に必ず織り込む3点

一般の売掛金の督促状をそのまま流用すると、医療機関では事故になります。相手が「取引先」ではなく「患者さま」であり、かつ療養中である可能性があるためです。

(1) 療養中・入院中である可能性を前提に書く

未収金が残っている患者さまは、入院を継続している、転院している、在宅療養に移っていることがあります。「なぜ連絡がないのか」と詰める文面は、こうした状況では現実離れして映ります。文例(b)の「ご療養中であるなど、お手続きが難しいご事情がある場合には」という一文を入れるだけで文書の印象は変わり、相手からの連絡を引き出しやすくなります。

(2) 呼称と敬語をそろえる(「貴殿」を使う段階を決める)

第1段階・第2段階は「様」「お支払いください」という通常の敬語、内容証明(第3段階)で初めて「貴殿」「請求いたします」という法律文書の語法に切り替えます。語法が段階と対応していると、受け取った側にも局面が変わったことが伝わります。第1段階から「貴殿」「催告する」と書くと、行き違いで未入金になっていただけの患者さまを硬化させます。

(3) ご家族への連絡は「誰に対する請求か」を先に確認する

未収金の連絡をご家族に入れてよいかは、そのご家族が支払義務を負う立場かどうかで分けて考える必要があります。

  • 身元保証人・連帯保証人として署名しているご家族:その方自身が債務者ですので、その方宛ての請求書面を出します。ただし保証契約の内容(極度額の定めの有無など)で効力が左右されるため、保証書の現物を確認してから出してください。
  • 未成年の患者さまの場合:診療契約の当事者が親権者であることが通常ですので、親権者宛てに出します。
  • いずれでもないご家族:その方は債務者ではありません。支払を求める文書を送ることは適切ではなく、受診の事実をお伝えすること自体が守秘の問題になり得ます。

「連絡が取れないから、とりあえずご家族へ」という運用は、最後の類型に当たると守秘義務違反のリスクを抱えます。誰に対する請求なのかを台帳上で先に確定させることが、文面を書くより前の作業です。

内容証明に書いてはいけない3つのこと

内容証明郵便は差出人・受取人・郵便局の3者が同じ文面を保有する書面であり、封書として自宅に届くため同居のご家族が先に開封する可能性もあります。「第三者の目に触れうる書面である」という前提で文面を作ってください。

(1) 病名・診療内容・診療科名を書かない

患者さまご本人宛ての書面に病名を書くこと自体が、直ちに医師の秘密漏示罪(刑法134条1項)にあたるわけではありません。問題は、内容証明が第三者の目に触れうる書面であることです。医療機関は個人情報保護法上の要配慮個人情報を扱う立場にあり、同居のご家族が先に開封した場合などに漏えいのリスクを負います。督促の目的は金額の特定であって、診療の中身を明かすことではありません。

  • 書いてよい:ご利用日(診療日・入院期間)、金額、「診療費」「入院費」「ご負担分」という費目
  • 書かない:病名・傷病名、手術名・処置名、投薬内容、診療科名、検査結果

診療科名は見落とされがちですが、科名そのものが傷病の推知につながることがあります。差出人欄も病院名までにとどめるほうが無難です。文例(c)が内訳を「当院における診療費(ご負担分)」とだけ記載しているのはこの理由によります。明細を示す必要がある場合は、内容証明とは別便で送る方法を検討してください。

(2) 威迫と受け取られる表現を書かない

「勤務先に連絡する」「ご近所に知られることになる」「直ちに自宅へ伺う」といった表現は、相手に対する圧力と受け取られます。書くべきなのは院がとり得る法的手続の内容であって、相手の生活への働きかけではありません。文例(c)のように実際にとる可能性のある手続だけを抑制的に書くのが適切で、とる予定のない手続を書くことも避けてください。

(3) 「支払わなければ診療しない」と読める記載を書かない

医師には応招義務があります(医師法19条1項)。過去に医療費の不払いがあったという事実のみをもって診療を断ることは、正当な事由として認められにくいと整理されています。督促状に「お支払いいただけない場合は今後の診療をお受けできません」と書くことは、文書として院の立場を弱くすることになりかねません。判断が難しい論点ですので、別記事(未収金があると診療を断れる?応招義務と医療費不払いの判断枠組み)を督促文書の作成前に院内で読み合わせておくことをおすすめします。

督促文書のリーガルチェックだけでも承ります

院内で作成された督促状・内容証明の文面を、守秘・応招義務・時効の3点から確認します。大阪の医療機関からのご相談を継続的にお預かりしています。企業法務窓口:06-4965-9590(平日9:00〜18:00)

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催告は「6か月の完成猶予」を生むだけ——民法150条の限界

督促状・内容証明を出す目的のひとつが時効への対応です。ただしここには多くの医療機関が誤解している限界があります。

催告(=裁判外で支払を求めること)があったときは、その時から6か月を経過するまでの間は時効は完成しません(民法150条1項)。そして、その猶予されている間に再度催告をしても、あらためて猶予の効力は生じません(同条2項)。

手段 時効への効果 実務上の位置づけ
督促状・内容証明(催告) その時から6か月間、完成が猶予される(民法150条1項) 次の手続を準備するための時間を作る「助走」
再度の催告 猶予期間中の再催告には効力がない(民法150条2項) 毎月同じ督促状を送っても時効は止まらない
支払督促・訴訟の提起 手続が終わるまで完成が猶予され、確定すれば時効は更新される(民法147条) 時効をリセットできる本命の手段
患者による債務の承認(分割の申出・一部入金など) その時から新たに進行を始める=更新(民法152条1項) 現場で最も使いやすい時効対策

つまり、内容証明を出したこと自体はゴールではなく、6か月の持ち時間を買っただけです。この6か月のあいだに支払督促・訴訟へ進むのか、分割の合意を取り付けるのかを決めなければ、猶予は無駄になります。

実務でとくに効くのは表の4段目、患者さまご本人からの分割の申出や一部入金です。これが債務の承認にあたれば時効は更新されます。文例(a)〜(c)のいずれにも「分割のご相談に応じます」の一文を入れているのはこのためで、督促に相談窓口を残すことは患者さまへの配慮であると同時に、時効管理としても合理的な設計です。

時効期間そのもの(2020年4月1日を境に3年と5年に割れる点)と院内での棚卸し手順は医療費(診療費・入院費)の消滅時効は何年か、分割の合意を書面に残すときの注意点は分割払いの合意書を作るときの注意点で整理しています。

内容証明郵便の実務——形式・謄本・配達証明・電子内容証明

内容証明は形式の制限が細かく、窓口で差し戻されることが少なくありません。院内で作成する場合は次の点を押さえてください。

字数・行数の制限(紙の内容証明)

書き方 1行の字数 1枚の行数
縦書き 20字以内 26行以内
横書き(パターン1) 20字以内 26行以内
横書き(パターン2) 26字以内 20行以内
横書き(パターン3) 13字以内 40行以内
※句読点・かっこも1字として数えます。最新の取扱いは日本郵便の案内でご確認ください。

使える文字はひらがな・カタカナ・漢字・数字のほか一般に用いられる記号です。英字は固有名詞(人名・地名・法人名など)に限られるため、本文中で欧文の略語や英単語を使うことは避けてください。図や表も使えません。文例(c)が箇条書きと「記」「以上」だけで構成されているのは、この制限に合わせたためです。

謄本は3通——1通は必ず院内に残す

紙の内容証明は同一内容の文書を3通用意します。1通を相手に送り、1通を郵便局が保管し、1通が差出人(院)の控えになります。院内の控えは後に支払督促や訴訟へ進むときの証拠ですので、未収金台帳の該当行と紐づけて保管してください。「送ったはずだが控えが見つからない」は、実務では送っていないのと大差ありません。

配達証明を必ず付ける

見落とされやすい最重要ポイントです。内容証明が証明するのは「どんな内容の文書を出したか」だけで、「いつ届いたか」は証明しません。到達日の証明には別途配達証明を付けます。催告による完成猶予は「催告の時から6か月」で数えるため、到達日を証明できないと起算点を立証できません。内容証明+配達証明はセットと覚えてください。

電子内容証明(e内容証明)という選択肢

件数が多い医療機関では、インターネット経由で差し出す電子内容証明(e内容証明)が実務的です。窓口に出向く必要がなく、字数・行数ではなく用紙設定(A4・余白・文字サイズ・枚数の上限)のルールで作成します。院内でWordの定型を作っておけば、担当者が変わっても同じ品質の書面を出せます。作成ルールも料金体系も紙とは異なりますので、最新の仕様は日本郵便の案内で必ず確認してください。

売掛金一般の書き方は売掛金の内容証明郵便の書き方もご覧ください。

内容証明を弁護士名で出すかどうかから相談できます

差出名義を弁護士に切り替えるだけで反応が変わる局面があります。一方で、患者さまとの関係上、院名義を維持すべき場面もあります。件数・金額・経過期間をうかがったうえで、出し方の設計からご提案します。

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内容証明を出しても反応がないとき——次の一手の選び方

第3段階まで進んで無反応だった場合、選択肢は大きく3つです。金額と、相手の所在・資力の見通しで使い分けます。

手続 向いている場面 留意点
支払督促 相手の住所が判明しており、争ってくる見込みが低い 相手から督促異議が出ると通常訴訟へ移行する
少額訴訟 請求額が60万円以下の金銭の支払いを求める場合 同じ簡易裁判所での利用回数に制限がある
通常訴訟 金額が大きい、診療内容について争いがある 時間と費用がかかるため、回収見込みとの比較が必要
※手続の選択は、金額・所在・資力・院内の体制によって変わります。個別の判断は弁護士にご相談ください。

ここで医療機関がぶつかるのが、「1件あたりの金額は小さいが、件数が多い」という構造です。1件ごとに手続を検討していては担当者が持ちません。現実的なのは、院内で層に分けて方針を決めることです。

  • A層(金額が大きい/時効まで余裕がない):法的手続まで進める前提で、内容証明を弁護士名で出す
  • B層(中額/連絡が取れる):分割の合意を取り付けて債務の承認を得る。必ず書面で残す
  • C層(少額/連絡が取れない):第2段階までで打ち切り、経理処理の方針を決めておく

層分けを一度作れば、以後は新しく発生した未収金を振り分けるだけです。未収金対応の負担は判断の回数に比例します。都度考えず、層と基準を先に決めておくことが担当者の負担を減らす最短の道です。

なお、支払猶予を求められた場面での対応は支払猶予を求められたときの対応で整理しています。

弁護士に相談すべきケース

次のいずれかに当てはまる場合は、院内で文面を練るより先に、一度弁護士へご相談いただくほうが早く片づきます。

  • 時効までの残存期間が1年を切っている——催告の6か月では足りず、手続の選択を急ぐ必要があります
  • 身元保証人・連帯保証人への請求を検討している——保証契約の効力(極度額の定めなど)の確認が先に必要です
  • 患者さまがお亡くなりになっている——相続人の調査と相続放棄の有無の確認が前提になります
  • 診療内容についての苦情が併存している——督促と苦情対応を分けて設計しないと双方がこじれます
  • 未収金が数十件以上あり担当者の手が回っていない——仕組みとして委ねるほうが費用対効果が合います

弁護士法人ブライトは大阪を拠点に、法務部がない会社の「外部法務部」として企業法務を継続的にお預かりしています。医療機関の未収金は、対象債権の確認から文書の作成・発送、連絡調整、院内への定期報告までを継続受託する形をご用意しています(医療費・未収金回収の継続受託)。

よくある質問

督促状はいきなり内容証明で出してもよいですか?

法律上は可能ですが、実務上はおすすめしません。未収金の相当部分は請求書の不着や入院中で手続ができていないといった事務的な理由で残っており、この層に内容証明を送ると連絡経路まで閉じてしまうことがあります。院内からのご案内、配達証明付きの催告、内容証明の3段階を設計し、金額・経過期間・反応の有無・時効までの残存期間で次へ上げる基準を決めておく形をおすすめします。

督促状に病名や治療内容を書いてはいけないのですか?

書かないでください。ご本人宛ての書面に病名を書くこと自体が直ちに秘密漏示罪(刑法134条1項)にあたるわけではありませんが、内容証明は差出人・受取人・郵便局の3者が同じ文面を保有する書面であり、封書として届くため同居のご家族が先に開封する可能性もあります。医療機関は要配慮個人情報を扱う立場にありますので、記載はご利用日・金額・「診療費」「入院費」といった費目にとどめてください。

毎月督促状を送り続ければ時効は止まりますか?

止まりません。催告があったときはその時から6か月を経過するまで時効の完成が猶予されますが(民法150条1項)、猶予されている間に再度催告をしても、あらためて猶予の効力は生じません(同条2項)。督促状は、6か月以内に支払督促・訴訟提起・分割払いの合意といった次の手につなぐための助走と位置づけてください。

内容証明に配達証明は必要ですか?

付けることをおすすめします。内容証明が証明するのは「どのような内容の文書を出したか」であって、「いつ届いたか」ではありません。催告による完成猶予は催告の時から6か月で数えるため、到達日を証明できないと起算点を立証できません。紙の内容証明は同一内容の文書を3通用意し、1通は院内の控えとして未収金台帳と紐づけて保管してください。

患者さまのご家族に連絡して支払いを求めてもよいですか?

そのご家族が支払義務を負う立場かどうかで分かれます。身元保証人・連帯保証人として署名されている場合や、未成年の患者さまの親権者である場合は、その方宛ての請求書面を出します。いずれでもないご家族は債務者ではなく、支払を求める文書を送ることは適切ではありません。誰に対する請求かを台帳上で先に確定させてください。

大阪の医療機関ですが、未収金の件数が多く院内で文書を作りきれません。相談できますか?

ご相談いただけます。弁護士法人ブライトは大阪を拠点に、医療機関の未収金について、対象債権の確認から文書の作成・発送、患者さまとの連絡調整、院内への定期報告までを継続受託する形をご用意しています。費用は件数・債権額・経過期間・依頼範囲によって変わりますので、まずは院内の現状をお聞かせください。企業法務窓口:06-4965-9590(平日9:00〜18:00)

院内の督促フローの整備からご相談ください

文例の定型化、段階を上げる基準づくり、弁護士名義への切替えの見極めまで、医療機関の未収金対応を続けられる形に整えます。顧問先142社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが大阪から対応します。

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本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
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