「競合より良いサービスだと思っているから、そう書いた。それの何が問題なのか」——そう感じている社長は、少なくないはずです。自社商品を自信を持って売り込むのは経営者として当然のこと。でも、その言葉が法律的に問題になるかどうかは、自信の強さとは別の話です。 景品表示法の「優良誤認表示」は、故意に嘘をついた場合だけを対象にしているわけではありません。「そんなつもりじゃなかった」という場面で、消費者庁から措置命令を受けたり、課徴金を課されたりした企業が実際に存在します。しかも、指摘を受けるのは大企業だけではなく、成長途中の中小企業、EC事業者、スタートアップも含まれます。 この記事では、優良誤認表示の違反事例に共通する構造と、「なぜ社長がそのリスクを見逃してしまうのか」という判断ミスの原因を整理します。法律の条文解説ではなく、社長が次の判断に活かせる視点として読んでいただければと思います。 優良誤認表示とは何か——「よく見せたい」が違反になる境界線 景品表示法は、消費者が商品・サービスを選ぶときの判断を守るための法律です。そのなかで「優良誤認表示」とは、実際よりも著しく優良であると消費者に誤解させる表示のことを指します。 具体的には次のようなパターンが当てはまります。 「業界No.1」と書いたが、その根拠となるデータが存在しない 「国産100%使用」と表示したが、一部に外国産素材が混入していた 「臨床試験で効果実証」と書いたが、その試験が自社で実施した非公開のものだった 「競合A社より30%安い」と比較広告を出したが、条件の異なるプランどうしを比べていた ここで重要なのは、故意かどうかは問われないという点です。「本当にそう思っていた」「悪意はなかった」は免責の理由になりません。消費者が見たときに「実際よりも優れている」と誤解する可能性があれば、問題になり得ます。 また、2023年の景品表示法改正により、課徴金制度の強化と確約手続きの導入が行われ、違反した企業への対応がより厳しくなっています。措置命令だけでなく、売上の3%相当の課徴金が課されるケースもあり、企業規模によっては経営に直結するダメージになります。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る0120-929-739(みんなの法務部)LINE相談(無料) なぜ社長はこの判断ミスをしてしまうのか 【図解】優良誤認表示とは何か——「よく見せたい」への対応フロー ① 問題発生 → ② 事実確認・記録 → ③ 顧問弁護士に相談 → ④ 対応策の実行 ※ 弁護士に早期相談することで、リスクを最小化できます。 顧問先企業からの相談を通じて気づくのは、違反のほとんどが「悪意ある詐欺」ではなく、善意の延長線上にある表現から生まれているということです。 社長が判断ミスをしてしまう構造には、次のようなパターンがあります。 ①「自分たちが一番だと信じているから書いた」 自社のサービスに自信を持つのは経営者として当然です。しかし、主観的な確信と、法的に許容される表現は別物です。「最高品質」「業界随一」などの言葉は、客観的な根拠が存在しなければ景品表示法上の問題になりえます。 ②「マーケターが書いたから確認しなかった」 LP(ランディングページ)や広告のコピーは、マーケティング担当者や外注のライターが書くケースが多いです。しかし、表示内容に対する法的責任は事業者(会社)にあります。担当者が法律を知らないままコピーを作成し、社長がチェックしないまま公開されることで、気づかぬうちに違反状態になっている事例があります。 ③「比較広告は合法と聞いたから大丈夫と思っていた」 比較広告自体は景品表示法上、一定の条件を満たせば認められています。しかし、比較する条件・前提が不公平な場合は優良誤認表示になります。「より安く、より良いサービスを提供している」という広告も、比較の基準が適切でなければ違反と判断される可能性があります。実際に、競合他社から景品表示法違反を理由にクレームを受けた顧問先企業の事例があります。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る0120-929-739(みんなの法務部)LINE相談(無料) 問題が起きる前にできること——予防としての広告チェック体制 優良誤認表示は、公開前に防ぐのが最も低コストです。一度公開された広告が違反と判断されると、措置命令の公表・課徴金・レピュテーション損害が同時に発生します。問題になってから対処するより、事前に防ぐ仕組みを作るほうが、明らかにコストが低い。 予防のために整えておくべきことは、主に以下の3点です。 表示に関する社内承認フローの整備:LP・広告・パンフレット・SNS投稿のいずれについても、法的リスクを確認するステップを設ける 根拠資料の事前準備と保管:「No.1」「業界最安値」などの表現を使う場合、その根拠となるデータ・調査結果を事前に取得・保管しておく 外注先への指示内容の明確化:広告代理店・ライターに対して、表示の根拠確認を契約上の義務として明記しておく こうした体制を整えるタイミングとして最適なのは、新しい広告を出す前・新規サービスのLP制作に入る前・比較広告や効果訴求をしようとしたときです。この段階で一度、弁護士に確認を求めることが「揉めないための弁護士活用」です。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る0120-929-739(みんなの法務部)LINE相談(無料) 消費者庁から指摘を受けたときの対応フロー もし消費者庁から調査や問い合わせが来た場合、対応の初動が重要です。「とりあえず謝罪文を出す」「担当者が個人判断で回答する」という対応は、後の交渉を不利にする可能性があります。 指摘を受けた場合の基本的な対応フローは次のとおりです。 事実確認:問題とされている表示の内容・掲載期間・閲覧数・売上との関係を社内で整理する 根拠資料の収集:当該表示を行った際に参照していたデータや承認記録を集める 弁護士への即時相談:消費者庁との窓口対応・文書対応は弁護士を通じて行うことが望ましい 表示の速やかな是正:問題のある表示をただちに削除・修正し、是正措置を記録する 再発防止策の文書化:内部手続きの見直しを文書として残し、誠実な対応姿勢を示す この場面で「証拠」として機能するのは、事前の承認記録・根拠データ・修正履歴です。これらが残っていれば、「悪意がなかった」「速やかに是正した」という事実を示せます。証拠は、紛争になってから急に作れるものではありません。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る0120-929-739(みんなの法務部)LINE相談(無料) 失敗事例の構造——なぜ相談が遅れたのか 顧問先からの相談を通じて見えてくる失敗パターンには、共通した構造があります。 「競合に指摘されてから初めて問題だと気づいた」 ある越境EC事業者のケースでは、競合他社のサービスと比較した広告を出したところ、その競合から「景品表示法違反に当たる」としてクレームが届きました。社内では「比較広告は問題ない」という認識で公開していましたが、比較の基準や条件の設定が不正確であり、優良誤認表示に該当しうる内容でした。 問題は、広告公開前に誰も確認していなかったことです。マーケティング担当者がコピーを書き、上長が内容の良し悪しだけを確認して公開。法的なチェックは誰の担当にもなっていませんでした。 「根拠データが手元になかった」 別の事例では、「お客様満足度No.1」という表示を使っていましたが、それが消費者庁に問題視されたとき、その根拠となる調査データが社内に残っていませんでした。担当者が外注業者から受け取ったものの、ファイル管理がされておらず、原本が確認できない状態でした。 結果として「根拠なき表示」として扱われ、是正と再発防止策の提出を求められる事態になりました。「あのとき資料を保管しておけば」という後悔が残る典型的なパターンです。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る0120-929-739(みんなの法務部)LINE相談(無料) うちの会社ではどう考えればいいのか 「そこまで大きな会社ではないから、消費者庁に目をつけられることはないだろう」という認識を持つ社長は少なくありません。しかし、消費者庁への申告は競合企業や消費者からも行われます。EC事業者・スタートアップ・中小企業であっても、対象になるリスクは十分あります。 自社の広告表示を見直すとき、次の問いを立てるだけで多くのリスクを減らせます。 この表現の根拠は、今すぐ書類で示せるか? その根拠は、第三者が見ても公正だと言えるか? 競合と比較するとき、同じ条件・同じ前提で比べているか? この広告を公開する前に、法的チェックのステップがあるか? 特に注意が必要なのは、成長フェーズにある企業です。新規事業の立ち上げ・新しいLP制作・比較広告の初導入——これらは判断が速くなる局面であり、同時に法的確認が抜け落ちやすい局面でもあります。 再発防止策——広告表示の社内管理体制を整える 一度問題になった会社が次にすべきことは、「その広告を直す」だけではありません。同じ構造のミスが再び起きない仕組みを作ることが本当の再発防止です。 具体的に整えるべき仕組みとしては、以下が挙げられます。 広告表示チェックリストの作成:公開前に必ず確認する項目を一覧化し、承認記録を残す 根拠資料の保管ルール策定:表示の根拠となるデータは「いつ取得したか・誰が確認したか」を記録して保管する 外注先との契約への条項追加:広告代理店・制作会社に対し、景品表示法上の適法性確認を業務範囲に含める条件を明記する 定期的な広告表示の棚卸し:既存の広告・LPについても、半年〜1年ごとに内容を見直す機会を設ける これらは一度整えれば終わりではなく、法改正や消費者庁の運用指針の変化に応じてアップデートが必要です。そのため、日常的に法務の知見を持ち込める体制があるかどうかが、長期的には大きな差になります。 優良誤認表示の問題は、一度の広告修正で終わる話ではありません。広告表示チェックリストの整備、外注先への指示条項の明記、根拠資料の保管ルール策定——これらを会社の仕組みとして定着させるには、継続的な法務サポートが不可欠です。顧問先130社以上の実名を公開し、企業法務部の弁護士歴平均14年以上の弁護士が対応するブライトの「みんなの法務部」では、新しいLPや広告施策を動かすたびに気軽に確認できる体制を提供しています。違反を「起きてから対処する」のではなく、「起きない構造を作る」ための伴走が、成長フェーズにある企業にとって最もコストパフォーマンスの高いリスク管理です。 よくある質問 Q1. 「業界No.1」という表現は、常に違法になるのですか? 必ずしもそうではありません。客観的な調査データ(第三者機関による調査など)に基づいており、比較対象・調査方法・調査時期が明示されていれば、使用できる場合があります。ただし、根拠が曖昧であったり、調査方法が恣意的であったりすると、優良誤認表示に該当するリスクが高まります。使う前に根拠の整合性を確認することが重要です。 Q2. 違反した場合、どのくらいの課徴金になりますか? 景品表示法の課徴金は、原則として違反行為に係る商品・サービスの売上額の3%とされています。対象期間は最大3年分とされており、売上規模が大きい企業ほど金額は大きくなります。また、課徴金の他に措置命令(違反内容の公示・再発防止の命令)が行われるため、レピュテーションへの影響も無視できません。 Q3. 広告代理店が作ったコピーで違反しても、会社の責任になるのですか? はい。景品表示法上の責任は、表示の内容に関して実質的な決定権を持つ事業者(会社)にあります。外注先が作成したコピーであっても、その表示を自社の広告として使用した以上、責任を負う立場になります。外注先との契約に適法性確認の義務を盛り込むとともに、公開前に自社でもチェックする体制を持つことが重要です。 Q4. 消費者庁の調査が入った場合、すぐに弁護士に連絡すべきですか? はい、初動対応が後の交渉を大きく左右するため、消費者庁から接触があった時点で早急に弁護士に相談することをお勧めします。担当者が独断で回答したり、根拠が確認できないまま謝罪文を送付したりすると、その後の是正交渉や課徴金算定において不利な状況になる場合があります。 当事務所が参考にした実務書 当事務所では本テーマに関する最新の実務書を継続的に確認し、顧問先企業のリスク評価に反映しています。本記事の作成にあたり特に参考にした書籍を以下に紹介します。 『景品表示法』 — 土田和博・栗田哲男・品川武・瀬領真悟 著/有斐閣/2023年/分類:学術書・体系書 『実務家のための景品表示法ガイド』 — 池田毅 著/商事法務/2022年/分類:Q&A形式の実務解説書 『広告表示の法律実務』 — 鈴木将文 著/商事法務/2020年/分類:業種特化型実務書 『不当景品類及び不当表示防止法 表示規制編ガイドライン』 — 消費者庁/最新版/分類:公的機関のガイドライン・Q&A 『Q&Aでわかる景品表示法の実務』 — 泉田雄三・竹村知己 著/中央経済社/2021年/分類:Q&A形式の実務解説書 ※ 書籍内容は引用しておらず、書誌情報のみ表示しています。本記事は弁護士法人ブライトが監修・執筆しています。 この記事の監修者 和氣 良浩(わけ よしひろ) 弁護士法人ブライト|代表弁護士/パートナー弁護士 弁護士歴20年(2006年登録)/大阪弁護士会/大阪大学法学部卒 専門:顧問弁護士・企業法務・M&A・経営権紛争・事業再生 優良誤認表示・景品表示法対応・広告法務など経営上の課題を継続的に相談できる顧問弁護士をお探しの方は、弁護士法人ブライト「みんなの法務部」にお問い合わせください。顧問先130社以上の実名を公開しており、企業法務部の弁護士歴平均14年以上の経験豊かな弁護士が対応します。企業法務窓口:0120-929-739(平日9:00〜18:00) 「みんなの法務部」というブライトの考え方 中小企業の社長に「専属の法務部」を持っていただく——これがブライトの顧問サービスの基本姿勢です。社内に法務部を置けない規模でも、契約書・労務・債権回収・M&Aまで日常的に相談できる体制を、月額固定で。企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームで、130社以上の顧問先と向き合っています。 ▶ みんなの法務部とは(詳しく見る) 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る0120-929-739(みんなの法務部)LINE相談(無料)