ロールスロイスを交通事故で損傷させられた場合、修理費以外に評価損(格落ち損)を請求できる場合があります。しかし、保険会社は評価損を自発的に提示しません。請求しなければ0円のまま示談が終わります。
- ロールスロイス・ファントムの評価損:修理費の約3割(105万円)を認定した裁判例あり(大阪地判平25・3・22)
- 購入価格3,530万円・初度登録から約2年10か月・事故時走行距離約3万1,100kmという条件での認定
- 修理費約348万円の3割相当105万円——躯体などの構造部分に及んでいないことを考慮しても認定
- 保険会社の「払えない」に対して弁護士が裁判例を示して交渉・訴訟できる
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ロールスロイスの評価損とは
評価損(格落ち損)とは、交通事故で車が損傷し、修理によって外見上は元に戻っても、中古市場における車両価値が事故前より下がってしまう損害のことです。ロールスロイスは中古市場における評価が特に高い超高級外車であるため、評価損が認められやすい車種の筆頭に位置づけられます。
評価損には、①修理しても機能・外観に欠陥が残る「技術上の評価損」と、②修理により欠陥は残存しないが事故歴・修理歴により交換価値が下がる「取引上の評価損」があります(園部厚著『交通事故物的損害の認定の実際』参照)。実務上問題になるのは主に後者です。
ロールスロイスは定価が数千万円台に及ぶ超高級車であり、わずかな事故歴でも中古市場での価値が大きく下落します。この特性が、裁判例において高い評価損認定率につながっています。
なぜ保険会社は評価損を払わないのか
- ①任意保険の支払基準に評価損の項目がない——修理費・代車費用等は支払基準が明確ですが、評価損は「対象外」として扱われます
- ②請求しなければ0円で示談が終わる——保険会社は評価損の存在を伝える義務がありません
- ③「裁判をしなければ払わない」という対応をされる——弁護士が裁判例を示して交渉・訴訟して初めて動く損害です
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ロールスロイスの評価損——裁判例(大阪地判平25・3・22)
専門書(園部厚著『交通事故物的損害の認定の実際』評価損部分)に収録されたロールスロイスの評価損裁判例を紹介します。
ロールスロイス・ファントム——修理費の約3割(105万円)を認定
初度登録から約2年10か月が経過したロールスロイス・ファントム(購入価格3,530万円)について、本件事故までの走行距離が約3万1,100kmであり、一定程度の走行距離が認められること、原告車の修理箇所は躯体などの構造部分に及んでいないことなどを踏まえ、原告車の評価損は修理費用(348万7,970円)の約3割に当たる105万円であると解するのが相当であると判断された(大阪地判平25・3・22 自保ジャーナル1905号157頁)。
この裁判例において注目すべき点は以下のとおりです。
- 躯体(構造部分)への影響がなくても3割が認定された——ロールスロイスの高額性・ブランド価値が評価損を押し上げた
- 初度登録から約2年10か月という比較的短期間——年式が新しいほど評価損が認められやすい
- 修理費348万7,970円の3割相当——修理費自体が高額になりやすいロールスロイスでは評価損額も大きくなる
出典:園部厚著『交通事故物的損害の認定の実際』評価損部分(大阪地判平25・3・22 自保ジャーナル1905号157頁)
高級車の評価損認定の目安——車種別比較
専門書(園部厚著『交通事故物的損害の認定の実際』)に収録された裁判例では、高級外車・超高級車の評価損について以下のような認定がされています。
| 車種 | 認定評価損 | 条件 | 裁判例 |
|---|---|---|---|
| ロールスロイス・ファントム | 修理費の約30%(105万円) | 初度登録から約2年10か月・走行距離約3万1,100km | 大阪地判平25・3・22 |
| ランボルギーニ・ディアブロGT(限定80台) | 修理費の30%(36万円) | 初度登録から約10年・走行距離約1万5,000km | 大阪地判平25・6・14 |
| 外国車(新車登録後約4か月・走行距離2,856km) | 修理費の30%程度(214万1,040円) | 修理費713万6,800円 | 東京地判平23・3・29 |
| ポルシェ・カレラ911 | 150万円(定額認定) | 初度登録後4か月余り・走行距離約1,600万円の純粋スポーツカー | 大阪高判平21・1・30 |
| メルセデス・ベンツCL600 | 修理費の30%(51万7,230円) | 初度登録から約4年半・走行距離約4万7,741km | 京都地判平18・9・22 |
ロールスロイスはこの中でも最高級の超高級車であり、年式・走行距離・損傷部位の組み合わせによってはさらに高い評価損が認められる可能性があります。
ロールスロイスの評価損——個人では勝てない3つの理由
理由① 保険会社との情報格差
保険会社は評価損の裁判例を熟知しており、「払えない」「認定基準に該当しない」という主張の根拠を持っています。個人が交渉する場合、どの裁判例を根拠にどのように反論すれば良いか分からず、保険会社の提示額をそのまま受け入れてしまうケースが多数あります。
理由② 査定書の取得と証拠構築
評価損を請求するためには、一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)等の「事故減価額証明書」が証拠として役立つ場合があります。しかし、同協会の証明書が裁判所に採用されるかどうかは個別事案によって異なり(園部厚著『交通事故物的損害の認定の実際』参照)、証拠の組み立て方を誤ると認定が低くなるリスクがあります。弁護士が証拠戦略を立てることが重要です。
理由③ 訴訟リスクを加味した交渉力
弁護士が「訴訟を起こせる」という交渉力を持つことで、保険会社は裁判例を踏まえた金額での和解に応じることが多くなります。個人では訴訟を提起するコスト・手続きの負担から交渉を打ち切りにくく、保険会社は低い金額での示談成立を狙ってきます。
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弁護士に依頼すると評価損以外にも増える——総額で考える
遅延損害金(事故日から年3%)
交通事故による損害賠償請求権は不法行為に基づくため、事故日から遅延損害金(法定利率年3%・現行民法)が加算されます。示談では保険会社は遅延損害金を乗せてきません。訴訟・訴訟前提の和解で初めて満額に乗る項目です。たとえば評価損105万円の案件で事故から2年経過した場合、遅延損害金だけで約6万3,000円が純増します。
弁護士費用相当損害金(認容額の約1割)
不法行為訴訟では、認容額の約1割を弁護士費用相当損害金として加算するのが判例の扱いです。ただし、物損のみの事案では認められない裁判例もあります(人身損害と併存する案件や高額物損案件では認められやすいとされています)。ロールスロイスのような高額物損案件では、弁護士費用相当損害金が認められる可能性が高まります。
弁護士費用特約(弁特)の活用と精算上の注意点
ロールスロイスの評価損請求において、弁護士費用特約(弁特)の有無によって費用の精算方法が異なります。
弁特なし——弁護士費用相当損害金が自腹回避になる
弁護士費用特約をお持ちでない場合、訴訟・訴訟前提の和解では弁護士費用相当損害金(認容額の約1割)が相手方から支払われることがあります。これは実質的に弁護士費用の自腹を回避できる項目です。また遅延損害金(事故日から年3%)は誰でも純増になります。
弁特あり——精算(返金・控除)が必要なケースがある
弁護士費用特約がある場合、判決や和解で相手方から弁護士費用相当額が支払われたときは、特約の保険会社との間で精算(返金・控除)が必要になることがあります。弁護士費用特約と弁護士費用相当損害金の両方を二重に受け取ることはできません。一方、遅延損害金は誰でも純増となり、精算の対象にはなりません。
弁護士費用特約をご利用の場合、判決などで相手方から弁護士費用相当額が支払われたときは、特約の保険会社との間で精算(返金・控除)が必要になることがあります。二重に受け取れるものではありません。詳しくはご相談ください。
弁護士費用特約の仕組みや、特約なしでの費用の流れについては以下もご参照ください。
評価損の請求に必要な証拠
- 車検証(初度登録年月・車種・型式)
- 修理見積書・修理明細書(修理費の算定根拠)
- 損傷箇所の写真(骨格部分への影響を示す資料)
- 事故前後の査定書(一般財団法人日本自動車査定協会等)
- 走行距離の記録(車検記録・整備記録)
- 購入価格・車両価格が分かる資料(売買契約書・ディーラー見積書等)
ロールスロイスはディーラーが限られるため、評価損に関するディーラーの意見書や査定書が証拠として有力になる場合があります。早期に収集しておくことが重要です。
代車費用——ロールスロイス相当の高級車
ロールスロイスの修理期間中、同車種・同グレードに相当する代車を借りた場合、その費用が認められるかどうかも問題になります。高級輸入車の代車費用については個別の事情によって判断が分かれるため、専門家への相談が重要です。
代車費用については以下の記事もご参照ください。
弁護士法人ブライト 交通事故専門チーム
- 交通事故主任:松本洋明弁護士(修習63期・登録2010年)が主担当
- 代表:和氣良浩弁護士が監修
- 弁護士歴平均14年以上のチームが担当
- 着手金0円・完全成功報酬制(交通事故)
- 顧問先130社以上の実績を持つ総合法律事務所の交通事故チーム
弁護士法人ブライトは、企業法務から個人案件まで幅広く対応する総合法律事務所です。交通事故案件では、松本洋明弁護士(修習63期・2010年登録)を主任とするチームが担当します。ロールスロイスのような高額物損案件での評価損交渉・訴訟は、裁判例の熟知と証拠構築が勝敗を決します。
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よくある質問(FAQ)
Q1. ロールスロイスの事故で評価損はいくら請求できますか?
裁判例(大阪地判平25・3・22)では、修理費の約3割(105万円)が認定されています。個別の年式・走行距離・損傷部位・修理費によって金額は変わります。まずはご相談ください。
Q2. ロールスロイスの修理後に評価損を請求できますか?
はい、できます。修理明細書・車検証・走行距離の記録があれば評価損の根拠を組み立てることができます。修理完了後でも請求可能です。
Q3. 保険会社が「ロールスロイスでも評価損は払えない」と言っています。
諦める必要はありません。裁判例では修理費の3割相当が認定されており、弁護士が交渉・訴訟を行うことで評価損が認められた事例があります。保険会社の支払基準に縛られる必要はありません。
Q4. 骨格(フレーム)損傷がない場合でも評価損を請求できますか?
はい。大阪地判平25・3・22でも「躯体などの構造部分に及んでいない」と認定しながら修理費の3割(105万円)が認定されています。ロールスロイスの高い車両価格・ブランド価値が評価損の根拠になります。
Q5. 評価損の時効はいつですか?
物損の損害賠償請求権の時効は、損害および加害者を知った時から3年です(民法724条)。事故から3年以内にご相談ください。
Q6. 弁護士費用特約がない場合でも依頼できますか?
はい、できます。弁護士法人ブライトでは着手金0円・完全成功報酬制で対応しています。費用は解決時の賠償金から差し引く形になりますので、初期費用の負担なくご依頼いただけます。
ロールスロイスの評価損は、請求しなければ0円で終わります。大阪地判平25・3・22では修理費の3割・105万円が認定されています。弁護士法人ブライトにご相談ください。
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監修弁護士
執筆:松本 洋明(まつもと ひろあき)弁護士
弁護士法人ブライト 交通事故主任。大阪弁護士会所属。登録2010年・修習63期。
監修:和氣 良浩(わけ よしひろ)弁護士
弁護士法人ブライト 代表弁護士。大阪弁護士会所属。弁護士歴20年以上。顧問先130社以上の実績。




