監修:和氣 良浩(わけ よしひろ) 弁護士法人ブライト|代表弁護士|大阪弁護士会 大阪で20年以上、中小企業の企業法務・顧問弁護士サービスを提供。顧問先130社以上に透明性の高いリーガルサポートを実践している。 2024年11月1日、フリーランス保護法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が施行されました。フリーランスに業務を発注している会社は、今すぐ対応が必要です。 「うちはフリーランスに仕事を頼んでいるが、何が変わるのか分からない」「今の業務委託契約書のままで問題ないのか不安」——弁護士法人ブライトに寄せられる相談で、この手の問いが急増しています。 特に大阪の中小企業では、SNSコンテンツ制作・システム開発・営業支援など多様な業務でフリーランスを活用しているにもかかわらず、フリーランス法に準拠した契約書を整備できていないケースが大半です。私たちが実際にお受けしてきた数多くの相談でも、「法律ができたのは知っているが、何を直せばよいか分からないまま半年以上が過ぎた」という声を頻繁に耳にします。 この記事では、フリーランス保護法の概要・発注会社が取るべき具体的対応・違反した場合のリスクを、大阪の顧問弁護士として中小企業の経営者・総務担当者に向けて解説します。 フリーランス法への対応は顧問弁護士にご相談ください 弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 無料で相談する フリーランス保護法とは何か 法律の正式名称と施行日 正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(2024年11月1日施行)です。フリーランス法、または「フリーランス・事業者間取引適正化等法」とも呼ばれます。 この法律は、働き方の多様化に伴いフリーランスとして働く人が増える一方、発注者側(会社)が優位な立場を利用した不当な取引慣行を規制することを目的として制定されました。下請法が書面交付義務や減額禁止などを定めているのと同様の保護を、フリーランスにも及ぼす仕組みです。 「特定受託事業者」とはどういう人か フリーランス保護法の保護対象となる「特定受託事業者」とは、業務委託の相手方であって、従業員を使用しない事業者です(法第2条第1項)。個人でフリーランスとして活動する人がここに当たります。法人でも役員のみで従業員なしの場合は含まれます。 「特定受託事業者」に業務を発注する会社(発注事業者)が「特定業務委託事業者」です。発注事業者の従業員数には関係なく、フリーランスに発注している会社はすべて規制の対象になります。 法的根拠 特定受託事業者:従業員を使用しない個人・法人(法第2条第1項) 特定業務委託事業者:特定受託事業者に業務を委託する事業者(法第2条第2項) 書面等交付義務:業務委託の際の必要事項の明示(法第3条) 報酬支払期日:成果物受領から60日以内(法第4条) 禁止行為:継続的業務委託における各種不当行為(法第5条) 根拠条文:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第25号) 「自社の発注が該当するか」を弁護士に確認する 弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 無料で相談する 発注会社が必ず対応すべき4つの義務 フリーランス保護法が発注事業者に課す主な義務は次の4つです。規模を問わず、フリーランスに業務委託している会社はすべて対象です。 1. 書面等による取引条件の明示(第3条・必須) フリーランスに業務を委託する際、委託の内容・報酬額・支払期日・業務を受託する期間など所定の事項を、書面または電磁的方法(メール・PDF等)で明示しなければなりません。 特に注意が必要なのは、「後で送ればいい」が通用しない点です。委託の時点で交付が必要です。口頭発注のみ、注文書なしのメール一本、というやり方はこの時点で義務違反になります。 明示事項 内容 注意点 業務内容 委託する業務の範囲・成果物 「なんとなく」は不可。具体的に 報酬の額 金額または算定方法 「相談して決める」は不可 支払期日 報酬の支払日 成果物受領から60日以内 給付を受領する期日 成果物の受け取り期日 「いつ納品してもらうか」を明示 業務委託をする期間(継続型) 継続的業務委託の場合 期間明示がないと第5条違反のリスク 2. 報酬支払期日の設定(第4条) 成果物を受領した日(役務の提供を受けた日)から起算して60日以内に報酬を支払わなければなりません。この60日という期限は、発注者が自由に変更することはできません。 実務上の注意点:月末締め翌々月末払いのサイクルを採用している会社では、受領から60日を超える可能性があります。今すぐ自社の支払サイクルを確認してください。 3. 継続的業務委託における禁止行為(第5条) 同一のフリーランスに継続して業務を委託している場合(いわゆる「継続的業務委託」)、次の行為が禁止されます。 成果物を受け取ることの拒否(受領拒否) 正当な理由のない報酬の減額 成果物の返品(成果物の受領後) 通常の価格に比して著しく低い報酬額の設定(買いたたき) 業務委託に係る商品・役務の強制的購入(購入強制) 不当なやり直しの要求 妨害行為 下請法と似た規制ですが、フリーランス法は資本金の大小に関係なく適用される点が大きな違いです。下請法では発注会社の資本金規模によって適用有無が変わりますが、フリーランス法はすべての発注者が対象になります。 4. ハラスメント対策・育児介護等への配慮(第11条・第12条) 継続的業務委託において、ハラスメントに係る相談体制の整備(第11条)と、妊娠・出産・育児・介護への配慮(第12条)が義務付けられます。社内従業員への対応と同様の配慮が、フリーランスにも求められます。 「業界慣習だから大丈夫」は通用しない——書面なし取引のリスク 私たちが実際にお受けしてきた相談の中で、特に印象的なパターンがあります。 ある卸売業の会社では、業界慣習として本契約書を交わすことが少なく、受発注書のみでの取引が大半でした。仕入れ先・韓国メーカー・国内商社との取引もほぼ契約書なし、人材紹介の取引についても「慣習だから」という理由でそのまま運用していました。 法務ドック(1年間の法的体制チェック)で全体を整理してみると、秘密保持契約は多数締結しているが本契約に進まないケースが多く、責任の所在が曖昧になる案件が複数積み上がっていたことが分かりました。「大きなトラブルなし」で済んでいたのは偶然の積み重ねにすぎなかったのです。 フリーランス保護法の施行後は、この「慣習」に法的なリスクが上乗せされます。書面交付義務違反・支払遅延・買いたたき行為は、公正取引委員会または厚生労働大臣による調査・勧告・命令の対象になります。繰り返し違反した場合には、企業名が公表されることもあります(法第22条)。 「書面なし・慣習取引」を今すぐ見直す 弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 無料で相談する フリーランス法に対応した業務委託契約書の必須記載事項 フリーランス保護法の施行を受けて、業務委託契約書に追加・修正すべき条項を整理します。 発注書・業務委託契約書のセット構成 実務上は、「業務委託基本契約書」+「個別発注書」の二段構えが標準です。基本契約書で共通ルールを定め、個別発注書で業務内容・報酬額・納期を案件ごとに明示します。 ポイントは、個別発注書をフリーランスへの業務委託の「時点」で発行することです。後から送っては義務違反になります。 業務委託契約書に必ず入れる条項チェックリスト 条項 フリーランス法対応で追加・修正すべき内容 重要度 業務内容・成果物の定義 「なんとなく」を排除。成果物の仕様・範囲を具体的に記載 必須 報酬の額・算定方法 金額または明確な算定式を記載。「後で調整」は不可 必須 支払期日 「成果物受領から○日以内」を明記。60日を超えないよう設定 必須 受領・検収条件 成果物を「いつ・どのように確認するか」を明記。曖昧だと受領拒否リスク 必須 やり直しの条件 どのような場合に修正・やり直しを求められるかを限定的に定義 推奨 継続業務委託の期間 継続契約の場合は期間を明記。中途解除の手続きも規定 推奨 ハラスメント相談窓口 窓口担当者・連絡先を契約書または別添で明示 継続型は必須 知的財産権の帰属 成果物の著作権・特許等をどちらが持つかを明記(フリーランス法とは別に重要) 推奨 SNSコンテンツ・クリエイター系案件での注意点 SNSコンテンツ制作会社がインフルエンサーやクリエイターに発注するケースでは、特有の論点があります。私たちが実際にお受けしてきた相談でも、フリーランス法の施行を契機に「既存の発注書を全面的に見直したい」という依頼が増えています。 具体的な検討ポイントとして: 投稿した動画・画像の著作権が発注者に移転するか否か(移転する場合は対価が適正か) 投稿後の修正・削除を発注者が一方的に求められるかどうか(不当なやり直し要求に当たる可能性) 継続的に投稿を依頼している場合、一方的に発注を停止することは中途解除に当たるか 「案件ごとのメール依頼」が書面交付義務を満たすかどうか(メール・チャットでの明示でも可だが内容が揃っていることが必要) こうした案件では、「合意書」「確認書」のような補足的な書面を整備することで、後々のトラブルを大幅に減らせます。 雇用と業務委託の境界線——「偽装フリーランス」のリスク フリーランス法と「労働者性」の問題は別問題 フリーランス保護法は、フリーランスを「従業員」として扱う義務を課す法律ではありません。しかし、フリーランスに業務委託しているつもりで、実態として「指揮命令下に置き、時間管理もしている」という状況になっていれば、労働基準法上の「労働者」と判断される可能性があります。 これが「偽装フリーランス」の問題です。偽装フリーランスと認定された場合、過去にさかのぼって未払い残業代・社会保険料の追徴が発生するリスクがあります。 「業務委託か雇用か」を判断する6つのポイント 判断要素 業務委託(フリーランス)寄り 雇用(労働者)寄り 指揮命令 仕事の進め方は本人が決める 会社が具体的に指示する 時間的拘束 勤務時間・場所が自由 勤務時間・場所が決まっている 代替性 他の人に任せることができる 本人しかできない(代替不可) 報酬の性質 成果に対する対価(成果報酬型) 時間・日数に対する対価(時給・日給) 機器・材料の負担 本人が用意・費用も本人負担 会社が貸与・費用も会社負担 専属性 他社の仕事も受けている 実質的に1社専属 複数の要素が「雇用寄り」に当てはまる場合、労働者性が認められるリスクがあります。「業務委託と書いてあれば大丈夫」という考えは通用しません。契約書の文言より実態で判断されます。 大阪の運輸・観光業の案件で、私たちが実際にお受けしてきた相談では、ドライバーを業務委託として扱っていたものの、時間・場所・業務内容の全てを会社が指示していた実態があり、「残業代・社会保険料の遡及請求リスクが高い」と判断せざるを得ないケースがありました。業務委託として整理するためには、「会社が指示する部分を絞る」「本人が複数社と取引できる体制を作る」といった実態面の変更が不可欠でした。 違反した場合のペナルティ 行政処分のフロー フリーランス保護法に違反した場合、次の手順で行政処分が進みます。 報告徴収・立入検査:公正取引委員会または厚生労働大臣が調査(法第21条) 勧告:違反行為の是正を求める(法第22条第1項) 命令:勧告に従わない場合、是正命令(法第22条第2項) 企業名の公表:命令に従わない場合(法第22条第3項) 罰則:虚偽報告・立入検査妨害は50万円以下の罰金(法第24条) 書面交付義務違反の場合は勧告・命令の対象となり、ひとたび命令が出れば企業名が公表されます。規模が小さい会社であっても、フリーランスからの申告があれば調査が始まります。 行政処分を受ける前に、今の契約書を点検する 弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 無料で相談する 顧問弁護士がいる会社といない会社の違い——フリーランス法の対応を例に 大阪の中小企業で顧問弁護士に法務対応を依頼した場合と、依頼しなかった場合で、フリーランス保護法への対応にどれだけの差が生まれるかを整理します。 顧問弁護士なしで対応した場合の典型的な流れ 法律が施行されたことを知る(半年〜1年後) ネット検索で概要を把握するが「どこまで対応が必要か」が分からない 既存の業務委託契約書を「たぶん大丈夫」と思いそのまま使い続ける フリーランスから「支払いが60日を超えている」「書面がない」と指摘される 行政機関への申告→調査→勧告のリスクにさらされる 顧問弁護士がいる場合の典型的な流れ 施行前に弁護士から「御社はこの点を直してください」と具体的な指摘を受ける 書面交付の仕組み(発注書フォーマット)を弁護士と一緒に整備 継続業務委託先のリストアップ→ハラスメント相談窓口の整備 支払サイクルの確認→60日ルールへの対応 フリーランスとの信頼関係が向上し、業務継続がスムーズになる 弁護士法人ブライトの「みんなの法務部」は、大阪の中小企業の外部法務部として、法改正への事前対応・契約書整備・実務フローの設計を一体的に行います。企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが、顧問先130社以上の実績を踏まえてサポートします。 特に顧問先の法的体制を定期的に点検する「法務ドック」では、フリーランス法への対応状況も含めて、会社全体のリスクをまとめて可視化・整備します。 大阪でフリーランス保護法への対応を含めた企業法務の体制整備をご検討であれば、顧問弁護士サービス「みんなの法務部」をご覧ください。 また、業務委託契約書の具体的なチェックポイントは業務委託契約書チェックもご参照ください。下請法との関係は下請法違反の典型例で詳しく解説しています。 弁護士に相談すべきケース 次のいずれかに当てはまる場合は、早めに弁護士に相談することをお勧めします。 フリーランスへの発注を口頭・メール1本のみで行っている(書面交付義務違反のリスク) 支払サイクルが月末締め翌々月末払いなど60日を超えるケースがある インフルエンサー・クリエイターに継続的に業務を委託している フリーランスに対して「この仕事だけやってほしい」「毎日来てほしい」という関係になっている(偽装フリーランスのリスク) 既存の業務委託契約書がフリーランス法施行前に作ったもので、一度も見直していない フリーランスから「支払いが遅い」「書面がない」と指摘を受けた 今すぐ無料相談で対応状況を確認する 弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 無料で相談する 📄 契約書・取引トラブルの相談窓口 契約書のリーガルチェック・取引先とのトラブル・契約解除など、企業間取引の法務は弁護士法人ブライトの契約書法務センターで対応します。顧問先130社以上・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。 契約書法務サービスの詳細を見る よくある質問 フリーランス保護法はいつから施行されましたか? 2024年11月1日に施行されています。正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第25号)です。すでに施行済みのため、現在フリーランスに業務を発注している会社は今すぐ対応が必要です。 小規模な会社でもフリーランス保護法の対象になりますか? はい、対象になります。下請法と異なり、フリーランス保護法は発注会社の規模(資本金・従業員数)にかかわらず適用されます。個人事業主であっても、フリーランスに業務を発注していれば義務が生じます。 メールでの発注でも書面交付義務を満たせますか? メールや電磁的記録による交付で義務を満たせます(法第3条第1項)。ただし、業務内容・報酬額・支払期日・給付受領期日などの所定事項がすべて記載されていることが必要です。「詳細は話し合いで決める」という内容では不十分です。発注書フォーマットを用意して、毎回必要事項を明示することをお勧めします。 フリーランス法と下請法の違いは何ですか? 最大の違いは適用範囲です。下請法は発注者・受注者の資本金の組み合わせによって適用有無が決まりますが、フリーランス保護法は資本金・従業員数を問わずすべての発注者が対象です。また、フリーランス保護法はハラスメント対策・育児介護への配慮義務など、労働関係法令に近い規制も含んでいます。両法律が重複して適用されるケースもあります。 大阪でフリーランス保護法の対応を相談できる弁護士はいますか? 弁護士法人ブライトの「みんなの法務部」では、大阪の中小企業のフリーランス法への対応を支援しています。業務委託契約書の見直し・発注書フォーマットの整備・偽装フリーランスの判断基準の整理など、実務に直結した形でサポートします。企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが担当し、顧問先130社以上の実績を踏まえてアドバイスします。まずは無料相談からご連絡ください。 フリーランス法・業務委託契約書の点検は弁護士法人ブライトへ 弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 無料で相談する 関連情報・ご相談 ▶ 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