執筆:松本 洋明 弁護士(弁護士登録2010年・修習63期・交通事故担当主任)
監修:和氣 良浩 弁護士(弁護士法人ブライト 代表・弁護士歴平均13年以上の法律事務所)
この記事でわかること
- 骨挫傷とは何か。骨折との違いとレントゲンに写らない理由
- 交通事故で骨挫傷が起こりやすい部位とメカニズム
- MRIによる診断の重要性と見落とされやすいポイント
- 骨挫傷が後遺障害として認定される可能性・症状固定のタイミング
- 保険会社との争いになりやすい実務上のポイント
交通事故専用フリーダイヤル:0120-927-113(平日9〜18時)
交通事故で強い衝撃を受けたのに「レントゲンでは骨折していない」と言われ、それでも痛みが続く場合、MRI検査で「骨挫傷(こつざしょう)」と診断されることがあります。骨挫傷は骨折と異なりレントゲンには写らないため、保険会社から軽視されたり、早期の治療費打ち切りを打診されたりすることが少なくありません。
本記事では、骨挫傷とは何か、交通事故での賠償においてどのような注意が必要かを弁護士が解説します。骨折による後遺障害の詳細については 手首骨折の交通事故慰謝料シミュレーション もあわせてご覧ください。
骨挫傷と診断されて不安な方へ
「レントゲンでは異常なしと言われたのに痛みが引かない」という方は、MRI検査を受けているかどうかをまずご確認ください。ご不明な点は弁護士にご相談いただけます。
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骨挫傷とは何か
骨挫傷とは、骨の表面ではなく骨の内部(海綿骨・骨梁)に生じる微細な損傷で、骨内部の出血やむくみ(骨髄浮腫)を伴う状態です。骨に強い圧迫力やねじれの力が加わった際に生じますが、骨全体が明確に折れているわけではないため、「骨折の一歩手前」「骨のあざ(打撲)」のようなイメージで説明されることもあります。
ただし、骨挫傷は単なる打撲とは異なり、骨の内部組織そのものが損傷している点が特徴です。適切な安静・治療を怠ると痛みが長期化したり、将来的な軟骨損傷・変形性関節症のリスクにつながったりすることもあるとされています。
骨挫傷と骨折の違い
| 項目 | 骨挫傷 | 骨折 |
|---|---|---|
| 損傷の範囲 | 骨内部(骨梁レベル)の微細な損傷 | 骨の連続性が明確に断たれた状態 |
| レントゲン(X線) | 基本的に異常が写らない | 骨折線が確認できることが多い |
| MRI | T2強調・脂肪抑制画像等で高信号として描出される | 骨折線に加え骨挫傷を伴うことも多い |
| 治癒期間の目安 | 数週間〜数か月程度とされることが多い | 部位・程度により数か月〜1年以上 |
骨挫傷は骨折に比べて軽度と説明されることが多いものの、靭帯損傷・半月板損傷など他の損傷を伴うケースでは治療が長期化することもあります。個別の治癒期間・重症度は主治医の診断によります。
交通事故で骨挫傷が起こりやすい部位とメカニズム
交通事故では、次のような部位で骨挫傷が生じやすいとされています。
- 膝関節周囲(大腿骨顆部・脛骨プラトー):ダッシュボード損傷(衝突時に膝が車内のダッシュボードに強打される)で多く見られる
- 手関節(橈骨遠位部):転倒時に手をついた衝撃で生じる
- 足関節・足部:ペダル操作中の追突などで生じる
いずれも、骨同士が強く衝突する(軸圧がかかる)動きや、関節をひねる動きによって骨内部に損傷が生じるという共通点があります。膝の骨挫傷は、前十字靭帯(ACL)損傷や半月板損傷と合併しやすいことも知られており、MRIで骨挫傷の所見が見つかった場合は、周辺の靭帯・軟骨も同時に確認することが重要です。
見落とされやすいポイント:初診時はMRIを撮らないことがある
事故直後の救急対応ではまずレントゲンで骨折の有無を確認するのが一般的で、「異常なし」と言われてMRI検査に進まないまま経過観察になることがあります。痛みや腫れが長引く場合は、主治医にMRI検査の必要性を相談することをおすすめします。
骨挫傷の診断方法
骨挫傷はレントゲンでは確認できないため、MRI検査が重要な診断方法とされています。MRIのT2強調画像・脂肪抑制画像(STIR)などで、骨内部が高信号(白く光る所見)として描出されることで診断されます。受傷直後は所見が明瞭でないこともあり、症状の経過を見ながら複数回の画像検査が必要になる場合もあります。
治療・回復期間の目安
骨挫傷の治療は、患部の安静・免荷(体重をかけない)・リハビリが中心です。程度によって松葉杖使用や運動制限期間が必要になることもあります。多くのケースでは数週間から数か月で改善するとされていますが、靭帯損傷等を合併している場合は治療期間が長期化することがあります。
治療が長引いている・保険会社から打ち切りを打診された方へ
骨挫傷は画像上の改善と症状の改善が一致しないこともあります。治療の継続が必要かどうか、弁護士にご相談ください。
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骨挫傷は後遺障害として認定されるか
骨挫傷そのものが独立した後遺障害等級を構成することは多くありません。実務上は、骨挫傷に伴う痛み・しびれなどの神経症状が症状固定後も残存した場合に、後遺障害14級9号(局部に神経症状を残すもの)、画像所見や神経学的検査の結果から症状の存在が医学的に証明できる場合は12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)として認定される可能性があります。両者の違いは、症状が他覚的に「証明」できるか(12級13号)、そこまでは至らないものの受傷機転・治療経過から医学的に「説明」できるか(14級9号)にあります。
後遺障害の認定においては、MRI画像で骨挫傷の所見が確認できることが、症状が事故に由来することを裏付ける重要な医学的根拠になります。後遺障害診断書を作成する際は、MRI所見を正確に記載してもらうことが認定の可否を左右します。

| 等級 | 自賠責基準 | 任意保険基準(目安) | 弁護士基準(赤い本) |
|---|---|---|---|
| 14級9号 | 32万円 | 約40万円 | 110万円 |
| 12級13号 | 94万円 | 約100万円 | 290万円 |
保険会社との争いになりやすいポイント
骨挫傷はレントゲン上「異常なし」と判断されやすいことから、保険会社との交渉では次のような点が争点になりやすい傾向があります。
治療費の早期打ち切り
「骨折はしていない=軽傷」という理解のもと、比較的早い段階で治療費打ち切りを打診されることがあります。骨挫傷の場合、MRI画像上の骨髄浮腫が残っている限りは治療の必要性を主張できる場合があるため、打ち切りの打診を受けてもすぐに応じず、主治医と相談しながら症状固定の時期をコントロールすることが重要です。打ち切り対応の考え方は 交通事故の治療費打切りを通告されたときの対処法 でも解説しています。
因果関係(既往症との切り分け)
膝や手関節に既往の変形性関節症等がある場合、保険会社から「骨挫傷の症状は加齢等による既往症であり事故と無関係」と主張されることがあります。事故前の受診歴がないこと、事故直後から症状が生じていることなどを時系列で整理し、因果関係を医学的に説明できる資料をそろえることが有効です。
「軽傷」扱いされて治療費を打ち切られそうな方へ
MRI所見があるにもかかわらず治療の必要性が否定される場合は、弁護士が主治医との連携をサポートします。
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弁護士に依頼するメリット
- MRI検査の必要性・タイミングについて主治医との連携をサポートする
- 治療費打ち切りの打診に対し、症状固定時期を適切にコントロールする
- 後遺障害診断書にMRI所見を正確に反映させ、14級・12級認定の可能性を高める
- 既往症との因果関係が争われた場合に、時系列を整理した主張を組み立てる
- 慰謝料を自賠責基準・任意保険基準から弁護士基準へ引き上げる交渉を行う
よくある質問(FAQ)
Q. 骨挫傷は骨折の一種ですか?
A. 医学的には骨折とは区別される概念です。骨の連続性が断たれていない点で骨折と異なりますが、骨内部の損傷という意味では骨折に近い状態と説明されることもあります。診断名は主治医の判断によります。
Q. レントゲンで異常なしと言われましたが、MRIを受けるべきですか?
A. 痛みや腫れが1〜2週間以上続く場合は、MRI検査の必要性を主治医に相談することをおすすめします。骨挫傷は初診時のレントゲンだけでは判明しないことが多いためです。
Q. 骨挫傷で後遺障害が認定される可能性はどのくらいありますか?
A. ケースバイケースです。MRI所見と症状固定後も残る症状(痛み・しびれ等の神経症状)の内容次第で、14級9号または12級13号が認定される可能性があります。個別の見通しは弁護士・医師にご相談ください。
Q. 靭帯損傷や半月板損傷も一緒に疑われています。どう対応すればよいですか?
A. 骨挫傷は靭帯・半月板損傷と合併しやすいため、MRIで周辺組織もあわせて確認してもらうことが重要です。合併損傷がある場合、後遺障害の内容や賠償額の算定も変わってきます。
Q. 骨挫傷の治療が長引いていますが、時効は大丈夫でしょうか?
A. 2020年4月1日以降に発生した人身事故については、改正民法により消滅時効が5年に延長されています(傷害部分は事故発生日から、後遺障害部分は症状固定日から起算するのが実務上の扱いです。物損部分は3年のままです)。治療や交渉が長引く場合でも、時効を意識しながら早めに弁護士へご相談いただくことをおすすめします。
Q. 弁護士費用特約がない場合はどうなりますか?
A. 弁護士法人ブライトでは交通事故案件について完全成功報酬型の費用体系をご用意しています。費用の目安は無料相談でご説明します。
骨挫傷の治療・後遺障害でお悩みなら弁護士法人ブライトへ
交通事故専任の松本洋明弁護士(弁護士登録2010年・修習63期)がMRI所見の整理から示談交渉まで一貫してサポートします。
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まとめ:骨挫傷は「レントゲンで異常なし」でも油断できない
- 骨挫傷は骨内部の損傷で、レントゲンには写らずMRIでしか確認できない
- 膝関節周囲・手関節・足関節など、強い衝撃が加わる部位で生じやすい
- 「軽傷」と判断され治療費を早期に打ち切られるリスクがあるため、症状固定のタイミングに注意が必要
- 後遺障害としては14級9号・12級13号が認定される可能性があり、MRI所見の記載が重要
- 既往症との因果関係を争われることもあるため、時系列の整理と医学的な資料収集が鍵になる
骨挫傷・骨折の後遺障害は弁護士法人ブライトへ
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