執筆:松本 洋明 弁護士(弁護士登録2010年・修習63期・交通事故担当主任)
監修:和氣 良浩 弁護士(弁護士法人ブライト 代表・弁護士歴平均14年以上の法律事務所)
この記事でわかること
- 骨盤骨折で認定される後遺障害等級と慰謝料の相場(赤い本基準)
- 変形・股関節可動域制限・神経損傷・尿路障害の複合認定で等級が大きく変わる仕組み
- 逸失利益のライプニッツ係数(3%)を使った具体的な計算シミュレーション
- 保険会社提示額と弁護士介入後の増額実例(弊所受任案件の匿名化事例)
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骨盤骨折は交通事故の中でも最重度の外傷のひとつです。骨盤内には膀胱・尿道・腸管・血管・神経が集中しており、骨折による直接損傷以外に坐骨神経損傷・尿路断裂・大量出血が生じることがあります。後遺障害等級は変形・可動域制限・神経症状・泌尿器障害が複合すると併合認定により高くなります。
この記事では、骨盤骨折の等級別慰謝料相場・逸失利益の計算方法・弊所の実際の受任事例(匿名化)を交通事故専任の松本洋明弁護士が解説します。骨盤骨折の後遺障害認定全般については 骨盤骨折 後遺障害・等級・賠償の完全解説 をご覧ください。
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骨盤骨折で認定される後遺障害等級と慰謝料相場
| 等級 | 認定される主な障害 | 後遺障害慰謝料(赤い本) | 労働能力喪失率 |
|---|---|---|---|
| 5級 | 股関節の著しい機能障害(下肢の用を廃する) | 1,350万円 | 79% |
| 7級 | 股関節の機能に著しい障害(可動域2分の1以下) | 1,000万円 | 56% |
| 8級 | 股関節の機能障害(可動域4分の3以下) | 830万円 | 45% |
| 10級 | 一下肢の3大関節中の1関節の機能障害 | 550万円 | 27% |
| 11級 | 尿道障害(尿道狭窄等) | 420万円 | 20% |
| 12級 | 骨盤変形(変形が明らかなもの)・神経症状 | 290万円 | 14% |
| 14級 | 局部の神経症状(疼痛・しびれ) | 110万円 | 5% |
重要:3基準の差は大きい
後遺障害12級の後遺障害慰謝料は、自賠責基準94万円・任意保険基準100〜140万円前後・弁護士(裁判)基準290万円と3倍以上の開きがあります(2024年赤い本基準)。
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骨盤骨折の逸失利益シミュレーション(ライプニッツ係数3%)
逸失利益は後遺障害によって将来働けなくなる損害です。計算式は以下のとおりです。
逸失利益の計算式
逸失利益 = 基礎収入(年収) × 労働能力喪失率 × ライプニッツ係数(3%・就労可能年数)
ライプニッツ係数は、将来の損害を現在価値に換算するための係数です。令和2年4月1日以降の事故については民法の法定利率3%が適用されます(民法404条2項)。
シミュレーション例①:40代男性・12級・股関節軽度可動域制限
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 基礎収入 | 年収500万円 | 500万円 |
| 労働能力喪失率 | 12級:14% | 70万円/年 |
| 就労可能年数 | 45歳→67歳=22年 ライプニッツ係数 15.937 | — |
| 逸失利益 | 70万円 × 15.937 | 約1,116万円 |
| 後遺障害慰謝料(赤い本) | 12級 | 290万円 |
| 後遺障害分合計 | 逸失利益+慰謝料 | 約1,406万円 |
シミュレーション例②:50代男性・7級・股関節著しい機能障害(可動域2分の1以下)
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 基礎収入 | 年収600万円 | 600万円 |
| 労働能力喪失率 | 7級:56% | 336万円/年 |
| 就労可能年数 | 52歳→67歳=15年 ライプニッツ係数 11.938 | — |
| 逸失利益 | 336万円 × 11.938 | 約4,011万円 |
| 後遺障害慰謝料(赤い本) | 7級 | 1,000万円 |
| 後遺障害分合計 | 逸失利益+慰謝料 | 約5,011万円 |
骨盤骨折では変形・神経・尿路の複数障害が併合認定されると等級が上がります。例えば骨盤変形12級と坐骨神経損傷12級が認定されると、併合11級になります(後遺障害等級表の併合規定)。
弊所受任事例(匿名化)
事例A:30代男性・頭蓋骨骨折・骨盤骨折・脳内出血の複合重傷(Aさん)
交差点での衝突事故で相手方は任意保険未加入でした。頭蓋骨骨折・眼底骨折・骨盤骨折・脳内出血という受傷態様で入院は3ヶ月以上に及び、退院後も股関節可動域制限と神経症状が残存しました。
相手方が任意保険未加入のため、弁護士法人ブライトでは自賠責への直接請求と使用者責任(相手方が通勤中だったため)を組み合わせた賠償戦略を構築しました。
骨盤骨折単体の等級認定に加え、脳内出血による高次脳機能障害の有無を精査する神経心理学的検査を早期に手配したことで、適切な等級認定につながりました。
ポイント:任意保険未加入でも諦めない
相手方が任意保険未加入の場合でも、自賠責保険への直接請求・使用者責任・自身の人身傷害保険など複数の回収手段があります。受傷直後から弁護士が介入することで最善の戦略を立てることができます。
事例B:高齢女性・骨盤骨折・尿路障害(Bさん)
歩行中に車にはねられ骨盤骨折と尿道損傷を負いました。骨盤骨折で変形の後遺障害12級5号が認定されましたが、保険会社は尿路障害については「骨折との因果関係が不明」として等級認定に含めない方針を示してきました。
弁護士法人ブライトでは、骨盤骨折と尿路障害の解剖学的連続性(骨盤内走行する尿道が骨折により損傷されること)を示す医学文献と主治医の意見書を準備し、泌尿器系障害の11級認定を主張しました。結果として骨盤変形12級と尿路障害11級の併合10級が認定され、逸失利益を含む賠償総額は保険会社の当初提示から大幅に増額しました。
保険会社が「因果関係が不明」と言ってきた場合
骨盤骨折の場合、尿路障害・神経障害・性機能障害との因果関係を保険会社が争うことがあります。弁護士が医療記録を精査し、意見書作成の段取りを取ることが重要です。
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骨盤骨折で弁護士に依頼すべきタイミング
- 退院直後:通院先の選択・リハビリ方針・後遺障害診断書の作成依頼先を弁護士と確認する
- 症状固定前:後遺障害診断書に記載すべき項目を医師と共有できるよう弁護士が準備する
- 保険会社から示談提示を受けた時:すぐに印鑑を押さず、弁護士に査定を依頼する
骨盤骨折で示談提示を受けた方・通院中の方
弁護士費用特約がある場合は実質無料でご相談いただけます。費用特約がない場合も、着手金不要・完全成功報酬型でご依頼いただけます(弊所の費用体系は相談時にご説明します)。
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よくある質問(FAQ)
Q. 骨盤骨折で12級と認定されましたが、実際の賠償金はどのくらいですか?
A. 年齢・年収・入通院期間によって大きく異なります。例えば45歳・年収500万円の場合、後遺障害慰謝料290万円+逸失利益約1,116万円+入通院慰謝料(入院3ヶ月・通院6ヶ月で約165万円前後)の合計で1,500万円以上が弁護士(裁判)基準の目安です。保険会社の自賠責基準・任意保険基準との差は2〜3倍に及ぶことがあります。
Q. 骨盤変形と股関節可動域制限が両方残った場合、等級はどうなりますか?
A. 両方が認定されると併合認定の対象になります。例えば骨盤変形12級と股関節可動域制限10級が認定された場合、後遺障害等級の併合規定(重い方の等級を1〜3級繰り上げ)により、9級に上がることがあります。複数の障害が残っている場合は、漏れなく主張することが重要です。
Q. 骨盤骨折による尿漏れや性機能障害も賠償対象になりますか?
A. なります。泌尿器・生殖器への損傷は後遺障害として独立した等級認定の対象です(自賠責後遺障害等級表)。ただし骨折との因果関係を医学的に証明する必要があるため、泌尿器科・婦人科・泌尿器専門医への受診記録を初期から作成しておくことが重要です。
Q. 弁護士費用特約がない場合、費用はどうなりますか?
A. 弁護士法人ブライトでは交通事故案件については完全成功報酬型の費用体系をご用意しています。まずは無料相談でご状況をお聞かせください。費用体系を詳しくご説明します。
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