後遺障害等級とは、事故による怪我で、体に残った後遺症を症状に応じて、1~14の等級に分類したものです。1級が最も重い症状で、数字が増えるにつれて軽くなります。最も軽い14級では、むち打ちなどが該当します。
後遺障害等級が存在する理由は、事故の被害に対する賠償金に不公平が起こらないようにするためです。交通事故は、一件一件違う状況で起こるため、全ての交通事故被害者に対して、適切な金額を一から計算するのは現実的ではありません。そのため、基準となる等級とそれに応じた賠償金を定め、公平になるようにしています。
また、後遺障害等級に該当する症状があれば、必ず後遺障害として認定される訳でなく、以下などの審査を受ける必要があります。
▶ 本当に交通事故が原因で残った後遺症なのか
▶ 仕事を続けられなくなるなどの労働能力の低下は起こっているか
ここでは、後遺障害等級ごとの症状や慰謝料の金額について、詳しくご紹介させて頂きます。
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後遺障害等級が認定される症状と慰謝料の表
事故で後遺障害が残ってしまった場合、症状に応じて1~14の後遺障害等級が認定されます。
後遺障害等級が認定されると
の二つを加害者に請求することが出来ます。後遺障害逸失利益は被害者の年齢や収入によって大きく変わるため、ここでは後遺障害慰謝料のみ紹介しています。
後遺障害等級 | 症状 | 後遺障害慰謝料の金額 (万円) |
|
自賠責基準 | 弁護士基準 | ||
1級 | 1:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,常に介護を要するもの 2:胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,常に介護を要するもの |
1650 | 2800 |
1:両眼が失明したもの 2:咀嚼及び言語の機能を廃したもの 3:両上肢をひじ関節以上で失ったもの 4:両上肢の用を全廃したもの 5:下肢をひざ関節以上で失ったもの 6:両下肢の用を全廃したもの |
1150 | ||
2級 | 1:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,随時介護を要するもの 2:胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,随時介護を要するもの |
1203 | 2370 |
1:1眼が失明し,他眼の視力が0.02以下になったもの 2:両眼の視力が0.02以下になったもの 3:両上肢を手関節以上で失ったもの 4:両下肢を足関節以上で失ったもの |
998 | ||
3級 | 1:1眼が失明し,他眼の視力が0.06以下になったもの 2:咀嚼又は言語の機能を廃したもの 3:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,終身労務に服することができないもの 4:胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,終身労務に服することができないもの 5:両手の手指の全部を失ったもの |
861 | 1990 |
4級 | 1:両眼の視力が0.06以下になったもの 2:咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの 3:両耳の聴力を全く失ったもの 4:1上肢をひじ関節以上で失ったもの 5:1下肢をひざ関節以上で失ったもの 6:両手の手指の全部の用を廃したもの 7:両足をリスフラン関節以上で失ったもの |
737 | 1990 |
5級 | 1:1眼が失明し,他眼の視力が0.1以下になったもの 2:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 3:胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 4:1上肢を手関節以上で失ったもの 5:1下肢を足関節以上で失ったもの 6:1上肢の用を全廃したもの 7:1下肢の用を全廃したもの 8:両足の足指の全部を失ったもの |
618 | 1670 |
6級 | “1:両眼の視力が0.1以下になったもの 2:咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの 3:両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの 4:1耳の聴力を全く失い,他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの 5:脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの 6:1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの 7:1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの 8:1手の5の手指又はおや指を含み4の手指を失ったもの” |
512 | 1180 |
7級 | 1:1眼が失明し,他眼の視力が0.6以下になったもの 2:両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの 3:1耳の聴力を全く失い,他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの 4:神経系統の機能又は精神に障害を残し,軽易な労務以外の労務に服することができないもの 5:胸腹部臓器の機能に障害を残し,軽易な労務以外の労務に服することができないもの 6:1手のおや指を含み3の手指を失ったもの又はおや指以外の4の手指を失ったもの 7:1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの 8:1足をリスフラン関節以上で失ったもの 9:1上肢に偽関節を残し,著しい運動障害を残すもの 10:1下肢に偽関節を残し,著しい運動障害を残すもの 11:両足の足指の全部の用を廃したもの 12:外貌に著しい醜状を残すもの 13:両側の睾丸を失ったもの |
419 | 1000 |
8級 | 1:1眼が失明し,又は1眼の視力が0.02以下になったもの 2:脊柱に運動障害を残すもの 3:1手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3の手指を失ったもの 4:1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの 5:1下肢を5センチメートル以上短縮したもの 6:1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの 7:1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの 8:1上肢に偽関節を残すもの 9:1下肢に偽関節を残すもの 10:1足の足指の全部を失ったもの |
331 | 830 |
9級 | 1:両眼の視力が0.6以下になったもの 2:1眼の視力が0.06以下になったもの 3:両眼に半盲症,視野狭窄又は視野変状を残すもの 4:両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの 5:鼻を欠損し,その機能に著しい障害を残すもの 6:咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの 7:両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの 8:1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり,他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの 9:1耳の聴力を全く失ったもの 10:神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 11:胸腹部臓器の機能に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 12:1手のおや指又はおや指以外の2の手指を失ったもの 13:1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの 14:1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの 15:1足の足指の全部の用を廃したもの 16:外貌に相当程度の醜状を残すもの 17:生殖器に著しい障害を残すもの |
249 | 690 |
10級 | 1:1眼の視力が0.1以下になったもの 2:正面を見た場合に複視の症状を残すもの 3:咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの 4:14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 5:両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの 6:1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの 7:1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの 8:1下肢を3センチメートル以上短縮したもの 9:1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの 10:1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの 11:1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
190 | 550 |
11級 | 1:両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの 2:両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの 3:1 眼のまぶたに著しい欠損を残すもの 4:10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 5:両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの 6:1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの 7:脊柱に変形を残すもの 8:1手のひとさし指,なか指又はくすり指を失ったもの 9:1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの 10:胸腹部臓器の機能に障害を残し,労務の遂行に相当な程度の支障があるもの |
136 | 420 |
12級 | 1:1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの 2:1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの 3:7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 4:1耳の耳殻の大部分を欠損したもの 5:鎖骨,胸骨,ろく骨,けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの 6:1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの 7:1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの 8:長管骨に変形を残すもの 9:一手のこ指を失ったもの 10:1手のひとさし指,なか指又はくすり指の用を廃したもの 11:1足の第2の足指を失ったもの,第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの 12:1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの 13:局部に頑固な神経症状を残すもの 14:外貌に醜状を残すもの |
94 | 290 |
13級 | 1:1眼の視力が0.6以下になったもの 2:正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの 3:1眼に半盲症,視野狭窄又は視野変状を残すもの 4:両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの 5:5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 6:1手のこ指の用を廃したもの 7:1手のおや指の指骨の一部を失ったもの 8:1下肢を1センチメートル以上短縮したもの 9:1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの 10:1足の第2の足指の用を廃したもの,第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの 11:胸腹部臓器の機能に障害を残すもの |
57 | 180 |
14級 | 1:1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの 2:3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 3:1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの 4:上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの 5:下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの 6:1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの 7:1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの 8:1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの 9:局部に神経症状を残すもの |
32 | 110 |
後遺障害等級と慰謝料の表を見るときのポイント
表を見るとどんな後遺症が残ればどの程度慰謝料が受け取れるかわかると思います。
一方でわかりにくいところもあるので表を見る際に注意するポイントを解説します。
後遺障害1級と2級は介護が必要かどうかで慰謝料が変わる
後遺障害1級と2級は介護が必要がどうかによって慰謝料が変わり、必要であれば介護費用を加味した金額になるため、そうでない場合にくらべて高額になります。
弁護士基準で請求した場合も同様で、慰謝料の金額自体は変わらないものの介護が必要になった場合はその費用分が増額されます。
弁護士基準と自賠責基準
後遺障害慰謝料を始め、交通事故の被害者に支払われる賠償金の大部分は弁護士に依頼すれば増額することが出来ます。
賠償金を計算する時には
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 弁護士基準(裁判所基準)
のうち一つを使うのですが、加害者側の保険会社が提示してくるのは任意保険基準で計算した金額です。
この金額は法令で定められた最低金額である自賠責基準より少しだけ高い程度で、被害者が受けた金額に対して十分な補償とは言えません。
弁護士に依頼すれば任意保険基準よりはるかに高い金額である弁護士基準で賠償金を請求することが出来ます。
弁護士基準で賠償金を受け取るためには加害者側保険会社の主張を退ける証拠を集め、的確に反論する必要があるため、自分で交渉するのではなく弁護士へ依頼するのがよいでしょう。
表に記載されているのは後遺障害慰謝料のみの金額
ページの最初で後遺障害が残った場合は慰謝料と逸失利益を請求することが出来ると書きましたが、この表には後遺障害慰謝料の金額のみ記載しています。
逸失利益は被害者の年齢や事故前の収入によって大きく変わるため目安となる金額を決めるのが難しいためです。
認定された等級にもよりますが、逸失利益は数千万円~1億円を超えることもあります。
後遺障害に該当する症状自体は国土交通省が定める後遺障害等級表の通りなのですがこの表に記載されている保険金とは慰謝料と逸失利益を合わせた金額であるため、弁護士から見ると被害者に対する賠償金として十分な金額とはとても言えません。
後遺障害等級表にない症状でも「相当等級」として後遺障害認定されることがある
すでに説明したように後遺障害等級は1~14級が定められています。
しかし、それに該当しない後遺障害にも症状に応じてふさわしい等級が認定されることがあります。
これを相当等級と呼びます。
嗅覚や味覚が無くなった場合に認められる可能性があります。
後遺障害等級の併合と加重
複数の後遺障害が同時に残った場合は「後遺障害の併合」としてそれぞれの症状より重い等級が認定されることがあります。
また、すでに後遺障害認定されている人が事故によってより重い障害を患ってしまう事を「加重障害」と呼びます。
後遺障害等級の併合
大きな事故の被害にあった場合は複数の後遺障害が認定される可能性があります。
顔に大きな傷が残り、視力が低下してしまうようなケースです。
このケースでは
- 大きな傷跡
- 視力の低下
と後遺障害認定される可能性がある2つの症状があります。
このようなときは残ってしまった障害が後遺障害14級かどうかによって最終的な等級が変わります。
残った複数の等級がすべて後遺障害14級であれば14級に、14級とそれ以外の等級なら重い方の等級に。14級以外の等級が複数残った場合には最も重い等級より1~3級重い等級が最終的に認められます。
後遺障害等級の加重
すでに後遺障害認定を受けている人が事故によってより重い障害となった場合は「加重障害」と呼ばれ、慰謝料や逸失利益の金額がもともとの障害分減ってしまいます。
例えば過去に何らかの事故で両目の視力が0.06以下になり、後遺障害4級が認められていた人が交通事故に巻き込まれ、両目の視力が0.02以下になったとします。
この場合の慰謝料は後遺障害2級の998万円から4級の737万円を引いた261万円となります。(※自賠責基準で計算)
後遺障害等級についてわからないことがあれば弁護士へ
後遺障害等級が認定された場合、弁護士に依頼することで賠償金を増額出来る可能性が非常に高いです。
我々弁護士法人ブライトを始め、多くの事務所では交通事故の被害者に向けた無料相談を行っています。
もし、後遺障害の等級や賠償金について少しでも疑問があれば遠慮なくお問い合わせください。