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「労災不支給でも諦めなかった」――審査請求棄却後に民事請求で100万円台を実現した施設従事者の実話

笹野皓平 弁護士

この記事の監修者

笹野 皓平(ささの こうへい)

弁護士法人ブライト|労災部部長/パートナー弁護士

弁護士歴14年以上(2011年登録)/大阪弁護士会/京都大学法学部卒・立命館法科大学院修了

専門:労災事故・交通事故・会社関係争訟

「労災不支給の通知が届いた日のことは、今でも鮮明に覚えています。もうこれで終わりだと、すべてを諦めようとしていました」――当法人に相談にいらした中年男性の言葉です。

雨の日の施設内で転倒し腱板断裂。会社の非協力で労災不支給となり、審査請求も棄却された男性が、民事の安全配慮義務違反請求という「別ルート」で約2ヶ月・100万円台の解決に至るまでの実話をお伝えします。

  • 労災不支給・審査請求棄却という行政上の「敗北」の後でも、民事請求という別の道が残っていた
  • 「行政(労基署)の判断」と「民事(会社への損害賠償)の判断」は、別の枠組みで独立している
  • 当日の天候記録・同僚の証言・事故報告書を証拠として整備し、内容証明送付から約2ヶ月で解決
  • 解決金:100万円台(示談)。期間:約2ヶ月。(同様の結果を保証するものではありません)

(本事例は依頼者・関係者が特定されないよう抽象化しています。解決額・期間は事案ごとの個別事情により異なり、同様の結果を保証するものではありません。)

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第1章:雨の施設内、一瞬の転倒――そして腱板断裂

関西圏の社会福祉施設に勤務する40代の男性(以下「ご本人」)が、業務中に転倒する事故に遭いました。

その日は朝から雨が降り続いていました。施設の廊下は外からの水分で床面が濡れており、ご本人は業務の移動中にバランスを崩し、勢いよく転倒しました。咄嗟に手をついた際、右肩に激しい痛みが走りました。

医療機関を受診した結果、診断は右肩腱板断裂でした。肩の腱板(筋肉と骨をつなぐ組織)が断裂するという、日常生活にも大きな支障をきたす重傷です。

ご本人はこう振り返ります。「転んだ瞬間に肩がおかしいと分かりました。まさかこんな大きな怪我になるとは思っていなかった。仕事中のことだから、会社がきちんと対応してくれると思っていました」。

しかし、その期待はすぐに裏切られることになります。

第2章:会社の非協力・労災不支給・審査請求棄却という三重の壁

事故後、ご本人が労災申請の手続きを進めようとすると、会社は積極的に協力しませんでした。事業主証明の取り付けに時間がかかり、事故状況の記録も会社に都合よく記載されていました。

労働基準監督署(労基署)への申請は、最終的には会社の非協力を押して個人で提出する形となりました。しかし数ヶ月後、労基署から届いた回答は不支給決定でした。

不支給の理由として示されたのは、「業務との因果関係が明らかでない」という判断でした。転倒した廊下が「業務遂行中の場所」かどうかについて、会社側の説明と本人の説明が食い違っており、労基署は会社側の主張に近い形で判断を下したとご本人は感じていました。

不支給決定に納得できなかったご本人は、次の手段として審査請求(労働者災害補償保険審査官への不服申立て)を行いました。しかしこれも棄却されました。

審査請求が棄却されると、次の選択肢として再審査請求(労働保険審査会への不服申立て)か、行政訴訟があります。しかしご本人は、ここで一人では限界を感じました。

「審査請求がダメだったと知ったとき、もうこれ以上どうしようもないと思いました。これで終わりだ、と。会社は何もしてくれないし、国も認めてくれなかった。どこにも頼れないと感じました」。

【関連記事】会社が労災を認めないとき弁護士ができること|ブライト法律事務所

「審査請求が棄却された」「労災不支給だった」という状況でも、別の選択肢がある場合があります。

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第3章:ブライトへの相談――「主戦場を切り替えましょう」

審査請求棄却から数週間後、ご本人は知人の勧めで当法人に相談にいらしました。「半分は藁にもすがる気持ちでした。でも、もし別の可能性があるなら聞いてみたかった」。

当法人の担当弁護士チームは、まず事実関係を丁寧に整理しました。事故当日の状況・廊下の場所・雨の状況・会社の対応・審査請求の経緯・現在の肩の状態。それらをひとつひとつ確認していきます。

初回の見立ては、率直なものでした。

「再審査請求(労働保険審査会)や行政訴訟でこの行政判断を覆すのは、現時点では厳しい状況だと判断しています。しかし――労基署が不支給と判断したことは、会社への民事請求に直接影響しないのです。行政の判断と民事の判断は、別の枠組みで行われます。会社への安全配慮義務違反の請求という主戦場に切り替えることを検討してみましょう」。

ご本人はこの言葉に驚きました。「労災不支給になったら、もう会社にも何も言えないと思っていました。行政と民事が別物だとは、全く知りませんでした」。

当法人が民事請求の可能性を見出した根拠は明確でした。労基署は「業務中かどうか」という行政上の基準で判断しますが、民事では「会社が安全な職場環境を維持する義務(安全配慮義務)を果たしていたかどうか」を独立して問うことができます。雨の日に廊下の床が濡れていたという事実、そして会社が適切な滑り止め対策を講じていたかどうか――この論点は、労基署の不支給決定とは独立して存在していました。

第4章:戦略の設計――3つの客観証拠で安全配慮義務違反を組み立てる

当法人が立てた戦略の核は、行政手続きとは別軸で証拠を整備し、会社の安全管理義務の不備を民事上の責任として問うことでした。

着目したのは3種類の客観証拠です。

証拠①:当日の天候記録

事故当日が雨天であったことは、気象庁の気象データとして客観的に取得できます。「床が濡れていた」という主張は、当日の降雨記録によって裏付けられます。

証拠②:同僚の証言

事故当時、廊下が濡れた状態にあったことを認識していた同僚が存在しました。「床が滑りやすい状態だった」「雨の日にいつも廊下が濡れていた」という証言は、施設の管理状況の問題を示すうえで重要な証拠となります。

証拠③:施設の事故報告書

会社が作成した事故報告書には、転倒事故が起きた事実と場所が記録されていました。当初会社側はこの記録の解釈で本人と食い違いがありましたが、文書として存在する記録はそれ自体が客観的な事実を示します。当法人はこの記録の精査と、事故状況の整合性確認に取り組みました。

これら3点を整備したうえで、当法人は会社の安全配慮義務違反を主張する内容証明郵便を送付しました。

【関連記事】労災で会社に損害賠償請求する完全ガイド|ブライト法律事務所

「証拠がない」と思い込む前に、弁護士が整理します。

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第5章:交渉の経過――内容証明から早期和解へ

内容証明の送付に対し、会社側は当初、「労災不支給となっている以上、会社に責任はない」という姿勢を示しました。しかし、当法人は事前にこの反論を予測していました。

当法人の再反論の核心は一点でした。「労基署の不支給決定は、会社の安全配慮義務違反の有無について判断したものではない」という主張です。

行政上の労災認定は、「業務遂行性(業務中かどうか)」と「業務起因性(業務が原因かどうか)」を労働者災害補償保険法の基準で判断します。一方、民事上の安全配慮義務違反は、「使用者が労働者の安全を守る義務(労働契約法第5条)を果たしていたかどうか」を民事法の基準で判断します。この二つの判断は独立しており、一方が否定されても他方が否定されるわけではありません。

当法人は、天候記録・同僚証言・事故報告書を体系的に整理した書面を会社側に提示し、「滑り止めマット未設置・床面の水分管理不備という安全管理上の問題が認められる」という主張を粘り強く展開しました。

内容証明送付から交渉を開始して数週間後、会社側から和解に応じる意向が示されました。当法人はご本人と協議のうえ、和解条件の交渉を進めました。

第6章:解決――内容証明から約2ヶ月・解決金100万円台

内容証明の送付から約2ヶ月後、示談が成立しました。

最終的な解決は、解決金100万円台・示談による解決・内容証明送付から約2ヶ月でした。

ご本人はこう振り返ります。「労災不支給で諦めかけていたのに、別の方法があったとは思いもしませんでした。100万という金額が大きいか小さいか、いろんな見方があると思います。でも、自分にとっては、泣き寝入りしなかったという事実が、お金以上に大切でした」。

解決金額100万円台は、他の孫記事の事例(1,000万〜5,000万台)と比べると小さい数字です。しかし、「労災不支給で何もできないと思っていた人が、別ルートで補償を得た」という事実そのものに意味があります。諦めかけた時点で弁護士に相談したことが、結果を変えました。

第7章:【ブライトの判断基準】「労災不支給は、会社への損害賠償を諦める理由にならない」

「労災不支給になった」という事実を受け取ったとき、多くの方が「これで終わりだ」「会社にも何も言えない」と感じます。その気持ちは当然です。しかし当法人は、この思い込みこそが、本来受け取れる補償を取り逃がす原因の一つだと考えています。

労基署が行う労災認定は、「労働者災害補償保険から給付を行うかどうか」という行政上の判断です。民事の損害賠償請求は、「使用者が安全配慮義務(労働契約法第5条)を果たしていたかどうか」という、まったく別の枠組みで判断されます。

この二つは独立しています。行政が「不支給」と判断したとしても、会社の安全管理に問題があれば民事上の責任は残りえます。

「ブライトは、労災不支給の通知を受けた方にも、行政とは別軸の民事請求という選択肢があるかどうかを、事実関係を確認したうえで率直にお伝えする。」

これが、当法人が労災不支給後の相談に対して一貫して大切にしている考え方です。

なお当法人では、民事請求の見通しについても初回相談時に率直にお伝えします。見込みが薄く費用倒れになりうると判断した場合は、その旨を明確にお伝えしています。

第8章:依頼者にとって何が変わったか

Before(依頼前) After(解決後)
「労災不支給・審査請求棄却」で、もうできることはないと完全に諦めていた。 民事の安全配慮義務違反という別ルートで、解決金100万円台を受け取ることができた。
会社の非協力的な態度の前で孤立無援だと感じ、誰にも相談できなかった。 弁護士が窓口となり、会社との交渉をすべて代行。自分で会社と直接やり取りする必要がなかった。
「労基署も認めなかった。自分の訴えは間違っていたのかもしれない」という自己否定感。 「行政の判断と民事の判断は別物」という事実を知り、自分の主張には根拠があったと確認できた。
泣き寝入りのまま終わることへの納得のいかなさが残り続けていた。 「諦めなかった」という事実と、受け取った解決金が、前を向く力になった。

ご本人からは解決後、次の言葉をいただきました。

「先生に相談して最初に言われた『行政と民事は別物です』という言葉が、一番大きかったです。それを聞いた瞬間に、まだ可能性があるんだと思えた。あきらめなくてよかった」。

「労災不支給だった」「審査請求が棄却された」――そう感じている方へ

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第9章:労災不支給で諦めかけている方へ

「労災が不支給になった」「審査請求が棄却された」「会社は何もしてくれない」――こうした状況に置かれている方は、諦める前に一度、弁護士に相談することをお勧めします。

多くの方が「労災不支給=何もできない」と思い込んでいます。しかし、行政の判断と民事の判断は独立しています。どちらのルートが有効かは、事実関係を精査した弁護士でなければ判断できません。

早期相談が重要な理由

安全配慮義務違反(債務不履行)に基づく損害賠償請求権の消滅時効は、権利を行使することができると知った時から5年(民法第166条第1項第1号)が原則です(権利を行使できる時から10年の期間制限もあります)。不法行為に基づく請求は損害および加害者を知った時から3年・不法行為時から20年(民法第724条)です。

また、審査請求・再審査請求の手続き中に時間が経過してしまうケースも少なくありません。行政手続きと並行して、あるいは行政手続きが終わった段階で、民事の選択肢を弁護士に確認することが重要です。

当法人への相談の流れ

  • ステップ1:フリーダイヤル(0120-931-501)またはフォーム・LINEから相談
  • ステップ2:事故の経緯・会社の対応・労災手続きの経過・現在の症状を確認
  • ステップ3:当法人が民事請求の見通しを率直にお伝えします(「難しい」場合もその旨を明確に)
  • ステップ4:受任の場合、費用・方針をご説明して正式依頼

弁護士歴平均14年以上の当法人の労災チームが、労災不支給後の状況からでも、可能な選択肢を率直にお伝えします。

弁護士歴平均14年以上の労災チームが、労災不支給後の方にも率直に選択肢をお伝えします。

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よくある質問

Q1:労災不支給になりました。もう会社に対して何もできないのですか?

必ずしもそうではありません。労基署の不支給決定は「労働者災害補償保険の給付を行わない」という行政上の判断であり、「会社に民事上の安全配慮義務違反がない」という判断ではありません。会社の安全管理に問題があれば、民事上の損害賠償請求の余地が残っている場合があります。まずは弁護士に事実関係を確認してもらうことをお勧めします。

Q2:審査請求も棄却されました。それでも相談できますか?

はい、相談できます。審査請求の棄却は行政不服申立ての判断です。民事の損害賠償請求は、これとは別の枠組みで進めることができます。ただし、民事請求が有効かどうかは事実関係によって異なります。当法人では初回相談時に、民事請求の可能性について率直にお伝えします。見込みが薄い場合はその旨もお伝えします。

Q3:「安全配慮義務違反」とはどういうことですか?

使用者は、労働者が安全に働けるよう職場環境を整える義務があります(労働契約法第5条)。床が濡れているのに滑り止め対策を講じない・危険な状況があるのに放置する・事故を招くような業務指示をするなどは、この義務の違反にあたる可能性があります。安全配慮義務違反が認められれば、怪我の治療費・休業損害・慰謝料などを会社に請求できます。詳しくは労災で会社に損害賠償請求する完全ガイドをご覧ください。

Q4:事故からしばらく経っています。今からでも相談できますか?

時効の範囲内であれば相談・請求は可能です。安全配慮義務違反(債務不履行)に基づく請求は権利を行使できると知った時から5年、不法行為に基づく請求は損害および加害者を知った時から3年が原則です。ただし、時間が経つほど証拠が散逸するリスクがあります。お早めにご相談いただくことをお勧めします。

Q5:相談・依頼にかかる費用が心配です。

当法人では、相談は無料で承っております。依頼にかかる費用(着手金・報酬金など)については、受任時に明確にご説明します。解決金額が小さい場合に費用倒れになる見込みが高い場合は、その旨を初回相談時に率直にお伝えしています。まずはお気軽にご連絡ください。

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  • この記事を書いた人

笹野 皓平

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本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
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開 業 平成21年(代表弁護士独立開業)
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TEL 0120-931-501(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
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