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熱中症の労災で会社に罰則・書類送検はあるか|刑事責任と民事の損害賠償請求の関係

笹野皓平 弁護士

この記事の執筆者

笹野 皓平(ささの こうへい)

弁護士法人ブライト|労災事故部統括/パートナー弁護士

大阪弁護士会登録(登録2011年・修習64期)/労災の損害賠償請求を数多く手がける

和氣良浩 弁護士

この記事の監修者

和氣 良浩(わけ よしひろ)

弁護士法人ブライト|代表弁護士

大阪弁護士会登録(登録2006年・修習59期)

この記事の結論

  • 熱中症の労災でも、会社や現場責任者が書類送検されることがあります
  • 問われうるのは業務上過失致死傷罪労働安全衛生法違反の2系統です
  • 2025年6月1日施行の安衛則612条の2違反には罰則があります(6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)
  • 刑事と民事は別です。会社が起訴されなくても、損害賠償請求はできます
  • 捜査で明らかになった事実は、民事の立証に活かせることがあります

「会社は罰せられないのですか」——熱中症で被災された方やご遺族から、必ずと言ってよいほどいただく質問です。

結論から申し上げると、熱中症の労災でも会社や現場責任者が刑事責任を問われることはあります。ただし、刑事責任が問われることと、あなたが損害の賠償を受けられることは別の話です。この二つを切り分けて理解しておくと、取るべき行動がはっきりします。

このページでは、弁護士法人ブライトの労災事故部統括・笹野皓平弁護士が、熱中症の労災における会社の刑事責任と、それが民事の損害賠償請求にどう関わるかを解説します。

労災専用フリーダイヤル:0120-931-501(平日9:00〜18:00)
刑事と民事のどちらを先に動かすべきかも含めてご相談ください。

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熱中症で問われうる2系統の刑事責任

① 業務上過失致死傷罪(刑法211条)

業務上必要な注意を怠り、人を死亡させ、または負傷させた場合に成立します。熱中症の事案では、次の点が過失として問題になります。

  • 暑熱な環境で作業させながら、WBGT値も気温も把握していなかった
  • 体調不良の申出を受けながら、作業を継続させた
  • 異変に気づきながら、救急要請をせずに様子を見た
  • 新規入職者に、暑熱順化の期間を設けずにいきなり長時間の作業をさせた
  • 単独作業をさせ、倒れたことに誰も気づけない状況を作っていた

処罰の対象は法人ではなく個人です。現場責任者・所長・安全衛生の担当者などが対象になります。

② 労働安全衛生法違反

こちらは法令で定められた措置義務に違反したこと自体が処罰の対象です。

違反の類型 罰則
安衛則612条の2違反(報告体制・重篤化防止手順の未整備/未周知) 6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(安衛法119条1号)。法人にも50万円以下の罰金(安衛法122条)
安衛則617条違反(多量の発汗を伴う作業場に塩・飲料水を備え付けていない) 同上
労働者死傷病報告の不提出・虚偽記載(いわゆる労災隠し) 50万円以下の罰金(安衛法120条5号)。法人にも同額の罰金

労働安全衛生法違反は、労働基準監督官が特別司法警察職員として捜査し、検察官へ送致(送検)します。厚生労働省・各労働局は、労災隠しについて司法処分を含め厳正に対処する方針を示しています。

熱中症の労災における会社の刑事責任(業務上過失致死傷・安衛法違反)と民事の損害賠償責任の関係を示した図解

刑事責任と民事の損害賠償は、どう違うか

刑事責任 民事の損害賠償
目的 違反行為の処罰 被害者の損害の填補
動かす主体 労働基準監督官・警察・検察 被災者本人・遺族
対象 原則として個人(安衛法は両罰規定で法人も) 会社(元請・派遣先も含みうる)
立証の程度 合理的な疑いを差し挟まない程度 証拠の優越(刑事より緩やか)
得られるもの 処罰。お金は入りません 慰謝料・逸失利益等の賠償金
会社が不起訴でも 請求できます

重要なのは最後の行です。会社が不起訴になっても、民事の損害賠償請求は別途成り立ちます。刑事は「合理的な疑いを差し挟まない程度」という高い立証を要求されるため、刑事で立件されなかったからといって会社に落ち度がなかったことにはなりません。

刑事の結果を待つ必要はありません。民事の請求は並行して進められます。
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捜査で明らかになった事実を、民事に活かす

刑事手続が動いた場合、そこで収集された資料は民事の立証に役立つことがあります。

  1. 実況見分調書・供述調書:不起訴記録の一部について、検察庁への開示請求が認められる場合があります
  2. 労基署の調査結果復命書:業務起因性の判断根拠が記載されており、開示請求により入手できる場合があります
  3. 是正勧告書・指導票:労基署が会社に交付した文書。義務違反が公的に指摘された記録になります
  4. 災害調査復命書:重大災害について労基署が作成する調査記録

これらは会社側が任意に出してくることはまずありません。弁護士が開示請求や文書送付嘱託、証拠保全といった手続を使って取りにいく領域です。

刑事告訴・告発を検討すべきか

ご遺族から「会社を刑事告訴したい」というご希望をいただくことがあります。判断にあたっては、次の点を整理しておく必要があります。

観点 検討すべきこと
目的 処罰そのものが目的か、事実を明らかにすることが目的か
時間 捜査には時間がかかります。民事の時効との関係を見ておく必要があります
交渉への影響 刑事手続が進むと、会社が民事の交渉に応じにくくなる場合と、逆に早期解決に動く場合の両方があります
立証の負担 告訴には具体的な事実の摘示が必要です。資料の準備が前提になります

実務上は、民事の損害賠償請求を主軸に置きつつ、刑事手続の進行状況から得られる情報を活用するという組み立てを取ることが多くなります。

刑事と民事、どちらを軸にすべきか。事案に応じてご提案します。
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ご相談前と、ご相談後で変わること

Before(ご相談前) After(ブライトへのご相談後)
会社が処罰されないなら何も取れないと思っていた 刑事と民事が別であることを理解し、賠償請求を独立して進められた
不起訴と聞いて諦めかけていた 立証の程度が異なることを踏まえ、民事での主張の組み立てができた
労基署の記録があることを知らなかった 調査結果復命書・是正勧告書の開示を検討し、証拠として位置づけられた

※上記は一般的な相談内容を参考に抽象化したものです。個別の案件の結果を保証するものではありません。

着手金0円・完全成功報酬でご相談いただける理由

「会社に責任を取らせたい」というお気持ちを、実際に回収できる賠償という形にするのが弁護士の仕事です。弁護士法人ブライトでは、労災の会社への損害賠償請求について着手金0円・完全成功報酬制で対応しています。

労災事故部統括の笹野皓平弁護士が、刑事手続の見通しも踏まえたうえで、証拠の確保から会社との交渉・訴訟までを一貫して担当します。

相談料は何度でも無料・着手金無料です。何度でもご相談いただけますので、「まだ相談する段階ではないかもしれない」と迷われている段階でお声がけください。

※交渉・訴訟を行う際の実費(印紙代・郵送代・医学的意見書の作成費用等)は別途ご負担いただく場合があります。※事案の内容により、ご相談をお受けできない場合があります。※お電話でのご相談の受付は平日9:00〜18:00です。

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よくある質問(FAQ)

Q1:熱中症で本当に書類送検されることがあるのですか。

あります。労働安全衛生法違反については労働基準監督官が捜査権限を持ち、検察官へ送致します。死亡事案では業務上過失致死罪での立件が検討されることもあります。

Q2:会社が不起訴になりました。損害賠償も無理でしょうか。

いいえ。刑事と民事は制度が別で、求められる立証の程度も異なります。刑事で立件されなかったことは、民事で会社の落ち度が認められない理由にはなりません。

Q3:罰金を払わせれば、その分が自分に来ますか。

来ません。罰金は国に納められるもので、被害者に支払われるものではありません。損害の回収は、民事の損害賠償請求によってのみ実現します。

Q4:労基署に申告すれば、会社が賠償してくれますか。

労働基準監督署は法令違反の是正を指導する機関であり、民事の賠償交渉には関与しません。労基署への申告と並行して、民事の請求は自ら進める必要があります。

Q5:労基署の記録は見せてもらえますか。

調査結果復命書などについて、行政機関情報公開法に基づく開示請求により入手できる場合があります。個人情報部分は不開示となることがありますが、判断の枠組みを把握するうえで有用です。

Q6:熱中症の労災でも、損害賠償請求や労災申請に期限(時効)はありますか?

あります。労災保険給付そのものの請求期限は、療養(補償)給付・休業(補償)給付が2年、障害(補償)給付・遺族(補償)給付が5年です。会社への損害賠償請求権については、2020年4月以降に生じた損害の場合、安全配慮義務違反(債務不履行)または人身損害の不法行為に基づく請求は、損害及び加害者を知った時から原則5年が目安です。あわせて権利を行使できる時から20年という客観的な期間制限もあります。不法行為構成(民法724条2号)はもともと20年、安全配慮義務違反構成(民法166条1項2号)は本来10年ですが、人の生命・身体の侵害の場合は民法167条により20年に延長されるため、いずれの構成でも20年が目安になります。2020年4月より前の事案には旧法が適用される場合もあり、判断は事案ごとに異なります。熱中症は「治ったように見えて後から後遺症が分かる」ことがあるため、お早めにご相談ください。

Q7:弁護士に依頼する費用が心配です。

弁護士法人ブライトでは、労災の会社への損害賠償請求について着手金0円・完全成功報酬制で対応しています(※実費等が発生する場合があります)。相談料は何度でも無料ですので、費用面の不安だけで相談を諦める必要はありません。ただし、事案の内容によりご相談をお受けできない場合があります。お電話でのご相談の受付は平日9:00〜18:00です。

まとめ

  • 熱中症の労災でも、業務上過失致死傷罪労働安全衛生法違反で送検されることがあります
  • 安衛則612条の2違反には6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金という罰則があります
  • 刑事と民事は別。会社が不起訴でも損害賠償請求はできます
  • 罰金は国に納められるもので、被害者には支払われません。回収は民事請求のみです
  • 労基署や捜査機関の記録は、開示請求により民事の証拠として活かせることがあります

「会社に責任を取らせたい」というお気持ちを、実際の回収につなげるための道筋をご説明します。弁護士法人ブライトの労災事故部統括・笹野皓平弁護士にご相談ください。

熱中症の労災と会社の責任に関するご相談窓口
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  • この記事を書いた人

笹野 皓平

弁護士法人ブライト パートナー弁護士: あなた自身や周りの方々がよりよい人生を歩んでいくために、また、公正な社会を実現するために、法の専門家としてサポートできることを日々嬉しく感じています。

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。

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TEL 0120-931-501(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
事業内容 法人向け(法律顧問・顧問サービス、経営権紛争、M&A・事業承継、私的整理・破産・民事再生等、契約交渉・契約書作成等、売掛金等の債権保全・回収、経営相談、訴訟等の裁判手続対応、従業員等に関する対応、IT関連のご相談、不動産を巡るトラブルなど)、個人向け(交通事故・労災事故を中心とした損害賠償請求事件、債務整理・破産・再生等、相続、離婚・財産分与等、財産管理等に関する対応、不動産の明渡し等を巡る問題など)

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