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労災の後遺障害と逸失利益|給料が減っていなくても請求できる?等級別の計算方法と弁護士が増額した事例

この記事の監修者

執筆:笹野 皓平(ささの こうへい)弁護士
弁護士法人ブライト|労災部部長/パートナー弁護士
弁護士歴14年以上(2011年登録)/大阪弁護士会
専門:労災事故・安全配慮義務違反・後遺障害・人身損害賠償

監修:和氣 良浩(わけ よしひろ)弁護士
弁護士法人ブライト代表/弁護士歴平均14年以上のチームを統括

この記事でわかること(結論)
  • 労災後遺障害の「逸失利益」は、労災保険給付(障害(補償)給付)とは別制度の損害賠償であり、会社の安全配慮義務違反を根拠に会社へ直接請求できる
  • 給料が現在も変わっていなくても逸失利益は請求できる。裁判実務では「将来の昇給・キャリア機会の喪失」も含めて算定するのが原則
  • 等級1〜14級ごとの逸失利益の目安額(労働能力喪失率×喪失期間の計算方法)を解説
  • 高齢者・アルバイト・一人親方・非正規雇用でも、基礎収入の算定方法次第で増額できる
  • 会社側が必ず持ち出す「素因減額」「過失相殺」「損益相殺」への反論方法
  • 弁護士への相談は症状固定後できるだけ早いタイミングが重要

無料相談:0120-931-501(労災専用フリーダイヤル)

1. 労災後遺障害の「逸失利益」とは何か

仕事中の事故や業務による疾病で後遺障害が残った場合、被災者は2種類の損害賠償を「会社」に請求できます。

損害項目 内容
慰謝料(後遺障害慰謝料) 精神的苦痛に対する賠償。等級ごとに裁判所基準の相場がある
逸失利益 後遺障害によって失う将来の稼ぎに対する賠償。原則として就労可能期間(症状固定時の年齢〜67歳)の収入喪失額

逸失利益は一般に慰謝料よりも金額が大きくなることが多く、後遺障害1〜7級では数千万円から億単位に達するケースも珍しくありません。労災後遺障害の損害賠償において、逸失利益は「賠償額のメイン」と言ってよい損害項目です。

逸失利益が発生する根拠

逸失利益は、会社の安全配慮義務違反(労働契約法5条・民法415条)または不法行為(民法709条・715条)を根拠に、労働者が会社に請求する損害賠償の一部です。労災保険制度とはまったく別の制度です。

2. 労災保険の障害給付と逸失利益(損害賠償)は別制度

「労災保険で障害(補償)給付をもらっているから、もう請求できない」と思い込んでいる方が非常に多くいます。これは誤りです

制度 根拠 支払者 主な内容
労災保険の障害(補償)給付 労災保険法 国(労働者災害補償保険) 障害等級1〜14級に応じた年金または一時金。精神的苦痛や逸失利益は含まない
損害賠償(逸失利益・慰謝料等) 労働契約法5条・民法415条・709条 会社(使用者) 逸失利益・慰謝料・休業損害・治療費・介護費等

この2つは請求先も根拠も異なる別制度です。労災保険給付を受け取っていても、会社に対する損害賠償請求権は消滅しません。同一損害項目については重複受給できない部分があります(損益相殺)が、損益相殺を考慮した上でも、多くのケースで会社への追加請求が可能です。

3. 「給料が減っていない」のに逸失利益を請求できる理由

「給料が減っていないのだから逸失利益はゼロだ」という会社側の主張は、多くの場合において誤りです。裁判実務では以下の観点から算定します。

  1. 昇給・昇進・転職の機会が失われている(特に体を使う職種では、将来の仕事の幅が狭まることが客観的に認められることが多い)
  2. 後遺障害が加齢とともに悪化し将来的に労働能力が低下する可能性
  3. リストラ・人事異動・廃業等により、将来において労働能力喪失が現実化するリスク

裁判実務では「労働能力喪失率」を使って逸失利益を算定します。これは後遺障害等級ごとに法定されており、現在の給与減少とは無関係に適用されます。

後遺障害等級 労働能力喪失率 後遺障害等級 労働能力喪失率
第1級 100% 第8級 45%
第2級 100% 第9級 35%
第3級 100% 第10級 27%
第4級 92% 第11級 20%
第5級 79% 第12級 14%
第6級 67% 第13級 9%
第7級 56% 第14級 5%
笹野弁護士のコメント

「給料が変わっていないから逸失利益ゼロです」という会社(あるいは保険会社)の回答をそのまま受け入れた依頼者が、後になって後悔するケースを繰り返し見てきました。現在の収入が変わっていないことは、将来の喪失がないことの証明ではありません。後遺障害があることで何かを「失っている」という事実は変わらない。その失われたものを正確に評価して請求することが、私たちの仕事です。

4. 逸失利益の計算式と後遺障害等級別の目安額

逸失利益 = 基礎収入(年収)× 労働能力喪失率 × 就労可能期間に対するライプニッツ係数

ライプニッツ係数は将来の金銭を現在価値に換算するための係数です。2020年4月1日以降は年5%から年3%(民法改正)に変更されており、係数が大きくなりました(被災者に有利)。

計算例:年収500万円・40歳・後遺障害9級(労働能力喪失率35%)
就労可能期間27年のライプニッツ係数≒18.327(3%計算)
逸失利益 = 500万円 × 35% × 18.327 = 約3,207万円

後遺障害等級別・逸失利益目安額(年収500万円・40歳の場合)
等級 喪失率 逸失利益目安額
1〜3級 100% 約9,164万円
4級 92% 約8,430万円
5級 79% 約7,239万円
6級 67% 約6,140万円
7級 56% 約5,132万円
8級 45% 約4,123万円
9級 35% 約3,207万円
10級 27% 約2,474万円
11級 20% 約1,833万円
12級 14% 約1,283万円
13級 9% 約825万円
14級 5% 約458万円
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後遺障害等級・年収・年齢に応じた逸失利益の具体的な見込み額を弁護士が算出します。
電話:0120-931-501(労災専用フリーダイヤル) LINE相談も対応(24時間受付)

5. 基礎収入の算定方法|高齢・アルバイト・一人親方でも増額できる

逸失利益の「基礎収入」は状況によって異なる算定方法があり、ここに弁護士の交渉余地があります。

ケース別の算定方法

正社員の場合:症状固定前の年収(給与明細・源泉徴収票)が基礎収入。残業代・賞与も含めます。

アルバイト・パート・非正規雇用の場合:厚生労働省「賃金センサス(賃金構造基本統計調査)」の全産業平均賃金を基礎収入として主張できます。また、将来の正社員雇用・昇給が見込まれた事情があれば、それを根拠とした算定も可能です。

一人親方・自営業者の場合:確定申告書の所得が基礎収入となりますが、確定申告がなくても元請からの振込明細・出面帳・日当記録などを組み合わせて基礎収入を積み上げることが可能です(一次ソース:実際の建設現場落下事故案件での実績)。

高齢者・無職・育児休業中の場合:賃金センサスを使い、稼働可能な年齢層の平均賃金を基礎収入とします。高齢を理由に逸失利益がゼロになるわけではありません。

6. 会社が必ずやってくる「素因減額」「過失相殺」への反論

6-1. 過失相殺「あなたにも落ち度がある」

「作業手順を守っていなかった」「ヘルメットを着用していなかった」などを根拠に、被災者の過失を主張して損害賠償額を減額しようとします。弁護士の反論:会社側の安全管理体制の不備を正面から問います。ヘルメット不着用一つとっても、会社が毎朝の安全確認を徹底していたかどうかで評価が変わります。実務書によれば、被災者に一定の過失があっても、会社の安全管理体制が不十分であれば過失相殺割合は限定される傾向があります。

6-2. 素因減額「もともとの持病があった」

「腰部椎間板ヘルニアの既往症があったから損害が拡大した」「うつ病の素因があったから精神的損害が大きくなった」など、被災者の身体的・精神的素因を持ち出して減額を求めます。弁護士の反論:素因減額が認められる要件は厳格であり、既往症があるだけでは足りず「特段の事情」の立証が会社側に求められます。精神疾患(うつ病・PTSD等)の場合は、業務による心理的負荷が厚生労働省「精神障害の労災認定基準」の心理的負荷評価表の強度を上回ることを示します(一次ソース:パワハラ精神疾患案件・高齢者腱板損傷案件の実例)。

6-3. 損益相殺「労災保険でもらった分を差し引く」

損益相殺は同一損害項目の範囲でのみ認められます。慰謝料と労災保険給付は相殺されません。また、特別支給金は損益相殺の対象外です(実務上の確立した取扱い)。障害特別支給金・休業特別支給金・遺族特別支給金は損害賠償額から控除されないため、実質的に上乗せ受給となります。

7. 労災保険給付との損益相殺・調整の仕組み

労災保険給付の種類 損益相殺の適否
障害(補償)一時金(8〜14級) 逸失利益から控除される
障害(補償)年金(1〜7級) 年金の現価額相当部分が逸失利益から控除(将来受給分は控除しないのが原則)
療養(補償)給付 治療費と調整
休業(補償)給付 休業損害と調整
遺族(補償)給付(死亡案件) 死亡逸失利益と調整
特別支給金(各種) 調整されない(損益相殺の対象外)

8. 逸失利益請求の時効|損害賠償と給付で異なる

時効の取り扱いは、損害賠償請求と労災保険給付で異なります。混同することが最も危険な誤りの一つです。

請求の種類 時効期間 起算点
会社への損害賠償請求(生命・身体侵害) 5年(民法724条の2・166条1項1号) 損害・加害者を知った時(通常は症状固定日)
労災保険・障害(補償)給付の申請 5年(労働者災害補償保険法42条) 請求権が発生した日(症状固定日)
療養(補償)給付・休業(補償)給付 2年(労働者災害補償保険法42条) それぞれの発生日

2020年4月1日の民法改正後、損害賠償請求権の時効は主観的起算点(損害を知った時)から5年に変わりました。時効内だからといって放置することは得策ではなく、症状固定後は速やかに弁護士に相談することが重要です。

9. 弁護士に依頼した場合の逸失利益増額事例(3件)

以下は弁護士法人ブライトが実際に担当した案件を、個人特定を防ぐために抽象化・一般化したものです。

事例1:製造業・後遺障害12級・「給料が変わらない」として逸失利益ゼロと言われたケース

状況:40代男性・製造業プレス機事故・右手指の機能障害で後遺障害12級(労働能力喪失率14%)認定。同じ工場に復職し、給与額は事故前と変わらず。会社側から「減収がないので逸失利益はゼロ、慰謝料のみで解決を」と提案される。

問題の核心:現在の給与が変わらないのは、会社が作業内容を調整してくれているから。しかし重いものを持つ作業・精密作業から外されており、昇格の機会が実質的に失われている。右手の握力低下で転職・副業の選択肢も狭まっている(一次ソース:Obsidian労災ナレッジ・減収なき逸失利益案件)。

結果:「現在の作業調整の実態」を書面で確認させ、将来の昇格・昇給機会の喪失について主張を組み立てた。逸失利益として年収の14%×ライプニッツ係数ベースの相当額が認められ、慰謝料と合わせて当初提案の約3.2倍の解決金で和解。

事例2:建設業・後遺障害9級・一人親方・確定申告書がない状況

状況:50代男性・足場からの転落・左足首骨折後に後遺障害9級(労働能力喪失率35%)残存。一人親方として元請会社の現場に入っていたが、確定申告を数年間していなかった。会社側は「収入証明がないから基礎収入は最低賃金で計算する」と主張(一次ソース:Obsidian労災ナレッジ・建設現場落下事故案件)。

結果:元請会社への弁護士照会(23条照会)で支払い記録を取得。通帳の入出金履歴から実際の報酬を積み上げ、建設業の技能労働者の賃金センサス平均賃金を代替的に主張。最低賃金ベース比で逸失利益が約2.8倍、総賠償額として1,000万円超で解決。

事例3:パワハラ・精神疾患(うつ病)・会社が「素因だ」と主張したケース

状況:30代女性・IT系企業・上司によるパワハラで適応障害を発症、労災認定を取得後に退職。会社側は「もとから精神的に弱い人だった(素因)」と主張して損害賠償責任を一部否定(一次ソース:Obsidian労災ナレッジ・パワハラ精神疾患案件)。

結果:労働時間の証拠(PC起動ログ・入退室記録)を保全しパワハラを立証。心理的負荷評価表で業務上の強度が「強」に該当することを詳細に立証し、素因減額の主張を退けた。退職後の逸失利益(就労可能期間30年超)を基礎とした損害賠償で交渉成立。慰謝料・逸失利益合計で当初提示額の約4倍。

無料相談はこちら(労災専用)

逸失利益の増額交渉は、弁護士の介入によって大きく変わります。会社・保険会社の提示額に疑問があればご相談ください。
電話:0120-931-501(労災専用フリーダイヤル) LINE相談(24時間受付)も対応。

10. 症状固定後すぐ相談すべき理由

労災後遺障害の逸失利益請求において、「症状固定後すぐに弁護士へ相談すること」が最も重要なアドバイスです。

理由1:後遺障害診断書の内容を適正にする最後のチャンス
症状固定時に作成される「後遺障害診断書」の記載内容が、後遺障害等級の認定に直結します。医師が「就労可能」と記載していても、実態と一致しないケースがあります。弁護士が医師に確認・補充を依頼することで、適正な等級認定に繋がります。

理由2:会社側との交渉前に戦略を立てるため
症状固定後、会社または保険会社から「早期解決の提案」が来ることがあります。この時点で弁護士に相談せず応じてしまうと、逸失利益が適切に算定されないまま不利な金額で示談してしまうリスクがあります。

理由3:証拠保全
時間が経つほど、職場の状況・事故当時の証拠(安全管理台帳・指示書・録音・同僚の記憶)が失われていきます。特に会社が証拠を隠滅するリスクがある案件では、証拠保全(裁判所への申立て)という手段を症状固定直後に講じることが重要です。

11. よくある質問(FAQ)

Q1. 労災が認定されていなくても逸失利益を請求できますか?

はい、できます。労災保険の認定と会社への損害賠償請求は別制度です。ただし労災認定が降りていると業務起因性の立証が楽になるため、可能であれば並行して進めることを推奨します。

Q2. 後遺障害14級では逸失利益は認められにくいと聞きましたが本当ですか?

14級(労働能力喪失率5%)は逸失利益の認定が争われやすい等級です。特にむちうち(頸椎捻挫)の14級では裁判実務でも認定されないケースがあります。一方、器質的損傷(骨折後の可動域制限等)が客観的に認められる14級は認定されやすい傾向があります。個別に弁護士への相談をお勧めします。

Q3. 逸失利益の交渉は裁判まで行う必要がありますか?

多くのケースは示談交渉で解決します。弁護士が代理人として交渉する場合、裁判基準(弁護士基準)に基づいた請求が可能になり、示談の段階でも増額が期待できます。会社側が不当な主張を強行する場合は裁判(訴訟)も選択肢になります。

Q4. 逸失利益はいつ支払われますか?

示談が成立した時点、または判決が確定した時点で支払われます。損害賠償の逸失利益は原則として一括払いです(年金型の障害補償給付とは異なります)。

Q5. 弁護士費用はいつ発生しますか?費用倒れになりませんか?

弁護士法人ブライトは完全成功報酬型を基本とした費用体系です。費用倒れにならないよう、受任時点で見込みを誠実にお伝えするのが私たちのポリシーです。詳細は弁護士費用ページをご確認ください。

Q6. 現在も会社に在籍しています。会社を訴えることで解雇されませんか?

労災申請や損害賠償請求を理由とした解雇・不利益取扱いは労働基準法19条・労働契約法16条違反となり無効です。ただし、現実には会社関係が難しくなるケースもあります。弁護士が依頼者の状況に合わせた対応方針を一緒に考えます。

Q7. 給料が変わらなくても本当に請求できるのか、弁護士に確認したい

はい、ぜひご相談ください。個別の状況(等級・年収・職種・年齢・会社の作業調整の実態)を確認した上で、逸失利益の請求見込みを具体的にお伝えします。

12. まとめと無料相談

  • 労災後遺障害の「逸失利益」は労災保険給付とは別に会社に請求できる損害賠償項目
  • 現在の給料が変わっていなくても、等級・年収・年齢に基づく計算式で逸失利益は発生する
  • アルバイト・一人親方・高齢者でも、基礎収入の算定方法次第で大幅な増額が可能
  • 会社が必ず持ち出す「過失相殺・素因減額・損益相殺」には専門的な反論が必要
  • 症状固定後すぐに弁護士に相談することが逸失利益確保の最重要アクション

弁護士法人ブライトは、笹野皓平弁護士(弁護士歴14年以上・大阪弁護士会・労災部部長)を中心に、労災後遺障害案件の損害賠償請求を専門的に手がけています。顧問先130社以上の実名公開実績があり、弁護士歴平均14年以上のベテランチームが会社側の論理を先読みした交渉を行います。

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TEL 0120-931-501(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
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