「元請の事務所に行って直接話をしました。でも、『うちは直接の雇用主じゃない。払う義務はない』と、まともに取り合ってもらえませんでした」――。当法人に相談にいらした建設作業員の言葉です。
高所から墜落し多発骨折を負い、後遺障害7級(労働能力喪失率56%)が認定された建設作業員が、重層下請構造のなかで元請にまで責任を追及し、1年4ヶ月・3,000万円台(別途相手方保険からの補償金あり)の解決に至るまでの実話をお伝えします。
- 元請から直接「払わない」と宣告され、泣き寝入り直前の状況から出発した。
- 重層下請構造での責任の所在を整理し、元請まで含めた安全配慮義務違反を立証した。
- 労災給付との「費目拘束」を正確に計算し、数百万円単位での補償額の上積みに成功した。
- 解決額:3,000万円台(示談)+別途相手方保険補償金。期間:1年4ヶ月。(同様の結果を保証するものではありません)
(本事例は依頼者・関係者が特定されないよう抽象化しています。解決額・期間は事案ごとの個別事情により異なり、同様の結果を保証するものではありません。)

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第1章:高所墜落・複数回の手術、そして「払わない」の壁
事故は、建設現場の足場作業中に起きました。30代の男性建設作業員(以下「依頼者」)は、上位の下請会社(以下「直接の雇用主」)の指示のもと、数メートル以上の高所で作業を行っていました。バランスを崩した依頼者は足場から墜落し、その場で動けなくなりました。
救急搬送された病院では、多発骨折の診断が下されました。複数箇所の骨折は複雑で、手術は一度では終わりませんでした。入退院を繰り返しながら複数回の手術を経て、長期にわたる治療が続きました。
依頼者は言います。「最初の手術を終えて、これで治るんだと思っていました。でも骨がうまくくっつかなくて、また手術。何度繰り返すんだと、正直もう嫌になっていました」。
治療が長期化するなか、依頼者を直接雇用していた下請会社の経営状態が悪化し、事実上の廃業状態に陥りました。依頼者が損害賠償の話をしようとしても、相手は実質的に機能しない状態でした。
依頼者は、現場全体を管理していた元請会社(以下「元請」)に直接連絡を取りました。「直接雇ってくれていた会社がなくなったも同然なので、元請のところへ行って補償の話をしたいとお願いしました」。
しかし、元請の担当者の回答は冷たいものでした。
「うちはあなたを直接雇っていない。下請の作業員に対して、元請が損害賠償を払う義務はない」。
依頼者は、この一言で言葉を失いました。「直接雇ってくれていた会社はなくなり、現場を仕切っていた元請は払わないと言う。自分はどこへ行けばいいのか、本当にわかりませんでした」。
第2章:労災申請・後遺障害7級の認定
元請から拒絶されたのち、依頼者はまず労働基準監督署への労災申請を進めました。
労災(業務災害)の申請自体は、事業主証明がなくても依頼者本人が行うことができます。申請の結果、業務災害として認定され、療養補償給付・休業補償給付が支給されるようになりました。
その後、治療が症状固定の段階に達したとき、後遺障害等級の審査が行われました。骨折後の可動域制限と神経症状が残存していた依頼者に対して、後遺障害7級が認定されました。労働能力喪失率は56%に相当します。
後遺障害7級とは、労働能力の半分以上(56%)を恒久的に失った状態を意味します。30代の建設作業員にとって、体力・技能を生涯にわたって大幅に制限されるという認定は、仕事の見通しにも大きな影響を与えるものでした。
労災保険から障害補償給付が支給される一方で、依頼者は「これだけの怪我をして、会社から一円も損害賠償をもらえないままで終わるのか」という思いを抱き続けていました。
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「元請に払わないと言われた」「直接の雇用主がなくなった」という方は、まずご相談ください。
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第3章:ブライトへの相談――「責任の所在を整理する。道はある」
後遺障害7級の認定が下りた後、依頼者は知人を介して当法人に相談にいらしました。
相談時、当法人の担当弁護士チームはまず事実関係の全体像を丁寧に確認しました。誰に雇われていたのか。現場の管理体制はどうなっていたか。元請・上位下請・直接の雇用主の役割分担。事故発生時の現場の安全管理の状況。それらを一つひとつ整理していきます。
初回の見立ては、明確なものでした。
「直接の雇用主が機能していない状況は確かに難しい面があります。しかし、元請が『直接雇っていないから関係ない』というのは、法的に正確な話ではありません。重層下請構造においては、元請も下請業者の作業員に対して安全配慮義務を負う場合があります。責任の所在を整理すれば、追及できる相手が見えてきます」。
依頼者はこう振り返ります。「元請が払わないと言うから、それで終わりだと思っていました。でも、弁護士に話を聞いてもらって、『道がある』という言葉をもらって、もう少し戦えるかもしれないと感じました」。
当法人が受任を判断した根拠は三つです。第一に、後遺障害7級が認定されており、逸失利益(労働能力喪失率56%分の将来収入の喪失)の損害額が一定規模になることが見込まれたこと。第二に、元請が現場全体の管理・指揮監督に関与していたことが事実関係から確認できたこと。第三に、「費目拘束」の論点を正確に押さえれば、労災給付との重複を排除しながらも上積み請求が可能であることでした。
第4章:戦略の設計――重層下請の責任を解きほぐす
当法人が立てた戦略の核心は、「重層下請構造における責任主体の精密な切り分け」でした。
元請の安全配慮義務とは何か
建設現場における重層下請構造では、元請会社が現場全体の施工管理・安全衛生管理の責任を担っています。労働安全衛生法はこの点を明確に定めており、元請は下請業者やその作業員に対しても、必要な安全措置を講じる義務があります。
さらに判例上、元請と下請作業員の間に直接の雇用契約がない場合でも、元請が作業を実質的に管理・指揮監督していたと認められれば、民法上の使用者責任(民法715条)や安全配慮義務(労働契約法5条の趣旨)を問うことができます。
「直接雇っていない」という元請の主張は、雇用契約の有無という形式論に過ぎません。現場の実態として、元請が誰に・何の作業を・どのような安全管理のもとで指示していたか、これが問われる核心です。
当法人は、事故当時の現場の管理体制に関する資料を精査しました。元請が作成した施工計画書・安全管理記録・現場日誌の内容。足場の設置状況と転落防止措置の有無。作業指示の経路。これらを丁寧に積み上げることで、元請が現場の安全管理に実質的に関与しており、その不備が事故の一因であることを示す根拠を構築していきました。
「費目拘束」の論点――労災給付との調整を正確に計算する
重層下請の責任追及と並行して、当法人が注力した論点が「費目拘束」の正確な計算です。
労災保険から給付を受けた場合、その分は会社への損害賠償請求額から差し引かれます(損益相殺)。しかし、この差し引きには重要なルールがあります。労災給付は「同一の費目」の損害とのみ相殺できるのです。これを「費目拘束」と呼びます。
たとえば、労災保険から支給される「障害補償給付」は「逸失利益」との相殺のみが認められます。「慰謝料」との相殺はできません。これを知らずに計算すると、本来の請求額より大幅に低い金額になってしまいます。
多くの場合、相手方企業や保険会社は費目を混同した計算を提示してきます。費目拘束を正確に押さえることで、数百万円単位で依頼者が受け取れる金額が変わることがあります。
当法人は、依頼者の逸失利益・慰謝料・休業損害・治療費等を費目ごとに精密に計算し、労災給付との相殺を費目ごとに厳密に適用した上で、会社への上積み請求額を確定させました。
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「費目拘束」を正確に計算できるかで、受け取れる金額が数百万円単位で変わります。
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第5章:交渉の経過――元請の反論と、一つひとつの再反論
当法人は元請会社に対して損害賠償を請求しましたが、元請の反論は当初から強いものでした。
元請が主張したのは、主に以下の点です。
- 「直接の雇用主でないため、安全配慮義務は負わない」:元請は下請業者との契約関係を主張し、依頼者との間に安全配慮義務を負う関係はないと反論した。
- 「作業員の不注意が原因であり、現場の安全管理に問題はなかった」:事故の原因は依頼者自身の不注意によるものだと主張し、過失相殺(賠償額の減額)を求めた。
- 「労災保険から給付を受けているのだから、それで十分なはずだ」:労災給付を受けていることを理由に、追加の損害賠償は不要だと主張した。
これに対して当法人は、以下の観点から一つひとつ反論を組み立てました。
まず安全配慮義務の点については、元請が事故当時の現場において施工管理・安全衛生管理を行っていた事実を示す客観的な記録を提示しました。足場設置の管理責任・作業指示の経路・転落防止措置の不備を具体的に示し、「直接の雇用主でない」という形式論では責任を免れられないことを論証しました。
次に過失相殺の点については、転落防止のために義務付けられていた安全設備の設置・点検が適切に行われていたかを精査しました。元請が適切な安全管理を行っていれば防ぎえた事故であったことを示すことで、過失相殺割合の圧縮を図りました。
最後に費目拘束の点については、労災給付との相殺は費目ごとに行われるべきであり、慰謝料・逸失利益のすべてが相殺対象になるわけではないことを、法的根拠とともに明示しました。
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第6章:解決――示談・3,000万円台(別途相手方保険補償金)
交渉が進むにつれ、元請の姿勢は徐々に変化しました。当法人が提示した安全管理上の不備に関する客観的な記録と、費目拘束の計算に基づく請求額の論拠が積み重なるにつれ、元請側も「全面的に払わない」という主張の維持が困難になっていきました。
最終的な解決は、示談による解決額3,000万円台(別途相手方保険からの補償金あり)・事故から1年4ヶ月でした。
依頼者はこう語ります。「最初に元請に断られたとき、もう終わりだと思っていました。でも1年ちょっとで、ちゃんとした補償をもらえた。弁護士に頼んでよかったと、本当に思います」。
第7章:【ブライトの判断基準】「重層下請でも、責任者まで追及する」
建設業における重層下請構造の中で事故が起きたとき、「直接の雇用主でないから関係ない」という元請の主張は、依頼者にとって理不尽な壁として立ちふさがります。多くの方が、この壁の前で諦めてしまいます。
しかし当法人は、元請の「関係ない」という言葉を鵜呑みにしません。重要なのは形式的な契約関係ではなく、現場の実態として誰が安全管理をしていたかです。元請が現場全体の施工・安全管理に実質的に関与していたなら、直接の雇用関係がなくても安全配慮義務を問える場合があります。
また、「費目拘束」を正確に計算できるかどうかで、依頼者が受け取れる補償額は数百万円単位で変わります。労災給付が出ているからといって、会社への損害賠償請求が終わりになるわけではありません。
「ブライトは、重層下請の構造を丁寧に解きほぐし、責任を負うべき相手まで追及する。費目拘束を正確に計算し、依頼者が本来受け取れるべき補償を、漏れなく取りに行く。」
これが、当法人が建設業・重層下請の労災損害賠償で一貫して大切にしている考え方です。
なお当法人では、受任の可否についても初回相談時に率直にお伝えします。費用倒れになる見込みが高いと判断した場合は、その旨を明確にお伝えしています。
第8章:依頼者にとって何が変わったか
| Before(依頼前) | After(解決後) |
|---|---|
| 元請から「払う義務はない」と直接拒絶され、泣き寝入りを覚悟していた。 | 元請の安全配慮義務違反を立証し、3,000万円台(別途保険補償金)の示談解決を実現した。 |
| 直接の雇用主が廃業状態で、誰に請求すればいいのかわからない孤立感。 | 当法人が請求先の整理・交渉・書面作成をすべて代行。依頼者は治療と療養に集中できた。 |
| 「労災保険が出ているから、これ以上は無理なのかも」という思い込み。 | 費目拘束の正確な計算で、労災給付とは別に会社への上積み請求が可能であることが明確になった。 |
| 7級認定でも将来の生活・収入の見通しが立たない不安。 | 逸失利益(労働能力喪失率56%分)を含む補償額の確保で、今後の生活再建に向けた資金的な基盤ができた。 |
依頼者からは解決後、次の言葉をいただきました。
「元請に断られたとき、弁護士に頼んでもどうせ無理だと思っていた。でも、先生方が諦めずに動いてくれた。自分だけじゃとても無理でした」。
「元請に払わないと言われた」「直接の会社がなくなった」という方も、まずお話を聞かせてください。
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第9章:建設業の重層下請構造で困っている方へ
「元請から払わないと言われた」「直接雇っていた会社がなくなった」「労災保険は下りたが、会社への請求はどうすればいいのか」――このような状況にある方は、諦める前に一度、弁護士に相談することを強くお勧めします。
多くの記事は「安全配慮義務違反で請求できます」と書いて終わります。しかし実際には、重層下請構造の中でどの会社に対して・どのような根拠で・どの費目について請求するかを精密に設計しなければ、取れるはずの補償を大幅に取り損ねることになります。
早期相談が重要な理由
労災事故の損害賠償請求には時効があります。安全配慮義務違反(債務不履行)に基づく請求は損害を知った時から5年(民法166条1項1号)、不法行為に基づく請求は損害および加害者を知った時から3年(民法724条)が原則です。
また、時間の経過とともに証拠は散逸します。現場の安全管理記録・施工計画書・現場日誌・足場の設置状況に関する記録は、時間が経てば経つほど保存されなくなるリスクがあります。直接の雇用主が廃業状態にある場合はなおさら早急な対応が必要です。
当法人への相談の流れ
- ステップ1:フリーダイヤル(0120-931-501)またはフォーム・LINEから相談
- ステップ2:事案の事実関係を確認(重層下請の構造・元請の関与の内容・後遺障害の状況など)
- ステップ3:当法人が責任の所在と請求見通しを率直にお伝えします
- ステップ4:受任の場合、費用・方針をご説明して正式依頼
弁護士歴平均14年以上の当法人の労災チームが、建設業の重層下請構造特有の問題に対応いたします。
弁護士歴平均14年以上の労災チームが、建設業の複雑な重層下請案件に対応します。
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よくある質問
Q1:元請に「直接雇っていないから払わない」と言われました。本当に諦めるしかないのですか?
諦める必要はありません。重層下請構造においては、元請が直接の雇用主でなくても、現場の管理・指揮監督に実質的に関与していた場合、安全配慮義務を問える場合があります。「払わない」という発言は法的な結論ではなく、元請の一方的な主張に過ぎません。まず弁護士に事実関係を話していただき、追及できる相手と根拠を確認することをお勧めします。
Q2:直接の雇用主が廃業してしまいました。もう請求できませんか?
直接の雇用主が廃業状態にあっても、元請や上位下請の会社に対して責任を追及できる場合があります。重層下請構造における各社の関与の実態を精査し、追及可能な会社を特定するのが最初のステップです。一方で、廃業した会社自体への請求は困難なケースが多く、早期に弁護士に相談して追及先を確定させることが重要です。
Q3:労災保険から障害補償給付を受けています。それとは別に会社に損害賠償を請求できますか?
はい、請求できます。労災保険の障害補償給付は「定型の補償」であり、慰謝料や逸失利益の全額が含まれているわけではありません。会社の安全配慮義務違反が認められる場合、労災給付との差額部分(費目ごとの計算)を損害賠償として会社に請求できます。この計算を正確に行えるかで、受け取れる金額が大きく変わります。詳しくは労災で会社に損害賠償請求する完全ガイドをご覧ください。
Q4:後遺障害7級と認定されました。逸失利益はどう計算されますか?
後遺障害7級の労働能力喪失率は56%です。逸失利益は「基礎収入×労働能力喪失率×就労可能年数に応じたライプニッツ係数」で算出されます。ただし、相手方は基礎収入や喪失期間について低く見積もった計算を提示してくることが多く、弁護士が正確に計算・交渉することで最終的な解決額が変わります。個別の状況については初回相談でご確認ください。
Q5:事故からある程度の時間が経っています。今からでも相談できますか?
時効の範囲内であれば、相談・請求は可能です。安全配慮義務違反(債務不履行)に基づく請求は知った時から5年、不法行為に基づく請求は損害と加害者を知った時から3年が原則です。ただし、時間の経過とともに現場の安全管理記録など重要な証拠が失われるリスクが高まります。お早めにご相談いただくことをお勧めします。
建設業での労災事故・重層下請の問題は、まずご相談ください。
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本事例は、依頼者・関係者が特定されないよう職種・年代・事故状況・発生時期を含め抽象化しています。解決額・等級・期間は事案ごとの個別事情により大きく異なり、同様の結果を保証するものではありません。





