売掛債権の仮差押えとは?手続きと費用の目安

売掛債権の仮差押えとは?手続きと費用の目安

売掛債権の仮差押えとは?手続きと費用の目安

取引先に売掛金を払ってもらえず、このまま放置すると回収できなくなるかもしれない。そのような状況で有効な手段が「売掛債権の仮差押え」です。仕組みと手続きの流れを実務ベースで解説します。


売掛債権の仮差押えとはどういう手続きか

仮差押えとは、裁判所を通じて相手の財産を一時的に凍結する保全手続きです。訴訟の判決が出る前でも申立でき、相手が財産を処分・隠匿するのを防ぎます。

「売掛債権」への仮差押えとは、相手(債務者)が持っている「第三者への売掛金請求権」を差し押さえる手続きです。たとえば相手が大手企業から代金を受け取る権利がある場合、その権利を凍結することができます。

銀行口座差押えとの違い

対象 特徴
預金口座 残高がなければ回収できない
売掛債権 相手に取引先がある限り継続的に有効

売掛債権の仮差押えは、口座残高が少ない相手に対しても有効な場合があります。取引先との継続取引がある相手であれば、将来の入金を押さえることができます。


どういう場合に売掛債権の仮差押えを選ぶか

仮差押えの対象を選ぶ際には、差し押さえられる財産があるかどうかが出発点です。

売掛債権の仮差押えが有効なケース

  • 相手の預金口座がわからない
  • 預金口座の残高が少ない可能性が高い
  • 相手が継続的に取引している会社がわかっている
  • 相手の主要取引先(大手企業等)を特定できる

特に建設業・製造業・IT業など、下請け取引が多い業種では、元請け会社への売掛金を差し押さえる形が有効です。

→ 関連:取引先が倒産しそうなときに会社がやるべきこと


STEP1|申立前の準備

売掛債権仮差押えの申立には以下の準備が必要です。

① 差し押さえる売掛債権の特定

「誰に対する何の売掛金か」を特定する必要があります。具体的には「○○株式会社(第三債務者)に対する売掛金債権」のように明記します。

第三債務者(相手の取引先)の正式な法人名・住所を確認しておく必要があります。登記情報を取得するのが確実です。

② 被保全権利の疎明

自社が相手に対して有する請求権(売掛金・損害賠償等)の存在を裁判所に説明します。契約書・請求書・納品書・取引メール等が証拠になります。

③ 保全の必要性の疎明

相手が支払いをしない・財産を隠す恐れがあることを説明します。支払い停止・連絡遮断・経営悪化の情報があれば疎明しやすくなります。

④ 担保金の準備

仮差押えには担保金(保証金)を裁判所に預ける必要があります。請求額の10〜30%程度が目安です。万一申立が不当だった場合に相手への損害を補償するものです。


STEP2|裁判所への申立

仮差押えの申立先は「相手方の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所」か「差し押さえる財産の所在地を管轄する地方裁判所」です。

申立書類は弁護士が作成します。自社で作成するのは現実的ではなく、弁護士への依頼が前提です。

審理の流れ

書面審査(相手に知らせず密行的に審査)

審尋(裁判官から補充の説明を求められることがある)

決定(認容または却下)

担保金を供託して執行

申立から決定まで通常1〜2週間程度かかります。急を要する場合は申立書の記載内容を充実させて迅速化を求めることもあります。


STEP3|仮差押え後の対応

仮差押えが認められると、相手の取引先(第三債務者)に差押通知が届きます。第三債務者は差し押さえられた金額を相手に支払えなくなります。

この通知を受けると、相手から連絡が入り、交渉に応じてくるケースが多くあります。「仮差押えを解除してほしければ、回収額を支払え」という交渉が成立しやすくなります。

交渉が不調の場合は訴訟を提起し、判決後に本差押え(取立て)に移行します。

→ 関連:SES・業務委託の未払い報酬を仮差押えで回収する方法


費用の目安

売掛債権仮差押えにかかる費用は大きく分けて「弁護士費用」と「担保金」です。

弁護士費用(目安)

  • 仮差押え申立のみ:着手金10〜20万円程度
  • 回収成功時:回収額の15〜20%程度の成功報酬

担保金

  • 請求額の10〜30%程度(申立後に返還される)
  • 例:請求額100万円 → 担保金10〜30万円程度

担保金は最終的に返還されますが、一時的に用意する必要があります。費用対効果を考えると、請求額が数十万円以上のケースで特に有効です。


よくある相談例

あるIT関連の顧問先では、外注先に対する未収債権が発生し、相手が支払いを引き延ばしている状況でした。相手は大手企業との取引があり、その売掛債権を事前に把握していたことから、預金口座ではなく売掛債権への仮差押えを選択しました。

大手企業(第三債務者)への差押通知後、相手から即座に連絡が入り、未払い全額の支払いに合意したという経緯がありました。

別のケースでは、建設業の顧問先が下請業者への支払いを求められる立場から、逆に元請けへの売掛金を早期に確保したいという相談がありました。相手の財務状況が不安定な場合、早期に仮差押えに動いたことで優先回収できた事例です。


→ ご相談はこちら:/corporationlaw/

電話:0120-929-739(受付 9:00〜18:00)


顧問弁護士がいると何が違うか

売掛債権の仮差押えは、タイミングと相手の財産情報が成否を左右します。

顧問弁護士がいる場合、「この取引先は要注意」と感じた段階で相談でき、事前に相手の財産状況を調べておく準備ができます。問題が表面化してから動くより、早期に対策を講じることが回収率を高めます。

→ 関連:顧問弁護士の必要性

まずはご相談ください

「相手の取引先はわかっているが、どう動けばよいかわからない」という段階からご相談いただけます。

→ みんなの法務部サービスの詳細はこちら:/corporationlaw/service/

電話:0120-929-739(受付 9:00〜18:00)


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よくある質問

Q. 相手の取引先(第三債務者)の名前がわからない場合でも申立できますか?

A. 第三債務者の特定は申立に必要です。相手の業種・事業内容から推定できる場合もあります。取引の実態をもとに弁護士に相談することをおすすめします。

Q. 仮差押えが認められない場合はありますか?

A. 疎明が不十分な場合や保全の必要性が認められない場合は却下されることがあります。申立書の記載内容と証拠の充実が重要です。

Q. 仮差押えをした後、相手が倒産した場合はどうなりますか?

A. 仮差押えは本差押えに移行する前に倒産手続き(破産・民事再生等)が開始された場合、失効することがあります。倒産が見込まれる場合の対応は弁護士にご相談ください。

Q. 費用はどのくらいかかりますか?

A. 事案の内容・複雑さによって異なります。みんなの法務部では初回相談無料でご案内しています。


監修:弁護士法人ブライト

大阪・神戸を拠点に企業法務・顧問弁護士サービスを提供。みんなの法務部として中小企業の法的リスク対応を日々サポートしています。

本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、特定の事案に対する法律アドバイスではありません。個別の対応については弁護士にご相談ください。

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。
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