この記事の監修者 和氣 良浩(わけ よしひろ) 弁護士法人ブライト|代表弁護士/パートナー弁護士 弁護士歴20年(2006年登録)/大阪弁護士会/大阪大学法学部卒 注力分野:顧問弁護士・企業法務・M&A・経営権紛争・事業再生 結論から言うと、定款変更に必要なのは株主総会の特別決議(出席議決権の3分の2以上の賛成。会社法466条・309条2項11号)です。設立時と異なり、公証人の認証は不要です。ただし、商号・事業目的・本店・発行可能株式総数など登記事項を変更した場合は、決議から2週間以内に変更登記(登録免許税は原則3万円)が必要で、放置すると100万円以下の過料の対象になります(会社法915条1項・976条1号)。本記事では、手続き5ステップ・登記の要否の判定・費用・実務上の落とし穴を、大阪の弁護士法人ブライト(顧問先130社以上・企業法務部の弁護士歴平均14年以上)が解説します。 📋 定款変更の手続きでお困りの中小企業オーナーへ 特別決議の議事録・登記必要事項の判別・絶対的記載事項の変更可否など、定款変更は微妙な判断が連続します。大阪の弁護士法人ブライト「みんなの法務部」(顧問先130社以上)が司法書士との連携を含めサポートします。 ▼ みんなの法務部 直通ダイヤル ▼📞 0120-929-739平日 9:00〜18:00 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 📌 この記事でわかること 定款変更の法的位置づけ(会社法466条・309条2項11号)と典型的な変更場面 定款変更の手続き5ステップ(議案準備〜株主総会〜登記) 登記が必要な定款変更/不要な定款変更の判定基準 絶対的記載事項・相対的記載事項・任意的記載事項の違い 定款変更にかかる費用(登録免許税・専門家報酬の目安) 定款変更に関する実務上の典型的トラブルと回避策 定款変更とは|法的位置づけと実務上の重要性 定款は会社の基本ルールであり、株主・取締役・第三者との関係を律する最上位の社内規範です。設立時に公証人の認証を受けてその効力を生じ(会社法30条1項。なお、定款の絶対的記載事項は会社法27条で、定款の認証は会社法30条で定められています)、設立後の変更は会社法466条に基づき「株主総会の決議によって定款を変更する」ことができます。定款変更は会社経営の節目で頻繁に発生する重要な手続きであり、適法に行わなければ無効・登記却下・取引先信用毀損のリスクがあります。 定款の3類型と変更の可否 定款の記載事項は3類型に分かれ、変更の自由度・効果が異なります。 類型 内容 変更の可否 絶対的記載事項 目的・商号・本店所在地・設立に際して出資される財産の価額・発起人の氏名等(会社法27条) 変更可能(発起人氏名以外)。ただし株主総会特別決議が必要 相対的記載事項 定款に定めなければ効力を生じない事項(例:取締役会設置・株式譲渡制限・現物出資など) 変更可能。株主総会特別決議 任意的記載事項 定款に必須ではないが定めた場合に拘束力を持つ事項(例:事業年度・株主名簿管理人・配当の基準日) 変更可能。株主総会特別決議 原則として、いずれの類型も株主総会の特別決議で変更可能です(会社法466条・309条2項11号)。なお、発起人の氏名(27条5号)は会社設立後は変更の必要がない過去事項で、変更対象とはなりません。 定款変更が必要となる典型例 中小企業の実務で定款変更が必要となる代表的な場面を整理します。各場面で登記の要否と関連する論点が異なります。 変更場面 登記の要否 関連論点 商号変更 必要 取引先・銀行・契約書への通知が必要 本店移転 必要(同一管轄・他管轄で手続き異なる) 他管轄移転は2件分の登録免許税 事業目的の追加・変更 必要 許認可業務は追加可否を要確認 発行可能株式総数の変更 必要 発行済株式総数の4倍を超えないことが原則(会社法113条3項) 株式譲渡制限の設定・廃止 必要 譲渡制限の廃止は公開会社化、取締役会設置義務などに影響 取締役・監査役の任期変更 必要(記載事項である場合) 非公開会社では取締役10年・監査役10年まで可(会社法332条2項・336条2項) 機関設計の変更(取締役会設置/廃止など) 必要 役員選任・登記の連動が複雑 事業年度の変更 不要 税務署への異動届が必要 株主総会招集地の変更 不要 定款上の記載のみ 取締役会規則・株主総会規則の整備 不要 任意的記載事項 定款変更の手続き5ステップ STEP1:変更内容の精査と現行定款の確認 定款変更で最初に行うのは、変更内容の法的整合性と現行定款条文の確認です。「事業目的の追加」一つを取っても、許認可との整合性・既存条文との重複・他の条項への波及効果を確認する必要があります。古い定款のままで放置している会社では、現行の会社法に整合していない条項が散見されるため、この機会に全体見直しを推奨します。 STEP2:取締役会の招集(取締役会設置会社の場合) 取締役会設置会社では、株主総会の招集を決定するため、まず取締役会を開催し、議題・議案・招集通知の内容を決議します(会社法298条4項)。取締役会議事録のテンプレートを活用してください。 STEP3:株主総会の招集通知 株主総会の招集通知は、公開会社では総会日の2週間前まで、非公開会社では1週間前まで(取締役会を設置しない会社では、定款で1週間を下回る期間に短縮することも可能)に各株主に発送します(会社法299条1項)。議題(定款変更の件)と議案の概要を必ず記載してください。 STEP4:株主総会で特別決議 株主総会で議長が定款変更の議案を上程し、変更前後の条文を対比して説明します。特別決議(議決権の過半数を有する株主が出席し、出席議決権の3分の2以上の賛成)で承認します(会社法309条2項11号)。議事録の書き方は株主総会議事録のテンプレート(パターン4)を参照してください。 STEP5:変更登記の申請(登記事項の場合・2週間以内) 登記事項に該当する定款変更は、決議の日から2週間以内に本店所在地で変更登記を申請する必要があります(会社法915条1項)。期限経過は100万円以下の過料の対象です(会社法976条1号)。登記が不要な変更(事業年度変更・株主総会招集地の変更等)は、定款への押印・社内決裁で完結します。 ⚖️ 定款変更は「条文整合性チェック」が成功の鍵 「事業目的を1つ追加するだけ」と思っても、関連する条項の整合性・許認可への影響・登記要否の判定など、見落としがちな論点が多数あります。顧問契約(みんなの法務部)で定款全体のレビューと変更案の事前点検が可能です。 📞 0120-929-739(みんなの法務部) 株主総会の特別決議要件(会社法309条2項11号) 定款変更は特別決議でなければ承認できません。普通決議と混同すると決議無効のリスクがあります。 特別決議の要件 定足数:議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主の出席(会社法309条2項本文) 賛成要件:出席株主の議決権の3分の2以上の賛成 定款による緩和・加重:定足数を3分の1以上に下げる定めは可能(同条同項括弧書)。賛成要件を上げる定めも可能 特殊な定款変更(より厳格な要件) 一定の定款変更は、会社法309条2項より厳しい要件が要求されます。 変更内容 必要な決議要件 株式譲渡制限の新設(公開会社→非公開会社) 議決権を行使できる株主の半数以上で、当該株主の議決権の3分の2以上(特殊決議・会社法309条3項1号) 非公開会社で、株主ごとに異なる取扱いを定める定款変更(株主平等原則の例外。会社法109条2項) 総株主の半数以上で、総株主の議決権の4分の3以上(特殊決議・会社法309条4項) これらの特殊決議は、株主の権利を本質的に変更する場合に課される厳格要件です。中小企業でも、株式譲渡制限の新設で公開会社から非公開会社へ変更するケースは典型的に特殊決議が必要です。 登記が必要な定款変更/不要な定款変更 定款変更の中には登記事項を含むものと含まないものがあります。判定を誤ると2週間の登記期限を見落とし、過料リスクや取引先からの信用低下を招きます。 登記が必要な主な定款変更 商号変更(会社法911条3項2号) 本店所在地の変更(同3号) 事業目的の追加・変更(同1号) 発行可能株式総数の変更(同5号) 株式の譲渡制限・取得条項の設定・廃止(同7号) 取締役・監査役の任期の変更(記載事項である場合) 機関設計の変更(取締役会設置/廃止・監査役会設置/廃止など) 登記が不要な定款変更 事業年度の変更(税務署への異動届は必要) 株主総会招集地・通知期間の変更(公開会社の2週間ルールを超える特約は例外) 取締役会・株主総会の規則整備 剰余金の配当に関する基準日の定め 株主名簿管理人の指定の有無 登記要否の判定は、会社法911条3項各号の登記事項と照合することで判断します。判定が難しい場合は、決議前に司法書士または弁護士に確認するのが安全です。 🚨 「定款変更したつもり」が最大のリスク 議事録に決議結果を書いただけで、登記を放置しているケース・許認可との整合性を確認していないケースは少なくありません。決議無効・過料・取引停止につながる可能性があります。早期に弁護士に相談してください。 無料相談のお問い合わせはこちら 定款変更にかかる費用の目安 定款変更そのもの(株主総会決議)には公的な費用はかかりません。費用が発生するのは、登記事項の変更を伴う場合の登録免許税と、専門家に依頼する場合の報酬です。 費用項目 金額の目安 備考 登録免許税(商号・目的・発行可能株式総数・譲渡制限などの変更登記) 3万円 同一区分の変更は1回の申請にまとめれば3万円で済む場合があります 登録免許税(本店移転) 同一法務局管轄内:3万円管轄外への移転:6万円 管轄外は旧所在地・新所在地の2件分 司法書士報酬(登記申請) おおむね2〜5万円程度 変更内容・件数により変動 弁護士費用(定款全体のレビュー・変更案の設計) 事務所・範囲により変動 顧問契約の範囲内で対応できる場合があります なお、設立時と異なり、定款変更に公証人の認証は不要です。変更後の定款は、株主総会議事録と現行定款を一体として管理すれば足り、「変更後の定款を作り直して認証を受ける」必要はありません。 💡 「定款を何年も見直していない」「顧問弁護士に相談しづらい」と感じたら 定款・議事録・登記の状態は、顧問弁護士が機能しているかを測るバロメーターです。現在の顧問弁護士に気軽に相談できていない場合は、顧問契約の見直しも選択肢になります。 顧問弁護士の見直しガイドを見る 弁護士に相談すべきタイミング 予防段階 事業拡大・新規事業を検討:事業目的の追加可否・許認可との整合性確認 本店移転・商号変更:取引先通知・契約書更新・銀行手続きの設計 機関設計の見直し:取締役会の設置/廃止、監査役会の設置/廃止 役員任期の見直し:非公開会社の10年任期化(会社法332条2項・336条2項) 資本政策:発行可能株式総数の拡大・株式譲渡制限の見直し M&A・事業承継 株式譲渡制限の新設・廃止(特殊決議) 種類株式の発行(議決権制限・拒否権付・取得条項など) 事業承継スキームに合わせた定款条項の整備 実務上よく問題になる点として、役員任期の変更の場面で「定款変更まで必要か、株主総会決議だけで足りるか」の整理が挙げられます。任期の短縮は定款または株主総会の決議によって可能ですが(会社法332条1項ただし書)、任期の延長や定款の任期規定自体の書き換えには定款変更(特別決議)が必要です。また、役員退職慰労金規程などの付属規程を作成していても、株主総会の決議を経ていなければ支給の効力が認められないという点も、顧問先からの相談で頻出する論点です。定款・規程・総会決議はセットで整備する必要があります。 有事対応段階 過去の定款変更が登記漏れになっていた 定款変更決議の手続瑕疵を株主から指摘された 事業内容が定款の事業目的を逸脱しているとして取引先から指摘された 大阪の弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は、定款全体のレビュー・変更案の事前点検・株主総会議事録の整備・登記の司法書士連携まで一貫支援。顧問先130社以上の実績・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが対応します。 📝 定款変更の総合支援は大阪の弁護士法人ブライトへ 定款レビュー・変更案点検・特別決議の議事録・司法書士連携まで一貫支援。企業法務部の弁護士歴平均14年以上・顧問先130社以上・大阪弁護士会所属。 📞 0120-929-739平日 9:00〜18:00(みんなの法務部) 顧問サービスの詳細無料で相談する ⚖️ 定款変更の主要法令 定款変更の決議(会社法466条):株式会社は成立後、株主総会の決議によって定款を変更できる。 特別決議(会社法309条2項11号):定款変更は議決権の過半数を有する株主の出席・出席議決権の3分の2以上の賛成が必要。 特殊決議(会社法309条3項・4項):株式譲渡制限の新設・株主平等原則の例外などはより厳格な要件。 定款の絶対的記載事項(会社法27条):目的・商号・本店所在地・設立時出資価額・発起人氏名。 変更登記(会社法915条1項):登記事項の定款変更は2週間以内に登記。 登記事項(会社法911条3項):商号・本店・目的・発行可能株式総数・株式譲渡制限など。 過料(会社法976条1号):登記懈怠は100万円以下の過料。 根拠:会社法27条・29条・113条3項・298条4項・299条1項・309条2項11号・309条3項/4項・332条2項・336条2項・466条・911条3項・915条1項・976条1号 会社運営・機関設計の法務 株主総会・取締役会・役員報酬・経営権の論点は、決議の前に手当てしておくと後戻りが要りません。 会社運営・機関設計の法務のご案内を見る → あわせて読まれています 弁護士の利益相反と過去の依頼者|社長が知っておくべき判断の落とし穴と確認ポイント 顧問弁護士の「利益相反」とは?社長が知らないまま損するリスクと正しい確認方法 よくある質問(FAQ) Q1. 定款変更は普通決議でできますか? いいえ。定款変更は会社法309条2項11号により特別決議(議決権の過半数を有する株主が出席し、出席議決権の3分の2以上の賛成)が必要です。普通決議で決議しても無効です。さらに、株式譲渡制限の新設や株主平等原則の例外を伴う変更は、より厳格な「特殊決議」が必要です(会社法309条3項・4項)。 Q2. 定款変更したら、必ず登記が必要ですか? いいえ。変更内容が会社法911条3項各号の登記事項に該当する場合のみ、決議から2週間以内に登記が必要です(会社法915条1項)。商号・本店・事業目的・発行可能株式総数・株式譲渡制限などは登記事項です。逆に事業年度の変更・株主総会の招集地など、登記事項でない事項は登記不要です。 Q3. 設立時の絶対的記載事項を変更できますか? 目的・商号・本店所在地などの絶対的記載事項は、株主総会の特別決議で変更可能です(会社法466条)。ただし、発起人の氏名(会社法27条5号)は会社設立時の過去事項で、性質上変更の余地はありません。設立時出資価額は変更対象ではありませんが、増資・減資により実質的な資本構成は変更可能です。 Q4. 発行可能株式総数の拡大に制限はありますか? 公開会社の場合、発行可能株式総数は発行済株式総数の4倍を超えてはなりません(会社法113条3項)。例えば発行済株式が1,000株なら発行可能株式総数は4,000株が上限です。これを超える変更には、株式分割や非公開会社化など別の手続きを組み合わせる必要があります。非公開会社(株式譲渡制限会社)にはこの制限はありません。 Q5. 非公開会社で取締役の任期を10年に延長したい場合、どうすればいいですか? 会社法332条2項により、株式譲渡制限のある非公開会社(株式の全部に譲渡制限がある会社)では、定款で取締役の任期を選任後10年以内まで延長できます。監査役についても同様に10年まで可能です(会社法336条2項)。定款変更(特別決議)と変更登記が必要です。中小企業の役員交代頻度を抑え、登記コスト・株主総会運営負担を軽減できる典型的な改善策です。 Q6. 定款変更にかかる費用はいくらですか? 株主総会決議自体に公的費用はかかりません。登記事項の変更を伴う場合は登録免許税が原則3万円(本店の管轄外移転は6万円)かかります。司法書士に登記を依頼する場合の報酬はおおむね2〜5万円程度が目安です。設立時と異なり、変更後の定款に公証人の認証を受け直す必要はありません。 監修 和氣 良浩 弁護士(大阪弁護士会) 弁護士法人ブライト 代表弁護士。定款変更・機関設計・M&A・事業承継を含む企業法務を中心に、顧問先130社以上の予防法務を継続サポート。 📖 関連記事 株主総会議事録のテンプレート|会社法318条準拠の6パターンを弁護士解説 取締役会議事録のテンプレート|会社法準拠の7パターンを弁護士解説 取締役会の運営・議事録・決議要件|会社法362条を弁護士解説 代表取締役の解任|「解職」と「解任」の手続きを弁護士解説 弁護士法人ブライトの顧問弁護士サービス「みんなの法務部」 ※本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律アドバイスではありません。具体的な問題については、弁護士にご相談ください。 ▼ みんなの法務部 直通ダイヤル ▼📞 0120-929-739平日 9:00〜18:00 顧問弁護士のご相談・無料問い合わせ 弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部として、継続的に法務課題をサポートします。顧問先130社以上・企業法務部の弁護士歴平均14年以上。まずはお気軽にご相談ください(無料)。 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 無料で相談する