取締役会議事録のテンプレート|会社法準拠の7パターンを弁護士解説

取締役会議事録のテンプレート|会社法準拠の7パターンを弁護士解説

和氣良浩 弁護士

この記事の監修者

和氣 良浩(わけ よしひろ)

弁護士法人ブライト|代表弁護士/パートナー弁護士

弁護士歴20年(2006年登録)/大阪弁護士会/大阪大学法学部卒

専門:顧問弁護士・企業法務・M&A・経営権紛争・事業再生

取締役会議事録は、決議の有効性を立証する最重要文書です。本記事では、会社法施行規則101条が定める必須記載事項を踏まえた、議事録テンプレート7パターン(定例/代表取締役選定/代表取締役解職/利益相反取引承認/競業取引承認/書面決議/オンライン開催)を、中小企業オーナーがそのまま使える形で提示します。大阪の弁護士法人ブライト(顧問先130社以上・弁護士歴平均14年以上)が監修。

📋 取締役会議事録の作成・運用でお困りの中小企業オーナーへ

議事録は決議無効訴訟・税務調査・登記実務で決定的証拠となります。弁護士法人ブライトの「みんなの法務部」(顧問先130社以上)が、議事録ひな型の整備から議題別の事前チェックまで継続サポート。

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📌 この記事でわかること

  • 会社法施行規則101条が定める議事録の必須記載事項
  • 定例議事から特殊議題まで7パターンの議事録テンプレート
  • 押印・電子署名・10年保管のルール(会社法369条3項・371条)
  • 書き漏れによる無効リスクと、よくあるNG例

取締役会議事録の重要性と法的位置づけ

取締役会議事録は、会社法369条3項に基づき作成が義務付けられている法定文書です。単なる「会議のメモ」ではなく、決議の有効性を立証する最重要証拠であり、決議無効訴訟・税務調査・登記実務・経営権紛争のあらゆる場面で根拠資料となります。

議事録に不備があると、後日「有効な決議ではなかった」と判断されるリスクや、100万円以下の科料の対象になる可能性があります(会社法976条8号)。取締役会の運営全体については取締役会の運営・議事録・決議要件|会社法362条を弁護士解説で詳しく説明しています。

議事録の役割は大きく3つ

  • 決議の有効性立証:召集手続・定足数・議決結果の証拠
  • 取締役の責任を画定:賛成・反対・棄権の記録、議事録に異議をとどめない者は賛成と推定(会社法369条5項)
  • 対外的な信用:登記・税務・取引先との関係で意思決定の正当性を示す

会社法施行規則101条が定める必須記載事項

議事録の必須記載事項は会社法施行規則101条3項に列挙されています。以下のすべてが揃っていない議事録は、形式不備として瑕疵を指摘されるリスクがあります。

項目 記載内容 根拠条文
開催情報 開催日時・場所(オンライン参加の場合は出席方法) 施行規則101条3項1号・3号
出席者 出席した取締役・監査役・会計参与等の氏名・人数 同2号
議長 議長を務めた者の氏名 同2号
特別利害関係人 議題に特別利害関係を有する取締役の氏名と議決権不行使の旨 同4号
議事の経過 議題・議事の要領・決議の結果(賛否数) 同5号
異議のとどめ 議事録に異議をとどめない者は決議に賛成したものと推定 会社法369条5項
署名・記名押印 出席取締役および監査役の署名または記名押印 会社法369条3項
保存 本店に10年間保管・閲覧・謄写請求への対応 会社法371条

取締役会議事録テンプレート【7パターン】

議題ごとに記載のポイントが異なります。中小企業の実務で頻出する7パターンのテンプレートを示します。社印・取締役氏名は実態に置き換えてご利用ください。

パターン1:定例取締役会(通常議事)

取締役会議事録

日時:令和○年○月○日(○曜日) ○時○分〜○時○分

場所:当社本店会議室(大阪市○○区○○)

出席者:取締役A、取締役B、取締役C(取締役総数3名)/監査役D(監査役総数1名)

議長:代表取締役 A(定款第○条により議長を務める)

第1号議案 ○年○月期決算承認の件

議長は、○年○月期の貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表について、別添資料に基づき説明した。出席取締役全員の協議の結果、全会一致をもって原案どおり承認可決した。

第2号議案 第○期事業計画の件

議長より別添「第○期事業計画書」について説明。出席取締役全員の協議の結果、全会一致をもって原案どおり承認可決した。

以上をもって本日の議事を終了し、議長は閉会を宣言した。

本議事録の正確性を証するため、出席取締役および出席監査役は次に記名押印する。

令和○年○月○日

議長・代表取締役 A ㊞ / 取締役 B ㊞ / 取締役 C ㊞ / 監査役 D ㊞

パターン2:代表取締役の選定

第○号議案 代表取締役選定の件

議長は、現代表取締役Aの任期満了に伴い、新たに代表取締役を選定する必要がある旨を説明した。

出席取締役の協議の結果、取締役Bを代表取締役に選定することにつき、全会一致をもって承認可決した。

なお、本議案について取締役Bは特別利害関係を有するため、議決権を行使しないこととし、その旨を本議事録に明記する(会社法369条2項)。

取締役Bは席上にて就任を承諾した。

※登記対応:代表取締役選定の決議から2週間以内に変更登記が必要(会社法915条1項)。

パターン3:代表取締役の解職

第○号議案 代表取締役解職の件

議長は、現代表取締役Aを解職する旨の議案について説明した。解職の理由:(具体的事実を簡潔に記載)

本議案について、解職対象である代表取締役Aは特別利害関係を有するため議決権を行使しない旨を議長より確認した(会社法369条2項、最三小判昭44・3・28)。代表取締役Aは議決権の行使を行わなかった。

出席取締役のうちAを除くBおよびCの2名により採決を行い、全会一致をもって原案どおり代表取締役Aを解職することを承認可決した。

同時に、後任の代表取締役としてBを選定し、Bは席上で就任を承諾した。

詳細は代表取締役の解任|「解職」と「解任」の手続きを弁護士解説を参照してください。

パターン4:利益相反取引(直接取引)の承認

第○号議案 取締役Aと当社との不動産売買契約承認の件

議長は、取締役A氏が個人所有する○○市○○町○○の土地(地番○○・面積○○㎡)を当社が買い受ける契約を締結したい旨を説明した。価格は○○円(不動産鑑定士による評価額の範囲内)であり、市場相場と乖離はない。資金は当社の自己資金から拠出する。なお、A氏と当社との間にこの取引以外の利害関係はない。

本議案について、当該取引の当事者である取締役Aは特別利害関係を有するため議決権を行使しない旨を議長より確認した(会社法369条2項)。

取締役Aを除く出席取締役B・C・Dの3名により採決の結果、全会一致をもって原案どおり承認可決した。

詳しくは利益相反取引の承認|取締役会の議事録の書き方と特別利害関係人の判定を参照してください。

パターン5:競業取引の承認

第○号議案 取締役Aの競業取引承認の件

議長より、取締役A氏が個人として運営する別会社(株式会社○○)が、当社の事業の部類に属する取引(具体的内容:○○)を継続的に行いたい旨について説明があった。取引規模は年間○○円程度、取引先は○○○、当社の既存取引先との重複は○○。

議長は、本取引が会社法356条1項1号の競業取引に該当する旨を確認した。

本議案について、競業を行う取締役Aは特別利害関係を有するため議決権を行使しない旨を確認した(会社法369条2項)。

取締役Aを除く出席取締役の協議の結果、全会一致をもって以下の条件で承認可決した。
・承認期間:本決議の日から1年間
・取引上限額:年間○○円
・取引後遅滞なく取締役会へ事後報告(会社法365条2項)

詳しくは競業取引の承認|取締役の競業避止義務と退任後の合意の有効性を参照してください。

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パターン6:書面決議(みなし取締役会)

取締役会決議書面(みなし決議)

下記の議案について、取締役全員の書面(電磁的記録)による同意があり、また監査役全員が異議を述べなかったため、会社法370条に基づき、取締役会の決議があったものとみなされた。

議案:○○の件(具体的議案)

提案者:代表取締役 A

同意取締役(書面または電磁的記録による):A、B、C(取締役総数3名・全員)

監査役の異議:なし(監査役D)

決議成立日:令和○年○月○日

本書面は会社法370条に基づくみなし決議の証憑として保管する。

※書面決議は、定款で排除する定めがない限り認められます(会社法370条)。中小企業では、会議体を開かずに決議できる便利な制度です。

パターン7:オンライン開催

取締役会議事録(オンライン開催)

日時:令和○年○月○日(○曜日) ○時○分〜○時○分

開催場所:当社本店(議長所在地)

出席方法:Web会議システム(○○)にて全員オンライン出席
 ・取締役A(出席場所:当社本店)
 ・取締役B(出席場所:自宅・大阪府○○市)
 ・取締役C(出席場所:自宅・兵庫県○○市)
 ・監査役D(出席場所:自宅・大阪府○○市)

出席方法の要件:本会議は、出席者の音声と映像が即時に相互に伝達され、出席者が一堂に会しているのと同等の即時性および双方向性を満たす状態で開催された(会社法施行規則101条3項3号)。

議案:(議案内容)

(以下、議事内容を記載)

※「即時性および双方向性」の要件を満たしている旨を明記することがオンライン開催特有のポイントです。

押印・電子署名・10年保管のルール

押印は実印?認印?署名のみでも可?

会社法369条3項は「署名又は記名押印」を要求しています。「署名」は自筆による氏名の記載を意味し、署名のみであれば押印は不要です。「記名押印」は氏名をゴム印やパソコン入力で印字し、これに押印するものです。実務上は記名押印が圧倒的に一般的ですが、署名のみでも適法です。

使用する印章の種類について会社法は規定していないため、実印・銀行印・認印のいずれでも有効です。中小企業の実務では認印が一般的ですが、後日の紛争で印影の真正が争われるリスクを考慮すると、代表取締役は実印を使用するなどの運用上の工夫が望ましいでしょう。

電子署名の利用

2020年5月の法務省見解により、クラウド型電子署名サービスを利用した取締役会議事録の作成も適法とされました。電子署名を用いる場合は、本人性確認の方式(メール認証・SMS認証など)とタイムスタンプの有無を確認のうえ、改ざん検出可能なサービスを選定してください。

10年保管と閲覧請求への対応

取締役会議事録は、開催日から10年間、本店に保管する必要があります(会社法371条1項)。株主・債権者・親会社の社員等から閲覧・謄写の請求を受けた場合は、合理的な範囲で対応する必要があります(同条2項以下)。電子記録の場合は、印刷物としての出力可能性を確保しておくことが実務的に重要です。

よくある書き漏れと無効リスク

議事録不備による典型的なトラブル例を示します。いずれも事後の修正・補完は困難な場合が多いため、作成段階で確認することが重要です。

書き漏れの例 想定リスク
特別利害関係人の氏名と議決権不行使の旨が未記載 決議無効訴訟で特別利害関係人が議決権行使したと主張されるリスク
議決結果(賛成・反対の人数)が不明確 定足数充足の立証が困難になる
議事の経過が抽象的(「説明があった」のみ) 重要事実の開示があった事実を立証できず、承認が無効と判断されるリスク
反対意見・異議の記載漏れ 異議をとどめない者は賛成と推定(会社法369条5項)。後日「反対していた」と主張しても認められない
出席取締役の署名・記名押印漏れ 議事録としての真正性に疑義が生じる
10年保存していない 過料の対象(会社法976条8号)・閲覧請求対応も不可能
オンライン開催で「即時性・双方向性」要件の記載なし 出席の有効性が争われる

🚨 「議事録だけが頼り」になる場面は突然訪れます

税務調査・株主代表訴訟・経営権紛争・登記実務など、5年後・10年後の手続きで議事録が決定的証拠になります。事前のひな型整備とレビューが最も費用対効果の高い予防法務です。

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弁護士に相談すべきタイミング

議事録の作成・運用は、事前の設計が最も効果的です。次のタイミングでは弁護士への相談を推奨します。

予防段階

  • 会社設立・取締役会設置時:議事録テンプレート・規則の整備
  • 役員構成変更時:新任取締役への議事録運用の周知
  • 機関設計変更時:取締役会非設置→設置/監査役会設置など

特殊議題の前

  • 代表取締役の選定・解職
  • 利益相反取引・競業取引の承認
  • 大規模な財産処分・多額の借財
  • M&A・組織再編・第三者割当増資

有事対応段階

  • 過去の議事録不備が発覚した
  • 株主・債権者から閲覧請求を受けた
  • 決議無効訴訟・損害賠償訴訟を予告された

大阪の弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は、議事録ひな型の整備から議題別の事前レビュー・記載漏れチェックまで、中小企業の外部法務部として継続的に支援します。

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⚖️ 取締役会議事録の主要法令

  • 議事録作成義務(会社法369条3項):取締役会の議事録を作成し、出席取締役・監査役の署名または記名押印を要する。
  • 必須記載事項(会社法施行規則101条3項):開催情報・出席者・議長・議事の経過・決議の結果・特別利害関係人の氏名・議決権不行使の旨など。
  • 異議の推定(会社法369条5項):議事録に異議をとどめない者は、決議に賛成したものと推定。
  • 書面決議(会社法370条):定款で排除しない限り、取締役全員の書面同意で取締役会決議をみなすことができる。
  • 保存(会社法371条):本店に10年間保管・株主等の閲覧請求への対応義務。
  • 過料(会社法976条8号):議事録不備は100万円以下の過料の対象。

根拠:会社法362条1項・369条1項/2項/3項/5項・370条・371条・976条8号/施行規則101条3項

よくある質問(FAQ)

Q1. 議事録に実印が必要ですか?認印でも有効ですか?

会社法369条3項は「署名または記名押印」を求めており、印章の種類は規定されていません。認印でも有効です。ただし、後日の紛争で印影の真正が争われるリスクを考慮すると、代表取締役は実印を使用するなど運用上の工夫が望ましいでしょう。登記申請に使用する場合は、印鑑証明書とセットで提出する場合があり、その場合は実印が必要となります。

Q2. 議事録を電子データで作成・保管しても法的に有効ですか?

電磁的記録による議事録作成は会社法369条4項により認められています。2020年5月の法務省見解で、クラウド型電子署名サービスの利用も適法と確認されました。電子署名を用いる場合は、本人性確認方式とタイムスタンプの有無を確認し、改ざん検出可能なサービスを選定してください。

Q3. 議事録に反対意見を書かなかった場合、後で「反対していた」と主張できますか?

会社法369条5項により、議事録に異議をとどめない取締役は決議に賛成したものと推定されます。事後に「反対していた」と主張しても、議事録上の証拠がない以上、推定を覆すのは極めて困難です。反対する場合は、議事録上に明確に異議の意思表示を記載することが必須です。

Q4. 書面決議は中小企業でよく使われていますか?

中小企業では会議体を開かずに決議できる便利な制度として、書面決議が広く利用されています。会社法370条により、定款で排除する定めがなければ原則として認められます。取締役全員の同意と監査役全員が異議を述べないことが要件です。日常的な決議事項について書面決議を活用し、重要事項は実会議で議論する、という運用が現実的です。

Q5. 過去の議事録に不備があった場合、後から修正できますか?

後日の単純な追記・修正は、議事録の真正性に疑義を生じさせるため、推奨されません。記載漏れが発覚した場合は、当時の取締役全員から確認書を取得し、補完文書として保管する方法が現実的です。決議自体の有効性に影響しうる重大な不備の場合は、新たに同内容の議案を取締役会で改めて決議し、その議事録で記録を残すのが最も安全な対応です。弁護士にご相談ください。

監修

和氣 良浩 弁護士(大阪弁護士会)

弁護士法人ブライト 代表弁護士。中小企業の取締役会運営・議事録整備・経営権紛争を含む企業法務を中心に、顧問先130社以上の予防法務を継続サポート。

※本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律アドバイスではありません。具体的な問題については、弁護士にご相談ください。

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本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
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