株主総会議事録のテンプレート|会社法318条準拠の6パターンを弁護士解説

株主総会議事録のテンプレート|会社法318条準拠の6パターンを弁護士解説

和氣良浩 弁護士

この記事の監修者

和氣 良浩(わけ よしひろ)

弁護士法人ブライト|代表弁護士/パートナー弁護士

弁護士歴20年(2006年登録)/大阪弁護士会/大阪大学法学部卒

専門:顧問弁護士・企業法務・M&A・経営権紛争・事業再生

株主総会議事録は、決議の有効性を立証する最重要文書です。本記事では、会社法318条と施行規則72条が定める必須記載事項を踏まえた議事録テンプレート6パターン(定時総会/役員選任/役員報酬/定款変更/増資/全員出席総会・書面決議)を中小企業オーナー向けに提示します。取締役会議事録との違いも整理。大阪の弁護士法人ブライト(顧問先130社以上・弁護士歴平均14年以上)が監修。

📋 株主総会議事録の作成・保存でお困りの中小企業オーナーへ

株主総会議事録は登記・税務調査・経営権紛争・株式譲渡などで決定的証拠となります。弁護士法人ブライトの「みんなの法務部」(顧問先130社以上)が、議事録ひな型の整備から特殊議題の事前チェックまで継続サポート。

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📌 この記事でわかること

  • 会社法318条と施行規則72条が定める株主総会議事録の必須記載事項
  • 定時総会から特殊議題まで6パターンのテンプレート
  • 議事録の押印・本店10年/支店5年保存ルール(会社法318条2項)
  • 全員出席総会・書面決議の議事録の書き方(会社法319条)
  • 取締役会議事録との違いと押さえどころ

株主総会議事録の重要性と法的位置づけ

株主総会議事録は、会社法318条1項により作成が義務付けられている法定文書です。会社の最高意思決定機関である株主総会の決議内容を公式に記録するもので、登記申請の添付書面・税務調査資料・経営権紛争の主要証拠として、5年後・10年後にもその有効性が問われます。

取締役会議事録の作成義務は会社法369条3項に基づき出席取締役の署名・記名押印が必要ですが、株主総会議事録は議長または取締役の作成義務にとどまり、出席者全員の署名押印は必須ではない点が大きな違いです。詳細な比較は本記事の後半で示します。

議事録が決定的証拠となる場面

  • 登記申請:役員変更登記・本店移転・増資など、株主総会決議事項の登記には議事録の添付が必須
  • 税務調査:役員報酬・退職慰労金・配当の支払根拠として確認される
  • 株主代表訴訟・決議無効訴訟:決議内容・手続きの適法性を立証
  • M&A・株式譲渡:DD(デューデリジェンス)で過去の議事録が精査される

会社法318条・施行規則72条が定める必須記載事項

株主総会議事録の必須記載事項は会社法施行規則72条3項に列挙されています。以下のすべてを備えていない議事録は形式不備のリスクがあります。

項目 記載内容 根拠条文
開催情報 開催日時・場所(オンライン参加の場合は出席方法) 施行規則72条3項1号
議事の経過 議題・議事の要領(出席株主数・議決権数を含む)・決議の結果(賛否の議決権数) 同2号
取締役等の発言 役員等の説明義務(会社法314条)に基づく発言の概要 同3号
出席役員 議長の氏名、出席した取締役・監査役・会計参与・会計監査人の氏名 同4号・5号
議事録の作成者 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名 同6号
保存 本店に10年間、支店にコピーを5年間保管 会社法318条2項・3項
閲覧・謄写 株主・債権者から閲覧・謄写の請求があれば対応 同4項・5項

取締役会議事録と異なり、株主総会議事録は出席株主の署名押印は不要です。議事録作成者(取締役)と議長の押印で足りるのが原則です。

株主総会議事録テンプレート【6パターン】

議題ごとに記載のポイントが異なります。中小企業の実務で頻出する6パターンのテンプレートを示します。

パターン1:定時株主総会(決算承認)

第○期定時株主総会議事録

日時:令和○年○月○日(○曜日) ○時○分〜○時○分

場所:当社本店会議室(大阪市○○区○○)

議決権を有する総株主数:○名 議決権の総数:○個

出席株主数:○名 その議決権の数:○個(書面行使・代理出席含む)

出席役員:取締役A・B・C(取締役総数3名)/監査役D

議長:代表取締役 A(定款第○条の規定により議長となった)

議事録作成者:取締役 B

第1号議案 第○期計算書類承認の件

議長は、第○期(令和○年○月○日から令和○年○月○日まで)の貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表について、別添資料に基づき報告し、原案どおり承認を求めた。
出席株主の議決権の○個(賛成)/○個(反対)/○個(棄権)により、議決権の過半数の賛成を得て普通決議で原案どおり承認可決した(会社法309条1項)。

第2号議案 剰余金の配当の件

議長より、1株当たり○○円の配当を行う旨の提案があり、出席株主の議決権の過半数の賛成を得て普通決議で承認可決した。

以上をもって本日の議事を終了し、議長は閉会を宣言した。

令和○年○月○日

議長・代表取締役 A ㊞ / 議事録作成者・取締役 B ㊞

パターン2:役員選任(取締役・監査役)

第○号議案 取締役○名選任の件

議長は、取締役の任期満了に伴い、新たに取締役○名を選任する必要がある旨を説明し、候補者として下記の○名を提案した。

候補者:A(再任)/B(再任)/C(新任)

出席株主の議決権の過半数の賛成を得て、上記○名を取締役に選任することを普通決議で承認可決した(会社法329条1項・309条1項)。被選任者は席上にて就任を承諾した。

※登記対応:取締役の変更登記は決議から2週間以内(会社法915条1項)。代表取締役の解任手続きを伴う場合は別途記載が必要です。

パターン3:役員報酬の決定

第○号議案 取締役の報酬額決定の件

議長より、取締役の報酬額について以下のとおり提案があった。
「取締役全員に対する報酬総額の上限を年額○○円以内とし、各取締役への配分は取締役会の決議に一任する。」

出席株主の議決権の過半数の賛成を得て、上記提案を普通決議で承認可決した(会社法361条1項・309条1項)。

※役員報酬は会社法361条1項により株主総会決議で定める必要があります。総額上限を決議し、個別配分を取締役会に委任するのが中小企業での標準運用です。

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パターン4:定款変更

第○号議案 定款一部変更の件

議長は、現行定款の第○条(事業目的)を以下のとおり変更したい旨を説明した。

変更前:(旧条文)/変更後:(新条文)

本議案は会社法309条2項11号の特別決議事項であり、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成を要する。
出席株主の議決権の○個(賛成)/○個(反対)により、出席議決権の○分の○の賛成を得て特別決議で承認可決した。

※定款変更は特別決議(会社法309条2項)が必要です。普通決議と混同すると決議無効のリスクがあるため、議題ごとに決議要件を確認してください。

パターン5:第三者割当増資

第○号議案 第三者割当による募集株式発行の件

議長は、第三者割当による新株発行の必要性および募集事項を以下のとおり説明した。
 ・募集株式の数:普通株式○株
 ・払込金額:1株当たり○円
 ・払込期日:令和○年○月○日
 ・割当先:○○株式会社
 ・特に有利な払込金額に該当する/しない(該当する場合は理由を説明)

本議案は特別決議事項であり(会社法199条1項・201条1項・309条2項5号)、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成を得て承認可決した。

※非公開会社の募集株式発行は原則として株主総会の特別決議が必要です。「有利発行」に該当する場合は払込金額の合理性についての取締役の説明義務(会社法199条3項)が発生します。

パターン6:株主全員出席総会・書面決議(みなし決議)

株主総会決議の省略(みなし決議)議事録

下記の提案について、議決権を行使することができる株主の全員が書面(電磁的記録)により同意の意思表示を行ったため、会社法319条1項により、株主総会の決議があったものとみなされた。

提案された議案:○○の件

提案者:取締役 A(または株主 X)

同意株主:株主A(議決権○個)、株主B(議決権○個)、株主C(議決権○個)
 =議決権総数の100%の同意

決議成立日:令和○年○月○日(最後の同意意思表示が会社に到達した日)

本書面は会社法319条1項に基づくみなし決議の証憑として、本店に10年間保管する(同条2項)。

※株主全員(議決権を行使できる株主)の同意があれば、実際の総会を開かず書面決議が可能です(会社法319条)。中小企業(特に同族会社)で頻用される実務です。

押印・本店10年/支店5年保存ルール

押印は誰が行うか

株主総会議事録は、出席株主の署名押印は不要です。実務上は、議長と議事録作成者(取締役)の押印で足ります。登記申請に使用する場合は、議長または代表取締役の実印(印鑑証明書付き)が要求されることが多いため、ケースに応じて使い分けます。

取締役会議事録(会社法369条3項)と異なり、株主全員の押印が求められないのは、株主の数が多い大企業を想定した制度設計によるものです。

保存場所と期間

  • 本店:議事録(原本)を10年間保管(会社法318条2項)
  • 支店:議事録の写し(コピー)を5年間保管(同条3項)
  • 電磁的記録:本店・支店で印刷可能な形で備え置く必要があります

閲覧・謄写請求への対応

株主および会社債権者は、会社の営業時間内ならいつでも議事録の閲覧・謄写を請求できます(会社法318条4項)。請求を不当に拒否した場合は過料の対象です(会社法976条4号)。親会社の社員も裁判所の許可を得て閲覧・謄写できます(同条5項)。

取締役会議事録との違い

「会社の議事録」と一括りにされがちですが、株主総会議事録と取締役会議事録は根拠条文・記載事項・押印者・保存期間がすべて異なります。中小企業オーナーが混同しやすいため、表で整理します。

項目 株主総会議事録 取締役会議事録
根拠条文 会社法318条/施行規則72条 会社法369条3項/施行規則101条3項
作成義務者 議事録作成を担当した取締役 取締役会自身(出席取締役・監査役)
押印者 議長と議事録作成者で足りる 出席取締役・監査役全員
異議の推定 明文の規定なし 議事録に異議をとどめない者は賛成と推定(369条5項)
書面決議 会社法319条(株主全員の同意で省略可) 会社法370条(取締役全員の同意で省略可・定款で排除可)
保存期間(本店) 10年(318条2項) 10年(371条1項)
保存期間(支店) 5年(318条3項) 規定なし
閲覧請求 株主・債権者・親会社社員(318条4項・5項) 株主・債権者・親会社社員(371条2項以下)

取締役会議事録の作成・運用は取締役会議事録のテンプレート|会社法準拠の7パターンを弁護士解説を参照してください。

🚨 議事録の不備は10年後の登記・税務・訴訟で問題化します

「あの時の総会で決めたはず」を立証する手段は議事録しかありません。役員選任・定款変更・増資など重要な決議の議事録は、事前に弁護士にレビュー依頼するのが最も費用対効果の高い予防策です。

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弁護士に相談すべきタイミング

株主総会議事録は事前の設計が最も効果的です。次のタイミングでは弁護士への相談を推奨します。

予防段階

  • 定時株主総会の招集準備:議題・議事録ひな型・株主への招集通知
  • 会社設立・機関設計変更:議事録運用フローの設計
  • 株主構成変更時:株主名簿との整合性確認

特殊議題の前

  • 定款変更(特別決議)
  • 役員選任・解任
  • 第三者割当増資・募集株式発行(有利発行該当性の判断)
  • 事業譲渡・組織再編
  • 解散・清算

有事対応段階

  • 過去の議事録不備が発覚した
  • 株主・債権者から閲覧請求を受けた
  • 決議無効訴訟・取消訴訟を予告された
  • 登記申請が議事録不備で却下された

大阪の弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は、株主総会議事録の事前レビューから過去議事録の点検・閲覧請求対応まで、中小企業の外部法務部として継続的に支援します。

📝 株主総会の議事録運用は弁護士法人ブライトへ

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⚖️ 株主総会議事録の主要法令

  • 議事録作成義務(会社法318条1項):株主総会の議事については議事録を作成しなければならない。
  • 必須記載事項(会社法施行規則72条3項):開催情報・議事の経過・取締役等の発言・出席役員・議事録作成者など。
  • 保存(会社法318条2項・3項):本店に10年間、支店に5年間保管(電磁的記録可)。
  • 閲覧・謄写請求(会社法318条4項・5項):株主・債権者は営業時間内に閲覧・謄写を請求できる。親会社社員は裁判所の許可が必要。
  • 書面決議(会社法319条1項):株主全員の書面同意で総会決議を省略可能。
  • 決議要件(会社法309条1〜4項):普通決議・特別決議・特殊決議の区別。定款変更や増資は特別決議。
  • 過料(会社法976条):議事録不備・閲覧拒否は100万円以下の過料の対象。

根拠:会社法318条1項/2項/3項/4項/5項・319条・309条・329条・361条・199条・201条・915条・976条/施行規則72条

よくある質問(FAQ)

Q1. 株主総会議事録に出席株主全員の押印は必要ですか?

不要です。株主総会議事録は議長と議事録作成者(取締役)の押印で足ります。出席株主全員の押印は法令上要求されていません。これは取締役会議事録(会社法369条3項により出席取締役・監査役の署名押印が必要)との大きな違いです。ただし、登記申請に使用する場合は、議長または代表取締役の実印(印鑑証明書付き)が必要になる場合があります。

Q2. 株主全員が同意すれば実際の総会を開かずに済みますか?

はい。会社法319条1項により、議決権を行使できる株主の全員が書面または電磁的記録で同意の意思表示を行えば、実際の総会を開かずに決議があったものとみなされます。中小企業(特に同族会社)でよく利用される制度です。同意書面は本店に10年間保管が必要です(同条2項)。

Q3. 普通決議と特別決議の違いは何ですか?

普通決議(会社法309条1項)は、出席株主の議決権の過半数の賛成で成立します。特別決議(同条2項)は、議決権の過半数を有する株主が出席し、その出席議決権の3分の2以上の賛成が必要です。定款変更・募集株式発行(非公開会社)・組織再編・解散などの重要事項は特別決議事項です。議事録には決議要件の種別と賛否数を明記してください。

Q4. 株主から議事録の閲覧請求があった場合、断れますか?

株主は会社法318条4項により営業時間内にいつでも議事録の閲覧・謄写を請求でき、原則として会社は応じる義務があります。不当に拒否した場合は100万円以下の過料の対象です(同976条4号)。請求の目的が明らかに正当でない場合(嫌がらせ目的など)に限り、拒否が許容されることがありますが、判断は微妙で弁護士相談を強くお勧めします。

Q5. 過去の議事録に不備が見つかった場合、どう対応すべきですか?

後日の単純な追記・修正は議事録の真正性に疑義を生じさせるため推奨されません。記載漏れが軽微な場合は当時の役員から確認書を取得して補完する方法、決議自体の有効性に影響しうる重大な不備の場合は、同内容の議案を改めて株主総会で決議し直す方法を検討します。M&A・登記申請・税務調査の直前に発覚した場合は、対応を誤ると致命的なリスクとなるため、すぐに弁護士に相談してください。

監修

和氣 良浩 弁護士(大阪弁護士会)

弁護士法人ブライト 代表弁護士。株主総会・取締役会の議事録運用・経営権紛争を含む企業法務を中心に、顧問先130社以上の予防法務を継続サポート。

※本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律アドバイスではありません。具体的な問題については、弁護士にご相談ください。

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本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
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