この記事でわかること メンタル不調社員を放置すると発生する3つの深刻なコスト 休職・復職・退職それぞれの段階で会社が踏むべき具体的な手順 顧問弁護士がいることでどの段階のリスクをどう防げるか 「とりあえず様子を見よう」——その判断が後に数百万円のコストを生む こんな状況に心当たりはありませんか? 社員が「体調不良」を理由に断続的に欠勤しているが、何が原因か把握できていない 主治医から診断書が届いて休職に入ったが、復職させるタイミングが分からない 「もう無理だ、辞めてほしい」と思いつつ、何も言えないまま数か月が過ぎている 就業規則に休職規定はあるが、実際にどう使えばいいか誰も知らない 中小企業の経営者・人事担当者から寄せられる相談の中で、メンタル不調社員への対応は近年トップクラスの件数を占めています。そして共通しているのは、「早い段階で動いていれば、ここまで大きな問題にならなかった」という後悔の声です。 この記事では、放置することで生じる具体的なリスクと金額感、正しい対処ステップ、そして「顧問弁護士がいれば防げた」という視点で実務的に解説します。 メンタル不調社員への対応、まず弁護士に確認してください 「みんなの法務部」は大阪の中小企業を支える外部法務部。顧問先140社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 無料で相談する 放置が招く3つのコスト——数字で見る現実 コスト① 不当解雇リスクによる損害賠償・和解金(数十万〜数百万円) メンタル不調を抱えた社員に対して、適切な休職手続きを経ずに「もう来なくていい」と告げたり、休職期間中に解雇通知を出してしまうケースがあります。労働基準法第19条は、療養中の労働者の解雇を原則として禁じており、これに違反した場合は解雇無効となります。 解雇が無効になると、社員は「解雇されていなかった」扱いになるため、解雇期間中の賃金をさかのぼって支払わなければなりません。仮に月給30万円の社員を1年間解雇状態にしていた場合、単純計算で360万円の未払い賃金が発生します。そこに弁護士費用や訴訟対応コストが加わると、小さな会社には致命的な損害となります。 労働審判や訴訟に発展した場合、和解金の相場は100万〜300万円程度になることが少なくありません。「問題社員だから仕方ない」という感覚で動いた結果が、この金額として返ってくるのです。 コスト② 長期化による人件費の垂れ流し(月20〜50万円×数年) 休職規定が曖昧なまま放置していると、休職期間が際限なく延びるケースがあります。就業規則に「休職期間の上限」「復職要件」「自動退職条項」が明記されていなければ、会社は法的に退職扱いにできません。 社会保険料の会社負担分(給与の約15%)、代替要員の採用・派遣コスト、管理職の対応工数——これらを合算すると、1人のメンタル不調社員を「何もせず様子を見る」だけで、月あたり30〜50万円規模のコストが静かに積み上がっています。2年間放置すれば、それだけで700万〜1,200万円に達することがあります。 コスト③ 職場環境の悪化による連鎖退職(採用コスト×複数名) メンタル不調社員への対応が曖昧なままでは、周囲の社員にも影響が広がります。「あの人が長期休んでいるのに、なぜ自分たちだけが負担を増やさないといけないのか」という不満が蓄積し、優秀な社員から先に退職していく「連鎖退職」が起きやすくなります。 中途採用1名にかかるコストは、求人媒体費用・面接工数・研修コストを合計すると平均50〜100万円とされています。3名が連鎖退職すれば150万〜300万円のロスです。しかも採用できたとしても、職場の雰囲気が悪化していれば定着しません。 この3つのコストを合算すると、「何もしなかった」ことのツケは数百万円から1,000万円超に膨らむことも珍しくありません。 実際に起きた対応遅れの事例 ある小売業の会社では、入社3年目の社員がメンタル不調を訴えて欠勤が続いたにもかかわらず、上司が「様子を見よう」と判断し、会社として正式な対応を取らないまま5か月が経過しました。その後、社員は代理人弁護士を通じて「パワハラを原因とする精神的苦痛への慰謝料」と「欠勤期間中の賃金」を請求。就業規則に休職制度の定めがなかったことが判明し、会社は適切な休職措置を取っていなかったと認定されました。最終的に労働審判で150万円超の和解金を支払うことになりました。 また、あるIT・情報サービス業の会社では、復職した社員に対して「以前と同じ業務は無理だろう」という理由で別部署へ異動させたところ、「実質的な降格・嫌がらせだ」と主張され、不当な配転命令として問題化しました。復職時の業務調整は慎重に行う必要があり、主治医・産業医の意見を書面で残していなかったことが会社の立場を大きく弱めました。交渉は長期化し、対応した管理職の時間的・精神的消耗も甚大なものとなりました。 いずれのケースも、初期段階で適切な手順を踏んでいれば、問題はここまで大きくなっていなかったと考えられます。 メンタル不調社員への正しい対処ステップ ステップ1:欠勤・不調サインを把握したら「記録」を始める 欠勤の頻度・理由・上司とのやり取りを日時付きで記録することが出発点です。後の法的手続きで「会社が何をしたか」を証明するのは会社側の責任です。記録がなければ、善意の対応をしていても「何もしていなかった」と見なされるリスクがあります。 ステップ2:診断書の取得と休職命令の発令 主治医から「休養が必要」という診断書が出た場合、会社は速やかに休職を命じる必要があります。この際、就業規則の休職規定を確認し、休職開始日・休職期間の上限・休職中の連絡方法・復職要件を書面で本人に通知することが重要です。口頭だけでは後々トラブルになります。 就業規則に休職制度が整備されていない場合は、この機会に整備することを強く推奨します。就業規則の整備は、顧問弁護士は必要?重要性・利用すべき場面・費用対効果の判断基準でも解説していますが、顧問弁護士が最も貢献できる領域の一つです。 ステップ3:休職中の定期連絡と復職判定 休職中は、月1回程度の状況確認(書面または面談)を行います。本人を追い詰めない範囲での接触を維持することで、復職時の情報収集がスムーズになります。また、復職可否の判断には主治医の復職許可診断書+産業医の意見書の両方を揃えるのが理想です。主治医の「大丈夫」だけで復職させると、再発時のリスクが高まります。 ステップ4:復職後の業務調整とフォローアップ 復職直後はフルタイム・フル業務ではなく、段階的に負荷を戻す「試し出勤」や「リハビリ勤務」の仕組みを設けることが望まれます。この段階での業務指示は書面で残し、本人の同意を得ながら進めることが重要です。 ステップ5:休職期間満了・退職勧奨の判断 休職期間が満了しても復職できない場合、就業規則の規定に従って自動退職または解雇の手続きに移ります。ただし、この判断を誤ると不当解雇になるリスクがあるため、必ず法的チェックを受けてから進めることが必要です。退職勧奨を行う場合も、任意性・記録・第三者の同席といった要件を整えることが重要です。 「顧問弁護士がいれば、この段階で防げた」という視点 上述した5つのステップはどれも、「知っていれば難しくない」ものです。しかし現実には、人事担当者がいない中小企業では誰もこの手順を知らないまま、感覚的な判断で動いてしまいます。 顧問弁護士がいる会社では、メンタル不調のサインが出た段階(ステップ1)で相談が来ます。「今の段階で何をすべきか」「就業規則に休職規定はあるか」「診断書が来たらどう対応するか」——これを事前に確認するだけで、後の紛争リスクは大幅に下がります。 顧問弁護士への月額費用は一般的に3万〜10万円程度です。上述した「放置コスト(数十万〜数百万円)」と比較すれば、コストパフォーマンスは明らかです。顧問契約の具体的な費用感や選び方については、企業法務・顧問弁護士トップページでも詳しく紹介しています。 「何か問題が起きてから弁護士に相談する」という後手の動き方では、すでにコストが発生した後の対応になります。顧問弁護士がいれば、問題が「問題になる前」に動けます。これがメンタル不調対応における最大の予防策です。 顧問弁護士がいれば、こんな場面で早期介入できます 欠勤が続いた段階で「就業規則の休職規定で対応できるか」を即確認 診断書受領時に「休職命令通知書」のひな型をすぐ提供 復職面談の前に「何を確認すべきか・何を言ってはいけないか」をアドバイス 退職勧奨を行う前に「合法的な手順と注意点」を事前にレクチャー メンタル不調社員の問題、今すぐ弁護士に相談できます 「どの段階にいるか分からない」「就業規則が心配」——どんな状況からでも整理できます。まずは無料相談からどうぞ。 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 無料で相談する よくある質問(FAQ) Q1. すでに休職が長期化しています。今からでも適切な対応に切り替えられますか? はい、今からでも間に合います。まず現在の就業規則に休職規定があるか確認し、ない場合は整備することが先決です。すでに休職中であっても、「休職期間の上限・復職要件・満了後の取り扱い」を書面で本人に通知する手続きを今から行うことで、今後の法的リスクを大幅に下げられます。ただし、過去の対応に問題があった場合はリスク評価が必要なため、早急に弁護士へご相談ください。 Q2. メンタル不調社員の対応を弁護士に依頼すると、費用はどのくらいかかりますか? スポット相談(単発)の場合、1時間あたり2万〜5万円程度が一般的です。ただし、顧問契約を締結している場合は、相談料が月額顧問料に含まれるケースが多く、追加費用なしで随時相談できます。顧問料の相場は月3万〜10万円程度で、年間で36万〜120万円。メンタル不調1件の対応失敗で発生する和解金・賃金支払いのリスク(100万〜300万円)と比較すれば、顧問契約のコストパフォーマンスは明確です。 Q3. 「メンタル不調を理由に解雇したい」という相談は、弁護士に断られますか? 断られることはありません。ただし、メンタル不調それ自体は解雇理由にはなりません。弁護士は「解雇が合法的に成立する条件が整っているか」を確認したうえで、会社が取るべき正しい順序(休職期間満了・復職不能の確認・自動退職規定の適用など)をアドバイスします。「今すぐ辞めさせたい」という要望も、法的に安全な手順を経れば実現できる場合があります。まずは現状を整理するところから相談してみてください。 監修:弁護士法人ブライト 企業法務チーム 大阪・神戸を拠点に企業法務・顧問弁護士サービスを提供。中小企業の法的リスク対応を日々サポートしています。 ※本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律アドバイスではありません。具体的な問題については弁護士にご相談ください。