LINE相談

資材・仮設構造物の倒壊で下敷きになった労災|会社への損害賠償請求と工作物責任

笹野皓平 弁護士

この記事の執筆者

笹野 皓平(ささの こうへい)

弁護士法人ブライト|労災事故部統括/パートナー弁護士

大阪弁護士会登録(登録2011年・修習64期)/労災の損害賠償請求を数多く手がける

和氣良浩 弁護士

この記事の監修者

和氣 良浩(わけ よしひろ)

弁護士法人ブライト|代表弁護士

大阪弁護士会登録(登録2006年・修習59期)

この記事の結論

  • 立ててあった物・積んであった物が倒れて下敷きになった労災は、「人が落ちる」事故とは責任の問い方が違います。原因となった物そのものの管理責任が正面から問われます
  • 会社への請求には2つの法律構成があります。①安全配慮義務違反(労働契約法5条・民法415条/709条)と、②工作物責任(民法717条)です
  • 工作物責任では、占有者が必要な注意をしていたときは、所有者が責任を負います(所有者に免責はありません)。雇用主以外にも請求先が広がることがあります
  • 倒壊・崩壊を防ぐ措置は労働安全衛生規則に個別・具体的に定められており、違反があれば安全配慮義務違反を裏づける有力な事情になります
  • この類型で最も失われやすいのは現場そのものです。数日で片付けられ、原状が消えます。写真・目撃者・作業指示書の確保を最優先してください

型枠パネルが強風にあおられて倒れた。積み上げてあった鋼材の山が崩れた。仮囲いが倒れてきた。トラックの荷台で積荷が崩れ、その下敷きになった——。こうした事故に遭われた方や、そのご家族から、当事務所には毎年ご相談が寄せられます。

同じ「重い労災」でも、転落や機械への挟まれとは事情が異なります。転落は「人が落ちないようにする措置」を怠ったことが問題になりますが、倒壊・崩壊型の事故では、倒れた物そのものが、なぜ倒れる状態で置かれていたのかが問われます。この違いは、請求できる相手の数にも、集めるべき証拠にも直結します。

このページでは、弁護士法人ブライトの労災事故部統括・笹野皓平弁護士が、資材や仮設構造物の倒壊で下敷きになった労災について、会社への損害賠償請求の道筋を解説します。

労災専用フリーダイヤル:0120-931-501(平日9:00〜18:00)
ご本人が入院中で動けない場合は、ご家族からのご相談も承っています。

無料で問い合わせ

LINEで無料問い合わせ

「倒れてくる」労災は、転落とは責任の問い方が違う

多くの記事は「労災が起きたら会社に損害賠償を請求できます」と書いて終わります。しかし実務では、事故の類型ごとに、崩すべき会社の言い分が違います

転落事故であれば、争点は手すり・作業床・墜落制止用器具といった「人が落ちないようにする設備」の有無に集まります。これに対して倒壊・崩壊型の事故では、争点は次の3層に分かれます。

  1. 物の状態:なぜその物は倒れる状態だったのか(固定・控え・根がらみ・結束・積み方)
  2. 人の配置:なぜ倒れる可能性のある物の近くに人がいたのか(立入禁止の措置・作業指揮者の配置)
  3. 判断の仕組み:倒れる危険が高まったとき、誰が止める権限を持っていたのか(悪天候時の中止判断・点検体制)

会社側は多くの場合、①だけを議論の土俵にしようとします。「固定はしていた」「想定外の風だった」「本人が不用意に近づいた」といった主張です。しかし②と③は、①とは独立して会社の落ち度を構成します。実際、当事務所が扱った荷役作業の事案では、「事前に連絡調整する義務」「役割分担を決めて作業者に知らせる義務」「確認のない作業をさせない義務」がそれぞれ別個に責任原因を構成するという組み立てで争いました。1つの義務違反を否定されても、残りの義務違反で責任を問える設計にしておくことが重要です。

資材や仮設構造物の倒壊で下敷きになった労災について、安全配慮義務違反と民法717条の工作物責任という2つの法律構成を示した図解

どんな事故が「倒壊・崩壊型」にあたるか

次のような事故は、本ページで扱う倒壊・崩壊型にあたります。業種も現場もさまざまですが、法的な組み立て方は共通します。

現場 典型的な事故態様 主に問われる管理
建設現場(型枠工事) 型枠パネル・型枠支保工が倒れる、コンクリート打設中に支保工が沈下・崩壊する 支柱の沈下・滑動防止、水平つなぎ、控え、組立解体時の立入禁止
建設現場(仮設物) 仮囲い・単管バリケード・仮設ゲート・養生足場が強風で倒れる 控えの本数、根がらみ、控えの取り方、気象条件に応じた点検
建設・製造(資材置場) 積み上げた鋼材・鉄筋・パイプ・型枠材・パレットの山が崩れる 積み方(はい付け)の高さ・間隔、結束、くい止め、立入禁止
運送・物流 トラック荷台やホーム上で積荷・カゴ車・パレットが荷崩れして落ちてくる 偏荷重の防止、ロープ・シート掛け、荷役の役割分担、作業指揮者
土木・解体 地山・法面が崩れる、擁壁・ブロック塀・既存構造物が倒れてくる 掘削前の調査、土止め支保工、防護網、近接構造物の補強
工場・倉庫 ラック・棚・保管中の製品や金型が倒れる、構内の設備・照明柱・塀が倒れる 転倒防止措置、日常点検、設備の老朽化・腐食の管理

ご自身の事故がどれに当たるか分からない場合も、そのままご相談ください。むしろ「どの類型として構成するか」自体が、弁護士が最初に検討することです。

会社の責任を問う2つの法律構成

構成①:安全配慮義務違反(労働契約法5条・民法415条/709条)

使用者は、労働者がその生命・身体等の安全を確保しつつ労働できるよう、必要な配慮をする義務を負います(労働契約法5条)。これは労働契約に伴う契約上の義務であるため、違反があった場合は債務不履行に基づく損害賠償責任(民法415条)を追及できます。あわせて、会社の過失によって生命・身体を侵害されたものとして不法行為責任(民法709条)を、同僚や上司の行為が原因であれば使用者責任(民法715条)を並行して主張することが実務上一般的です。

倒壊・崩壊型の事故では、後述する労働安全衛生規則の個別規定が、この「必要な配慮」の中身を具体化する物差しとして機能します。

構成②:工作物責任(民法717条)

民法717条1項は、土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって他人に損害が生じたときは、その工作物の占有者が賠償責任を負うと定めています。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしていたときは、所有者が賠償しなければなりません。

ここが実務上きわめて重要です。所有者の責任には、「注意を尽くしていた」という免責の余地が条文上ありません。つまり占有者が免責されても、そこで請求が終わりにならない設計になっています。

実際、当事務所に寄せられたご相談に、勤務先の敷地内に設置されていた設備が腐食して倒壊し、頭部を直撃したという事案がありました。この件で担当弁護士がまず確認したのは、被害の大きさでも、会社の落ち度でもありません。「その土地は借地で、その設備は借りる前からあったものではないか」「その設備を実際に管理していたのは雇用主か、それとも土地の賃貸人(所有者)か」という点でした。

倒壊・崩壊型の事故では、この占有者と所有者の切り分けが最初の関門になります。現場の物が誰の持ち物で、誰が管理していたのかによって、請求先が変わり、請求先の数も変わるからです。

⚠️ ただし、民法717条の「土地の工作物」は、土地に接着して人工的に設置されたもの(建物・擁壁・塀・足場・仮囲い・設置された設備など)を指します。単に地面に積み上げられた資材や、トラックの荷台に積まれた荷のように土地に接着していない物は、原則として工作物にあたりません。その場合は、安全配慮義務違反(労働契約法5条・民法415条)や不法行為(民法709条)、使用者責任(民法715条)による構成で責任を追及することになります。下の表は「誰に責任を問いうるか」の見取り図であり、どの法律構成を使うかは物の性質によって変わります。

現場にあった物 考えられる責任の相手方
自社が設置した仮設物・資材 雇用主(安全配慮義務違反+工作物責任の占有者)
元請や他の下請が設置した仮設物・足場 設置した会社(占有者)/元請(現場を統括管理する立場としての責任)/雇用主(自社の労働者を近づけた責任)
構内に元からあった設備・塀・擁壁・照明柱 施設の所有者(土地建物のオーナー)/占有者(借主である会社)
リース・レンタルの仮設材、他社が持ち込んだ機材 リース会社・持込み会社/現場で占有していた会社
荷主の敷地・荷主が用意した荷や設備 荷主(第三者行為災害として構成できる場合があります)/雇用主

2つの構成は択一ではありません。同時に主張できますし、相手方が複数になることもあります。請求先が増えることは、回収の確実性にも直結します。

「誰に請求すればいいのか分からない」という段階からご相談ください。
0120-931-501(平日9:00〜18:00)・全国対応

無料で問い合わせ

LINEで無料問い合わせ

根拠となる労働安全衛生規則(類型別)

倒壊・崩壊を防ぐための措置は、労働安全衛生規則に個別・具体的に定められています。条文の存在自体が、「その危険は予見できたし、防ぐ方法も決まっていた」ことの証明になります。

条文 定められている内容
安衛則242条(型枠支保工についての措置等) 支柱の沈下を防止する措置、脚部の固定・根がらみによる滑動防止、接続部・交差部の緊結、型枠が曲面のときの控えの取付け(浮き上がり防止)ほか
安衛則245条(型わく支保工の組立て等の作業) 関係者以外の立入禁止の表示等、強風・大雨・大雪等の悪天候のときは作業を行わせないこと、材料等の上げ下ろしにつり綱・つり袋を使用させること
安衛則246条 型枠支保工の組立て等作業主任者を、技能講習修了者から選任すること
安衛則432条(はいの崩壊等の危険の防止) はい(積み上げた荷)の崩壊・荷の落下のおそれがあるときは、ロープで縛る・網を張る・くい止めを施す・はい替えを行う等の措置を講ずること
安衛則433条(立入禁止) はい付け・はいくずしの作業箇所で崩壊・落下のおそれがあるところへの立入りを禁止し、表示等をすること
安衛則151条の10(荷の積載) 偏荷重が生じないように積載すること、不整地運搬車・構内運搬車・貨物自動車では荷崩れ・落下防止のためロープまたはシートを掛ける等の措置を講ずること
安衛則420条(作業指揮者の選任及び職務等) 1つの荷が100kg以上のものを貨車に積む/卸す作業では作業指揮者を定め、方法・順序の決定と指揮、関係者以外の立入禁止、ロープ解き・シート外しの前に荷の落下の危険がないことを確認させること
安衛則534条(地山の崩壊等による危険の防止) 安全なこう配とすること、落下のおそれのある土石の除去、擁壁・土止め支保工の設置、崩壊の原因となる雨水・地下水の排除
安衛則362条(埋設物等による危険の防止) れんが壁・コンクリートブロック塀・擁壁等に近接する箇所で明り掘削を行う場合において、これらの損壊等により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、これらを補強・移設する等の措置を講じた後でなければ作業を行ってはならない
安衛則537条・538条 物体の落下のおそれがあるときは防網の設備・立入区域の設定等、飛来のおそれがあるときは飛来防止の設備・保護具の使用等
安衛則575条の6(作業構台についての措置) 支柱の滑動・沈下を防止する根入れ・根がらみ・敷板等、緊結部・接続部の緊結金具等による堅固な固定

こうした規則違反は、直ちに損害賠償請求権を生じさせるものではありません。しかし「会社が果たすべき配慮の水準」を示す具体的な物差しとして、安全配慮義務違反の立証で強く働きます。

本記事の法令は、労働安全衛生規則・クレーン等安全規則・民法・労働者災害補償保険法の現行条文(2026年8月時点)に基づいて記載しています。個別の事案にどの条文が適用されるかは、作業の内容・現場の状況によって異なります。

「風が強かったから不可抗力だ」と言われたら

倒壊型の事故で、会社側が最も頻繁に持ち出すのが天候です。「想定外の突風だった」「あの日は誰も予測できなかった」——。

しかし、労働安全衛生規則は、悪天候のときに作業を止めること自体を会社の義務として定めています。型枠支保工の組立て・解体であれば安衛則245条2号、高さ2メートル以上の箇所での作業であれば522条、足場であれば564条1項3号、鉄骨の組立て等であれば517条の3第2号がそれぞれ定めを置いています。

つまり「強い風が吹いた」ことは、会社の免責事由ではなく、むしろ会社の義務が発動する場面です。この論点は独立した記事で詳しく解説していますので、強風・悪天候のなかでの作業と会社の責任|作業中止義務と安全配慮義務違反もあわせてご覧ください。

下敷き事故で残りやすい後遺障害

倒壊・崩壊型の事故は、重い物が身体の一部に集中して加わるため、1か所の重傷というより、複数箇所の骨折や複合的な障害として残ることが多いのが特徴です。

  • 脊椎の圧迫骨折・破裂骨折(脊柱の変形障害・運動障害)
  • 骨盤骨折・大腿骨骨折(下肢の短縮障害・股関節の機能障害)
  • 下腿・足関節の骨折(関節の機能障害・偽関節・変形癒合)
  • 脊髄損傷(下肢麻痺・膀胱直腸障害。介護を要する重篤な等級になることがあります)
  • 頭部外傷・高次脳機能障害(保護帽の有無が争点になりやすい類型です)
  • 胸腹部臓器の損傷(肺挫傷・気胸・肝脾損傷など)
  • 神経症状(痛み・しびれの残存。等級が12級か14級かで賠償額が大きく変わります)

複数の障害が残った場合は、労災の障害等級で併合の処理がされます。個々の等級だけでなく、併合の当否そのものが争いになることもあります。

なお、当事務所が扱った事案では、労基署が認定した等級について相手方が「既往症の影響が大きい」としてより低い等級であるべきだと争ってきたことがあります。労災の等級認定は、民事の賠償交渉における出発点であって、確定した到達点ではありません。この点は多くの方が誤解されるところです。

労災の等級が出た後でも、賠償の交渉はこれからです。
0120-931-501(平日9:00〜18:00)・着手金0円・完全成功報酬(実費等除く)

無料で問い合わせ

LINEで無料問い合わせ

いま確保しておくべき証拠——この類型は、現場が先に消える

倒壊・崩壊型の事故に特有の難しさは、証拠が「片付け」という形で失われることです。転落事故なら足場や開口部は工事が続く限りそこにありますが、倒れた資材や壊れた仮設物は、事故の直後に撤去され、翌日には現場が何事もなかったように整えられていることが珍しくありません。

確保すべきもの なぜ必要か・どう手に入れるか
事故直後の現場写真・動画 倒れた物の位置、固定具の有無、控えの本数、破断面が写っているものが特に重要。同僚のスマートフォンに残っていることがあります。撤去前のものは代替がききません
倒れた物そのもの・固定具 腐食・破断・劣化があれば、設置または保存の瑕疵(民法717条)の直接証拠になります。会社に対して保管を求めておくべきものです
作業指示書・施工計画書・KY(危険予知)記録 その日の作業が誰の指示で、どういう手順で行われることになっていたかが分かります
作業主任者・作業指揮者の選任記録 型枠支保工・はい作業・貨車の積卸しなどは、選任そのものが義務です。不選任は明確な違反です
点検記録・気象記録 当日の風速・降雨は、気象庁の観測値で後から確認できます。会社側の点検記録の不存在も重要な事実です
同僚の証言 「以前から倒れそうだった」「危ないと言っていた」という証言は、予見可能性の立証に直結します。在職中の同僚は時間が経つほど協力しにくくなります
労働者死傷病報告・労基署の調査記録 会社が労基署に提出した事故態様の記載が、後の交渉の前提になります。内容が事実と食い違っていることは実際にあり、早期に把握しておく必要があります

弁護士が介入すると、労働局への行政文書開示請求、証拠保全、文書提出命令といった手続を検討できます。当事務所でも、労働局に対して死傷病報告書や監督復命書の開示を求め、会社の説明と客観的な記録との食い違いを早い段階で押さえた事案があります。

現場が片付く前に動けるかどうかで、結果が変わることがあります。
0120-931-501(平日9:00〜18:00)・LINEでもご相談いただけます

無料で問い合わせ

LINEで無料問い合わせ

会社がよく持ち出す反論と、その崩し方

会社の主張 検討すべき反論の方向
「固定はきちんとしていた」 では、なぜ倒れたのか。固定具の本数・位置・仕様が規則や施工計画に適合していたかを検証します。点検記録が存在しないこと自体が、管理の不備を示す事情になります
「想定外の強風で不可抗力だった」 悪天候時の作業中止は会社の義務です(安衛則245条2号・522条・564条1項3号ほか)。止める判断の仕組みがあったかを問います
「本人が不用意に近づいた」 倒れる危険がある場所への立入禁止措置は、そもそも会社の義務です(安衛則433条ほか)。「近づけた」こと自体が落ち度です
「本人が手順を守らなかった」 手順を周知し、守れる作業環境と人員配置にする責任は会社側にあります。人員不足で一人作業を余儀なくされていたのであれば、その体制自体が問題です
「元請の現場だから当社は関係ない」 雇用主としての安全配慮義務は、他社の現場でも消えません。同時に、元請にも責任を問える場合があります
「持病があったから重症化した」 素因減額の主張です。事故がなければ生じなかった損害であることを、医療記録に基づいて丁寧に示します
「労災保険で補償されているはずだ」 労災保険からは慰謝料が一切支給されません。休業損害にも差額が残ります

【ブライトの判断基準】

倒壊・崩壊型の事故では、会社が「うちが設置した物ではない」と言った時点で、請求を諦めてしまう例が少なくありません。しかし、それは請求先が変わるという話であって、請求できないという話ではありません。工作物責任は、占有者が免責されても所有者に責任が移る建て付けになっています。

「ブライトは「誰の物か分からない」で止まらない。物の持ち主・管理者を一つずつ確定させて、請求先を最後まで探す。」

これが、ブライトが倒壊・下敷きの労災事故で一貫して大切にしている考え方です。

解決までの流れ(一般的な例)

  1. ご相談(相談料は何度でも無料)。ご本人が入院中の場合はご家族からでも承ります
  2. 証拠の確保:現場写真・作業指示書・同僚の証言・行政文書の開示請求
  3. 労災申請の整理:申請が済んでいない場合はここから。会社の協力が得られなくても進められます
  4. 治療と症状固定:後遺障害が残る見込みであれば、診断書の記載内容から検討します
  5. 障害等級の申請:認定結果は交渉の出発点であり、ゴールではありません
  6. 会社(および元請・所有者等)への請求:責任構成を確定し、内容証明で交渉を開始します
  7. 示談・労働審判・訴訟:相手方の姿勢に応じて選択します

解決事例(抽象化)

以下は、複数のご相談内容をもとに構成した一般的な事例です。

事例 経過
資材置場で積み上げられていた鋼材が崩れ、下肢を骨折。会社は「本人が崩れやすい積み方の側から取ろうとした」として当初はゼロ回答 積み方(結束・くい止めの有無)と立入禁止措置の不存在を指摘。同僚から「以前から不安定だった」との証言を得て、予見可能性を示し、後遺障害等級を踏まえた金額で示談
構内に元からあった設備が老朽化により倒れ、頭部を受傷。会社は「借りている土地の設備で自社の物ではない」と主張 工作物責任の占有者・所有者を切り分けたうえで、施設所有者を含めて交渉。雇用主に対しては、老朽化を把握しながら点検・立入制限を行わなかった点を安全配慮義務違反として構成
トラック荷台での荷降ろし中に積荷が崩れ、下敷きになり足関節を受傷。会社は本人の作業手順違反を主張 荷役作業における役割分担の未確定、作業指揮者の不選任、荷の固定措置の不備をそれぞれ独立した義務違反として構成し、解決金による示談

※上記は複数のご相談内容をもとに抽象化した一般的な事例で、実在の事件・実在の金額ではありません。同様の結果を保証するものではありません。

ご相談前と、ご相談後で変わること

Before(ご相談前) After(ブライトへのご相談後)
「積み方が悪かったのは自分だ」と言われ、請求できないと思っていた 立入禁止・固定措置・作業指揮者の配置が会社の義務であることを整理し、請求の土台ができた
会社の物ではないと言われ、誰に言えばよいのか分からなかった 占有者・所有者を確定させ、請求できる相手が複数あることが分かった
現場が片付いてしまい、証拠が何も残っていないと諦めていた 行政文書の開示請求と同僚の証言で、当日の状況を再構成できた
「労災はおりたのだから、それで終わり」と会社に言われていた 慰謝料が労災保険から一切出ないことを理解し、請求すべき範囲が明確になった

※上記は一般的な相談内容を参考に抽象化したものです。個別の案件の結果を保証するものではありません。

着手金0円・完全成功報酬でご相談いただける理由

倒壊・下敷きの労災は、治療が長期にわたり、その間の収入減と将来の不安が同時にのしかかります。弁護士法人ブライトでは、経済的な理由でご相談を諦めることがないよう、労災の会社への損害賠償請求について着手金0円・完全成功報酬制で対応しています。

労災事故部統括の笹野皓平弁護士が、責任構成の設計から証拠の確保、後遺障害等級を踏まえた賠償額の算定、会社との交渉までを一貫して担当します。ブライトは企業側の法務も担っているため、会社がどのような防御を組み立ててくるかを踏まえた対応が可能です。

相談料は何度でも無料・着手金無料です。何度でもご相談いただけますので、「まだ相談する段階ではないかもしれない」と迷われている段階でお声がけください。

※交渉・訴訟を行う際の実費(印紙代・郵送代・医学的意見書の作成費用等)は別途ご負担いただく場合があります。※事案の内容により、ご相談をお受けできない場合があります。※お電話でのご相談の受付は平日9:00〜18:00です。

関連する労災記事(内部リンク)

よくある質問(FAQ)

Q1:倒れてきた物が、勤務先の会社の物ではありませんでした。それでも請求できますか。

できる場合があります。むしろ請求先が増えることがあります。民法717条の工作物責任は、まず占有者が責任を負い、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしていたときは所有者が責任を負う建て付けです。所有者には条文上の免責がありません。あわせて、雇用主に対しては、危険な物のそばで作業をさせたこと自体を安全配慮義務違反として問える場合があります。

Q2:自分の積み方が悪かったと言われています。もう請求できないのでしょうか。

諦める必要はありません。作業者側に落ち度があった場合、過失相殺として賠償額が減額されることはありますが、請求ができなくなるわけではありません。また、そもそも安全な積み方を周知し、守れる人員と時間を確保し、危険な場所への立入りを制限する責任は会社側にあります。「本人の手順違反」という主張は、会社の管理体制の問題に置き換えて反論できることが多い論点です。

Q3:会社が労基署に出した事故の説明が、実際と違っています。

実際によくあることです。労働者死傷病報告の記載は、その後の交渉の前提として扱われてしまうため、早い段階で内容を把握し、必要であれば異なる事実を裏づける証拠をそろえておく必要があります。行政文書の開示請求により、会社が提出した報告の内容を確認できる場合があります。

Q4:現場はもう片付けられてしまいました。手遅れですか。

手遅れとは限りません。同僚のスマートフォンに事故直後の写真が残っていることがありますし、作業指示書・施工計画書・点検記録・気象観測値・労基署の調査記録など、現場そのもの以外にも当日の状況を裏づける材料はあります。ただし、いずれも時間が経つほど失われやすいものです。

Q5:複数の会社が関わる現場でした。全員を相手にしなければいけませんか。

必ずしも全員を相手にする必要はありません。誰に請求するかは、責任の重さと資力(実際に回収できるか)の両面から選びます。元請への責任追及については、とび職・鉄筋工の転落で元請に損害賠償請求|重層下請け構造で責任を問う方法で詳しく解説しています。

Q6:労災保険がおりました。それでも会社に請求できるのですか?

できます。労災保険は国が行う無過失の補償で、会社に落ち度があったかどうかを問いません。これに対して会社への損害賠償請求は、会社の落ち度(安全配慮義務違反など)を問う民事の請求で、制度が別です。とくに慰謝料は労災保険から一切支給されませんので、この請求でしか回収できません。休業損害についても差額が残ります。会社に請求できる休業損害から差し引かれる(損益相殺される)のは休業(補償)給付の6割部分で、社会復帰促進等事業から支給される休業特別支給金の2割部分は、損害を填補する性質のものではないため、原則として差し引かれません。この点は誤解されやすいところです。なお、同じ性質の損害について二重に受け取ることはできず、重なる部分は調整されます。

Q7:労災で長期に休んでいます。会社から解雇されないか不安です。

労働基準法19条1項は、労働者が業務上負傷し、または疾病にかかり、療養のために休業する期間およびその後30日間は解雇してはならないと定めています。したがって、その期間の解雇は原則として認められません。ただし、同項ただし書により、使用者が労働基準法81条の打切補償を支払う場合や、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合(この場合は行政官庁の認定が必要です)は例外とされています。退職を勧められている、休職期間の満了を告げられているといった段階でも、結論を急がずにご相談ください。

Q8:会社への損害賠償請求や労災申請に、期限(時効)はありますか?

あります。しかも制度ごとに年数が違うので、ひとまとめに考えないでください。労災保険給付そのものの請求期限は、労働者災害補償保険法42条により、療養(補償)給付・休業(補償)給付・葬祭料・介護(補償)給付が2年、障害(補償)給付・遺族(補償)給付が5年です。これとは別に、会社への損害賠償請求権は、2020年4月1日以降に生じた人身損害であれば、不法行為構成で損害および加害者を知った時から5年(民法724条の2)、安全配慮義務違反(債務不履行)構成でも権利を行使できることを知った時から5年(民法166条1項1号)が目安です。あわせて20年という期間制限もありますが、起算点が構成によって異なります。安全配慮義務違反(債務不履行)構成は権利を行使することができる時から20年(民法166条1項2号・167条)、不法行為構成は不法行為の時から20年(民法724条2号)です。2020年4月より前の事案には旧法が適用される場合があり、判断は事案ごとに異なります。いずれにしても、時効よりずっと手前で証拠のほうが先に失われますので、お早めにご相談ください。

Q9:弁護士に依頼する費用が心配です。

弁護士法人ブライトでは、労災の会社への損害賠償請求について着手金0円・完全成功報酬制で対応しています(※交渉・訴訟の実費等が発生する場合があります)。相談料は何度でも無料ですので、費用面の不安だけで相談を諦める必要はありません。ただし、事案の内容によりご相談をお受けできない場合があります。お電話でのご相談の受付は平日9:00〜18:00です。

まとめ

  • 立ててあった物・積んであった物が倒れて下敷きになる事故は、物そのものの管理責任が正面から問われる類型です
  • 会社への請求には安全配慮義務違反工作物責任(民法717条)の2つの構成があり、併用できます
  • 工作物責任では占有者が免責されても所有者が責任を負うため、請求先が広がることがあります
  • 倒壊・崩壊の防止措置は労働安全衛生規則に具体的に定められており、違反は強い材料になります
  • この類型は現場が数日で消えます。写真・作業指示書・同僚の証言の確保を最優先してください

「誰に、何を、どこまで請求できるのか」を整理するところからご一緒します。弁護士法人ブライトの労災事故部統括・笹野皓平弁護士にご相談ください。

資材・仮設構造物の倒壊による労災のご相談窓口
0120-931-501(平日9:00〜18:00)
着手金0円・完全成功報酬(実費等除く)・全国対応

無料で問い合わせ

LINEで無料問い合わせ

  • この記事を書いた人

笹野 皓平

弁護士法人ブライト パートナー弁護士: あなた自身や周りの方々がよりよい人生を歩んでいくために、また、公正な社会を実現するために、法の専門家としてサポートできることを日々嬉しく感じています。

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。

関連記事

労災事故担当弁護士

  • パートナー弁護士 笹野 皓平

    パートナー弁護士 笹野 皓平
  • 弁護士 有本 喜英

    弁護士 有本 喜英

事務所概要

事務所名 弁護士法人 ブライト(大阪弁護士会所属)
開 業 平成21年(代表弁護士独立開業)
設 立 平成24年11月設立、平成27年1月に法人化
所在地 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎2丁目6番6号 コウヅキキャピタルウエスト12階
TEL 0120-931-501(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
事業内容 法人向け(法律顧問・顧問サービス、経営権紛争、M&A・事業承継、私的整理・破産・民事再生等、契約交渉・契約書作成等、売掛金等の債権保全・回収、経営相談、訴訟等の裁判手続対応、従業員等に関する対応、IT関連のご相談、不動産を巡るトラブルなど)、個人向け(交通事故・労災事故を中心とした損害賠償請求事件、債務整理・破産・再生等、相続、離婚・財産分与等、財産管理等に関する対応、不動産の明渡し等を巡る問題など)

お問い合わせ

CONTACT

弁護士法人 ブライトへの法律相談、
メディア出演依頼・取材に関する
お問い合わせはこちら

お電話での
お問い合わせ

TEL:06-4965-9590

※受付時間 9:00-18:00

※法律相談は無料です(労災事故・交通事故は何度でも無料/企業法務・顧問弁護士は初回無料)。ただし、事前のヒアリング内容をもとに対応可否を判断させていただく場合があり、お力になれないと判断したときは、ご相談をお断りすることがございます。

法務ドックで経営が変わる

あなたの会社を法的トラブルから守る
弁護士法人ブライト (著)
多くの企業は法的トラブルを未然に防ぐ対策を講じておらず、顧問弁護士も不在です。本書では「法務ドック」を活用し、リスク回避を図る「みんなの法務部」を提案します。
多くの企業は法的トラブルを未然に防ぐ対策を講じておらず、顧問弁護士も不在です。本書では「法務ドック」を活用し、リスク回避を図る「みんなの法務部」を提案します。

顧問弁護士

経営者のための弁護士「活用」バイブル
弁護士法人ブライト (著)
顧問弁護士はトラブル対応だけでなく契約書作成など実務も担う身近な存在となりました。本書では顧問弁護士の活用メリット、自社に合う選び方、法的リスクのマネジメントについて解説します。
顧問弁護士はトラブル対応だけでなく契約書作成など実務も担う身近な存在となりました。本書では顧問弁護士の活用メリット、自社に合う選び方、法的リスクのマネジメントについて解説します。

完全成功報酬だから相談・着手金は無料