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やけど・熱傷・爆発火災の労災で会社に損害賠償請求|製造業・化学プラントの安全配慮義務違反と後遺障害等級

この記事でわかること

  • 製造業・化学プラントでのやけど・熱傷・爆発火災事故で会社が負う安全配慮義務違反(危険物・可燃性ガス管理義務)
  • 醜状瘢痕・視力障害・機能障害(関節拘縮)の後遺障害等級と損害賠償の相場
  • 保護具(耐熱手袋・防護服・面体)支給義務違反の立証
  • 弁護士法人ブライトが受任した解決事例

執筆・監修

笹野 皓平 弁護士(労災部部長)
大阪弁護士会 登録2011年・修習64期・弁護士歴14年

監修

和氣 良浩 弁護士(代表)
大阪弁護士会 登録2004年

製造業・化学プラント・食品工場でのやけど・熱傷事故は、高温液体・蒸気・溶融金属・可燃性ガスの爆発・引火など多様な原因で発生します。3度熱傷は皮膚・皮下組織・神経を破壊し、治癒後も醜状瘢痕(ケロイド)・関節拘縮・神経障害といった重篤な後遺障害を残します。

こうした事故では、危険物の管理義務・保護具の支給義務・作業手順の整備義務を定めた法令に会社が違反していることが多く、安全配慮義務違反として損害賠償を請求できます。弁護士法人ブライトの労災部は、熱傷・爆発火災事故による損害賠償請求を受任してきました。このページでは法的責任の根拠・後遺障害等級・賠償額の相場を解説します。

やけど・熱傷事故で会社が負う安全配慮義務違反の内容

危険物・可燃性ガス管理義務(消防法・高圧ガス保安法・労安法)

製造・化学プラント現場での爆発・火災・熱傷事故において、会社の法的義務は複数の法令に分散して定められています。

  • 消防法第14条・危険物の規制に関する規則:危険物(引火性液体・可燃性固体等)の取扱いには許可・届出が必要。貯蔵量・取扱い方法・設備基準に定められた安全措置(排気設備・防火壁・避難経路)の整備が義務
  • 高圧ガス保安法第11条・第23条:高圧の可燃性ガスの貯蔵・消費・廃棄には技術上の基準への適合が必要。液化石油ガス・アセチレン・水素などの取扱いに関する設備・保安体制の義務
  • 労働安全衛生法第57条・第57条の2(GHS表示・SDS):危険・有害化学物質には容器へのGHS表示とSDSの交付が義務。作業者がリスクを知らずに作業していた場合は義務違反
  • 安衛則第259条〜第275条(爆発・火災の防止):引火性の物の蒸気・可燃性ガスが爆発・引火する危険がある場所での火花を発する機械・器具の使用禁止、換気・排気設備の設置義務

保護具支給義務違反(耐熱手袋・防護服・顔面保護具)

熱傷事故の多くは、適切な保護具を使用していれば防げた、あるいは傷害の程度を軽減できた事案です。労働安全衛生規則は以下の保護具の支給を義務付けています。

  • 安衛則第593条・第594条(保護具の使用):有害な物・高温物体の取扱い作業には保護めがね・防護面・耐熱手袋・防護エプロンなどの保護具を備えさせ、使用させなければならない
  • 安衛則第288条(溶融金属の注湯):溶融金属の注湯・精錬・铸造作業では、保護手袋・保護前掛け・保護靴を使用させる義務
  • 安衛則第260条(高熱の作業):高温の設備近傍での作業者には遮熱設備・放熱器の設置または適切な保護具の支給が必要

ブライトの実務経験から:
熱傷事故の相談では「保護手袋は用意してあったが強制されなかった」「長袖作業着の着用が慣行になかった」というケースが少なくありません。また爆発・火災事故では「以前から同種のヒヤリハットが複数回あったが是正されなかった」という事実が安全管理義務違反の証拠となります。作業日誌・ヒヤリハット報告書・安全衛生委員会議事録が重要な証拠になります。

新入社員・派遣社員への安全教育義務

労働安全衛生法第59条は、雇い入れ時・作業内容変更時の安全衛生教育を義務付けています。危険物・高温物体を扱う作業では、取扱い手順・緊急時の対応・保護具の正しい使い方を教育しなければなりません。教育記録が存在しない・形式的な教育のみだった場合は義務違反となります。

派遣社員が配属初日・数日以内に熱傷事故に遭うケースでは、派遣先の安全衛生教育の不備が明確な義務違反として認められる場合があります。ブライトの実務でも、派遣先の元請・製造業者への損害賠償請求を受任した事例があります。

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熱傷後遺障害の等級と損害賠償の相場

醜状瘢痕・関節拘縮・視力障害の等級一覧

熱傷後遺障害は「外見的な傷跡」「機能障害」「視力・感覚器障害」の3軸から後遺障害等級を申請できます。以下は労災保険障害等級(労災保険法施行規則別表第一)の目安です。

後遺障害の種類等級目安認定のポイント
顔面の醜状瘢痕(露出部)7〜14級鶏卵大以上のケロイド・瘢痕の面積・部位。7級4号(頭部〜顔面の著しい醜状)
頸部・体幹の醜状瘢痕12〜14級手のひら大以上。部位と面積が基準
上肢の関節拘縮(肘・肩)6〜10級熱傷後の瘢痕拘縮による可動域制限。健側比較
手指の欠損・機能障害3〜14級切断レベル・関節可動域。親指は優遇等級
視力障害(熱炎・爆発)8〜13級矯正視力0.6以下で14級・0.1以下で8級相当
角膜混濁・眼球運動障害9〜13級視野障害・複視の有無
四肢の神経障害(知覚・運動)7〜14級電気生理学的検査(神経伝導速度)で客観的に立証

醜状瘢痕の賠償請求における特殊論点

熱傷による醜状瘢痕は、機能障害と異なり「外見的な傷跡」が主たる後遺障害です。実務上、以下の点が問題となります。

逸失利益の争点:醜状瘢痕は等級が認定されても「労働能力に直接影響しない」として逸失利益を否定する会社側の主張があります。しかし専門書(『後遺障害の認定と賠償実務』等)によれば、外見的な後遺障害であっても接客・営業など外見が職業上重要な業種では逸失利益を認める傾向があります。弁護士が被災者の職種・労働実態に基づいて主張を構成します。

後遺障害慰謝料:醜状瘢痕で12級が認定された場合、後遺障害慰謝料は裁判所基準で290万円。7級では1,000万円。顔面・頸部など外見上目立つ部位ほど精神的苦痛が大きいとして、基準額に上乗せの主張も可能です。

損害賠償の主要項目と金額目安

損害項目目安・概要
治療費・手術費(皮膚移植・形成外科)実費。熱傷の皮膚移植は複数回に及ぶことが多い
休業損害日額×休業日数。労災保険休業補償との差額
傷害慰謝料(入通院慰謝料)重傷長期入院で200〜500万円程度
後遺障害逸失利益年収×労働能力喪失率×ライプニッツ係数
後遺障害慰謝料7級1,000万円・12級290万円・14級110万円(裁判所基準)
将来の形成外科治療費瘢痕改善手術・レーザー治療等の将来費用

爆発・火災事故における特別な法的論点

爆発・引火事故の会社責任を重くする要因

爆発・引火による熱傷事故では、危険物の取扱い規制(消防法・高圧ガス保安法)の違反が明確な義務違反として立証しやすい特徴があります。特に以下の状況では会社の過失が重いと主張できます。

  • 過去の同種ヒヤリハットの放置:安全衛生委員会・ヒヤリハット報告書に類似事象が記録されているにもかかわらず是正措置を取らなかった場合。過去の認識と不作為が重過失の根拠となります
  • 防爆性能のない電気設備の使用:可燃性ガスが滞留する危険場所での非防爆型電動機・電動工具の使用は安衛則第279条違反。設備管理台帳・設備仕様書が証拠となります
  • 緊急時対応手順の不備:爆発・火災発生時の消火・避難・救護手順が整備されておらず、初動対応の遅れが損害の拡大(後遺障害の重篤化)につながった場合も、損害拡大分の賠償責任を問えます

化学熱傷(酸・アルカリ・溶剤)と会社の責任

熱傷は高温による熱傷だけでなく、強酸(塩酸・硫酸)・強アルカリ(水酸化ナトリウム)・有機溶剤による化学熱傷も含まれます。化学熱傷は接触後に時間をかけて深部まで侵食するため、初期対応(大量の水での洗浄・専門医への緊急搬送)が不十分だと後遺障害が重篤化します。

化学熱傷の労災事故では、SDS(安全データシート)の交付義務(労安法第57条の2)・保護具支給義務・緊急洗眼装置の設置義務(安衛則第524条)の違反が問題となります。緊急洗眼装置が未設置・正常に機能しなかった場合は、損害の拡大について会社が別途責任を負います。

後遺障害等級はスタートライン

労災保険の障害補償給付では慰謝料が支給されません。醜状瘢痕・機能障害が残った場合の後遺障害慰謝料・逸失利益は全額、会社への損害賠償請求でしか回収できません

フォークリフト事故の賠償事例はこちら

やけど・熱傷事故の解決事例(弁護士法人ブライト)

事例1:溶融金属飛散による顔面熱傷・醜状瘢痕(後遺障害12級相当)

製造業の鋳造工場で、溶融金属の注湯作業中に金属が飛散し顔面に直撃。重度熱傷(3度熱傷)により数回の皮膚移植手術を経て治癒しましたが、顔面に広範囲のケロイドが残存。労災保険で障害補償給付を受けた後、会社への損害賠償請求を依頼されました。

顔面保護具(熱処理用面体・ゴーグル)の支給記録が存在せず、安衛則第288条の義務違反が明確な事案。顔面という外見上目立つ部位の醜状瘢痕に対して、後遺障害慰謝料に加え精神的苦痛の上乗せを主張し示談交渉を行いました。

事例2:化学工場の爆発事故による上肢熱傷・関節拘縮

化学工場でのタンク清掃作業中、残留溶剤の引火により爆発が発生。両上肢に3度熱傷を負い、反復する皮膚移植手術と長期リハビリにもかかわらず肘関節の可動域制限(拘縮)が残存。後遺障害等級が認定された後に弁護士への依頼がありました。

事故前の安全衛生委員会議事録に「タンク清掃時の換気不十分」に関するヒヤリハット報告が記録されていたにもかかわらず、改善措置が講じられていなかった事実を証拠として活用。過去の認識と不作為を重過失の根拠として会社との交渉で解決しました。

損害賠償請求の流れと時効

  1. 労災申請・治療専念:まず労働基準監督署への労災保険申請で療養補償・休業補償を確保
  2. 証拠保全:保護具の支給・管理記録、安全教育記録、ヒヤリハット報告書、危険物管理台帳、消防計画、事故直後の現場写真を早期収集
  3. 症状固定・後遺障害等級認定:熱傷の皮膚移植後のリハビリが終了した症状固定後に、労災保険の障害補償給付を申請
  4. 損害額の算定:弁護士が醜状瘢痕・機能障害・逸失利益・慰謝料を全項目で積算
  5. 会社との交渉・示談・訴訟:会社との交渉が不調の場合は民事訴訟も選択肢

時効:人の生命・身体侵害を原因とする損害賠償請求権の消滅時効は、損害および加害者を知ったときから5年(改正民法166条1項1号・724条の2。2020年4月1日以降の事故に適用)。症状固定・等級確定後に速やかに弁護士に相談することが重要です。

よくある質問

Q1. 顔面の熱傷瘢痕で、会社から「醜状は仕事に影響ない」と言われました。

醜状瘢痕への逸失利益については会社側が否定してくるケースが多いですが、接客・営業・外見が重要な職種では裁判例でも逸失利益を認める傾向があります。弁護士が職種・就労実態を精査して反論します。また後遺障害慰謝料は醜状の程度・部位に応じて裁判所基準で認められますので、「仕事に影響ない」という主張は賠償全体の否定にはなりません。

Q2. 爆発事故で耳も聞こえにくくなりました。難聴も後遺障害として請求できますか?

爆発音による急性音響外傷・爆風による鼓膜損傷で難聴が残った場合、労災保険の障害補償給付(11〜14級相当)を申請できます。これに加え、難聴に対する後遺障害慰謝料・逸失利益を会社への損害賠償請求に含めることができます。複合後遺障害(熱傷+難聴等)は「系列外の器質的障害の組み合わせ」として等級の併合・加重を検討します。

Q3. 保護具はあったけど使っていなかった場合、過失相殺されますか?

保護具の使用が任意扱いになっていた(強制されていなかった)場合、保護具を使っていなかった責任を被災者だけに帰することはできません。保護具の使用を周知・強制する管理義務(安衛則第594条)は会社にあります。弁護士が「保護具を着用させなかった」という会社側の義務違反を主体的に主張し、過失相殺の割合を最小化します。

Q4. 派遣社員として工場で働き始めて3日目に熱傷事故に遭いました。

派遣先の安全衛生教育不備(雇入れ時・作業内容変更時の教育義務・労安法第59条)が主たる義務違反として追及できます。業務を開始してすぐの事故は、教育・引き継ぎが不十分だった証拠として機能します。派遣先への損害賠償請求を弁護士が検討します。

Q5. 会社は「自分が注意していなかった」と主張してきます。

被災者側の「不注意」を理由とする過失相殺は会社側がよく主張します。しかし安全管理体制・危険物の管理・保護具の支給・安全教育は会社の義務です。被災者の不注意があったとしても、その前提に会社の管理義務違反がある場合は会社側の過失割合が主となります。弁護士が現場実態を調査して適切に反論します。

Q6. 治療費が数百万円に上ります。労災保険で賄えない分は?

労災保険の療養補償給付(療養の給付・療養の費用の支給)は業務上の傷病の治療費を全額給付します。健康保険の3割自己負担とは異なり、被災者の自己負担は原則ゼロです。ただし長期入院・複数回手術・転院・先進医療など、実費が発生する部分は会社への損害賠償請求に含める余地があります。弁護士が精査します。

Q7. 工場の爆発で後遺障害が残りました。会社は労災扱いにしたがりません。

会社が労災申請を拒む「労災隠し」は労働安全衛生法第100条違反(50万円以下の罰金)です。労働者は会社の承諾なしに直接労働基準監督署へ労災申請できます。また労災隠しの事実は、損害賠償交渉において会社の悪質性を示す事情として活用できます。

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まとめ

  • 製造・化学プラントでの熱傷・爆発火災事故は、危険物管理義務(消防法・高圧ガス保安法・安衛則)・保護具支給義務・安全教育義務違反として会社の安全配慮義務違反を構成できる
  • 醜状瘢痕は後遺障害等級7〜14級。機能障害(関節拘縮)は6〜12級。逸失利益の争いには弁護士の反論が不可欠
  • 過去のヒヤリハット報告書・設備管理台帳・SDS・教育記録が会社の義務違反を立証する重要証拠になる
  • 労災保険では慰謝料がゼロ。後遺障害慰謝料・逸失利益差額の全額回収には会社への損害賠償請求が必要
  • 時効は損害認識から5年(改正民法)。症状固定後に速やかに弁護士へ相談を

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開 業 平成21年(代表弁護士独立開業)
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TEL 0120-931-501(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
事業内容 法人向け(法律顧問・顧問サービス、経営権紛争、M&A・事業承継、私的整理・破産・民事再生等、契約交渉・契約書作成等、売掛金等の債権保全・回収、経営相談、訴訟等の裁判手続対応、従業員等に関する対応、IT関連のご相談、不動産を巡るトラブルなど)、個人向け(交通事故・労災事故を中心とした損害賠償請求事件、債務整理・破産・再生等、相続、離婚・財産分与等、財産管理等に関する対応、不動産の明渡し等を巡る問題など)

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