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フォークリフト事故の労災認定と会社への損害賠償請求|被害者が知るべき全手順

執筆・監修

笹野 皓平(ささの こうへい)

弁護士法人ブライト|労災事業部 部長

大阪弁護士会(2011年登録)|修習64期

代表監修

和氣 良浩(わけ よしひろ)

弁護士法人ブライト 代表弁護士

この記事の結論

フォークリフト事故の被害者は、労災保険の給付に加えて、会社の安全配慮義務違反(労働契約法5条・民法415条)を根拠に損害賠償請求(慰謝料・逸失利益・休業損害差額)ができます。無資格運転・通路マーキング不備・安全装置不備などの立証が鍵です。ブライト解決実績:解決金合計188万円〜分割払い和解まで複数件対応済み。

フォークリフトに轢かれた、挟まれた、積み荷が崩落した——製造・物流・倉庫業で最も多い労災事故の一つが、フォークリフト事故です。被害は骨折・腱断裂から死亡まで多岐にわたり、後遺障害が残るケースも少なくありません。

多くの被災者が「労災保険の給付だけで終わり」と思っていますが、労災保険には慰謝料がなく、休業損害も給付基礎日額の60%しか補填されません。会社の安全管理に問題があった場合は、会社への損害賠償請求で追加の補償を受けられます。

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フォークリフト事故で会社が負う法的責任

安全配慮義務違反(労働契約法5条・民法415条)の具体的内容

会社は労働契約法第5条に基づき、労働者が安全に働けるよう必要な措置を講じる安全配慮義務を負っています。フォークリフトに関しては、労働安全衛生規則等で以下の安全管理が義務付けられています。

  • フォークリフト運転技能講習の修了証の確認(最大荷重1トン以上の場合。安衛則151条の67)
  • 作業通路のマーキング・歩行者との分離(安衛則151条の3・作業計画の作成と周知)
  • 最高速度の制限・制限速度の標示
  • 後退時の警報装置(バックブザー)・方向指示器の動作確認
  • 荷の積み過ぎ防止・安定した荷の積載
  • フォークリフトの定期自主検査・作業前点検(安衛則151条の21〜22)

これらを怠った結果として事故が発生した場合、会社は安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任(民法415条・709条)を負います。

無資格運転・安全装置不備の立証が賠償額を左右する

フォークリフト事故で賠償額を増やす重要な要素が無資格運転安全装置の不備です。加害者に技能講習未修了の事実がある場合や、バックブザーが故障していた場合は、会社の過失が重くなります。

立証のために収集すべき証拠は以下のとおりです。

  • 死傷病報告書・災害調査復命書(労働基準監督署への情報開示請求で入手)
  • フォークリフト運転者の技能講習修了証のコピー
  • 作業計画書・安全教育記録
  • フォークリフトの点検記録(バックブザー・ライトの動作確認欄)
  • 現場の写真・動線図(通路マーキングの有無)
  • 事故直後の5号用紙(会社作成の事故報告書)の記載内容

第三者行為災害(他社フォークリフト)の場合は別途損賠請求が可能

自社以外の会社(取引先・元請け等)の従業員が操作するフォークリフトで事故にあった場合は、第三者行為災害として処理されます。この場合、自社の労災保険の給付を受けつつ、加害者の所属会社に対して別途損害賠償請求が可能です。労災給付と損害賠償請求は、重複部分を除き併用できます。

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フォークリフト労災の補償額の目安

後遺障害等級と後遺障害慰謝料(弁護士基準)

怪我の種類 後遺障害等級(目安) 後遺障害慰謝料(弁護士基準)
アキレス腱断裂・足関節機能障害 10〜12級 187万〜420万円
下肢骨折・可動域制限 12〜14級 75万〜290万円
脛骨・立方骨骨折 12〜14級 75万〜290万円
頸椎捻挫(むちうち) 12〜14級 75万〜290万円
指切断・手の機能障害 6〜10級 420万〜512万円

休業損害の差額と追加請求

労災保険の休業(補償)給付は給付基礎日額の60%、休業特別支給金が20%、合計80%の補償です。残り20%は労災保険から支給されず、会社への損害賠償請求で回収が必要です。さらに慰謝料・入通院費・将来の治療費・介護費用などは労災保険ではカバーされません。

損害賠償請求の時効

フォークリフト事故での損害賠償請求権の時効は、改正民法724条の2・166条1項により、損害および加害者を知った時から5年(生命・身体侵害による損賠の場合)です。療養・休業補償給付の時効2年、障害・遺族補償給付の時効5年(労災保険法42条)とは別計算ですので注意が必要です。

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弁護士法人ブライトの解決事例(フォークリフト事故)

事例1. 積み荷の鉄枠が崩落・アキレス腱断裂・分割払い和解(60代男性・工場15年勤務)

絨毯芯製造会社に約15年勤務する60代男性が、フォークリフトで運搬中の鉄枠の積み荷が崩落し、左足アキレス腱を断裂。3回にわたる手術を余儀なくされました。フォークリフトの無資格運転・作業通路のマーキング不備など、会社側の安全管理に複数の問題点が判明しました。

ブライトは労働基準監督署への死傷病報告書・災害調査復命書の開示請求を実施して証拠を確保。後遺障害等級認定申請をサポートし、会社との交渉で合意書に基づく分割払い(月額20万円)による解決を実現しました。

担当弁護士のコメント

「フォークリフト無資格運転・通路マーキング不備など会社側の安全配慮義務違反を早期に把握し、証拠保全として開示請求を積極的に指示。依頼者が会社と対等に交渉できない状況を踏まえ、会社とのやり取りは録音するよう助言した。」(笹野 皓平 弁護士)

事例2. 同一職場でフォークリフト衝突2件・解決金188万円(リフトマン)

フォークリフト運転作業員(リフトマン)として勤務中、2022年に同一雇用主のもとで2件のフォークリフト衝突事故に遭遇。後遺障害14級相当の怪我を負いました。2件を一括受任し、損害賠償請求書を相手方代理人に送付。解決金合計188万円(第1事故5万円+第2事故183万円)での和解が成立しました。

事例3. 勤務初日にフォークリフトに轢かれ骨折・訴訟提起(30代女性・パート)

工場に勤務開始した初日に、後方走行中のフォークリフトに接触し、左脛骨骨幹部骨折・立方骨骨折を負った30代女性の事案。会社が作成した事故記録(5号用紙)に事実と異なる記載があり問題となりました。ブライトは労災認定を前提に損害賠償請求訴訟を提起。5号用紙の記載修正を労基署へ申し入れ、協力医に医学意見書を依頼して対応中です。

事例4. 取引先フォークリフト爪が首に接触・第三者行為災害として請求(トラックドライバー)

運送業のトラックドライバーが取引先敷地内での荷物積み込み作業中、取引先従業員が操作するフォークリフトの爪が首に接触し頸椎捻挫を負いました。ブライトは、自社の労災保険給付と並行して、加害者の所属する取引先会社への第三者行為災害としての損害賠償請求を進めています。

事例5. 倉庫内でフォークリフトに右足を轢かれ骨折・休業補償の追加請求(沖縄・パート)

沖縄県在住の倉庫内作業員(日額約8,000円)が、作業中にフォークリフトに右足を轢かれ骨折・手術。会社から「訴えないでほしい」と口頭で約束させられていました。ブライトは、口頭での約束には法的拘束力がないことを説明し、休業損害の追加請求(残2割分)を穏便に進める方針で対応しました。

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フォークリフト事故で弁護士に相談すべき理由

「訴えないでほしい」という口頭の約束は無効

事故直後に会社から「訴えないでほしい」「示談書にサインしてほしい」と迫られるケースがあります。口頭での約束に法的拘束力はなく、署名・捺印のない合意は基本的に無効です。仮に書面に署名した場合でも、内容が著しく不当な場合は弁護士が争える可能性があります。受傷後は焦らず、まず弁護士にご相談ください。

5号用紙(会社作成の事故報告書)の記載内容を確認する

会社が労基署に提出する様式5号(死傷病報告書)に事実と異なる記載がある場合、後の後遺障害認定・損害賠償交渉に不利に働きます。弁護士が早期に関与することで、5号用紙の記載内容を確認し、必要に応じて修正申し入れができます。

受任前から証拠保全を指導する

フォークリフト事故の証拠(現場写真・バックブザーの状況・通路マーキングの有無)は時間が経つほど失われます。ブライトでは、受任前の段階から具体的な証拠保全の指示を提供します。特に「会社との会話を録音する」「事故現場の写真を撮る」「5号用紙のコピーを取る」は最初に行うべき対応です。

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よくある質問(FAQ)

Q1. フォークリフトに轢かれました。会社に損害賠償を請求できますか?

会社の安全管理(通路マーキング・最高速度制限・フォークリフト点検等)に不備があれば、安全配慮義務違反として損害賠償請求できます。まず弁護士に状況をお話しください。

Q2. フォークリフト運転者が無資格だった場合、会社の責任は重くなりますか?

はい。最大荷重1トン以上のフォークリフト運転には技能講習修了が義務付けられており、無資格者を運転させた場合は会社の過失が明確になり、損害賠償額が増加する可能性があります。

Q3. 取引先のフォークリフトで怪我をしました。どこに請求すればいいですか?

自社の労災保険を使いつつ、加害者(取引先の従業員)の所属会社に対して第三者行為災害として損害賠償請求ができます。両方を活用することで補償を最大化できます。

Q4. 勤務初日の事故でも会社に請求できますか?

勤務初日でも労働者である以上、会社の安全配慮義務の対象です。ブライトでは勤務初日にフォークリフトに轢かれた案件で損害賠償請求訴訟を提起した実績があります。

Q5. 事故後に「訴えないでほしい」と言われました。サインしてしまいました。もう請求できませんか?

署名した書面の内容が著しく不当(ゼロ円和解・全額放棄等)な場合は、弁護士が錯誤・強迫等を根拠に争える可能性があります。まずは弁護士にご相談ください。サインした事実だけで諦める必要はありません。

Q6. パートやアルバイトでもフォークリフト事故で労災・損害賠償請求できますか?

雇用形態(正社員・パート・アルバイト)にかかわらず、労災保険の対象です。また、会社への損害賠償請求も同様に可能です。パート・アルバイトだから請求できないという誤解が多いですが、そのようなことはありません。

まとめ

  • フォークリフト事故では、労災保険の給付に加えて会社への損害賠償請求が可能(安全配慮義務違反・労働契約法5条・民法415条)
  • 無資格運転・通路マーキング不備・安全装置不備が立証できると会社の過失が重くなる
  • 労災保険でカバーされない慰謝料・休業損害差額(20%)・逸失利益・介護費用は全額請求可能
  • 取引先のフォークリフトで怪我をした場合は第三者行為災害として相手方会社にも請求可能
  • 口頭での「訴えないでほしい」という約束に法的拘束力はない
  • 損害賠償請求の時効(生命・身体侵害)は損害・加害者を知った時から5年(民法724条の2)

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笹野 皓平

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本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。

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  • 弁護士 有本 喜英

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開 業 平成21年(代表弁護士独立開業)
設 立 平成24年11月設立、平成27年1月に法人化
所在地 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎2丁目6番6号 コウヅキキャピタルウエスト12階
TEL 0120-931-501(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
事業内容 法人向け(法律顧問・顧問サービス、経営権紛争、M&A・事業承継、私的整理・破産・民事再生等、契約交渉・契約書作成等、売掛金等の債権保全・回収、経営相談、訴訟等の裁判手続対応、従業員等に関する対応、IT関連のご相談、不動産を巡るトラブルなど)、個人向け(交通事故・労災事故を中心とした損害賠償請求事件、債務整理・破産・再生等、相続、離婚・財産分与等、財産管理等に関する対応、不動産の明渡し等を巡る問題など)

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