重量物運搬中の腰椎損傷、会社の安全配慮義務違反を立証し1,000万円台後半で解決した事例
倉庫や物流現場では、重量物を一人で持ち上げた際に腰を痛め、そのまま長期の後遺症につながるケースが少なくありません。会社が定める「重量物は複数人で扱う」という社内ルールがありながら、人員不足を理由に一人作業を指示され、腰椎を損傷して後遺障害が残った依頼者の事案をもとに、典型的な解決の流れをご紹介します。
他の事務所に相談した際は「本人の持ち上げ方が悪かったのではないか」「会社のルールがあった以上、現場の判断ミスにすぎない」として消極的な回答をされていました。しかし当法人では、会社が自ら定めた安全ルールを現場に遵守させていなかった点に着目し、組織的な安全配慮義務違反として構成し直すことで、交渉の土台を大きく変えました。
結論
重量物運搬による脊椎損傷は、会社側が「本人の作業ミス」として片付けようとする傾向が強い類型です。しかし、社内ルールの有無や人員配置の実態を丁寧に洗い出すことで、会社の組織的な責任を立証できる可能性があります。本件も、当初は過失相殺を強く主張されていましたが、粘り強い交渉により大幅な減額を回避し、適正な水準での解決に至りました。
事案の概要(属性)
- 業種:物流・倉庫業
- 被災者:50代男性、関東在住、倉庫内作業のパート従業員(正社員から再雇用)
- 事故態様:本来2人作業とされる重量物の運搬作業を、人員不足のため一人で行うよう指示され、資材を持ち上げた際に腰部へ強い負荷がかかった
- 負傷内容:腰椎圧迫骨折、後遺障害等級11級7号(脊柱に変形を残すもの)
- ご依頼内容:会社に対する安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求(休業損害・逸失利益・慰謝料等)
相談時の状況|「会社のルールがあったのに」という疑問
依頼者は倉庫内で資材の仕分け・運搬作業に従事していました。会社の作業マニュアルには「一定重量を超える資材は必ず2人以上で運搬すること」という明確な規定がありましたが、当日は人員が不足しており、現場責任者から一人での運搬を指示されました。無理な姿勢で資材を持ち上げた瞬間、強い痛みとともに動けなくなり、病院で腰椎圧迫骨折と診断されました。
労災保険からの給付は受けられたものの、会社側は「マニュアルはあったが、現場での最終判断は本人に委ねられていた」として、追加の損害賠償には応じない姿勢を示しました。依頼者は「ルールを守っていたのに、なぜ責任を問えないのか」という強い疑問と、後遺障害による将来の生活不安を抱えて相談に来られました。
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弁護士の戦略|社内ルール不遵守を組織的な安全配慮義務違反として構成
受任後、まず着目したのは「会社が自らルールを定めていながら、現場でそれを守らせる体制を整えていなかった」という点でした。マニュアルの存在自体が、会社が重量物運搬の危険性を認識していた証拠になります。にもかかわらず、人員配置や当日のシフト表から、実際には恒常的に一人作業が黙認されていた実態を、同僚への聞き取りや勤務記録から積み上げていきました。
まずは内容証明郵便で、社内ルールの不遵守という具体的な事実を示しながら安全配慮義務違反を通知し、会社側の対応を見る方針を取りました。予想どおり会社側は当初、依頼者本人の持ち上げ方の問題として過失相殺を強く主張してきましたが、こちらは「ルールがある以上、それを遵守させる管理体制を敷く義務が会社にはある」という一貫した主張を維持し、交渉を進めました。
交渉の経過|基礎収入と過失割合をめぐる攻防
交渉では、休業損害・逸失利益の算定基礎となる収入額も争点となりました。依頼者は再雇用後のパート収入が事故前の正社員時代より低かったため、会社側はパート収入を基準とすべきと主張しました。これに対し、実際の稼働実態や業務内容が正社員時代とほぼ変わらなかったことを資料で示し、より実態に即した収入額を基礎とするよう主張しました。
また過失割合についても、会社側は当初3割程度の過失相殺を求めてきましたが、社内ルールの不遵守という会社側の管理責任の大きさを踏まえ、最終的には1割程度まで圧縮することができました。
当法人の労災解決方針
会社が定めた安全ルールが存在していても、それが現場で実際に守られていなければ意味がありません。私たちは「ルールの有無」だけでなく「ルールを機能させる体制があったか」まで踏み込んで調査し、会社の組織的な責任を立証することを重視しています。着手金0円・完全成功報酬制でご依頼いただけますので、まずは無料相談でご状況をお聞かせください。
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解決までの結果
本件のように、重量物運搬に関する社内ルールが存在するケースでは、そのルールの内容と実際の運用実態にギャップがないかを確認することが極めて重要です。マニュアルや教育記録、当日のシフト表、同僚の証言などを丁寧に集めることで、会社側の「本人の不注意」という主張に対抗できる材料が揃います。
| 項目 | Before(相談前) | After(解決後) |
|---|---|---|
| 会社の対応 | 「本人の持ち上げ方の問題」として責任を否定 | 安全配慮義務違反を前提とした示談交渉に応じる |
| 基礎収入の算定 | 再雇用後の低いパート収入を基準に算定 | 実態に即した収入額を基礎として増額 |
| 過失相殺 | 会社側は約3割を主張 | 最終的に1割程度まで圧縮 |
| 解決額 | 会社側提示なし・請求拒否 | 1,000万円台後半で示談成立(労災給付とは別) |
担当弁護士のコメント
💬 担当弁護士のコメント
社内ルールがあること自体は会社の責任を減らす理由にはならず、むしろ危険性を認識していた証拠になります。ルールと実態のギャップを丁寧に立証することが、こうした事案での勝機になると考えています。(笹野 皓平 弁護士)
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法的解説|重量物運搬事故と安全配慮義務違反の考え方
労働契約法5条は、使用者に対して労働者の生命・身体等の安全を確保する「安全配慮義務」を課しています。重量物運搬に関する事故では、会社が危険性を認識し、マニュアルや作業手順書等でルールを定めていたかどうかが重要な判断要素となります。ルールを定めていたにもかかわらず、現場での遵守を徹底する体制(人員配置、教育、監督)が不十分であった場合、会社の安全配慮義務違反が認められやすくなります。
また、後遺障害等級11級7号(脊柱に変形を残すもの)が認定された場合、労災保険からの給付とは別に、会社に対して休業損害・後遺障害逸失利益・慰謝料等を請求できます。基礎収入の算定においては、事故前の実際の稼働実態を踏まえた主張が可能な場合があり、形式的な収入額だけで判断されるべきではありません。
よくある質問(FAQ)
会社の作業ルールを守らなかったのは自分にも責任があると言われています。損害賠償請求はできますか?
会社が定めたルールを現場で徹底させる体制が不十分だった場合、会社側の管理責任が問われます。本人の対応だけでなく、会社の指導・監督体制も含めて検討する必要がありますので、諦めずにご相談ください。
パートや再雇用で収入が低い場合、休業損害や逸失利益も低く抑えられてしまうのでしょうか?
形式的な収入額だけでなく、実際の稼働実態や事故前の収入状況を踏まえて、より適正な基礎収入を主張できる場合があります。個別の事情を丁寧に確認することが重要です。
労災保険から給付を受けていますが、会社に対してさらに請求できるのでしょうか?
労災保険は損害の一部を填補するものであり、慰謝料など労災保険でカバーされない損害については、会社に対して別途請求することが可能です。
後遺障害等級11級と認定されましたが、どの程度の賠償が見込めますか?
等級や個別の事情によって幅がありますが、休業損害・逸失利益・慰謝料等を積み上げて算定します。会社側の初期提示額より大幅に増額できるケースも珍しくありませんので、具体的な資料をもとに一度ご相談いただくことをおすすめします。
会社が責任を認めない場合、訴訟になりますか?
交渉で解決に至らない場合は訴訟を検討します。証拠を十分に整えたうえで交渉を進めることで、訴訟に至る前に適正な水準での示談が成立するケースも多くあります。
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まとめ
重量物運搬による脊椎損傷は、会社側が「本人の不注意」として片付けようとする傾向がありますが、社内ルールの有無と実際の運用実態を丁寧に検証することで、会社の組織的な安全配慮義務違反を立証できる可能性があります。本件では、内容証明による通知から交渉を重ね、過失相殺を最小限に抑えつつ、1,000万円台後半での解決に至りました。同様のお悩みをお持ちの方は、着手金0円・完全成功報酬制の無料相談をご利用ください。
まずは弁護士法人ブライトへご相談ください
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