会社の車で事故を起こした場合の会社の責任・使用者責任とは 社員が業務中に社用車で交通事故を起こした。加害者は社員だけど、会社にも責任が来るのか——こうした不安を抱える経営者・総務担当者からのご相談は少なくありません。 答えは「はい、会社にも賠償責任が発生します」。ただし、責任の根拠や範囲はケースによって異なります。この記事では、使用者責任と運行供用者責任の違い、会社が取るべき対応について整理します。 → ご相談はこちら:/corporationlaw/ 電話:0120-929-739(受付 9:00〜18:00) 社用車事故で会社が負う責任は2種類ある 社員が社用車で他者を傷つけた場合、会社は主に次の2つの法的根拠で責任を問われます。 ① 使用者責任(民法715条) 使用者責任とは、被用者(社員)が「事業の執行について」第三者に損害を与えた場合に、使用者(会社)が連帯して賠償義務を負うという制度です。 たとえば営業担当が得意先訪問の途中に事故を起こした場合、これは明らかに「事業の執行中」にあたります。会社は社員と連帯して被害者への賠償責任を負います。 ポイントは「事業の執行について」という要件です。私的な目的で社用車を無断使用した場合は該当しないこともありますが、社用車を黙認していた、鍵を管理していなかったなどの事情があれば、会社の責任が認められるケースもあります。 ② 運行供用者責任(自動車損害賠償保障法3条) 自賠法3条は、「自動車の運行供用者」は人身事故について賠償責任を負うと規定しています。運行供用者とは、車の運行を支配・管理し、運行から利益を得ている者のことです。 社用車を所有・管理している会社は、たとえ事故が社員の私的使用中に起きたとしても、運行供用者責任を問われる可能性があります。これは使用者責任より広い概念です。 「業務中」かどうかの判断が重要 よくある質問が「営業終了後に社用車で寄り道して事故を起こした場合はどうなるか」というものです。 この点について、裁判例では「業務からの逸脱」が一時的なものにとどまる場合は使用者責任が認められやすいと解されています。完全に業務と無関係な行動(例:会社に無断で旅行に行った)でなければ、会社側にリスクが残ります。 このような相談がよくあります——業務終了後に「少し寄り道した」社員が事故を起こし、会社が被害者から損害賠償請求を受けたケースです。会社は「業務外だ」と主張しましたが、社用車を使用していた事実と管理体制の甘さを指摘され、最終的に賠償責任を認める形での和解を余儀なくされました。 会社は社員に求償できるか 会社が被害者に賠償した場合、会社は社員に対して求償権(支払った賠償金の一部を請求する権利)を持ちます。ただし、求償の範囲は社員の帰責性・会社側の監督体制の不備などを考慮して制限されることが多く、全額回収は難しいのが実情です。 → 関連記事:社員の不祥事で会社が負う法的リスクと対応策 会社として取るべき予防策 社用車事故のリスクを下げるためにできることは次の通りです。 1. 社用車の管理規程を整備する 使用許可の範囲、私用禁止、事故発生時の報告義務などを就業規則・社用車規程に明記します。 2. 任意保険を適切に付保する 自賠責保険だけでは対物損害や慰謝料の増大に対応できません。対人・対物の任意保険を必ず付保し、補償内容を定期的に確認します。 3. ドライブレコーダーの設置 事故発生時の状況証拠となり、社員側の過失割合の特定にも役立ちます。 4. 定期的な運転適性チェック 飲酒・体調不良など運転不適切な状態での使用を防ぐルール化が有効です。 事故が起きたときの会社の初動対応 実際に社用車事故が発生した場合、会社として次の順序で対応します。 被害者への謝罪・応急対応の確認(社員任せにしない) 保険会社への報告(速やかに連絡し対応を委ねる部分と自社対応を整理) 事故の状況記録(社員からの聴取、ドラレコ映像の保全) 弁護士への相談(被害者から直接請求が来た場合や、示談交渉が長引く場合) 被害者から直接「会社の責任を認めろ」と求められた段階で弁護士に相談することを強くおすすめします。独断で示談に応じると、後から追加請求される可能性があります。 → 関連記事:顧問弁護士の必要性とは?中小企業が弁護士をつける理由 よくある質問 Q. 社員が飲酒運転をして事故を起こした場合、会社はどうなりますか? A. 飲酒は重過失にあたりますが、会社が飲酒を知りながら運転を命じた、または管理体制が不十分だったと認められると、会社の責任が問われる可能性があります。飲酒運転防止の規程整備と徹底が会社側のリスク軽減につながります。 Q. マイカーで業務中に事故を起こした場合も会社に責任がありますか? A. マイカーであっても、会社が業務に使用させていた場合や黙認していた場合は、運行供用者責任・使用者責任が問われることがあります。マイカー通勤・マイカー業務使用に関する規程整備が重要です。 Q. 会社が被害者に賠償した後、社員に全額請求できますか? A. 裁判例では、社員の給与・地位・会社の監督体制の不備などを考慮して求償範囲が制限されるのが一般的です。全額回収は難しいケースが多いため、事後対応より事前の保険・規程整備が重要です。 Q. 費用はどのくらいかかりますか? A. 事案の内容によって異なります。みんなの法務部では初回相談無料でご案内しています。 監修:弁護士法人ブライト 大阪・神戸を拠点に企業法務・顧問弁護士サービスを提供。みんなの法務部として中小企業の法的リスク対応を日々サポートしています。 本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、特定の事案に対する法律アドバイスではありません。個別の対応については弁護士にご相談ください。 → みんなの法務部サービスの詳細はこちら:/corporationlaw/service/ 電話:0120-929-739(受付 9:00〜18:00)