中小企業M&Aの進め方完全ガイド【経営者・売り手向け】スキーム・費用・弁護士の役割を大阪の弁護士が解説

中小企業M&Aの進め方完全ガイド【経営者・売り手向け】スキーム・費用・弁護士の役割を大阪の弁護士が解説

和氣 良浩

監修:和氣 良浩(わけ よしひろ)

弁護士法人ブライト|代表弁護士|大阪弁護士会

大阪で20年以上、中小企業の企業法務・顧問弁護士サービスを提供。顧問先130社以上に透明性の高いリーガルサポートを実践している。

会社を売りたい、または買いたい——中小企業のM&Aは、手順を間違えると売却額が大幅に下がる、買収後に想定外の負債が発覚するといった深刻なリスクを招きます。この記事では、大阪の企業法務弁護士が中小企業M&Aの全体フロー・スキーム選択・弁護士の役割・費用の目安を解説します。

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中小企業M&Aの全体フロー(7ステップ)

中小企業のM&Aは、意思決定から最終契約(クロージング)まで、一般的に3〜12ヶ月程度かかります。以下が標準的な7ステップです。

ステップ 内容 関与者
1. 方針決定 売却・買収の目的・条件・スキームを確定 経営者・顧問弁護士
2. 相手先探索 仲介会社・銀行・弁護士ネットワーク経由でマッチング M&A仲介・弁護士
3. NDA締結 秘密保持契約(NDA)で情報開示の前提を固める 両社・弁護士
4. 基本合意書(LOI) 価格・スキームの大枠を文書化。法的拘束力は原則なし 両社・弁護士
5. デューデリジェンス(DD) 法務・財務・税務・労務の詳細調査 弁護士・公認会計士
6. 最終契約書締結 株式譲渡契約・表明保証・補償条項を確定 弁護士(必須)
7. クロージング 株式代金の支払い・経営権移転・登記変更 弁護士・司法書士

ポイントは、ステップ3(NDA)と6(最終契約)の段階で必ず弁護士が関与することです。NDAを正確に結ばないと、相手方が情報を悪用した際に法的手段が取れません。

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スキームの選択:株式譲渡・事業譲渡・会社分割の違い

中小企業M&Aで最も重要な判断の一つが「スキーム選択」です。主に3つの手法があります。

株式譲渡(会社法128条・136条)

売り手の株主が保有する株式を買い手に譲渡する手法です。会社の権利・義務・契約・許認可がすべて引き継がれます。手続きが最もシンプルで、中小企業M&Aの約7割がこの形式です。

  • メリット:手続きが比較的簡単、許認可が引き継がれる、従業員との関係が継続
  • デメリット:簿外債務・偶発債務も引き継ぐリスク(だからDDが重要)
  • 売り手課税:株式売却益に対して申告分離課税20.315%

事業譲渡(会社法467条)

会社が特定の事業・資産・負債を個別に譲渡する手法です。引き継ぐ資産・負債を選別できるため、「買いたい事業だけを買う」ことが可能です。

  • メリット:引き継ぐ資産・負債を選別できる、不要な部門を切り離せる
  • デメリット:許認可・契約は個別に引き継ぎ手続きが必要。会社法467条の要件(重要な事業の全部・一部譲渡時は株主総会特別決議)
  • 競業禁止義務:会社法21条により、原則20年間同一地域での同種事業が禁止

会社分割(会社法757条・762条)

会社の特定事業部門を新会社または既存会社に分割する手法です。吸収分割(会社法757条)と新設分割(会社法762条)の2種類があります。

  • 適している場面:グループ内再編、特定事業のカーブアウト
  • 注意点:労働契約承継法の適用があり、従業員への事前通知・協議義務が発生

どの手法が最適かは、業種・許認可の有無・負債状況・税務上の扱いによって異なります。大阪の顧問弁護士を交えて早期に検討することを推奨します。

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M&Aに弁護士が必要な3つの場面

「M&A仲介会社に任せれば弁護士は不要では?」と考える経営者も多いですが、仲介会社は売買成立の仲介が目的であり、契約の法的リスクチェックは業務範囲外です。以下の3場面では弁護士は必須です。

1. NDA・基本合意書の作成・レビュー

秘密保持契約の内容が甘いと、交渉決裂後に相手が得た情報を利用しても法的に対抗できません。基本合意書(LOI)の法的拘束力の範囲(独占交渉期間・費用負担条項等)も要確認です。

2. デューデリジェンス(法務DD)

最終契約前に対象会社の法的リスクを網羅的に調査します。確認すべき主な事項:

  • 訴訟・紛争リスク(係属中の裁判・潜在的なクレーム)
  • 契約の支配権変更条項(チェンジオブコントロール条項)——M&A実施で自動解除となる契約がないか
  • 許認可の承継可否(建設業許可・食品衛生法許可・人材派遣業許可等)
  • 労務リスク(残業代未払い・ハラスメント問題)
  • 知的財産権の帰属(特許・商標・著作権の権利確認)

3. 株式譲渡契約・表明保証条項の交渉

最終契約書には、売り手が買い手に対して「法的問題がない」と約束する表明保証条項が含まれます。表明保証違反があった場合の補償額・補償期間の交渉が、買収後のリスク軽減に直結します。

M&Aの費用:弁護士費用・仲介手数料の相場

費用項目 相場 備考
M&A仲介手数料 成約額の3〜5%(レーマン方式) 最低手数料300〜500万円が多い
弁護士費用(法務DD) 50〜200万円 対象会社の規模・複雑さによる
弁護士費用(契約書作成・交渉) 30〜100万円 顧問弁護士なら顧問料内で対応可能な場合も
会計士・税理士費用 30〜150万円 財務DD・税務スキーム検討

顧問弁護士がいる場合、DDや契約書レビューが顧問料の範囲内(追加費用なし)で対応できるケースもあります。弁護士法人ブライトでは、顧問先130社以上に、M&A支援の実績があります。

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中小企業M&A 株式評価ガイド(無料ダウンロード)

M&Aで注意すべき法的リスク5選

1. 簿外債務・偶発債務の発覚

株式譲渡では、買収後に税務調査・労務問題・訴訟リスクが表面化することがあります。DDで発覚した場合は価格交渉の材料になりますが、クロージング後に発覚した場合は表明保証違反として補償請求を検討します。

2. 競業禁止義務の範囲

事業譲渡の場合、会社法21条により原則20年間の競業禁止が生じます。範囲・期間について契約書で明示的に合意することが重要です。

3. 独占禁止法の届出義務

一定規模を超えるM&Aは、独占禁止法16条・17条の事前届出が必要です。国内売上高200億円超+取得会社国内売上高50億円超が基準の一つです。中小企業では通常適用外ですが、業界シェアが高い場合は注意が必要です。

4. 従業員への対応(会社分割の場合)

会社分割では、労働契約承継法に基づき、分割計画書を作成し従業員への通知・協議が義務付けられます(労働契約承継法2条・3条)。手続き違反は従業員からの異議申し立てにつながります。

5. 金融商品取引法・開示義務(上場会社が絡む場合)

相手先が上場会社である場合、金融商品取引法27条の2(公開買付規制)・27条の23(大量保有報告)等の適用を確認します。

大阪の中小企業がM&Aで弁護士を使うメリット

大阪を中心に弁護士歴平均14年以上のチームで構成する弁護士法人ブライト「みんなの法務部」では、中小企業の会社売却・買収をサポートしています。仲介会社とは異なり、経営者側の利益を最大化する立場でDD・契約交渉・クロージングまで一貫して対応します。

M&Aの相談は初期段階(売却を検討し始めた段階)からの弁護士への相談をお勧めします。スキーム選択・株式評価・税務戦略は早期に専門家を交えて検討することで選択肢が広がります。

よくある質問(FAQ)

中小企業M&AでM&A仲介会社と弁護士の役割の違いは?

M&A仲介会社は売り手と買い手のマッチングが主業務です。一方、弁護士は経営者側の代理人として、法的リスクの特定・契約書の作成・交渉・表明保証条項の設計を担います。仲介会社は法律行為を代理できませんので、最終契約書のレビューや法務DDは必ず弁護士に依頼することを推奨します。

M&Aにかかる期間はどれくらいですか?

中小企業M&Aは相手先探索から最終契約まで3〜12ヶ月が一般的です。相手先が決まっている場合でも、DD・契約交渉で2〜4ヶ月程度かかります。期限を定めて急いで進めると、DDが不十分になり買収後のリスクが高まります。

株式譲渡で売却する場合の税金はどうなりますか?

個人株主が株式を譲渡した場合、売却益(取得価額との差額)に申告分離課税20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が課されます。法人の場合は法人税の課税対象となります。スキーム選択により税負担が大きく変わりますので、早期に税理士・弁護士に相談することを推奨します。

大阪でM&A・会社売却を弁護士に相談するには?

弁護士法人ブライトでは、大阪を中心に中小企業のM&A・会社売却・株式譲渡のご相談を受け付けています。顧問先130社以上に、弁護士歴平均14年以上のチームが経営者側の立場でサポートします。まずはお気軽にご相談ください。

M&A後に問題が発覚した場合、売り手に請求できますか?

最終契約書に表明保証条項があれば、表明保証違反として売り手に補償請求が可能です。請求できる金額・期限は契約書の規定内容によります。補償期限は通常1〜3年で設定されることが多いため、問題発覚後は速やかに弁護士に相談することが重要です。

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スモールM&Aはリスクだらけ?失敗しないための防衛術と弁護士の活用法

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
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