「連帯保証人を立ててもらえば大丈夫だろう」と思って契約を進めたのに、いざ問題が起きたら保証人に請求できなかった。あるいは、逆に自社が保証人として思いもよらない巨額の請求を受けた。そんな話は、決して珍しくありません。 連帯保証という仕組みは、社長にとって「担保」にも「リスク」にもなります。そして「極度額」という概念は、その分かれ目を決定的に左右します。にもかかわらず、「そんな項目、契約書に入ってたっけ?」という社長がほとんどです。知らないまま契約書にサインしていることが、問題の始まりになっています。 「極度額」とは何か――法改正が変えた連帯保証の常識 2020年4月に施行された改正民法により、個人が根保証契約を締結する場合には「極度額」の定めが必須となりました。「根保証」とは、継続的な取引から生じる不特定の債務をまとめて保証する契約のことです。賃貸借契約の保証や、フランチャイズ契約の保証などがこれにあたります。 改正前は、「いくらでも保証する」という無限定の保証が法律上認められていました。しかし改正民法では、個人が根保証人になる場合に極度額(保証の上限金額)を契約書に明記していなければ、その根保証契約は無効になります。 つまり、極度額が書かれていない連帯保証契約は、法的に存在しないのと同じです。「保証人を取ったから安心」と思って締結した契約が、いざというときに機能しない。それが2020年以降の現実です。 なお、法人が保証人になる場合は極度額の定めは不要です。この規制は個人の保証人を守るための制度ですので、対象が「個人」かどうかを必ず確認してください。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先141社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る06-4965-9590(みんなの法務部)LINE相談(無料) なぜ判断ミスが起きるのか――契約書を「ざっと確認」で済ませる構造 【図解】「極度額」とは何か――法改正が変えた連帯への対応フロー ① 問題発生 → ② 事実確認・記録 → ③ 顧問弁護士に相談 → ④ 対応策の実行 ※ 弁護士に早期相談することで、リスクを最小化できます。 社長が極度額の問題を見落とすのは、知識がないからというより、契約書のチェックが「大枠の確認」で終わっているからです。 フランチャイズ契約を例にとると、加盟店側の代表者は「契約の中身よりも事業開始のスケジュール」に意識が向いています。本部から提示された分厚い契約書を「有名チェーンだから問題ないだろう」と信じてサインしてしまう。実際に私どものところに相談が来た案件でも、FC本部の契約書に極度額の定めがなく、代表者個人が無限定の連帯保証人になっていたというケースがありました。 賃貸借契約の場合も同様です。「どうせ家賃数ヶ月分を保証してもらえばいい」という感覚で保証人を取るため、極度額をいくらに設定すべきかを深く考えない。その結果、滞納賃料・明渡請求費用・原状回復費用まで合算すると、想定外の高額な損害が発生しても、極度額が低すぎて回収できないという事態になります。 判断ミスの構造は単純です。「契約時にリスクを数字で見ていない」こと、これに尽きます。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先141社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る06-4965-9590(みんなの法務部)LINE相談(無料) 問題が起きる前にできること――契約書レビューという最初の安全装置 極度額の問題は、契約を結んだあとで気づいてもほぼ手遅れです。改正後の民法では、極度額の記載がなければ根保証契約が無効になりますが、逆に言えば、締結済みの契約書に後から極度額を足すことはできません。再締結が必要になります。 予防のために、契約前に確認すべきポイントは以下のとおりです。 「保証」「連帯保証」という言葉が出てくる条項をすべてピックアップする 保証人が「個人」か「法人」かを確認する 個人保証であれば「極度額の金額」が明記されているか確認する 極度額の金額が現実的なリスクに見合っているかを検討する(低すぎても意味がない) フランチャイズ契約であれば、ロイヤリティ・違約金・未払い費用の合計が極度額の範囲に収まっているかを試算する 「契約書の確認くらい自分でできる」という社長が多いのですが、問題は何を見るべきかを知らなければ、見ていても気づけないという点です。契約書レビューは「読む」作業ではなく「リスクを特定する」作業です。弁護士が関与することで、初めて機能します。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先141社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る06-4965-9590(みんなの法務部)LINE相談(無料) 問題発生時の対応フロー――「極度額なし」に気づいたときに何をするか 「既に締結した契約書に極度額が入っていなかった」と気づいたとき、何をすべきでしょうか。状況ごとに整理します。 自社が「債権者(保証を取る側)」だった場合 極度額の定めがない個人による根保証契約は無効です。保証人への請求が困難になります。できる対応としては次のことが考えられます。 保証人と改めて極度額を明記した保証契約を締結し直す 相手方が同意しない場合は、別の担保(物的担保や別の連帯保証人)を検討する 問題が発生している場合は、主債務者(賃借人・加盟店など)への直接請求に切り替える 自社が「保証人側」だった場合 極度額なしの根保証契約は無効なので、理論上は保証責任を負わないことになります。ただし、相手方が「有効だ」として請求してくることも十分にあります。その場合は早期に弁護士を立てて、契約の有効性を主張することが重要です。 また、「合意書で保証人を変更した」という経緯があっても、元の契約が解約されていなければ、元の保証義務が残存すると判断されるリスクがあります。「外れたつもり」が通用しないケースは実際に起きています。 証拠として残しておくべきもの: 保証契約書・合意書の原本(締結日・署名・押印が確認できるもの) 保証変更の経緯に関するメール・書面のやりとり 主債務者との合意内容が分かるすべての書面 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先141社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る06-4965-9590(みんなの法務部)LINE相談(無料) 失敗事例の構造――なぜ「相談が遅れた」のか 実際の相談案件を見ていると、極度額をめぐるトラブルにはある共通した「遅れの構造」があります。 相談が遅れた理由①:「まさかその条項が問題になるとは思わなかった」 フランチャイズ契約で訴訟を提起されたある企業は、過去に合意書を締結した際に保証人を変更したつもりでいました。しかし元の契約は解約されておらず、訴訟になって初めてその保証義務が残存していると知りました。「解決したと思っていた」ことが最大の盲点でした。 相談が遅れた理由②:「訴状が来てから慌てて弁護士を探した」 訴訟提起されてから相談に来るケースは非常に多いのですが、その時点では交渉の余地が大幅に狭まっています。問題の種は契約締結時にまかれており、水やり(証拠の整備)もされていない。法廷で戦う材料が揃っていない状態で相談が来ます。 相談が遅れた理由③:「保証の話だから、自分ではなく相手の問題だと思っていた」 不動産オーナーが「保証人を取ってあるから大丈夫」と思い込み、滞納が発生してから保証契約を調べてみたら極度額が入っていなかった、というケースも起きています。「相手方の問題」と思っている間は、自社の契約書を精査しません。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先141社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る06-4965-9590(みんなの法務部)LINE相談(無料) うちの会社ではどう考えればいいのか――業種別の実務的な視点 極度額の問題は、会社の立場(債権者か保証人か)と業種によって、考え方が変わります。 不動産オーナー・賃貸管理会社の場合 テナントや入居者から連帯保証人を取るとき、極度額をいくらに設定するかが重要です。月額賃料の12〜24ヶ月分程度を目安とする実務が多いですが、テナントの業種・滞納リスク・原状回復費用の見込みによって調整すべきです。金額を低くしすぎると「保証人を取った意味がない」という結果になります。 フランチャイズ加盟を検討している経営者の場合 FC本部から提示される契約書に極度額の定めがない場合、代表者個人が無制限の保証リスクを負うことになります。ロイヤリティ・違約金・損害賠償が積み重なれば、想定外の金額になります。「有名チェーンだから」「本部が安心と言っているから」ではなく、数字で確認することが必要です。 取引先に保証を求められている法人の場合 法人が保証人になる場合は極度額の定めがなくても無効にはなりません。ただし、法人保証であっても契約書の中身によっては想定外の責任を負うことがあります。保証の範囲・対象となる債務の種類・保証の終期などを必ず確認してください。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先141社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る06-4965-9590(みんなの法務部)LINE相談(無料) 再発防止策――「契約書を弁護士に通す」を仕組みにする 極度額の問題を一度経験した社長は、次からは慎重になります。しかし問題は、次の契約でも同じことが起きるリスクがあるという点です。なぜなら、チェックが属人的(社長が自分で見る)なので、社長が忙しいときや担当者が変わったときに抜けるからです。 再発防止のために取り組むべきことは次のとおりです。 契約書レビューのフローを社内ルールにする:一定金額以上・保証条項を含む契約は必ず法務チェックを経るルールを設ける 保証契約のひな形を自社で用意する:賃貸借契約・取引基本契約など頻繁に使う契約書に極度額を含む保証条項を組み込んだひな形を整備する 既存の保証契約を棚卸しする:旧来の契約書(2020年4月以前に締結したもの)がある場合は、現在も有効かどうかを確認する 問題が起きたら「判断する前に」一言相談できる体制を整える:判断してから相談しても、後戻りできないことが多い 「その都度、弁護士に頼む」という対応では、問題が起きてから費用と時間がかかります。事前に動ける体制があれば、ほとんどのリスクは防げます。 連帯保証と極度額の問題は、一件対応すれば終わりではありません。社内で締結するすべての契約に潜在的なリスクがあります。重要なのは、スポットで処理することではなく、契約書を作る・受け取る・締結するすべての場面で「法務の目線」が入る体制を整えることです。弁護士法人ブライトでは、顧問先141社の実名を公開し、企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが、契約書レビューから保証条項の整備まで継続的に対応しています。「何かあったときだけ弁護士」ではなく、「日常の契約判断に弁護士が関与する」体制、いわゆる「みんなの法務部」として機能することで、極度額の見落としのような「気づかずに起きるミス」を構造的に防ぎます。 よくある質問 Q1. 2020年4月より前に締結した保証契約は有効ですか? 改正民法の施行日(2020年4月1日)より前に締結された保証契約については、旧民法が適用されます。そのため、極度額の定めがなくても当時の契約は無効にはなりません。ただし、2020年4月以降に更新・変更された場合は、新民法の適用を受ける可能性がありますので注意が必要です。 Q2. 極度額はいくらに設定すればよいですか? 法律上、金額の定め方に上限・下限はありません。ただし、低すぎると実際のリスクをカバーできず、高すぎると保証人のなり手がいなくなります。賃貸借契約であれば月額賃料の12〜24ヶ月分程度、フランチャイズ契約であれば未払ロイヤリティや違約金の想定最大額を参考にすることが多いです。業種・取引規模によって異なるため、弁護士と相談のうえ個別に設定することをお勧めします。 Q3. 極度額の定めがない保証契約を締結してしまいました。今から直せますか? 既に締結した契約書に後から極度額を追記する形での修正はできません。保証人の同意を得て、あらためて極度額を定めた保証契約書を締結し直す必要があります。相手方が応じない場合は、別の担保手段を検討することになります。現在の契約書が有効かどうかの判断も含め、まず弁護士に確認することが先決です。 Q4. 法人が連帯保証人になる場合も極度額は必要ですか? 改正民法の極度額規制は「個人(自然人)が根保証人になる場合」に限定されています。法人が保証人になる場合は、極度額の定めがなくても根保証契約は無効になりません。ただし、法人保証であっても保証の範囲・期間・条件を明確にしておかないと、思わぬ責任を負うリスクがあります。 連帯保証人・極度額に関する契約書の確認や、保証条項の整備を継続的に相談できる顧問弁護士をお探しの方は、弁護士法人ブライト「みんなの法務部」にお問い合わせください。顧問先141社の実名を公開しており、企業法務部の弁護士歴平均14年以上の経験豊かな弁護士が対応します。企業法務窓口:06-4965-9590(平日9:00〜18:00) この記事の監修者 和氣 良浩(わけ よしひろ) 弁護士法人ブライト|代表弁護士/パートナー弁護士 /大阪弁護士会/大阪大学法学部卒 専門:顧問弁護士・企業法務・M&A・経営権紛争・事業再生 「みんなの法務部」というブライトの考え方 中小企業の社長に「専属の法務部」を持っていただく——これがブライトの顧問サービスの基本姿勢です。社内に法務部を置けない規模でも、契約書・労務・債権回収・M&Aまで日常的に相談できる体制を、月額固定で。企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームで、141社の顧問先と向き合っています。 ▶ みんなの法務部とは(詳しく見る) 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先141社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る06-4965-9590(みんなの法務部)LINE相談(無料)