取引先から契約書を提示されたときに会社が見るべきポイント|弁護士が解説 取引先から「うちの雛形でどうぞ」と契約書を渡される。よくある場面です。 しかし、相手方が作った契約書は、相手方に有利に作られています。これは悪意ではなく、当然のことです。自社のリスクを最小化するために作るのが契約書だからです。 「内容はよく分からないが、相手が大手だから大丈夫だろう」——こう思ってサインした後に、損害賠償を全額負担させられたり、不利な条件で解除されたりするケースは珍しくありません。 受け取ったら必ず確認してください。チェックすべきポイントは6つです。 チェックポイント1|損害賠償条項 最も重要な条項の一つです。 相手方が作った契約書では、次のような記載になっていることがあります。 自社の損害賠償責任を無制限にする 相手方の損害賠償責任を大幅に制限(または免責)する たとえば「当社の賠償責任は、当該取引の受領金額を上限とする」という文言。これは相手方の責任を限定するもの。一方で自社の責任については上限なしの書きぶりになっていないか確認してください。 修正すべき方向:双方の賠償責任を対称にするか、自社の賠償責任にも上限を設ける。 チェックポイント2|解除条項 どんな場合に契約を解除できるか——ここが曖昧だと、突然「解除します」と言われても対抗できません。 相手方有利の契約書では、次のようなパターンがあります。 相手方は「いつでも」解除できるが、自社は「重大な理由がある場合のみ」解除できる 解除の際に損害賠償が発生するのは自社のみ 修正すべき方向:解除条件を双方対等にする。解除予告期間(「30日前の書面通知が必要」など)を設ける。 チェックポイント3|管轄裁判所 トラブルになったとき、どこの裁判所で争うかを定める条項です。 相手方が東京の大企業であれば「東京地方裁判所を管轄とする」と記載されていることが多いです。自社が大阪にある場合、東京まで出向いて訴訟を行うことになります。 中小企業にとって、管轄の違いは実質的な不利益(弁護士費用・交通費・時間)になります。 修正すべき方向:「被告の所在地を管轄する裁判所」または「双方の合意する裁判所」と修正を求める。 チェックポイント4|支払条件・遅延損害金 代金の支払いサイト(30日・60日・90日)と、支払いが遅れた場合の利率を確認します。 相手方が「支払いは検収後90日以内」と設定してきたとき、下請法の対象取引であれば60日を超える支払い条件は違法になる場合があります。 また、遅延損害金の利率が「年3%」などと低く設定されていると、実質的に相手方が支払いを遅らせても損がない構造になります。 修正すべき方向:支払いサイトを短縮する(下請法の基準を確認)。遅延損害金は「年14.6%」程度(法定利率の倍程度)を交渉する。 チェックポイント5|検収条件 成果物を納品した後、「検収」が完了するまで代金請求できない構造になっていることがあります。 問題は検収基準が曖昧な場合です。「当社の基準を満たすものとする」という記載は、相手方が恣意的に不合格を連発できる余地を与えます。 また、「検収完了後に著作権・所有権が移転する」という条項が合わさると、検収が長引くほど自社のリスクが増します。 修正すべき方向:検収基準を具体的な数値・仕様で明記する。検収期間を「納品後10営業日以内」などと確定させる。 チェックポイント6|秘密保持条項 取引を通じて知り得た情報をどう扱うかを定める条項です。 問題になるのは、秘密情報の範囲が広すぎるケースです。「取引に関連して知り得た一切の情報」と書かれていると、ほぼあらゆる情報が秘密情報に該当し、社内での共有すら制限されます。 また、秘密保持義務の存続期間も確認してください。「契約終了後5年間」は一般的ですが、「永続的に」という記載は過大な義務です。 修正すべき方向:秘密情報の範囲を「書面で秘密指定されたもの」などと限定する。存続期間を合理的な年数(3〜5年)に設定する。 よくある相談例 あるソフトウェア会社が、取引先から渡された業務委託契約書にサインしたところ、「検収基準を満たさない」として何度もやり直しを求められた事例があります。契約書には検収基準が「当社の合理的判断による」とだけ記載されており、どこで完了になるのかが全く明確でありませんでした。 弁護士に相談した時点では既に契約締結後でしたが、交渉の結果、検収期間・基準を書面で再合意することができました。締結前なら修正交渉がずっと楽です。 別の事例では、テレアポ代行の契約書に「いつでも解除可」という相手方有利の解除条項があり、実際に一方的に解除された上に違約金を請求されました。解除条項の非対称性が後のトラブルに直結した典型例です。 > 契約書チェック・リーガルチェックのご相談はこちら > 弁護士法人ブライト 企業法務 弁護士によるリーガルチェックのすすめ 「大した金額の取引ではないから」と契約書を流し読みする会社ほど、後から大きなトラブルに見舞われます。 弁護士によるリーガルチェックは、1通あたり数万円から対応しているケースが多く、後の損害賠償リスクと比べれば投資として十分元が取れます。顧問弁護士がいれば、随時チェックを依頼できる体制になります。 弁護士法人ブライトでは、顧問契約を通じて、日常的な契約書チェックから交渉・紛争対応まで、一気通貫でサポートしています。 > 無料相談・顧問契約のご案内 > 弁護士法人ブライト 企業法務サービス > 電話:0120-929-739(受付時間 9:00〜18:00) サインする前に一度、ご相談ください。 関連記事 業務委託契約で揉めやすい5つの条項と対処法 NDA締結前に確認すべき5つのチェックポイント 取引基本契約書の5つの注意条項 よくある質問 Q. 相手方が大手企業でも、契約書の修正交渉はできますか? A. はい、一般的に可能です。大手企業の雛形であっても、修正交渉は珍しいことではありません。まず弁護士に問題条項を整理してもらい、修正案を提示する形で交渉するのが一般的です。 Q. 契約書のリーガルチェックはどれくらいの費用がかかりますか? A. 契約書の分量・複雑さによって異なります。単純な契約書であれば数万円から対応している事務所が多く、顧問契約であれば月額費用の中で随時チェックを依頼できるのが一般的です。 Q. 費用はどのくらいかかりますか? A. 事案の内容・複雑さによって異なります。みんなの法務部では初回相談無料でご案内しています。 監修:弁護士法人ブライト 大阪・神戸を拠点に企業法務・顧問弁護士サービスを提供。みんなの法務部として中小企業の法的リスク対応を日々サポートしています。 本記事は一般的な法的情報の提供を目的としており、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な状況については弁護士にご相談ください。 よくある質問 Q. 契約書の修正交渉は相手が大手企業でも可能ですか? A. はい、大手企業の雛形であっても修正交渉は一般的です。弁護士に問題条項を整理してもらい、修正案を提示する形で交渉するのが効果的です。サイン前の交渉がずっと容易なため、早期の相談をお勧めします。 Q. 契約書チェックの費用はどのくらい必要ですか? A. 単純な契約書であれば数万円から対応している事務所が多く、後の損害賠償リスクと比べれば投資として十分元が取れます。顧問契約であれば月額費用で随時チェックを依頼できるのが一般的です。 Q. 契約締結後に不利な条項を見つけたら修正できますか? A. 契約締結後でも交渉で修正できる場合がありますが、締結前の修正交渉がずっと容易です。既に生じたトラブルについては、弁護士に相談の上、対応方針を検討することが重要です。