報連相をしない・虚偽報告をする社員への対応|業務命令と懲戒の当て方【大阪・使用者側弁護士】

報連相をしない・虚偽報告をする社員への対応|業務命令と懲戒の当て方【大阪・使用者側弁護士】

「何度言っても報告が上がってこない」「上がってきた報告が事実と違っていた」——中小企業の社長や管理職から、この二つはほぼセットで相談に来ます。遅刻や無断欠勤と違い、報連相をしない社員は勤怠だけ見れば問題がないように見えます。だから「本人の性格の問題だ」「こちらの指導が足りないのかもしれない」と社内で処理されてしまい、会社が動き出すのが遅れます。

ところが、報告が上がらないまま進んだ案件が納期に間に合わなかった、虚偽の報告を前提に取引先へ回答してしまった——という段階になって、会社は初めて損害を数えることになります。この記事では、報連相をしない社員・虚偽報告をする社員に対して、会社が業務命令懲戒をどう当てるのか、そしてその前提となる報告義務の存在信頼関係の破壊をどう記録・立証しておくのかを、大阪で中小企業の労務対応にあたっている使用者側弁護士の視点で整理します。なお本記事は一般的な情報提供であり、個別の事案について結論を示すものではありません。

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「報告しない」は性格の問題ではなく、業務命令違反になりうる

報連相(報告・連絡・相談)は、多くの会社でビジネスマナーとして語られます。しかし労務対応の場面で決定的なのは、マナーかどうかではなく「報告が労働契約上の義務に含まれているか」です。ここを押さえないまま注意を重ねても、後で「そんな決まりは聞いていない」と言われた時点で崩れます。

報告・連絡・相談は「業務そのもの」として整理する

労働者は、労働契約に基づいて使用者の指揮命令に従い労務を提供します。業務の進捗や結果を報告することは、その労務提供に当然含まれると評価される場面が多く、報告を求める指示は業務命令として成立し得ます。つまり「報告しないこと」は、態度の問題である前に命じられた業務を行っていない状態として捉え直せます。

実務では、この整理を出発点に置きます。弁護士法人ブライトが顧問先から相談を受けた事案でも、対象者が業務報告に一切応じない状況に対し、当事務所の弁護士は「業務報告も業務のひとつであり、何の連絡もないこと自体が業務命令違反になり得る」と整理したうえで、会社側から「業務報告書の作成状況はどうなっているか」「他の業務が立て込んでいるなら報告を優先してよいが、では今は何の業務をしているのか」を確認する連絡を出すよう助言しました。責める言葉ではなく業務の確認という形で出すのが要点です。この一往復が、後に「会社は求めたが本人が応じなかった」という事実の記録になります。

ただし「報連相をしない=ただちに懲戒」にはならない

一方で、報告が遅れた・上がらなかったという事実だけで重い処分を当てるのは危険です。懲戒処分は、労働契約法15条により、行為の性質・態様その他の事情に照らして客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合には権利濫用として無効になり得ます。会社側が説明できなければならないのは、次の3点です。

  • 報告義務が具体的に存在したこと(就業規則・業務分掌・個別の指示のいずれかで特定できるか)
  • 会社が是正の機会を与えたこと(いつ・誰が・どういう形で求め、どう応じなかったか)
  • 会社に実害または実害の危険が生じたこと(納期・品質・取引先対応・安全のどれに響いたか)

この3点が揃わないまま「協調性がない」「社会人として当たり前だ」という言葉で処分に踏み切ると、争われたときに会社側の主張が抽象論だけになります。処分の相当性そのものの判断枠組みについては、業務命令違反社員への懲戒処分|業務命令の有効性と処分相当性で整理しています。本記事は、その手前にある報告義務の存在と信頼関係の破壊をどう記録・立証するかに絞って解説します。

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「報連相をしない」と「虚偽報告」は、法的にはまったく別の問題

社内では同じ「報告の問題」として語られますが、対応を設計するうえでは分けて考える必要があります。前者はやるべきことをやらなかった(不作為)、後者は事実と異なる情報を積極的に会社へ入れた(作為)であり、会社との信頼関係に与える打撃の質が違うためです。

類型 典型的な行為 会社に生じる問題 立証の難易 処分の重さの傾向
不作為型
(報連相をしない)
進捗を報告しない/期限を過ぎても連絡しない/相談せず独断で進める 判断の機会を失う。問題の発見が遅れる 比較的容易(求めた記録と不応答が残る) 注意・指導→譴責が起点。反復と実害の積み上げが前提
虚偽報告型
(作為)
未着手を「完了」と報告/数値や日報の改ざん/出勤・稼働の虚偽記載 会社が誤った前提で対外的な意思決定をする 客観証拠が要る(記録・データ・第三者の裏付け) 1回でも重く評価され得る。ただし手続の厳格さが前提
隠蔽型 ミス・クレーム・事故を報告せず伏せる/発覚後に記録を書き換える 損害が拡大する。対外的な信用に直結する 時系列と改変痕跡の特定が鍵 最も重く評価され得るが、認定を誤ると全体が崩れる

虚偽報告は「結果が出なかった」場合の評価が難しい

虚偽報告で会社が悩むのは、未遂で終わったケースです。実務では、従業員が出勤簿に事実と異なる記載をしたものの、給与の支払前に発覚して金銭的な損害までは生じなかった、という相談を顧問先から受けたことがあります。社長としては「不正をしたのだから懲戒解雇にしたい」と考えるのが自然ですが、法的には、①行為の悪質性(意図的か・反復か)②会社に現実に生じた損害の有無と程度③これまでの指導歴と処分歴④同種事案での社内の取扱いとの均衡——を並べて、処分の重さが釣り合っているかを検討することになります。損害が現実化しなかったという事情は、処分の相当性を判断するうえで無視できない要素です。

ここで会社側が取りやすい失敗は、「悪質だから重い処分で当然」と考えて手続を簡略化することです。悪質性が高い事案ほど、後で争われたときのダメージも大きくなります。重い処分を検討する事案ほど、手続を厚くする——これが実務の感覚です。

「信頼関係の破壊」は言葉ではなく事実の積み上げで示す

会社側の主張書面には「信頼関係が破壊された」という表現が頻繁に登場します。しかし、この言葉自体には説得力がありません。実際に効くのは、次のような事実の並びです。

  • 報告を求めた日時・方法・相手が特定できる記録が複数回分ある
  • それぞれに対して、本人が応じなかった/虚偽の内容で応じた事実が残っている
  • 会社が是正の機会(面談・指導書・改善期間)を与えたことが文書で確認できる
  • それでも同じ行為が繰り返され、業務上の具体的な支障が生じた
  • 他の従業員の業務や職場環境にも影響が及んだ

この並びが揃って初めて、「もはや通常の指導では改善が期待できない」という会社の判断が、第三者から見ても理解できるものになります。逆に言えば、記録がない期間は、法的にはなかった期間として扱われがちです。「3年前から何度も注意している」という社長の言葉は、記録がなければ争いの場では使えません。

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会社がまずやること——報告義務を「業務命令」の形にする4ステップ

報連相の問題は、口頭注意を重ねているうちに数年が経過してしまうのが典型です。次の4ステップは、口頭注意の段階から法的に意味のある記録へ切り替えるための手順です。

図解:報連相の問題を「処分できる状態」に整えるまでの流れ

STEP 1 根拠の確認
就業規則・服務規律・業務分掌に、報告義務と懲戒事由の根拠があるかを先に見る

STEP 2 業務命令化
「何を・いつまでに・どの様式で・誰に」を特定し、形の残る方法で指示する

STEP 3 面談と記録
応じない理由を聴く。応じなかったという事実そのものも記録に残す

STEP 4 書面での警告
改善がない場合は懲戒の対象になり得る旨を、口頭ではなく文書で通知する

その先 弁明の機会付与 → 処分の決定
譴責・減給・出勤停止・降格などを、積み上げた記録に見合う重さで選ぶ

STEP 1:就業規則・業務分掌に報告義務の根拠があるかを先に見る

意外に多いのが、就業規則の服務規律に報告義務の定めがない、あるいは懲戒事由の列挙が古いままというケースです。労働基準法89条は、制裁(懲戒)の定めをする場合には、その種類と程度に関する事項を就業規則に記載すべきこととしています。就業規則に定めのない種類の処分を当てることはできないと考えるのが実務の前提です。処分を検討し始めてから就業規則を見て根拠がないと気づく——これが最も避けたい順番です。

STEP 2:口頭注意ではなく「期限と様式のある業務命令」に変える

「ちゃんと報告してね」は業務命令として弱すぎます。争いになったとき、内容が特定できないからです。次の4要素を入れて、メールでもチャットでも構わないので形が残る方法で出します。

  • 何を:報告する対象(案件名・作業単位・数値項目)
  • いつまでに:期限(「毎週金曜17時まで」など反復可能な形が望ましい)
  • どの様式で:所定の日報・週報フォーマット、あるいはメールでの箇条書き
  • 誰に:提出先(直属の上長・部門長)

この形にしておくと、提出がなかった事実がそのまま「業務命令に従わなかった事実」として残ります。業務命令に従わない社員への対応で解説している段階的対処の考え方は、報告義務の場面でもそのまま使えます。

STEP 3:面談を求め、「応じなかった事実」も記録に残す

実務では、報告が上がらない相手に対して、当事務所の弁護士は次の順序を助言しています。すなわち、「仕事をしていたというのであれば、何をしていたのかを教えてほしい」として面談を申し入れる。面談に応じたなら、実際に何をしていたのかを確認する。応じないのであれば、応じられない理由と、いつなら可能なのかを聴く。この最後の一手が重要で、面談の申入れと不応答が対になって記録されることで、「会社は機会を与えたが本人が応じなかった」という事実が残ります。

面談の場では、会社側が感情的に問い詰めないことも大切です。追及の場ではなく事実確認の場であるという建て付けを崩さないほうが、結果的に会社に有利な記録が残ります。

STEP 4:改善しない場合は懲戒の対象になり得る旨を文書で通知する

実務では、繰り返し注意しても改善が見られない従業員の行為について、当事務所の弁護士は「繰り返し注意しても改善しないのであれば懲戒処分の対象となり、減給の可能性もあること」を、口頭ではなく文書に残して通知する方針を顧問先に助言しています。文書化には二つの効果があります。ひとつは、本人に「会社は本気である」と正確に伝わること。もうひとつは、後日「注意されたことはない」と主張されたときに、会社側が事実を示せることです。

なお、この文書は懲戒処分そのものではありません。処分の予告でもなく、あくまで是正を求める警告という位置づけにしておくと、その後の選択肢(改善が見られたので処分しない、という判断を含めて)を狭めずに済みます。

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虚偽報告が疑われるときの調査——順番を間違えると立証できない

虚偽報告・数値の改ざん・隠蔽が疑われる場面では、調査の順番が結論を左右します。よくある失敗は、疑いを持った上長がその場で本人を呼び出して問い詰めてしまうことです。

本人聴取は「最後」に置く

本人に先に接触すると、関係するデータや書類が消える、関係者との間で説明が揃えられる、といった事態が現実に起こります。実務では、当事務所が顧問先の不正調査に関与した事案でも、関係者が複数名にわたるため口裏合わせによる証拠隠滅が最大の懸念として挙がりました。実際、当初のヒアリングでは曖昧な回答が繰り返され、一部には事実と異なる説明も含まれていました。会社側が客観証拠を先に確保していなければ、本人の説明を崩せないまま終わっていた可能性が高い事案です。

したがって、順番は次のようになります。

  1. 客観証拠の保全:業務システムのログ、日報・報告書の版管理、メール・チャットの履歴、入退館記録、取引先とのやり取り
  2. 周辺関係者からの聴取:直接の当事者ではない同僚・取引担当者から、事実関係の外枠を固める
  3. 本人聴取:確保した証拠と矛盾する説明が出た場合に、その場で確認できる状態にしてから実施

調査手順の詳細は、社内不正の調査の進め方で証拠保全と聴取の実務を扱っています。

弁明の機会付与は、省略できない手続と考える

懲戒処分を検討する段階で欠かせないのが、本人に言い分を述べる機会を与えることです。実務では、当事務所の弁護士は顧問先に対し、「弁明機会付与通知書 兼 弁明書」を作成して本人に交付する運用を助言しています。さらに、その場の進め方についても具体的に指示しています。

  • まず会社として「一連の言動を問題視しており、看過できない」という方針を先に固める(関係者の間で認識を統一しておく)
  • 面談では感情的にならず、事実を伝えることに徹する
  • 録音は必ず取っておく
  • 提出された弁明書の内容を慎重に評価したうえで、配置転換・退職勧奨・懲戒処分といった選択肢を正式に決定する

弁明の機会を与えずに下した処分は、内容が妥当であっても手続の不備を理由に効力を争われます。「弁明を聞いても結論は変わらないから」という理由で省略するのは、会社にとって割に合いません。

調査中に働かせ続けてよいか

証拠隠滅や職場の混乱が具体的に懸念される場合、調査の間だけ自宅待機を命じることがあります。この場合の自宅待機は懲戒処分としての出勤停止ではなく、業務命令としての待機です。実務では、自宅待機命令を検討する際に、就業規則上の根拠があるか、賃金をどう扱うか、業務命令として正当といえるか、権利の濫用と評価される余地はないか——を一つずつ確認したうえで発令する運用をとっています。この整理を飛ばして「とりあえず来なくていい」と言ってしまうと、後に賃金の請求や処分の無効主張の材料になります。

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懲戒の「当て方」——どの処分をどの順番で当てるか

報連相の不履行と虚偽報告では、当てるべき処分の起点が変わります。下表は、一般的な処分の段階と、この2類型での当たり方の傾向を整理したものです。実際の判断は事案ごとに異なりますので、目安としてご覧ください。

処分 内容 報連相をしない(不作為型) 虚偽報告(作為型)
注意・指導 処分ではない。口頭/書面での是正要求 ここから始める。書面化して記録を残す 単純な誤りとの区別がつく段階では、まずここ
譴責(けん責) 始末書を提出させ、将来を戒める 反復した場合の起点 軽微・単発であればここが起点になり得る
減給 賃金の一部を制裁として控除 指導・譴責を経ても改善がない場合 実害が生じた場合に検討
出勤停止 一定期間の就労を禁止(原則として無給) 職場運営に具体的な支障が出ている場合 悪質性が高く反復している場合
降格 役職・等級を引き下げる 管理職として報告体制を壊している場合 職責との関係で信頼が保てない場合
諭旨解雇・懲戒解雇 雇用契約を終了させる最も重い層の処分 単独で当たることは通常ない 組織的・反復的で会社への打撃が大きい場合に検討

減給には法律上の上限がある

減給を選ぶ場合、労働基準法91条の制限を外せません。1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない、という枠です。「損害額に見合った額を給与から引く」という発想は、この制裁としての減給の枠を超えます。損害の賠償を求めるのであれば、制裁としての減給とは別の問題として整理する必要があります。懲戒処分の進め方で、5段階の処分と手続の流れを詳しく解説しています。

段階を飛ばすと、処分そのものが無効になり得る

会社側で最も多い失敗が、指導の記録がないまま重い処分に踏み込むことです。労働契約法15条は、懲戒が客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められない場合、権利濫用として無効になると定めています。過去に一度も書面で注意していない状態からいきなり出勤停止を当てれば、「他に取り得る手段があったのではないか」という点が争点になります。

逆に、STEP 1〜4を踏んで記録が積み上がっていれば、同じ処分でも会社の説明は格段に通りやすくなります。処分の重さより、そこに至る過程のほうが争われる——この感覚を持っておくと、対応の設計が変わります。

重い処分では「予備的な意思表示」も検討する

実務では、懲戒解雇に踏み切る事案で、当事務所の弁護士は予備的に普通解雇の意思表示も併せて行う二段構えを採ることがあります。懲戒解雇が手続や相当性の点で無効と判断された場合に備え、通知書の中で「併せて、予備的に本日付で普通解雇とする」旨を明示しておく方法です。この事案では、就業規則の懲戒規定と普通解雇の規定の対応関係を確認したうえで、通知の文面を統一しました。処分を出す瞬間の一文が、その後の紛争の見通しを大きく変えます。問題社員を解雇したい社長へも併せてご確認ください。

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会社側がつまずく5つのパターン

報連相・虚偽報告の案件で、相談を受けた時点ですでに会社が不利になっているケースには共通点があります。

  1. 口頭注意だけで数年が経過している:本人に伝えたつもりでも、記録がなければ争いの場では存在しなかった扱いになりがちです。
  2. 報告義務の内容が特定されていない:「ちゃんと報告して」では、何を怠ったのかを後から説明できません。
  3. 本人を先に問い詰めてしまった:証拠が消え、説明が固まってから調査を始めることになります。
  4. 感情が先に立って処分を急いだ:悪質性が高い事案ほど、手続の不備が命取りになります。
  5. 他の従業員への影響を放置した:報告体制が壊れた職場では、まじめに報告している社員のほうが疲弊します。対応が遅れると、辞めていくのは周囲の社員からです。

5つ目は数字に表れにくいのですが、経営上の損失としては最も大きいと感じています。勤務態度が悪い社員・遅刻を繰り返す社員への対応モンスター社員への対応方法でも触れているとおり、一人の問題行動を放置した職場では、周囲の社員の「この会社は動いてくれない」という判断が静かに進みます。

弁護士に相談するタイミングと、相談してから変わること

報連相・虚偽報告の案件で、相談のタイミングとして望ましいのは「処分を決めた後」ではなく「指導を書面に切り替えるとき」です。理由は単純で、処分を決めた後に相談を受けても、弁護士にできることは記録の不足を補う作業に限られるからです。

こういう状態になったら相談を検討してください

  • 同じ相手に3回以上、同じ内容の注意をしている
  • 報告内容と実態の食い違いが確認された(金額・稼働・進捗のいずれか)
  • 取引先や顧客に対して、誤った情報を伝えてしまった
  • 本人が「パワハラだ」と主張し始めた、または労働組合・退職代行から連絡が来た
  • 周囲の社員から「あの人がいるなら辞めたい」という声が上がっている

4つ目に該当する場合は、社内対応と並行して法的な整理が必要になります。指導とハラスメントの線引きは、記録の残し方でほぼ決まります。

大阪の中小企業でよくある「社内に法務がいない」問題

大阪で中小企業の労務対応をしていて痛感するのは、報連相の問題が誰の担当でもないまま放置されることです。総務は人事評価の話だと考え、現場の管理職は自分の指導力の問題だと抱え込み、社長のところには「あの人はちょっと」という抽象的な報告しか上がってこない。結果として、会社としての記録が一枚もないまま数年が過ぎます。

弁護士法人ブライトは、法務部を置けない規模の会社の外部法務部として、この「担当者不在」の部分に入ります。顧問先130社以上を実名で公開しており、業種も規模もさまざまな会社の労務対応に日常的に関与しています。報連相の問題は、業種が違っても起きる形がよく似ているため、他社での対応の型がそのまま使える場面が多い分野です。

相談だけなら顧問契約がなくても可能です

「顧問契約をしていないと相談できないのでは」というお問い合わせをよくいただきますが、まずご状況をうかがい、進め方を整理するところまでは顧問契約の有無にかかわらず対応しています。そのうえで、当事務所が代理人として実際に動く段階(通知書の名義、団体交渉への出席、労働審判・訴訟の対応など)については、顧問プラン、または法務ドック(顧問契約前の単発の法務診断)と組み合わせる形でお受けしています。継続的に会社の内情を把握したうえでないと、労務案件は判断を誤りやすいためです。

問題社員対応の全体像は問題社員対応の特化ページに、対応手順の基本は問題社員への対応手順にまとめています。

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よくある質問(Q&A)

Q1. 報連相をしないことだけを理由に解雇できますか?

報告を怠ったという事実のみで直ちに解雇が有効になると考えるのは危険です。解雇は、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当と認められなければ権利濫用として無効になり得ます。会社側に求められるのは、報告義務の内容が特定されていたこと、書面での注意・指導を重ねたこと、改善の機会を与えたこと、それでも改善せず業務に具体的な支障が生じたこと——という積み上げです。まずは指導を書面化し、記録を残す段階から始めるのが実務的な順番です。

Q2. 虚偽報告が1回だけでも懲戒処分はできますか?

虚偽報告は、報告を怠る不作為よりも重く評価されやすい類型です。ただし、1回であれば必ず処分できるという単純な話ではなく、意図的だったか、会社にどのような損害または危険が生じたか、これまでの指導歴はどうか、社内の同種事案とのバランスはとれているか、といった要素を総合的に見て処分の重さを決めることになります。重い処分を検討する事案ほど、弁明の機会付与を含めた手続を丁寧に踏むことが重要です。

Q3. 報告書の提出を業務命令として出したいのですが、パワハラだと言われませんか?

業務上必要かつ相当な範囲での指示は、業務命令として正当なものと評価されます。線引きの分かれ目になりやすいのは、指示の内容ではなく出し方です。人格を否定する言葉を使わない、他の従業員の前で叱責しない、期限と様式を具体的に示す、応じない理由を聴く機会を設ける——この4点を守れば、業務命令としての性格が明確になります。逆に、感情的なやり取りが記録に残ると、後にその部分だけが切り取られて主張されます。

Q4. 調査のために自宅待機を命じたら、その間の給与は支払う必要がありますか?

懲戒処分としての出勤停止と、調査中の業務命令としての自宅待機は別のものです。後者は会社の都合による就労免除としての性格が強いため、賃金の取扱いは就業規則の定めと待機命令の必要性・相当性によって判断されます。実務では、後の争いを避けるために賃金を支払ったうえで待機を命じる例が多く見られます。命令を出す前に、就業規則上の根拠と賃金の取扱いを確認しておくことをお勧めします。

Q5. 大阪の会社ですが、相談は来所しないとできませんか?

大阪市内の事務所での面談のほか、オンラインでのご相談にも対応しています。労務案件は、就業規則・雇用契約書・指導の記録などの書面を一緒に見ながら整理するほうが早いため、事前に資料をお送りいただいたうえでお話しする形をとることが多いです。急いで処分を出す前の段階でご相談いただくことが、結果的に会社の選択肢を広く保つことにつながります。

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和氣良浩 弁護士

この記事の監修者

和氣 良浩(わけ よしひろ)

弁護士法人ブライト|代表弁護士/パートナー弁護士

弁護士歴20年(2006年登録)/大阪弁護士会/大阪大学法学部卒

専門:顧問弁護士・企業法務・M&A・経営権紛争・事業再生

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