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交通事故の基礎知識

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後遺障害 異議申立て3つの戦略|非該当・等級アップを目指す具体策

この記事の執筆弁護士

弁護士 松本 洋明(弁護士法人ブライト 交通事故主任)

大阪弁護士会所属。交通事故・後遺障害認定の実務を主任として統括。異議申立てによる等級獲得・等級アップの指揮を多数経験。

この記事の監修弁護士

弁護士 和氣 良浩(弁護士法人ブライト 代表)

大阪弁護士会所属。弁護士法人ブライト代表。「みんなの法務部」コンセプトの提唱者。

最終更新日:2026年5月28日

この記事の結論(30秒でわかる)

  • 後遺障害が 「非該当」または想定より低い等級 でも、異議申立てに回数制限はない
  • 等級獲得・等級アップの戦略は 3パターン:①医学的所見の追加 ②医師の意見書取得 ③陳述書・生活実態の客観化
  • 異議申立てには 時効リスク がある(後遺障害分は症状固定日から3年)。並行して時効中断を進める。
  • ブライトには 9級・12級・14級の異議申立て獲得実例 が複数あります。

「後遺障害は非該当でした」「想定していた等級より低い結果でした」——自賠責保険会社から届く認定結果通知は、被害者の方にとって受け入れがたいものです。しかし、認定結果は 最終確定ではありません。異議申立てによって等級獲得・等級アップを目指す道が残されています。

この記事では、弁護士法人ブライト交通事故主任の松本洋明弁護士が、異議申立てで結果を変えるための3つの戦略パターンと、ブライトが実際に経験した成功事例を解説します。詳しい後遺障害認定の全体像は 後遺障害認定の完全ガイド をご覧ください。

異議申立てとは何か

異議申立てとは、自賠責保険会社(および損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所)が出した 後遺障害等級の認定結果に対して、再審査を求める手続き です。

最大の特徴は 回数制限がない こと。1回目の異議申立てで結果が変わらなくても、新しい資料を追加して2回目・3回目と申立てを続けることができます。ただし、後述する 時効リスク には注意が必要です。

異議申立てが認められるケースの特徴

異議申立てで結果が覆る案件には共通点があります。それは 「初回申請時に提出されていなかった情報・資料」を新たに提示できているかどうか。同じ資料で「もう一度審査してください」と言っても結果は変わりません。追加で何を出すか が勝負を分けます。

【CTA①】非該当通知が届いたら、まず弁護士へ

通知書を見せていただければ、「何を追加すれば等級が取れる可能性があるか」を初回相談(無料)で具体的にお伝えします。

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非該当通知書を読み解く 3つのポイント

異議申立ての成否は、「非該当の理由書」を正しく読み解けるか で半分決まります。通知書には、自賠責損害調査事務所が「なぜ等級を認めなかったのか」が明記されています。ここから3つのポイントを確認します。

ポイント①:他覚的所見の評価

「画像所見上、明らかな異常を認めない」「他覚的所見に乏しい」などの記載がある場合、医学的所見の追加(戦略①)で対応する余地があります。MRIの追加撮影、別の医療機関でのセカンドオピニオン、神経学的検査の追加実施などです。

ポイント②:症状の一貫性・連続性

「通院が断続的」「症状の経過に変動が見られる」などの指摘は、陳述書・通院記録の補強(戦略③)で対応します。通院間隔が空いた理由(仕事の都合・体調悪化など)を客観化することで、症状の一貫性を立証できます。

ポイント③:事故との因果関係

「事故との因果関係について十分な所見を認めない」とある場合は、医師の意見書取得(戦略②)が有効です。主治医や専門医に、症状と事故の因果関係を医学的に明確化してもらいます。

戦略①:医学的所見の追加

最も効果が高い戦略です。初回申請時に提出していなかった画像・検査結果を追加して再審査を求めます。

追加できる医学的所見の例

  • MRIの追加撮影:1回目で異常所見が明確でなかった場合、別の医療機関で再撮影。とくに頚椎・腰椎の神経圧迫所見を狙う。
  • 神経学的検査:スパーリングテスト、ジャクソンテスト、SLRテストなどの結果を追加。
  • 電気生理学的検査:神経伝導速度検査(NCV)、針筋電図(EMG)。末梢神経障害の立証に有効。
  • 骨シンチグラフィ・サーモグラフィ:CRPS(複合性局所疼痛症候群)の立証に特殊検査。
  • 可動域測定の再実施:健側との比較・参考可動域との対比を明記。

「他覚的所見なし」→「12級13号」へステップアップする道

むちうちで「14級9号」に止まった、または非該当になったケースで、追加MRIによって神経圧迫所見が確認できれば 12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)が見えてきます。等級が1つ上がるだけで、慰謝料は 110万円 → 290万円(赤本基準)、労働能力喪失率は 5% → 14% と大きく変わります。

【CTA②】追加検査を受けるべきか迷ったら

「どの検査を、どの医療機関で受けるべきか」は症状によって変わります。ブライトでは検査計画から並走します。

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戦略②:医師の意見書取得(協力医のセカンドオピニオンを含む)

後遺障害診断書だけでは伝えきれない医学的判断を、主治医または専門医の意見書 として補強します。

意見書で立証する3つの観点

  1. 症状と事故の因果関係:「事故前から症状があったのではないか」「他の原因ではないか」という反論を予防します。
  2. 労働能力への影響:症状が現実の労働・家事にどう影響しているかを医学的に説明。
  3. 将来の症状改善の見込み:「もう少し治療すれば治る」と判断されないよう、症状固定の妥当性を裏付けます。

主治医が書いてくれないときは「協力医」という選択肢

主治医が意見書の作成に消極的なケースは実際にあります。多忙な臨床業務のなかで、自賠責の審査で何が重視されるかを把握している医師ばかりではないためです。このとき有力な打ち手が、主治医とは別の専門医(協力医)からセカンドオピニオンとしての意見書を取得する方法です。異議申立てで判断が変わった事案では、この協力医意見書が決め手になることがあります。

  • 該当部位の専門医を選ぶ:脊椎・四肢なら整形外科専門医、脳外傷なら脳神経外科・神経内科の専門医、というように障害部位と専門領域を一致させます。
  • 後遺障害の意見書作成経験がある医師を選ぶ:自賠責の認定基準を踏まえた記載ができるかどうかで、書面の説得力が変わります。
  • 弁護士のネットワークを使う:被害者ご本人が独力で協力医を探すのは容易ではありません。ブライトでは必要に応じて協力医・専門医をご紹介しています。

協力医意見書の作成費用は 5万円〜15万円程度 が一つの目安です(専門性・分量により変動します)。等級が1つ変われば賠償総額が数百万円単位で動く事案もあるため、費用対効果を弁護士と検討したうえで判断されることをお勧めします。

意見書を依頼するときの注意点

意見書は医師に 有償で作成を依頼 するもので、相場は 5万円〜30万円 程度です。専門性が高い分野(高次脳機能障害・CRPS・PTSD等)は高額になる傾向があります。費用は最終的に賠償金から精算できる場合が多いですが、まず弁護士と費用対効果を検討するのが賢明です。

ブライトでは、既往症の影響を相手保険会社に主張された訴訟で医学的意見書を取得した事例 があります。Zoom協議を活用して効率的に意見書を取得しました。

戦略③:陳述書・生活実態の客観化

医学的所見が乏しいケースでも、症状による日常生活・労働への影響を客観化 することで、認定の判断材料を増やせます。

陳述書に書くべき内容

  • 事故から症状固定までの経過:いつ・どこが・どのように痛むか。時期ごとの症状の変化。
  • 日常生活への影響:朝起きるとき・通勤・家事・睡眠などの具体的な制限。
  • 労働への影響:仕事内容で何ができなくなったか、業務効率の低下、休職の有無。
  • 通院の継続理由:症状が続いている事実と、治療への意欲。

家族・職場からの陳述書も有効

本人だけでなく、家族・職場の上司・同僚 の陳述書も取得すると、客観性が増します。「事故前後で本人の動作・性格・仕事ぶりがどう変わったか」を第三者視点で証言してもらいます。とくに高次脳機能障害の認定では、家族の陳述書が決定打になることが多くあります。

「日常生活状況報告書」を作り込む(高次脳機能障害・脊髄損傷)

高次脳機能障害など、ご本人に病識が乏しくなりうる障害では、自賠責の審査で 日常生活状況報告書(ご家族・同居者が記載する書式)が重視されます。ここが薄いまま提出されている案件は少なくありません。作り込みのポイントは次のとおりです。

  • 事故前と事故後を必ず対比して書く:「怒りっぽい」ではなく「事故前は年に数回だった口論が、事故後は週に2〜3回になり、原因を覚えていないことがある」というように、頻度と具体的エピソードで書きます。
  • 時系列のメモを残す:カレンダー・日記アプリで日々の出来事を記録しておくと、報告書に落とし込むときの根拠になります。
  • 第三者の観察も併記する:同僚・友人・学校の担任など、家族以外の視点は客観性を高めます。
  • 自由記述欄が足りなければ別紙を添付する:様式の枠に収める必要はありません。

日記・通院記録・家計簿による裏付け

陳述書の内容を裏付ける客観資料として、日記・通院記録・家計簿・職場の出勤簿 なども有効です。「症状による生活実態の変化」を数字とエピソードで示せれば、書面審査の説得力が増します。

【CTA③】陳述書の書き方が分からない方へ

陳述書は単に「困っています」と書くだけでは効果がありません。認定基準に合わせた構成 が必要です。ブライトが構成案をご用意します。

▶ 陳述書のサポート依頼はこちら

後遺障害診断書の補強|主治医連携が逆転のカギ

後遺障害の審査は、自賠責損害調査事務所が 提出された書面だけで 行います。被害者ご本人が審査担当者に直接症状を訴える機会はありません。つまり、後遺障害診断書の記載内容が結果をほぼ決めてしまうのです。異議申立てで戦略①〜③を組み立てる前に、まず「初回の診断書に何が書かれていたか」を確認してください。

非該当になった診断書に共通する4つの特徴

  • 自覚症状欄が「頚部痛」「腰痛」など2〜3語で簡潔に済まされている
  • 他覚症状および検査結果欄が空欄、または「特記なし」と記載されている
  • 画像所見への参照記載が乏しい(撮影はしているのに書かれていない)
  • 「症状固定」とだけ書かれ、今後も症状が残る見通しについて記載がない

これは医師が手を抜いているのではありません。多忙な臨床業務のなかで「自賠責の審査で何が重視されるか」を知らずに作成されていることが大半です。だからこそ、被害者側(または弁護士)が補強の方向性を示して依頼すれば、診断書の内容は大きく変わり得ます。

主治医連携の進め方(5ステップ)

大切なのは、医師の専門性を尊重しながら、伝えるべき症状を漏らさず伝えることです。

  1. 事前面談を依頼する:後遺障害診断書の作成前に時間をいただき、症状を整理して伝えます。
  2. 症状一覧表を持参する:時期・部位・頻度・強度・誘因を整理した書面をお渡しします。口頭より確実です。
  3. 未実施の検査を伝える:MRI・神経学的検査(腱反射、徒手筋力検査、知覚検査、スパーリングテスト、ジャクソンテスト等)、筋萎縮の周径測定、可動域測定が未実施なら依頼します。
  4. 診断書のドラフトを確認させてもらう:可能であれば、作成中の段階で一度内容を確認します。
  5. 異議申立て段階では追加意見書を依頼する:「症状経過と画像所見の医学的整合性」について、診断書とは別に意見書を求めます。

ブライトの「診断書 事前チェック」運用

弁護士法人ブライトでは、後遺障害診断書を提出する前に 弁護士とパラリーガルで内容をチェックする 運用を取っています。チェック観点は次の4点です。

  • 自覚症状が、等級基準に届く具体性で記載されているか
  • 他覚的所見・神経学的検査結果が、等級判断に必要な要素を満たしているか
  • 画像所見との整合性が文面上で明確か
  • 「症状固定」の記載に矛盾がないか(治療継続の余地が残る書き方になっていないか)

不足があれば、被害者ご本人にお伝えしたうえで、追加検査・追加記載を主治医にお願いいただきます。「診断書を受け取って即提出」ではなく、「提出前に整えてから出す」——これがブライトの基本運用です。診断書そのものの書式と記載項目は 後遺障害診断書の書き方 完全ガイド で解説しています。

【CTA】診断書を提出する前にご相談ください

診断書は一度提出すると、後から差し替えるのに手間がかかります。提出前の30分が結果を変えることがあります。相談料は何度でも無料です。

▶ 後遺障害診断書のチェック相談 06-4965-9590

ご自身でできる準備と、期間・費用の目安

弁護士に相談する前に揃えておきたい5点

次の資料が揃っていると、初回相談でそのまま方針判断まで進めます。結果として時効対策とスピード対応にもつながります。

  • 結果通知書と別紙(認定理由):何が足りないと判断されたのかが書かれた、最重要資料です。
  • 診療録(カルテ)・画像CD-R:通院した医療機関に開示請求します。
  • 症状日記:現在の症状と日常生活への支障を時系列で記録したもの。
  • 事故関係資料:交通事故証明書、車両損傷写真、ドライブレコーダー映像、実況見分調書。事故態様と受傷機転の整合性を示す資料になります。
  • 収入関係資料:源泉徴収票・確定申告書。逸失利益の算定に使います。

異議申立てにかかる期間の目安

段階 期間の目安
弁護士相談〜方針決定 初回相談1〜2回(2〜4週間)
診療録・画像の取り寄せ、主治医意見書の取得 1〜3か月
異議申立書の作成・提出 2〜4週間
自賠責による再審査 2〜4か月
合計(自賠責への異議申立て) 4〜8か月

※ あくまで一般的な目安です。医証の収集に時間を要する事案や、高次脳機能障害のように経過観察が求められる事案では、さらに長くなることがあります。認定にかかる期間の全体像は 後遺障害等級認定にかかる期間と、遅いときの対処法 をご覧ください。

ブライトの「被害者請求でコントロールする」原則

ブライトでは、後遺障害の申請を 原則として被害者請求 で進めます。すでに事前認定で申請済みの案件であっても、ご依頼いただいた時点で 相手方任意保険会社から資料を引き取り、被害者請求に切り替えることで、どの資料が審査に出ているかを当方で完全に把握できる体制を作ります。何が提出されたか分からないまま結果だけを受け取る——という状態を避けるためです。両者の違いは 事前認定と被害者請求の違い で詳しく解説しています。

異議申立ての時効管理

異議申立てに回数制限はありませんが、自賠責保険の請求権には消滅時効 があります。2020年4月1日以降に発生した事故の場合、傷害分は事故発生日から3年・後遺障害分は症状固定日から3年 です。

時効を中断する3つの方法

  1. 時効中断申請書の提出:自賠責保険会社に書面で提出することで、時効を中断できます(自賠責保険会社所定の様式)。
  2. 裁判上の請求:相手方任意保険会社に対して訴訟提起することで、自賠責への時効も中断する場合があります(要弁護士判断)。
  3. 債務承認:相手方保険会社からの支払いや書面承認も時効中断事由になります。

ブライトの実例:9級認定後の時効管理

後遺障害9級10号で異議申立て2回失敗・時効管理事例 では、2028年7月の自賠責時効を念頭に、異議申立てと並行して時効中断手続きを進めました。「異議申立てを続けているうちに時効を逃す」 という最悪のシナリオを回避するのは、弁護士の重要な役割です。

【CTA④】事故から2年以上経過している方は要注意

時効が迫っている案件は、異議申立てより先に時効中断の手続きを優先する必要があります。まずはお電話ください

▶ 時効リスクのご相談 06-4965-9590

ブライトの異議申立て成功事例

弁護士法人ブライトの異議申立て事例の一部を紹介します(すべて匿名化済み)。

【CTA⑤】自分のケースに近い事例を相談したい方へ

▶ 事例ベースの無料相談はこちら

異議申立て申請書の構成と書き方

異議申立ては 「異議申立書」 という書面を自賠責保険会社に提出して行います。所定様式はなく、書き方の自由度が高い一方で、構成を間違えると審査官に読まれない という落とし穴があります。

異議申立書に必ず盛り込む7つの構成要素

  1. 表題と当事者情報:「異議申立書」「事故日」「自賠責証明書番号」「申立人氏名」を冒頭に明示
  2. 結論の明示:「初回認定(非該当 or 14級9号等)を取り消し、〇級〇号の認定を求める」と最初の1〜2行で結論を打ち出す
  3. 初回認定の理由書の引用と反論:自賠責損害調査事務所が示した「非該当(or 想定より低い等級)の理由」を引用し、何が事実と異なるか/何が見落とされたかを項目別に反論
  4. 追加資料の説明:今回新たに提出する画像・意見書・陳述書・検査結果を一覧化し、それぞれが等級認定にどう関係するかを簡潔に説明
  5. 医学的考察:症状と他覚的所見の解剖学的整合、事故との因果関係、症状の重さの定量化を医学用語で記述(医師の意見書と対応させる)
  6. 労働能力・日常生活への影響:自覚症状が「実際の生活でどう不利益を生じているか」を陳述書・日記等の客観資料と対応させて記述
  7. 結語と添付資料一覧:申立人の署名・押印、添付資料のリスト(番号付き)

審査官に読まれる書面にするための工夫

自賠責損害調査事務所には大量の申請が集まります。分量が多すぎる・構成が散らかっている書面は最後まで読まれない リスクがあります。実務的なコツは次のとおりです。

  • 本文は A4で5〜8ページ 程度に収める(添付資料は別途)
  • 各章に 見出し を入れて読み飛ばしを誘導
  • 「初回認定理由 → ブライト側の反論」を 並列の表形式 で示す
  • 医学用語は 正確に。曖昧な表現は信頼を損なう
  • 感情論・批判的表現は避け、事実と医学的根拠 のみで構成

認定基準・裁判例の引用で論理武装する

異議申立書は「気持ちを伝える手紙」ではなく、審査官を説得するための論証です。次の要素を入れると、書面としての強度が上がります。

  • 認定基準の引用:主張する等級の要件(例:12級13号の「頑固な神経症状」)を条文・認定基準の文言で示し、そこに本件の事実を当てはめる。
  • 同種事案の裁判例:同じ症状・同じ検査所見で等級が認められた裁判例があれば、判断枠組みとして引用する。
  • 医学文献:症状と受傷機転の医学的整合性について、教科書・学会ガイドラインの記述を根拠にする。
  • 論理の順序を固定する事実 → 医学的評価 → 等級該当性 → 結論 の順で書く。順序が入れ替わると読み手が迷います。

なお、異議申立書そのものの書式・記載例・ひな形をお探しの方は、後遺障害の異議申立書の書き方と申立てのコツ をあわせてご覧ください。本記事は「どう戦うか(戦略と立証)」、そちらは「どう書くか(書式と手続)」を扱っています。

添付資料の整え方

添付資料は 番号付き+簡潔な表紙 で整理します。例:

  • 甲1:追加MRI画像(撮影日:2026年〇月〇日、〇〇医院)
  • 甲2:神経内科医○○医師の医学的意見書(2026年〇月〇日付)
  • 甲3:本人陳述書(症状の経過と日常生活への影響)
  • 甲4:家族陳述書(事故前後の生活変化)
  • 甲5:勤務先からの陳述書(業務遂行困難の客観化)

【CTA】異議申立書の起案を依頼したい方へ

ブライトでは異議申立書の構成案・反論ロジック・添付資料の整理まで弁護士が直接担当します。

▶ 異議申立書 起案サポート相談

結果が変わらないとき—紛争処理機構と訴訟

異議申立てを複数回試みても結果が変わらない場合、自賠責の枠を超えた次のステップがあります。

選択肢①:自賠責保険・共済紛争処理機構

「自賠責保険・共済紛争処理機構」は、自賠責保険の支払いに関する紛争を中立的に審査する国土交通省・金融庁所管の第三者機関です。無料・1回限り ですが、自賠責損害調査事務所とは別の医師・弁護士による調停的審査が受けられます。

紛争処理機構を使うメリット・デメリット

  • メリット:①無料 ②中立的審査 ③自賠責事務所と独立した判断 ④書面審査で被害者の負担が比較的軽い
  • デメリット:①1回限り ②結果は法的拘束力なし(保険会社が従わないこともある) ③申請から判断まで6ヶ月〜1年

紛争処理機構が向いている事案

異議申立てを2〜3回行っても結果が変わらない事案、自賠責事務所の判断に明らかな医学的見落としがある事案、訴訟まで踏み込むには至らない事案などで有効です。

選択肢②:相手方任意保険会社に対する訴訟提起

自賠責の認定とは独立に、裁判所が後遺障害等級相当の損害を認める 道があります。これは「自賠責で〇級が認定されているか」とは別に、訴訟の中で 裁判所自身が後遺障害の存否・程度を判断 する手続きです。

訴訟で後遺障害を主張する戦略

  • 自賠責で非該当でも、訴訟で 14級相当 の損害賠償が認められた事例は多数存在
  • 裁判所は自賠責認定に 事実上拘束されない(ただし重要な参考資料として参照する)
  • 医師の証人尋問・専門家証人によって、書面審査では伝わらなかった症状の重さを示すことができる
  • 勝訴判決が出れば、相手方保険会社は判決額を支払う法的義務を負う

訴訟のリスクと判断

訴訟は時間(1〜2年)・費用・心理的負担が大きく、結果が確実とは言えません。自賠責の異議申立て・紛争処理機構を尽くしたうえで、得られる賠償増額と訴訟コストのバランス を見て判断します。ブライトでは事案ごとに勝訴可能性と費用対効果を試算してご提案します。

【CTA】異議申立てが行き詰まった方へ

紛争処理機構と訴訟、どちらが事案に適しているかを 勝訴可能性×費用×時間 の3軸で診断します。

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戦略の組み合わせ別ケーススタディ

異議申立てで結果が変わった事案は、ほとんどが 戦略①②③の組み合わせ によるものです。代表的な組み合わせパターンを紹介します。

ケースA:戦略①+② → 非該当から14級認定(むちうち事案)

初回申請で非該当だったむちうち事案で、追加MRI(戦略①)と 整形外科専門医の医学的意見書(戦略②)の組み合わせで14級9号認定を獲得したパターンです。MRIで頚椎椎間板の軽度膨隆所見を再確認し、意見書で「症状と所見の解剖学的整合」を示しました。

ケースB:戦略①+③ → 14級から12級ステップアップ(神経症状)

初回14級9号認定後、電気生理学的検査(戦略①の追加検査)と 本人・家族・職場からの陳述書(戦略③)を組み合わせて12級13号にステップアップした事案。神経伝導速度の低下を客観化し、生活実態への影響を多面的に立証しました。

ケースC:戦略②+③ → 高次脳機能障害の認定(精神系)

当初「事故と症状の因果関係が不明」とされた高次脳機能障害事案で、神経心理学的検査の追加実施・脳神経外科医の意見書(戦略②)に加えて、家族からの陳述書(戦略③)で事故前後の人格変化・生活変化を客観化して認定された事案です。

ケースD:戦略①②③の全部投入 → 重度後遺障害の等級アップ(脊髄損傷)

脊髄損傷で初回9級認定の事案で、3戦略すべて を投入して7級にステップアップした事案。MRI追加撮影、脳神経外科専門医の意見書、本人・家族の陳述書、職場の出勤記録、リハビリ記録など、立証材料を網羅的に積み上げました。

失敗パターン:同じ資料で「もう一度審査を」

逆に、異議申立てが 確実に失敗するパターン もあります。それは 「初回と同じ資料で、ただ感情的に再審査を求める」 申立てです。自賠責事務所は同じ資料からは同じ結論しか出しません。必ず 「初回になかった新材料」 を加えてください。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 異議申立てに何回まで挑戦できますか?

A. 回数制限はありません。新しい資料を追加して2回目・3回目と続けられます。ただし時効リスクがあるため、長期化しすぎないよう戦略的に進める必要があります。

Q2. 異議申立てで等級が下がることはありますか?

A. 自賠責の異議申立てでは、すでに認定された等級が 引き下げられることは原則ありません。安心して申立てが可能です。ただし紛争処理機構・裁判では別途検討が必要です。

Q3. 異議申立てにかかる期間は?

A. 通常 3〜6ヶ月 程度です。複雑な事案や追加資料が多い場合は半年以上かかることがあります。

Q4. 異議申立てが何度も失敗したら、他に手段はありますか?

A. はい。自賠責保険紛争処理機構への申請、または 訴訟提起 という選択肢があります。とくに紛争処理機構は中立的な第三者機関で、自賠責の判断を再評価する制度です。

Q5. 異議申立ては自分でできますか?

A. 制度上は可能ですが、非該当の理由書を読み解いて適切な追加資料を組み立てる には専門知識が必要です。ブライトでは異議申立て専門のチェックリストで対応します。

Q6. 弁護士費用はどのくらいかかりますか?

A. 弁護士費用特約 をご利用の場合、自己負担はほぼゼロです。特約がなくても、賠償金からの精算が一般的です。詳しくは初回相談で具体的にご説明します。

まとめ

後遺障害認定の結果に納得がいかないとき、異議申立て3つの戦略——医学的所見の追加・医師の意見書取得・陳述書による生活実態の客観化——を組み合わせれば、等級獲得・等級アップの可能性は十分にあります。

ただし、異議申立てには 時効管理 という重要な実務的論点があります。「諦めない」ことと「時間を浪費しない」ことの両立が、戦略の本質です。

非該当通知書を受け取った方、想定より低い等級で困っている方は、通知書到着から1ヶ月以内 を目安に弁護士へご相談ください。早いほど取れる戦略が増えます。

【CTA⑥】異議申立て 無料相談

大阪・梅田の弁護士法人ブライト 交通事故主任 松本洋明 弁護士が初回相談を担当します。

※弁護士特約をお持ちの方は自己負担なしで弁護士に依頼できる場合があります。

関連記事:後遺障害認定の完全ガイド後遺障害診断書の書き方認定にかかる期間

  • この記事を書いた人

代表弁護士:和氣 良浩

弁護士法人ブライト代表弁護士: 2006年に独立開業してから交通事故被害の回復に努めてきました。これまで1000件を超える交通事故を解決して参りましたが、被害者が低い賠償金で納得させられているケースをたくさん見てきました。 一人でも多くの被害者が適切な補償を受けられるように情報発信を行っています。

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。

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交通事故担当弁護士

  • 代表弁護士 和氣良浩

    代表弁護士 和氣良浩
             

事務所概要

事務所名 弁護士法人 ブライト(大阪弁護士会所属)
開 業 平成21年(代表弁護士独立開業)
設 立 平成24年11月設立、平成27年1月に法人化
所在地 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎2丁目6番6号 コウヅキキャピタルウエスト12階
TEL 06-4965-9590(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
事業内容 法人向け(法律顧問・顧問サービス、経営権紛争、M&A・事業承継、私的整理・破産・民事再生等、契約交渉・契約書作成等、売掛金等の債権保全・回収、経営相談、訴訟等の裁判手続対応、従業員等に関する対応、IT関連のご相談、不動産を巡るトラブルなど)、個人向け(交通事故・労災事故を中心とした損害賠償請求事件、債務整理・破産・再生等、相続、離婚・財産分与等、財産管理等に関する対応、不動産の明渡し等を巡る問題など)

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宿泊業経営者のための新リーガル戦略
弁護士法人ブライト (著)
2026年10月のカスハラ対策義務化から、悪質クレームと合理的配慮の境界線、合法的な宿泊拒否の手順まで。当法人が対応してきた8つの実務事案をもとに、宿泊業の予防法務を解説します。
2026年10月のカスハラ対策義務化から、悪質クレームと合理的配慮の境界線、合法的な宿泊拒否の手順まで。当法人が対応してきた8つの実務事案をもとに、宿泊業の予防法務を解説します。