「前の顧問弁護士、取引先でも使っていたみたいなんだけど、これって大丈夫なのかな」——そんな引っかかりを感じたまま、特に何も確認せず契約を続けていた、という社長は少なくないと思います。弁護士との信頼関係は大切だからこそ、「疑うのも失礼かな」「きっと問題ないだろう」と、モヤモヤを飲み込んでしまう。 でも実は、この「引っかかり」は非常に重要なサインです。弁護士が過去の依頼者や現在の別の依頼者と利益が衝突している状態で動いていると、いざというときにあなたの会社の利益を全力で守れない、という事態が現実に起きています。 この記事では、「利益相反」という言葉を入口に置かず、社長の判断に直結する形で、何が問題なのか・どう確認すればいいのか・どう体制を整えればいいのかを整理します。 「利益相反」が問題になるのは、どんな場面か 利益相反とは、ひとことで言えば「弁護士が、立場上あなたの利益と対立する可能性がある状態で動いていること」です。弁護士は、法律上・倫理上、一方の依頼者の利益のために全力を尽くす義務があります。その義務が、別の依頼者との関係によって制限されてしまうとき、利益相反の問題が生じます。 典型的な場面を挙げると、次のようなケースがあります。 過去にあなたの取引先(売主・買主・契約相手など)を代理した弁護士が、今度はあなたの案件を受任しようとしている 顧問弁護士が、あなたと契約している取引先の顧問も兼ねている 事業譲渡や合併など、複数の当事者が絡む案件で、一人の弁護士が複数の当事者を同時に代理しようとしている 弁護士が関連会社の役員を兼務しており、その会社と自社の利害が将来対立しうる 弁護士職務基本規程(弁護士が守るべき倫理規範)では、利益相反のある案件を受任することを原則として禁止しており、過去の依頼者から得た情報を別の案件に用いることも厳しく制限されています。ただし、この規程が守られているかどうかを外から確認するのは、依頼者側には非常に難しい。だからこそ、「なんとなく引っかかる」という社長の感覚は、むしろ正しいのです。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る0120-929-739(みんなの法務部)LINE相談(無料) なぜ社長はこの判断ミスをしてしまうのか 【図解】「利益相反」が問題になるのは、どんな場面への対応フロー ① 問題発生 → ② 事実確認・記録 → ③ 顧問弁護士に相談 → ④ 対応策の実行 ※ 弁護士に早期相談することで、リスクを最小化できます。 利益相反の問題に気づかずに動いてしまう社長には、共通した判断の構造があります。 「弁護士は法律のプロだから、問題があれば自分から言うはず」という前提。これが一番多いパターンです。確かに、誠実な弁護士は自分から利益相反を申告します。しかし、弁護士にとって「どこが利益相反にあたるか」の判断は、必ずしも一律ではなく、案件の複雑さや時間の経過によって、本人も見落とすことがあります。また、事務所内での情報共有が不十分で、別の弁護士が同じ事務所で相手方と関わりを持っていたことを知らない、というケースも実務上は起きています。 「紹介してもらった弁護士だから、信頼している人がいる」という安心感。紹介は信頼の証ですが、利益相反の有無とは別の話です。紹介者が気づいていないだけで、実は相手方ともつながりがある、ということは十分あり得ます。 「問題が起きてから考えればいい」という先送り。利益相反は、問題が起きてから発覚することがほとんどです。「なんとなく気になっていたけど、まあいいかと思って」という相談は、弁護士法人ブライトにも少なくありません。気づいたときには、弁護士を変えるにも情報が漏れているリスクがあり、手遅れになりかねない。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る0120-929-739(みんなの法務部)LINE相談(無料) 問題が起きる前にできること——予防としての確認フロー 利益相反の問題は、「最初の一手」が最も重要です。弁護士と顧問契約を締結するタイミング、または特定の案件を依頼するタイミングで、以下の確認を入れておくだけでリスクは大きく減ります。 「過去・現在の依頼者との利益相反の確認をしてください」と明示的に依頼する。弁護士に対してこう伝えること自体、まったく失礼ではありません。むしろ、こう聞かれて嫌な顔をする弁護士は逆に注意が必要です。 顧問契約書に「利益相反が判明した場合の対処」を明記する。「判明した場合は直ちに申告し、依頼者と協議する」という条項を入れることで、問題が起きたときの動き方が明確になります。 関連会社・グループ会社・主要取引先の名前を事前に伝える。弁護士側も情報がなければ確認できません。自社の関係先を開示したうえで、利益相反チェックをしてもらうことが有効です。 事業譲渡・M&A・複数当事者が絡む案件では、別々の弁護士を立てる選択肢を検討する。「同じ事務所で譲渡元も譲渡先も見てもらう」というケースは、一見効率的に見えますが、利益相反の温床になりやすい。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る0120-929-739(みんなの法務部)LINE相談(無料) 問題が発生したときの対応フローと証拠の残し方 「これは利益相反だったかもしれない」と気づいたとき、まず何をすべきか。焦って動くと、かえって不利になることがあります。 第一に、やり取りの記録を確保する。弁護士とのメールのやり取り、契約書、委任状、請求書、打ち合わせ記録——これらをすぐに手元に保管してください。後から「言った・言わない」になったとき、記録がなければ立証できません。弁護士に対して問題を指摘するにしても、別の弁護士に相談するにしても、記録が命綱になります。 第二に、相手方弁護士との関係を記録に残す。「取引先の顧問弁護士でもあった」という事実を知ったのであれば、その経緯(いつ・どこで・誰から聞いたか)をメモしておきます。これが後の事実関係の整理に役立ちます。 第三に、別の弁護士にセカンドオピニオンを求める。「今の弁護士を疑いたくはないけれど」という気持ちはわかります。ただ、疑いを持った段階で、第三者の専門家に状況を確認してもらうことは、判断の質を上げるための当然の行動です。この段階でセカンドオピニオンを求めることを、誠実な弁護士は否定しません。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る0120-929-739(みんなの法務部)LINE相談(無料) 失敗事例の構造——なぜ相談が遅れるのか 弁護士法人ブライトには、「元顧問弁護士の対応に問題があったのでは」というセカンドオピニオン相談が寄せられることがあります。その多くに共通する構造があります。 「揉めてから初めて気づく」パターン。契約書のリーガルチェックを元顧問弁護士に依頼していたが、後から重大な法的規制の見落としが判明した——というケースがあります。この種のトラブルでは、「なぜもっと早く別の弁護士に確認しなかったのか」という後悔がほぼ必ず出てきます。顧問弁護士のチェック結果を疑うのは心理的に難しい。しかし、利益相反の疑いがある弁護士がチェックした書類には、構造的なバイアスが入り込む余地があります。 「証拠が残っていなかった」パターン。弁護士との打ち合わせを口頭だけで進めてしまい、「何を依頼して、どんな助言を受けたか」の記録がない。弁護士の対応に問題があったとしても、それを立証する材料がなければ、法的に問題を追及することは非常に難しくなります。メールで依頼内容を確認する、打ち合わせ後に要点を書面化する——このような習慣が、後に命綱になります。 「信頼関係を崩したくない」という遠慮が相談を遅らせる。顧問弁護士を変えることは「裏切り」ではありません。自社の利益を守るための当然の判断です。しかし、長年の付き合いがあればあるほど、「今さら疑うのは」という遠慮が生まれます。この遠慮が、問題の発見と対応を数ヶ月・数年単位で遅らせてしまうのです。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る0120-929-739(みんなの法務部)LINE相談(無料) うちの会社では、どう考えればいいのか 「利益相反の問題が自社に関係あるかどうか」の判断は、会社の規模・業種・取引の複雑さによって変わります。ただ、以下の問いに一つでも当てはまるなら、一度立ち止まって確認することをおすすめします。 顧問弁護士が、自社の取引先や関連会社の顧問も兼ねていないか 複数の会社が絡む取引(事業譲渡・M&A・合弁など)で、同じ弁護士が関与していないか 弁護士が自社の関連会社の役員や監査役を兼務していないか 過去にトラブルになった相手方と、今の顧問弁護士に関わりがないか 弁護士に依頼した内容と、実際に得た成果が「何となく噛み合っていない」と感じていないか これらのチェックは、「弁護士を疑う」ためではなく、「判断の質を上げる」ためにあります。確認することは、信頼関係を壊すのではなく、むしろより健全な関係を作る第一歩です。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る0120-929-739(みんなの法務部)LINE相談(無料) 再発防止策——判断を構造で守る 一度問題が起きたとき、「次は気をつけよう」という意志だけでは再発を防げません。仕組みで防ぐことが重要です。 顧問契約書に利益相反チェック条項を入れる。顧問弁護士との契約書に、「受任時および案件発生時に利益相反の有無を確認し、書面で通知する」という条項を明記します。 主要取引先・関連会社リストを顧問弁護士と共有する習慣を作る。年1回の更新でも十分です。関係先が増えるたびに更新することで、弁護士側も継続的に確認できる体制が整います。 大型案件・複数当事者案件では、事前に利益相反確認を書面でとる。「この案件に関し、相手方との利益相反はありません」という確認を書面でもらうことは、決して失礼ではありません。 弁護士との打ち合わせ後は、要点をメールで送って確認する習慣をつける。「先ほどの打ち合わせで確認した内容です」と一行添えてメールするだけで、記録が残ります。 利益相反の問題は、一度仕組みを整えてしまえば、後は運用するだけです。弁護士との関係を「なんとなく任せる」から「仕組みで確認する」に変えるだけで、会社のリスク管理は大きく変わります。 利益相反のリスクは、スポット的な案件対応だけで管理しきれるものではありません。取引先が増え、関係会社が複雑になり、事業が拡大するほど、利益相反が生じる可能性は高まります。弁護士法人ブライトでは、顧問先130社以上(実名公開)と継続的に関わりながら、弁護士歴平均14年以上のチームが「みんなの法務部」として機能しています。利益相反のチェックを含む法務リスクの健康診断(法務ドック)、社内規程の整備、日常的な相談体制の構築まで、継続的にサポートします。揉めてから弁護士を使うのではなく、揉めないように弁護士を使う体制を、一緒に作っていきましょう。 よくある質問 Q. 顧問弁護士が取引先の顧問も兼ねていたことがわかりました。今すぐ解任すべきですか? 必ずしもすぐに解任する必要はありませんが、まず「どの案件でどの程度の利害が衝突するか」を整理することが先決です。顧問を兼ねていること自体は、必ずしも利益相反にはなりません。問題は「あなたの会社の利益と取引先の利益が具体的に対立する案件が生じたとき」です。その場合には、その案件については別の弁護士を立てることが必要になります。まずは別の弁護士にセカンドオピニオンを求め、状況を整理することをおすすめします。 Q. 過去に依頼した弁護士が、今度は相手方の代理人として現れました。これは問題ないのですか? 弁護士職務基本規程では、過去に依頼を受けた案件と実質的に関連する事件で、反対の利益を持つ相手方の代理を引き受けることは原則として禁止されています。ただし「実質的な関連性」の判断は案件によって異なるため、すぐに違反とは言えないケースもあります。「おかしい」と感じたら、まず記録を保全したうえで、別の弁護士に状況を確認してもらうことが重要です。弁護士会に対して懲戒申立を検討する選択肢もあります。 Q. 事業譲渡の場面で、譲渡元・譲渡先の両方の顧問を同じ弁護士に頼むのはリスクがありますか? リスクはあります。事業譲渡は、譲渡元と譲渡先の利益が細部で対立しやすい取引です。価格・表明保証・リスク分担など、交渉になる可能性のある論点について、同じ弁護士が両社を代理していると、どちらかの利益を優先せざるを得ない場面が生じます。特に、フランチャイジーなど第三者が絡む場合は一層複雑になります。原則として、譲渡元と譲渡先は別々の弁護士を立てることが安全です。 Q. 弁護士の利益相反は、弁護士本人だけでなく同じ事務所の弁護士も対象になりますか? なります。弁護士職務基本規程では、同じ法律事務所(特に法人格を持つ弁護士法人)に所属する弁護士については、一定の場合に利益相反の規制が及ぶとされています。たとえば、A弁護士が過去にあなたの案件を担当し、その後別のB弁護士(同じ事務所)が相手方の代理を引き受けるケースは、問題が生じる可能性があります。「担当者が違うから大丈夫」とは言えないため、事務所単位で確認することが重要です。 当事務所が参考にした実務書 当事務所では本テーマに関する最新の実務書を継続的に確認し、顧問先企業のリスク評価に反映しています。本記事の作成にあたり特に参考にした書籍を以下に紹介します。 『弁護士職務基本規程の解説』 — 日本弁護士連合会弁護士倫理委員会編/日本弁護士連合会/2017年/分類:条文逐条解説書 『弁護士倫理』 — 小島武司・岩野徹編/日本評論社/2014年/分類:学術書・体系書 『企業法務の実務Q&A』 — 神田秀樹・武井一浩編/商事法務/2020年/分類:Q&A形式の実務解説書 『顧問弁護士の使い方』 — 中山達樹著/日本実業出版社/2019年/分類:Q&A形式の実務解説書 『法的紛争の予防と対応』 — 佐藤鉄男編/民事法研究会/2018年/分類:実務解説書 ※ 書籍内容は引用しておらず、書誌情報のみ表示しています。本記事は弁護士法人ブライトが監修・執筆しています。 この記事の監修者 和氣 良浩(わけ よしひろ) 弁護士法人ブライト|代表弁護士/パートナー弁護士 弁護士歴20年(2006年登録)/大阪弁護士会/大阪大学法学部卒 専門:顧問弁護士・企業法務・M&A・経営権紛争・事業再生 弁護士の利益相反・顧問弁護士の選定・法務体制の整備など、経営上の法務リスクを継続的に相談できる顧問弁護士をお探しの方は、弁護士法人ブライト「みんなの法務部」にお問い合わせください。顧問先130社以上の実名を公開しており、弁護士歴平均14年以上の経験豊かな弁護士が対応します。企業法務窓口:0120-929-739(平日9:00〜18:00) 料金は明朗です スタンダード(中小企業向け/顧問先の95%) 月額 5万円(税別) 上場企業・グループ会社対応 月額 10万円(税別) セカンドオピニオンプラン 月額 3万円(税別) ※追加費用は事前にご説明します。ご納得いただいてからのご契約です。 「みんなの法務部」というブライトの考え方 中小企業の社長に「専属の法務部」を持っていただく——これがブライトの顧問サービスの基本姿勢です。社内に法務部を置けない規模でも、契約書・労務・債権回収・M&Aまで日常的に相談できる体制を、月額固定で。弁護士歴平均15年以上のチームで、120社超の顧問先と向き合っています。 ▶ みんなの法務部とは(詳しく見る) 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る0120-929-739(みんなの法務部)LINE相談(無料)