「うちの会社は特にトラブルもないし、法的なリスクはないだろう」——そう思っている経営者ほど、気づかないうちにリスクを抱えているケースが少なくありません。 弁護士法人ブライトでは、建設業・物流業・介護業・卸売業・スポーツイベント業など、さまざまな業種の中小企業を対象に「法務ドック」と呼ぶ法的体制の診断を行ってきました。受診企業10社以上のデータを集計した結果、業種を超えて共通して発見される法的リスクのパターンが見えてきました。 本記事では、その実データにもとづく「法的リスクTOP7」を解説します。自社の法務体制の現状確認にお役立てください。 法務ドック・顧問弁護士のご相談は無料で承っています 📞 0120-929-739(平日9:00〜18:00) ✉ メール・LINEでのご相談はこちら 法務ドックとは何か 法務ドックとは、弁護士が企業の法的体制を総合的に診断し、潜在的なリスクを洗い出すサービスです。健康診断が身体の隠れた問題を発見するように、法務ドックは会社の「法的な健康状態」を確認します。 具体的には、就業規則・雇用契約書・業務委託契約書・取引先との契約書・社内ルールなどの書類を確認し、実際の運用との乖離や法律上の問題点を指摘します。弁護士法人ブライトでは年間を通じた定期診断として、四半期ごとにZoomミーティングを実施し、継続的に企業の法務体制を支援しています。 受診企業10社に共通する「法的リスクTOP7」 以下は、弁護士法人ブライトが診断した中小企業のデータを集計し、発見頻度の高い法的リスクを順位付けしたものです。業種・規模は異なりますが、驚くほど共通のリスクが浮かび上がりました。 法務ドック・顧問弁護士のご相談は無料で承っています 📞 0120-929-739(平日9:00〜18:00) ✉ メール・LINEでのご相談はこちら 1位:就業規則の不備・実態との乖離(10社中8社) 最も多かったのが、就業規則と実際の運用がかけ離れているケースです。就業規則は整備済みでも、その内容が実態に合っていない会社が全体の8割に達しました。 代表的な事例としては、固定残業時間の設定が就業規則では「月20時間」となっているにもかかわらず、雇用契約書や募集要項では「月30時間」と記載されているケースがありました。この不一致は、実際に残業代請求が起きたときに会社側の主張を弱める原因になります。また、休職規定を「現実に即していない」という理由で削除した結果、メンタル不調者への対応で法的に守りにくい状態になっていた会社もありました。 アルバイト・パート規定が整備されておらず、競合他社での副業を禁止する規定が一切ない事業者も複数ありました。こうした不備は、スタッフによる情報流出や競業行為のリスクにつながります。 → 関連記事:退職勧奨で違法と言われないための進め方 2位:業務委託・取引先の契約書整備不足(10社中7社) 10社中7社で、業務委託契約書や取引基本契約書の整備が不十分であることが確認されました。 ある電気工事業の会社では、業務委託者が顧客から集金した代金を使い込む問題が複数発生していました。にもかかわらず、業務委託契約書に集金時の報告義務や横領に対するペナルティ規定がなく、回収が困難な状況に陥っていました。 また、ある卸売業の会社では、業界慣習として本契約書を交わさず受発注書だけで取引するケースが多く、「認識のすり合わせができない」という問題が生じていました。顧問契約期間中に契約書チェックの依頼が5件にとどまり、うち1件はチェックがなかったために後から大きなトラブルになった事例もありました。 海外の業務委託先との契約書が一切整備されていない会社もあり、海外取引が増える中でのリスク管理が課題となっています。 → 関連記事:業務委託契約で揉めやすい5つの条項と対処法 法務ドック・顧問弁護士のご相談は無料で承っています 📞 0120-929-739(平日9:00〜18:00) ✉ メール・LINEでのご相談はこちら 3位:営業秘密・情報管理体制の不備(10社中5社) 従業員や業務委託者による情報の持ち出し・流出リスクを適切に管理できていない会社が半数に達しました。 ある物流会社では、ドライバーが配達先の担当者と直接やりとりするため顧客情報を保有する構造になっているにもかかわらず、情報管理ルールが明文化されていませんでした。支給携帯電話を使用していますが、悪意があれば情報の持ち出しが可能な状態でした。 ある卸売業の会社では、競業避止条項や営業秘密保護に関する誓約書が整備されておらず、退職者が顧客情報を持って同業他社に転職するリスクが残っていました。また、あるペット用品関連の会社では、フォルダに「営業秘密」の表示すらなく、従業員が何を秘密情報として扱えばいいかを認識していない状態でした。 4位:残業代・労働時間管理リスク(10社中4社) 固定残業代の設定ミスや長時間労働による過労死ラインへの接近が、4社で発見されました。 ある物流・冷凍会社では、就業規則上の残業時間上限を60時間に設定していましたが、実際には80時間を超えている従業員が複数存在し、過労死ライン(月80時間)に達している状態が続いていました。段階的に削減中とのことでしたが、この期間中に万一健康被害が発生すれば、会社の安全配慮義務違反が問われる可能性があります。 また、管理監督者の認定を正式に行っていない会社では、名目上「管理職」扱いにしている従業員から残業代請求を受けるリスクがあります。管理監督者として認められるには、給与水準・権限・勤務実態など複数の要件を満たす必要があり、形式上の肩書だけでは不十分です。 法務ドック・顧問弁護士のご相談は無料で承っています 📞 0120-929-739(平日9:00〜18:00) ✉ メール・LINEでのご相談はこちら 5位:問題社員・ハラスメント対応フローの未整備(10社中4社) 問題社員への対応手順や、ハラスメント申告時のフローが社内に存在しない会社が4社ありました。 ある会社では、前職での問題行為が確認されている従業員が在籍していましたが、対応の記録が不十分で、解雇や退職勧奨の根拠を積み上げられていない状態でした。問題社員対応で最も多い失敗は「口頭注意だけで書面を残さない」ことです。後から「そんな指導はなかった」と主張された場合に、会社側が反論できなくなります。 また、部署内のコミュニケーション不足からハラスメント問題が表面化したケースもあり、ハラスメントの申告ルートや調査手順が整備されていれば早期解決できたと考えられます。 → 関連記事:ハラスメント申告を受けた会社の初動対応 6位:引き抜き・競業避止対策の甘さ(10社中4社) 退職者や競合他社による引き抜き・情報持ち出しへの対策が不十分なケースが4社で確認されました。 最も深刻だったのは、競合他社による組織的な引き抜き工作で9名以上のスタッフが退職したケースです。介護業界のこの会社では、引き抜き工作への法的対応方法が整備されておらず、事後の対応を余儀なくされました。 また、就業規則では退職後1年間の競業避止を定めているにもかかわらず、入社時に取得する誓約書には3年間と記載されており、規定間の整合性が取れていない会社もありました。こうした不整合は、いざ競業避止を主張しようとしたときに根拠が弱くなる原因です。 7位:未回収債権・取引先リスク管理(10社中3社) 売掛金の未回収や取引先の経営悪化リスクへの備えが不十分な会社が3社ありました。 ある電気工事業の会社では、業務委託者が顧客から集金した代金を使い込むケースが5件発生しており、その一部は訴訟に発展していました。集金サイクルを短縮するなどの対策を講じていましたが、契約書上のペナルティ規定がなければ回収が困難になります。 また、取引先と書面による本契約を締結せずに口約束で進めた結果、トラブルになった事例もありました。事前に契約書をチェックしていれば防げた問題です。 法務ドック・顧問弁護士のご相談は無料で承っています 📞 0120-929-739(平日9:00〜18:00) ✉ メール・LINEでのご相談はこちら 業種別によく出るリスクの傾向 上記のTOP7は業種を問わず共通して出現しますが、業種によって特に頻出するリスクにも傾向があります。 業種 特に多いリスク 建設・工事業 業務委託契約の不備・近隣トラブルへの対応・下請業者の管理 物流・運送業 ドライバーの長時間労働・情報管理・競業避止 介護・医療業 引き抜き工作・労働契約書の不備・管理監督者の認定 卸売・商社 本契約書の未締結・営業秘密保護・事業拡大時の権限規定 スポーツ・イベント業 BtoC規約の消費者契約法対応・アルバイト規定・情報流出防止 エンタメ・芸能 タレント・業務委託者との契約・退職時の誓約書 リスクを放置した場合に起きること 法的リスクは、放置している間は表面化しないことが多いため、「特に問題が起きていないから大丈夫」と判断されがちです。しかし、実際に問題が起きたときの損失は甚大です。 就業規則の実態乖離を放置した場合:固定残業代の無効が認定されると、過去2〜3年分の残業代を遡って支払う義務が生じます。従業員10名で月30時間超の残業がある場合、請求総額が数百万円に達するケースもあります。 契約書の整備不足を放置した場合:業務委託者による横領・情報流出が起きても、契約書上の根拠がなければ損害賠償請求が困難です。「言った・言わない」の水掛け論になり、最悪の場合は損害を泣き寝入りするしかなくなります。 引き抜きへの無対策を放置した場合:組織的な引き抜きが発生すると、一度に多数のスタッフが退職し、顧客との関係も失われます。競業避止の証拠がなければ、法的手段を取ることも困難です。 法務ドックの最大の価値は、「問題が起きてから対応する」ではなく、「問題が起きる前に構造を整える」ことにあります。 法務ドック・顧問弁護士のご相談は無料で承っています 📞 0120-929-739(平日9:00〜18:00) ✉ メール・LINEでのご相談はこちら よくある質問 Q. 自社にリスクがあるかどうかわからないまま受診しても大丈夫ですか? A. はい、むしろそれが法務ドックを受ける理由です。「リスクがあるかどうかわからない」というのは最も危険な状態であり、診断によって潜在リスクを見える化するのがサービスの目的です。 Q. リスクTOP7のうち、最初に整備すべきはどれですか? A. 「就業規則と実態の乖離」と「ハラスメント申告対応フロー」は請求・申告が来た瞬間に問題が顕在化するため最優先です。次いで「固定残業代の明確化」「契約書の不備解消」の順に整備することをお勧めします。 Q. 法務ドックの相談は何から始めればよいですか? A. まずは無料の初回相談からです。会社の業種・規模・現在感じている課題をお聞きし、法務ドックの内容と進め方をご案内します。お気軽にお問い合わせください。 参考:関連法令・行政ガイドライン 職場におけるハラスメント対策(厚生労働省) モデル就業規則(厚生労働省) 【監修者】 嶋本 敦(しまもと あつし)弁護士 弁護士法人ブライト 企業法務担当 大阪弁護士会所属 / 登録2008年(修習61期) 上場企業にて企業内弁護士(インハウス)として勤務後、弁護士法人ブライトに参画。就業規則整備・ハラスメント対応・取引先トラブル・事業承継など企業が直面する法的リスク全般を担当。弁護士法人ブライト全体での顧問契約実績は130社以上。 顧問弁護士のご相談・無料問い合わせ 弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部として、継続的に法務課題をサポートします。顧問先130社以上・弁護士歴平均15年以上。まずはお気軽にご相談ください(無料)。 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 無料で相談する