M&A表明保証とは?リスク・交渉のポイントを【買い手・売り手向け】大阪の弁護士が解説

M&A表明保証とは?リスク・交渉のポイントを【買い手・売り手向け】大阪の弁護士が解説

和氣 良浩

監修:和氣 良浩(わけ よしひろ)

弁護士法人ブライト|代表弁護士|大阪弁護士会

大阪で20年以上、中小企業の企業法務・顧問弁護士サービスを提供。顧問先130社以上に透明性の高いリーガルサポートを実践している。

表明保証(Representations and Warranties)とは、M&Aの最終契約書で売り手が買い手に対し「会社の現状に関する事実が正確であること」を保証する条項です。表明保証違反があった場合は損害賠償・補償請求の根拠となります。中小企業M&Aで最も交渉が白熱する条項であり、大阪の企業法務弁護士が実務的に解説します。

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表明保証とは何か:M&A契約の要

表明保証とは、英語の「Representations and Warranties(R&W)」の和訳です。M&Aの株式譲渡契約(SPA)・事業譲渡契約に含まれる条項で、売り手が買い手に対して以下を約束します:

  • 表明(Representations):契約締結時点において特定の事実が真実であること
  • 保証(Warranties):クロージング時点においても同様の事実が継続して真実であること

日本法では明示的な規定はありませんが、民法上の契約自由の原則(民法521条)に基づいて当事者間で任意に合意できます。表明保証違反があった場合の法的根拠は、債務不履行(民法415条)または損害賠償(民法709条)です。

売り手が表明保証するべき主要10項目

カテゴリ 表明保証の主な内容 リスク例
財務 財務諸表が会計基準に従い作成されていること 不正経理・簿外負債
法的存在 会社が適法に設立・存続していること 休眠会社の復活問題
訴訟・紛争 重大な訴訟・仲裁・行政処分が係属していないこと DD未発覚の係属訴訟
契約 重要契約が有効に存続していること。チェンジオブコントロール条項がないこと M&A後の主要契約解除
許認可 事業に必要な許認可をすべて取得し、有効であること 建設業許可の失効
労務 未払残業代・ハラスメントクレームが存在しないこと M&A後の労働審判
税務 適切に税務申告がなされ、追徴課税リスクがないこと 修正申告・延滞税
知的財産 特許・商標・著作権が適法に帰属していること 技術の権利帰属問題
環境 環境規制違反・土壌汚染がないこと 工場敷地の土壌汚染
反社会的勢力 反社会的勢力との関係がないこと M&A後の取引停止

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表明保証違反が発生した場合の補償請求の仕組み

補償条項(Indemnification)の基本構造

表明保証違反があった場合の救済手段として、補償条項(Indemnification)を設けます。補償条項には以下の要素を定めます:

Basket(下限金額)

損害が一定金額(例:取引価額の0.5〜1%)を超えなければ補償義務が発生しない条項です。少額クレームの乱用を防ぐ目的で設けます。種類として:

  • Deductible方式:Basket金額を超えた部分のみ補償対象
  • First Dollar方式:Basket金額を超えたら初日から全額補償対象

Cap(上限金額)

売り手の補償責任の上限を設定します。一般的に取引価額の10〜30%が多いですが、重大な虚偽表明(詐欺的行為)については上限撤廃とする場合もあります。

補償請求期限(Survival Period)

表明保証の存続期間(補償請求できる期限)です。一般的な取引では:

  • 一般的な表明保証:1〜2年
  • 税務・労務関連:3〜5年(法定の調査時効に対応)
  • 環境・知的財産:永続または長期(潜在リスクが顕在化するまで時間がかかるため)

売り手として表明保証を最小化するための交渉戦略

売り手の立場では表明保証の範囲を限定したいと考えるのが自然です。弁護士が実務で使う主要な交渉ポイントです。

1. 知識修飾(Knowledge Qualifier)の活用

「売り手の知識の及ぶ限りにおいて(To the Best of Seller’s Knowledge)」という文言を挿入することで、知らなかった事実について補償責任を限定します。ただし「知識」の定義(代表者個人か・役員全員か・合理的調査義務を含むか)は契約書で明確化が必要です。

2. 開示スケジュール(Disclosure Schedule)の活用

既知のリスクを開示スケジュールに記載することで表明保証から除外します。「この訴訟については開示済みだから表明保証違反にならない」という抗弁です。DDで発覚したリスクは積極的に開示スケジュールに記載することを推奨します。

3. Cap・Basket・期間の交渉

補償上限を取引価額の10%以下に抑える、Basketを高く設定する、補償期限を1年以内にするといった交渉が典型的です。

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表明保証保険(W&I保険)とは

近年、大型M&Aを中心に表明保証保険(Warranty and Indemnity Insurance:W&I保険)が普及しています。売り手の補償責任を保険でカバーする仕組みで、保険料は通常保険額の1〜2%程度です。中小企業のM&Aでは費用対効果の観点から利用頻度は限られますが、大型案件では有効な選択肢です。

よくある質問(FAQ)

表明保証違反が発覚した場合、どのような手続きを踏めばよいですか?

まず契約書の補償請求期限(Survival Period)内であることを確認します。次に、違反内容・損害額を特定し、売り手に書面で補償請求通知を送付します。売り手が応じない場合は、交渉・調停・仲裁・訴訟へと移行します。補償請求期限は厳守する必要があるため、問題発覚後は速やかに弁護士に相談してください。

買い手として表明保証をどこまで要求すべきですか?

DDで発見できなかったリスク(簿外債務・潜在的訴訟・未払残業代等)をカバーするため、なるべく広い範囲で要求することが買い手の利益になります。ただし知識修飾・Cap・Basketの交渉では売り手の主張も考慮しながら、現実的な補償水準に落とし込む作業が必要です。弁護士が両社の取引経験をもとに適切な水準を提案します。

M&A仲介会社との契約書に表明保証は含まれていますか?

仲介会社が提供する基本合意書(LOI)や最終契約書のひな型は、表明保証・補償条項が省略・簡略化されているケースがあります。最終的に拘束力のある契約書については、必ず弁護士に内容を確認・交渉させることを強くお勧めします。

大阪でM&A・表明保証の法務を弁護士に依頼するには?

弁護士法人ブライトでは、大阪を中心に中小企業のM&A法務をサポートしています。表明保証条項の設計・補償条項の交渉・クロージング支援まで、弁護士歴平均14年以上のチームが経営者の立場で伴走します。まずは無料でご相談ください。

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本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
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