解雇と退職勧奨の違い・正しい進め方

解雇と退職勧奨の違い・正しい進め方

解雇と退職勧奨の違い・正しい進め方

「問題のある社員に辞めてもらいたい」。そう思ったとき、会社がとる手段は「解雇」か「退職勧奨」の2択です。どちらを選ぶかで、会社のリスクは大きく変わります。この記事では、違いと正しい進め方を整理します。


解雇と退職勧奨はまったく別の手続き

まず両者の違いを押さえてください。

解雇は、会社が一方的に労働契約を終了させる行為です。

日本の労働法は解雇に厳しく、「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」がなければ無効になります(解雇権濫用法理)。

不当解雇と判断されれば、解雇期間中の賃金をさかのぼって支払い、場合によっては復職を認めなければなりません。

退職勧奨は、会社が社員に対して退職を「お願い」する行為です。

あくまで社員の自由意思による退職を促すものであり、社員が断ることもできます。

適切に行えば解雇より法的リスクが低く、合意退職という形で穏やかに終了できます。


STEP1|「解雇」が有効になる条件を確認する

解雇が有効とされるためには、主に以下の理由が必要です。

  • 普通解雇:能力不足・勤務態度・就業規則違反など
  • 整理解雇:経営上の必要性(いわゆるリストラ)
  • 懲戒解雇:横領・不正行為など重大な規律違反

整理解雇には「4要件」があります。

①人員削減の必要性、②解雇回避努力、③選定の合理性、④手続きの相当性の4つをすべて満たす必要があります。

日本法では経済的理由による解雇は難しく、「赤字だから解雇」では要件を満たしません。

普通解雇も、能力不足を理由にする場合は「指導記録」「改善機会の付与」など段階的な対応の記録が必要です。

STEP2|退職勧奨を行う場合の注意点

退職勧奨は「お願い」ですが、やり方を間違えると「退職強要」になり不法行為になります。

やってはいけないことは以下の通りです。

  • 断りを無視して何度も面談を繰り返す
  • 「辞めなければ解雇する」と脅す
  • 1回の面談を長時間にわたって続ける
  • 複数の上司で圧力をかける

退職勧奨は、社員が冷静に判断できる状況で、1〜2回程度の面談で行うのが原則です。

退職に応じる場合は、退職条件(退職日・退職金・有休処理等)を書面で合意します。

STEP3|「退職の意思」を書面で確認する

退職に合意した場合は、必ず退職合意書を作成します。

「自己都合退職」か「会社都合退職」かも明記し、後から「解雇された」「強要された」と言われないようにします。

退職合意書には、以下の内容を盛り込むのが基本です。

  • 退職日
  • 退職の理由(合意退職)
  • 退職金・未払い賃金の処理
  • 守秘義務・競業避止の確認
  • 互いに請求権を持たないという清算条項

STEP4|試用期間中の解雇・本採用拒否に注意

試用期間中であれば解雇が自由と思われがちですが、そうではありません。

試用期間中でも、客観的に合理的な理由がなければ解雇は無効です。

「採用後に問題行動が発覚した」「能力が著しく不足している」という事情があっても、指導・警告の記録がなければ本採用拒否の合理性を主張しにくくなります。


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よくある相談例

ある外資系企業では、長期休職から復帰できない外国人社員に対して、担当役員が「解雇する」と発言してしまいました。

会社側は解雇の意思はなかったと主張しましたが、発言が録音されており、相手方弁護士が「解雇を争う」として交渉に入りました。

本来は休職期間満了による自然退職を目指せる場面でしたが、発言が「解雇の意思表示」と評価されるリスクが生じ、最終的に解決金を支払う形で終結しました。

「辞めてほしい」という気持ちが言葉に出てしまうだけで、法的な問題に発展します。

別のゲーム開発会社では、財務状況の悪化を理由に社員を整理解雇しようとしました。

弁護士に相談した結果、整理解雇の4要件を満たすことが難しい状況とわかり、まずは任意の退職交渉(退職勧奨)で対応することになりました。

丁寧な面談と条件提示により、相手方も合意退職に応じる結果となりました。


「問題社員対応」は事前準備が決め手

解雇や退職勧奨のトラブルは、問題が起きてから対応しようとすると難しくなります。

日常の指導記録・警告書の保存・就業規則の整備が、いざというときの根拠になります。

顧問弁護士がいれば、問題社員の初期対応から退職交渉・解雇判断まで、一貫してサポートを受けられます。

まずはご相談ください

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よくある質問

Q. 問題社員に「辞めてほしい」と伝えることはパワハラになりますか?

A. 適切な状況・方法・言葉で伝える退職勧奨はパワハラにはなりません。ただし、強制・脅迫・繰り返しの圧力などは「退職強要」として不法行為になり得ます。伝え方・状況の設定を事前に弁護士に確認することが望ましいです。

Q. 退職勧奨に応じず居続ける社員に対して、会社側に取れる手段はありますか?

A. 退職勧奨を断ることは社員の権利であり、拒否されたこと自体を理由に不利益な扱いをすることは許されません。解雇を検討する場合は、別途解雇の合理的理由と手続きが必要です。弁護士にご相談ください。

Q. 費用はどのくらいかかりますか?

A. 事案の内容・複雑さによって異なります。みんなの法務部では初回相談無料でご案内しています。


監修:弁護士法人ブライト

大阪・神戸を拠点に企業法務・顧問弁護士サービスを提供。みんなの法務部として中小企業の法的リスク対応を日々サポートしています。

本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、特定の事案に対する法律アドバイスではありません。個別の対応については弁護士にご相談ください。

よくある質問

Q. 退職勧奨を断られた場合、会社はどう対応すべき?

A. 退職勧奨を断ることは社員の権利です。拒否を理由に不利益な扱いはできません。別途解雇を検討する場合は、客観的に合理的な理由と適切な手続きが必要になるため、弁護士にご相談ください。

Q. 退職勧奨を行う際の最適な面談回数は?

A. 退職勧奨は1~2回程度の面談が原則です。何度も繰り返す、長時間続ける、複数の上司で圧力をかけるなどは「退職強要」として不法行為になり得るため注意が必要です。

Q. 試用期間中なら自由に解雇できますか?

A. 試用期間中でも、客観的に合理的な理由がなければ解雇は無効です。指導・警告の記録がないと本採用拒否の合理性を主張しにくくなるため、早期に弁護士にご相談いただくことをお勧めします。

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。
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