監修:和氣 良浩(わけ よしひろ) 弁護士法人ブライト|代表弁護士|大阪弁護士会 大阪で20年以上、中小企業の企業法務・顧問弁護士サービスを提供。顧問先130社以上の実名を公開し、透明性の高いリーガルサポートを実践している。 「長年信頼してきた取締役が、在任中から競合他社の立ち上げを準備していた」「退任した役員が主要顧客と従業員を根こそぎ引き抜いて独立した」——こうした相談は、大阪の中小企業経営者から日常的に寄せられる。 取締役・役員の競業問題は、通常の従業員の転職とは法的構造がまったく異なる。在任中は会社法による強制的な義務が課せられ、退任後は契約(誓約書・特約)の有無と内容が勝負を分ける。さらに「誓約書を取っていたのに有効かどうか不安」「差止めや損害賠償はどこまで認められるか」という疑問も多い。 本記事では、会社法356条の競業規制から、退任後の特約の有効性判断基準、介入権・損害賠償・差止めの実務、そして予防策まで、経営者の「次の一手」が分かるよう解説する。 この記事で分かること 在任中の取締役に課される競業避止義務の内容と違反時の対応(会社法356条) 退任後の競業が問題になる場合——誓約書・特約がある場合とない場合の違い 有効性を左右する「5つの合理性基準」と裁判所の判断傾向 損害賠償(会社法423条2項の介入権・損害推定)と差止め請求の実務 従業員・顧客の引き抜き対応と不正競争防止法(営業秘密)の活用 「誓約書を取っていなかった」場合に今すぐできること 取締役・役員の競業トラブルは早期対応が命です 弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 無料で相談する 1. 社長が直面する「役員競業」の典型的なパターン 役員による競業トラブルには、大きく2つのフェーズがある。「在任中」と「退任後」だ。法的な構造がまったく異なるため、どちらの問題かを最初に正確に把握することが重要になる。 パターン①:在任中の取締役が競業準備をしている疑いがある 「最近、取締役Aがよく外出している。競合他社に転職するための準備では」「取締役が自分の名前で別会社を登記していることが分かった」——こうした疑念を抱えて相談に来る社長は多い。 在任中の取締役には、会社法356条1項1号により、競業取引について取締役会の承認(取締役会非設置会社の場合は株主総会の承認)を得る義務が課せられている。この義務は、取締役と会社の間の「利益相反」を防ぐための強行規定だ。誓約書の有無に関係なく、在任中はこの義務が当然に生じる。 注意すべきは「準備行為」の扱いだ。競業会社を設立して実際に営業を始めた段階が違反であることは明確だが、在任中に会社を設立するだけであれば直ちに違反とはなりにくい。しかし、会社の資産・情報・人脈を使って競業準備をした場合は、善管注意義務(会社法330条・民法644条)・忠実義務(会社法355条)の違反として損害賠償請求の対象になりうる。 パターン②:退任した役員が同業で独立し、顧客や従業員を引き抜いた 「先月退任した取締役が、翌月に競合会社を立ち上げた。しかも主要な顧客3社と、営業部長以下5名の従業員を連れて行った」——これは弁護士法人ブライトに寄せられる相談の中でも、最も深刻なパターンの一つだ。 退任後の役員には、在任中のような法律上の競業避止義務は原則として課されない。退任後の競業は、契約(誓約書・役員委任契約書の競業避止特約)がなければ原則自由というのが日本法の立場だ。 ただし、以下の点は退任後も問題になる: 退任前に会社の営業秘密(顧客リスト・原価情報・技術情報等)を持ち出した場合 → 不正競争防止法2条1項4〜10号 退任前から従業員を組織的に勧誘した場合 → 不法行為(民法709条)として損害賠償請求が可能なケースがある 競業避止特約がある場合 → 有効性の判断が問題になる パターン③:誓約書は取ったが有効か不安 「退任時に競業避止の誓約書にサインしてもらった。でも内容が曖昧で、本当に有効なのか分からない」という相談も多い。 競業避止特約・誓約書は、内容が合理的でなければ公序良俗違反(民法90条)や職業選択の自由(憲法22条)の観点から無効とされるリスクがある。次章で詳しく解説する。 誓約書の有効性チェックは今すぐ弁護士へ 弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 無料で相談する 2. 在任中の競業避止義務——会社法356条の基本と「承認なし」の法的効果 会社法356条1項1号は、取締役が「自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引」(競業取引)を行う場合、事前に取締役会(取締役会非設置会社では株主総会)の承認を得なければならないと定める。 会社法 競業取引の規制(要旨) 会社法356条1項1号:取締役は競業取引に先立ち取締役会(株主総会)の承認が必要 会社法365条1項:取締役会設置会社では取締役会の承認(事後報告も必要) 会社法365条2項:競業取引をした取締役は、取引後遅滞なく重要な事実を取締役会に報告しなければならない 会社法423条2項:承認なく競業取引をした取締役は損害賠償責任を負う。競業取引で得た利益の額が会社の損害額と推定される 根拠条文:会社法356条・365条・423条2項 「会社の事業の部類に属する取引」の範囲 承認が必要な「競業取引」とは、会社が現在行っている事業と同種の市場で取引を行うことをいう。将来の事業拡張予定も含まれるという見解もあるが、判例・通説は現に行っている事業を基準とする。 例えば、ITシステム開発会社の取締役が、個人として同じ顧客に対して同種のシステム開発を受注すれば、典型的な競業取引にあたる。一方、全く異なる業種(例:飲食店経営)であれば競業取引にはならない。 承認なき競業取引の効果——介入権と損害推定 取締役会(株主総会)の承認なく競業取引が行われた場合、会社は「介入権」を行使できる(会社法423条2項)。介入権とは、当該競業取引を会社のために行ったものとみなして、取引から生じた利益を会社に帰属させる権利だ。 さらに重要なのが損害推定規定(会社法423条2項)だ。承認なく競業取引をした取締役が「競業取引によって得た利益の額」は、会社の損害額と推定される。通常の損害賠償では原告(会社側)が損害額を立証しなければならないが、この推定規定により立証の負担が軽減される。 ただし、この推定はあくまで「推定」であり、取締役側から「実際の損害はこれだけだ」と反証することは可能だ。また、承認なき競業取引であっても取引自体は有効であり(相手方が保護される)、会社は損害賠償を求めるしかないという点も押さえておきたい。 3. 退任後の競業——「誓約書あり」「誓約書なし」で対応が180度変わる 退任後の役員には、在任中のような会社法上の競業避止義務は生じない。しかし、弁護士法人ブライトへの相談事例を見ると、この「原則自由」という前提を知らないまま感情的に対応してしまい、かえって法的リスクを抱えるケースが少なくない。 誓約書・競業避止特約がある場合 退任時に競業避止の誓約書にサインしてもらっていた場合、または役員委任契約書に競業避止特約が入っていた場合、特約違反を理由に損害賠償請求・差止め請求が可能だ。 ただし、競業避止特約は内容が合理的でなければ公序良俗違反(民法90条)として無効になるリスクがある。裁判所は以下の5つの要素を総合考慮して有効性を判断する(東京地裁の各種裁判例を参照)。 判断要素 有効になりやすい条件 無効になりやすい条件 ①保護すべき利益の存在 営業秘密・顧客情報・ノウハウが明確に存在する 保護すべき利益が曖昧 ②競業禁止の範囲 事業内容・地域・顧客が限定されている 業界全体を対象にした広範な禁止 ③禁止期間 退任後1〜2年以内 3年・5年・無期限は危険 ④役員の地位・関与度 代表取締役・専務など経営中枢に近い 末端の平取締役・権限が限定的 ⑤代償措置の有無 退任慰労金・退職金の支払いがある 代償措置が一切なし 実務上、期間2年以内・地域制限あり・代償措置ありの3条件が揃っていれば、有効と判断されやすい。逆に「退任後5年間、日本全国で競業禁止・代償なし」という特約はほぼ無効とみてよい。 弁護士法人ブライトに寄せられた相談の中には、競業避止特約の文言が曖昧で「競業」の定義が不明確なため、相手方(元取締役)から「自分の行為は特約に該当しない」と反論されたケースもある。特約の文言設計が、後の紛争解決の鍵を握る。 誓約書・競業避止特約がない場合 退任時に何も書類を取っていなかった場合、退任後の単純な競業行為に対して法的手段を取ることは原則として難しい。ただし、以下の行為は特約なしでも法的問題になりうる。 (1)在任中に取得した営業秘密の利用・開示(不正競争防止法) 顧客リスト、見積原価、発注先情報、製造ノウハウ等が「営業秘密」(不正競争防止法2条6項:秘密管理性・有用性・非公知性の3要件を満たすもの)に該当する場合、退任後にこれを使用・開示することは不正競争行為として差止請求と損害賠償請求の対象になる(同法3条・4条)。 (2)退任前からの組織的な引き抜き工作(不法行為) 退任前から計画的に従業員や顧客を勧誘していた場合、忠実義務違反(会社法355条)または不法行為(民法709条)として損害賠償請求できる可能性がある。ポイントは「退任前」の行為か否か、そして「組織的・計画的」であることの立証だ。 弁護士法人ブライトが実際に担当した事例(二重匿名化済)では、外食コンサル会社の退職予定役員が在職中に「他部門の全員が転職する」という虚偽情報を使って従業員の不安を煽り、競合への転職を勧誘していた。このような悪質な手法が証明できれば、在職中の行為として忠実義務違反・不法行為が成立しうる。メールやチャットのログ保全が証拠として有効になった。 「誓約書を取っていなかった」場合でも対応策があります 弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 無料で相談する 4. 元役員がダミー会社を使って競業した場合——実質的同一性の立証 特約がある場合、元取締役がその抜け穴として「自分の名前ではなく配偶者や知人の名義で会社を設立して事実上の競業を継続する」という手法を取ることがある。 弁護士法人ブライトが担当した事例(二重匿名化済)では、退任役員が競業禁止合意に署名した後に第三者名義のダミー会社を設立し、実質的に同一の事業を継続するという手法を取っていた。このケースでは、書面上は違反を回避しているように見えるが、実質的な同一性を立証することで特約違反を追及できた。 実質的同一性の立証には以下の証拠が有効だ: 事業の連続性(同一の業種・業態・サービス内容) 従業員の移籍状況(同じスタッフが転籍しているか) 顧客・取引先の重複(旧会社の顧客が新会社に移っているか) 元役員の実際の業務への関与(代表は別人でも実質的に指揮している証拠) 事務所・設備・システムの引き継ぎ こうした証拠収集を迅速に行い、仮処分(差止め)申立てを行うことで、競業行為を早期に停止させることが可能になる。 5. 損害賠償請求と差止め——どちらをどのタイミングで使うか 損害賠償請求(会社法423条・民法709条) 損害賠償請求は、競業行為によって会社が被った損害の回復を求めるものだ。損害の内容としては、失った売上・顧客、顧客引き抜きに要した再営業コスト、従業員引き抜きに伴う採用・教育コスト等が考えられる。 在任中の承認なき競業取引では、会社法423条2項の損害推定規定が活用できる。「取締役が競業取引によって得た利益」が会社の損害額と推定されるため、利益額(元取締役が新会社で上げた売上・利益)を立証することが実務上の戦略になる。 退任後の特約違反の場合は通常の債務不履行(民法415条)または不法行為(民法709条)によるが、損害額の立証が難しい場合も多い。特に「引き抜かれた顧客が今後何年間取引を継続したか分からない」という将来損害の部分は争いになりやすい。 差止め請求 差止め請求は、継続中の競業行為を停止させるための手段だ。特約違反の場合は特約に基づく差止め請求権、営業秘密の不正使用の場合は不正競争防止法3条の差止請求権を根拠にする。 速度が重要であり、本案訴訟より先に仮処分(競業行為差止めの仮処分)を申し立てることが多い。仮処分は「保全の必要性」(このまま放置すれば著しい損害が生じる)を疎明できれば、比較的早期に決定が得られる場合がある。ただし、取締役に認められる職業選択の自由との均衡から、仮処分が認められるハードルは低くはない。 実務的な選択としては、まず内容証明郵便で警告を送り、交渉で競業行為の停止・補償を求めるアプローチが費用対効果の面で優れることが多い。弁護士名での内容証明は心理的プレッシャーとして機能し、相手方が任意に競業を縮小・停止するケースもある。 保険代理店ケースの解決手法(一次ソース由来・二重匿名化済) 弁護士法人ブライトが関与した実案件では、ある業種の代表取締役が在任中から従業員を引き抜く準備を進めていた疑いが生じた。感情的には「解任して訴える」という対応を取りたい社長の気持ちは理解できるが、解任には株主総会決議が必要で、正当な理由がなければ解任された役員から損害賠償を逆請求されるリスク(会社法339条2項)があった。 そこで選択したのが「円満な辞任処理+競業避止・秘密保持誓約書の締結+内容証明による牽制」という段階的アプローチだ。この方法により、訴訟リスクを回避しながら事業継続体制を維持し、退任後の競業に対する法的枠組みを確立することができた。 「勝つこと」より「事業を守ること」を最優先に置いた判断が、最終的に会社にとっての最善の結果をもたらした典型例だ。 6. 従業員・顧客の引き抜き——不正競争防止法の活用ポイント 顧客リストの持ち出しは営業秘密侵害になるか 元役員が競合他社を設立する際に、会社の顧客リスト・価格表・製造ノウハウ等を持ち出したとすれば、不正競争防止法2条1項4号〜10号の「営業秘密の不正取得・使用・開示」として差止め・損害賠償の対象になる。 「営業秘密」と認定されるためには3要件が必要だ。 秘密管理性:情報へのアクセス制限、秘密である旨の明示等(「社外秘」スタンプや閲覧制限等) 有用性:事業活動に役立つ技術上・営業上の情報であること 非公知性:公然と知られていないこと 実務上、中小企業では「秘密管理性」の要件が最も問題になる。顧客リストが社内全員にオープンに共有されていたり、パスワードなしのファイルサーバーに置かれていたりすると、秘密管理性が否定されてしまう。日頃から情報管理体制を整備しておくことが、いざというときの武器になる。 従業員の引き抜き——労働者の転職自由との調整 従業員自身には職業選択の自由(憲法22条)があり、転職は基本的に自由だ。したがって元役員が「知り合いの従業員に声をかけて一緒に独立した」だけでは、法的問題にはなりにくい。 問題になるのは以下のような場合だ: 在職中(会社の業務時間中)に従業員を組織的に勧誘した 虚偽情報(「会社が倒産する」「部門が廃止される」など)を使って不安を煽った 秘密保持・競業避止の誓約書を取った従業員を引き抜いた(元役員が誓約書違反に加担した場合) このような場合は、元役員に対する不法行為(民法719条の共同不法行為)として損害賠償請求を検討できる。 7. 弁護士に相談すべきタイミングと証拠保全の優先事項 競業問題は、時間が経てば経つほど証拠が消え、損害が拡大する。「まだ辞めていないし」「直接言えば分かってくれるかもしれない」という判断でタイミングを逃すと、後手に回る。 すぐに弁護士に相談すべきケース 取締役が競合他社に転職・独立する兆候がある(在任中・退任予定どちらも) 退任した役員がすでに競合会社を設立または同業他社に入社した 顧客から「御社と同じサービスを新しい会社から受けている」という情報が届いた キーマン従業員が複数名、同時期に退職届を出した 役員が社内のシステムに不審なアクセスをした(大量ダウンロード等) 証拠保全の優先順位 弁護士に相談する前、または相談と並行して行うべき証拠保全がある。 メール・チャットのログ保存:会社のメールサーバー・Slackのログを管理者権限でダウンロード・保全する システムアクセスログの保全:誰がいつどのファイルにアクセスしたかのログ 競業会社の登記情報取得:法務局(オンライン可)で設立登記・役員情報を確認 顧客からの情報収集:「○○さんから連絡が来た」という事実を記録 誓約書・役員委任契約書の現物確認:手元にある全書類を整理 大阪の弁護士法人ブライト「みんなの法務部」では、顧問先の経営者から「在任取締役の動きがおかしい」という相談を受けた際、証拠保全の段取りから内容証明の発送まで即日〜翌日対応で動ける体制を取っている(※業務状況により翌営業日以降のご対応となる場合があります)。顧問先であれば深夜のメッセージにも担当弁護士が迅速に反応できる点が、単発の法律相談との大きな違いだ。 「おかしいと思ったとき」が相談の最適タイミングです 弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 無料で相談する 8. 予防策——役員就任・退任時に必ず整備すべき書類と社内体制 競業トラブルの9割は、事前の準備で防ぐか被害を最小化できる。「トラブルになってから」ではなく、役員就任時・退任時の契約整備を習慣化することが重要だ。 役員就任時に整備すべきもの 役員委任契約書:競業避止条項(在任中)・秘密保持条項・情報管理義務を明記する 就任誓約書:競業禁止・情報管理の遵守を確認する書類(役員委任契約書とセット) 情報管理規程・営業秘密管理規程の整備:顧客リスト等の秘密管理性を確保する 退任時に整備すべきもの 退任誓約書(競業避止・秘密保持):退任後の競業禁止期間・地域・対象業種を明確に記載し、代償措置(退任慰労金等)とセットで締結する 情報・資料の返還確認書:会社資料・データの返還・削除を確認する書面 引き継ぎ合意書:担当顧客・業務の引き継ぎ範囲と責任を明確化する 弁護士法人ブライトが顧問先企業に提供している「法務ドック」では、役員委任契約書・誓約書の有無と内容を定期的に診断し、リスクのある書類の整備を先手で進めている。「退任時にあわてて誓約書を取ろうとしたら拒否された」というケースを防ぐには、就任時から整備しておくことが唯一の確実な方法だ。 業務委託スタッフの競業避止にも注意 役員だけでなく、業務委託契約で深く関与しているフリーランス・外部スタッフについても同様のリスクがある。業務委託契約書の競業避止条項について、弁護士法人ブライトへの相談事例(一次ソース由来・二重匿名化済)では、インフルエンサー事業者が「業務委託スタッフが契約中・契約終了後に顧客・インフルエンサーを直接引き抜く」リスクに直面し、以下の検討が行われた。 競業避止期間は「契約終了後1年間」が基本(長すぎると無効リスク) 違約金の設定は「直近1年間の業務委託料相当額」が合理的(500万円固定は過大になりうる) 違約金は原則として消費税の課税対象とならない点にも留意が必要 競業避止条項の設計は、相手の地位(役員か従業員か業務委託か)によって適正な水準が異なる。弁護士に相談せず「ネットのひな型」をそのまま使うと、有効性を失うリスクがある。業務委託契約書のチェックポイントについても、あわせて参照してほしい。 よくある質問 取締役が在任中に競合他社を設立しても違反にならないのですか? 会社の承認なく競合他社を「設立すること自体」は直ちに競業取引(会社法356条)には当たらないケースもありますが、実際に競業取引(営業活動)を開始した時点で承認が必要になります。また、会社の資産・情報・時間を使った準備行為は善管注意義務(会社法330条・民法644条)・忠実義務(会社法355条)の違反として損害賠償請求の対象になります。「設立だけだから大丈夫」という考えは危険です。早期に弁護士に相談し、証拠保全と対応方針を検討することをお勧めします。 退任した役員と競業避止の誓約書を結んでいませんでした。もう手の打ちようがないですか? 誓約書がなくても、以下の場合は法的対応が可能です。①在職中に会社の営業秘密(顧客リスト・価格情報等)を持ち出した場合→不正競争防止法による差止め・損害賠償請求。②在職中に組織的・計画的に従業員や顧客を勧誘した場合→忠実義務違反または不法行為として損害賠償請求。ただし、いずれも証拠が重要です。まずメール・チャットログ・システムアクセスログの保全を行い、弁護士に相談してください。大阪の弁護士法人ブライトでは、こうした緊急対応にも迅速に動ける体制を取っています。 退任役員の競業避止特約の有効期間は何年が適切ですか? 裁判例の傾向からは、役員の場合は「退任後1〜2年以内」が有効と判断されやすいとされています。3年以上になると、合理的な代償措置がないと無効とされるリスクが高まります。ただし、期間だけでなく「禁止される競業の範囲(業種・地域・顧客)」の明確さと「代償措置(退任慰労金等)の有無」が総合的に判断されます。現在の誓約書の有効性に不安がある場合は、大阪の弁護士法人ブライトで内容をレビューした上で、必要に応じて整備し直すことをお勧めします。 競業した元取締役に対して損害賠償請求できる金額の目安はありますか? 在任中の承認なき競業取引の場合、会社法423条2項により「取締役が競業取引によって得た利益の額」が会社の損害額と推定されます。退任後の特約違反の場合は、失った売上・顧客、従業員の再採用コスト、再営業コスト等が損害として認定されますが、将来分の損害は立証が難しく争いになります。損害額の立証は専門的な作業が必要です。弁護士法人ブライトでは、実際の被害状況を整理した上で請求可能額の見立てをお伝えしています。 役員の競業問題は顧問弁護士がいないと対応できませんか? 顧問弁護士がいなくても個別の法律相談・受任は可能です。ただし、競業問題は証拠保全・仮処分・交渉・訴訟と複数の手続きが連動するため、「何かあったとき」ではなく「何かある前」から弁護士と連携しておく方が圧倒的に有利です。大阪の弁護士法人ブライト「みんなの法務部」では、顧問先の取締役・役員関係の書類整備も定期的に診断し、トラブルを未然に防ぐ体制を提供しています。大阪周辺の中小企業経営者の方はぜひ一度ご相談ください。 役員の競業問題こそ、顧問弁護士との連携が経営を守る 取締役・役員の競業問題は、発覚したときには既に顧客・従業員・情報の三つが持ち出された後であることが多い。弁護士への相談が遅れるほど、証拠が消え、損害が拡大し、法的選択肢が狭まる。 弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は、大阪を拠点に顧問先130社以上(実名公開)の外部法務部として機能している。弁護士歴平均14年以上のチームが、役員委任契約書・誓約書の整備から競業トラブル発生時の証拠保全・交渉・法的措置まで、一貫して対応する。 「取締役の動きがおかしい」と感じた段階で、早めに一本連絡してほしい。その一本が、大きな被害を防ぐ最初の一手になる。 電話番号:0120-929-739(みんなの法務部専用ダイヤル) 関連情報:企業法務トップ|顧問弁護士サービス「みんなの法務部」|取締役の利益相反取引|取締役会の運営と決議 取締役・役員の競業問題は弁護士法人ブライトへ 弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 無料で相談する