「本人は元気そうに見えるのに、前のようには働けない」——高次脳機能障害という見えづらい後遺障害
建設現場でクレーンや重機と接触して頭部を負傷し、高次脳機能障害の後遺障害が残ったとき、家族が最も苦しむのは「見た目は元気そうなのに、以前のようにテキパキと仕事や家事をこなせない」というギャップです。記憶力の低下、注意力散漫、感情のコントロールが難しくなる——こうした変化は本人も自覚しづらく、周囲からも「怠けている」と誤解されがちで、労災としての立証も容易ではありません。
多くの記事は「高次脳機能障害は後遺障害等級の対象になります」という制度説明で終わります。しかし実務で本当に難しいのは、①事故と高次脳機能障害との医学的な因果関係の立証、②将来にわたり必要となる見守り・介護の実情を、裁判所や会社側に具体的に理解させること、の2点です。ここを乗り越えられるかどうかで、賠償額は大きく変わります。
結論
クレーン・重機事故で頭部を負傷し高次脳機能障害の後遺障害が残った場合、労災保険の障害補償給付に加え、会社の安全配慮義務違反を根拠とした損害賠償請求が可能です。ポイントは、①重機の操作・誘導体制に会社側の不備がなかったか、②将来にわたる見守り・介護費用や、仕事に復帰できないことによる逸失利益まで含めて損害額を算定できるか、の2点です。高次脳機能障害は本人も自覚しづらいため、家族や周囲からの具体的な状況説明が立証の鍵になります。
事案の概要(属性)
- 業種:建設業(作業員)
- 被災者:40代男性
- 事故態様:建設現場で重機(クレーン・バックホー等)のアーム部分と接触し転倒、頭部を強打
- 負傷内容:頭部外傷による高次脳機能障害(記憶障害・注意障害等)
- ご依頼内容:会社(元請・下請)への安全配慮義務違反を根拠とした損害賠償請求
相談時の状況「前のような会話ができなくなった」
ご依頼者(ご家族)は、本人が退院後も以前のように会話が続かない、同じことを何度も聞いてくる、感情の起伏が激しくなったといった変化に強い戸惑いを感じていました。会社側は「本人の作業手順にも問題があった」として責任を全面的には認めず、依頼者側も「重機の操作は運転手の責任であり、会社にどこまで請求できるのか」という見通しの立たなさに悩んでいました。
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争点となったポイント「重機との接触に会社の責任はあるか」
本件で争点となったのは、次の点です。
- 重機の誘導・合図体制の不備の有無:重機の旋回範囲・作業範囲に労働者が立ち入らないための合図者の配置、立入禁止措置が適切に取られていたか。
- 元請・下請間の指揮監督関係:現場全体の安全管理責任をどちらが負っていたか。
- 高次脳機能障害と事故との因果関係の立証:頭部外傷の程度と、その後生じた症状(記憶障害・注意障害等)との医学的な関連性。
- 将来介護費・将来の就労可能性の評価:本人が元の仕事に戻れる見込みがどの程度あるか。
ブライトの方針・対応
ブライトはまず、労働基準監督署が作成した災害調査に関する記録を情報開示請求で取得し、重機の旋回範囲・作業範囲における合図者の配置状況、立入禁止区域の設定状況を精査しました。証拠を整理する過程では、有利な事実と不利な事実の双方を多角的に分析し、主張の組み立て全体への影響を慎重に検討する姿勢を徹底しました。
また、高次脳機能障害は本人が変化を自覚しにくいという特性があるため、ご家族からの詳しい聴き取りを重ね、日常生活における具体的な支障(記憶障害・注意障害・感情のコントロールの困難さ)を整理し、将来の見守り・介護の必要性を具体的に主張する材料としました。
【ブライトのポリシー】
高次脳機能障害は、本人も変化を自覚しづらく、周囲から「見た目は元気そう」と誤解されやすい後遺障害です。会社側から「本人の不注意」と言われると、ご家族も反論しづらくなってしまいます。
「ブライトは、見えづらい後遺障害だからこそ、ご家族の声を丁寧に拾い上げ、証拠に落とし込む。」
これが、ブライトが高次脳機能障害の事案で一貫して大切にしている考え方です。
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解決までの結果
交渉の結果、重機の誘導体制の不備について会社側の責任の一部が認められ、将来の見守り費用・逸失利益・慰謝料を積み上げた損害賠償金として、示談交渉により2,000万円台の解決金を獲得しました。示談成立までの期間は相談開始から約1年半でした。
| Before(ご相談時点) | After(解決後) |
|---|---|
| 本人の変化に周囲が気づいても、会社に責任を認めさせられるのか見通しが立たなかった | 重機の誘導体制の不備が認められ、将来の見守り費用まで含めた賠償金(2,000万円台)を獲得 |
| 「本人の不注意」という会社の主張にどう向き合えばよいか分からず、家族だけで抱え込んでいた | 家族の証言が証拠として整理され、見えづらい後遺障害が正当に評価された |
※本事例は複数の解決事例を組み合わせた典型例です。同様の結果を保証するものではありません。
担当弁護士のコメント
💬 担当弁護士のコメント
「高次脳機能障害は、本人よりもご家族の方が変化に気づき、苦しんでいることが多い後遺障害です。日常生活の具体的な支障をご家族から丁寧に聴き取り、証拠として整理することが、適正な賠償を得るための重要なプロセスになります」(笹野 皓平 弁護士)
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クレーン・重機事故と高次脳機能障害の労災で知っておきたい法的知識
重機に関する労働安全衛生法上の義務
会社は、労働者が安全に働けるよう配慮する義務(安全配慮義務、労働契約法5条)を負っています。クレーンや重機の使用にあたっては、吊り上げ荷重や作業内容に応じた免許・技能講習の取得、玉掛け作業の有資格者限定、旋回範囲・作業範囲への立入禁止措置、合図者の配置などが労働安全衛生法・関連規則で義務付けられています。これらの安全管理体制に不備があった場合、民法415条(債務不履行)または民法709条(不法行為)に基づき、会社の安全配慮義務違反として損害賠償責任が認められやすくなります。
高次脳機能障害の後遺障害等級認定
高次脳機能障害は、記憶障害・注意障害・遂行機能障害・感情や行動の障害などを内容とし、労災保険の後遺障害等級(別表第1・別表第2)において、症状の程度に応じて等級が認定されます。日常生活における具体的な支障の状況を、ご家族の証言や専門医の意見書などで丁寧に立証することが重要です。
将来介護費・将来の逸失利益の算定
高次脳機能障害により就労や日常生活に支障が生じる場合、将来にわたる見守り・介護の費用や、就労が困難になることによる逸失利益を損害額として算定します。本人の症状の程度、必要な見守りの内容、平均余命等を踏まえた専門的な算定が必要です。なお、労災保険から支給される障害補償給付は損害賠償額から損益相殺されますが、国から支給される特別支給金は、損害のてん補を目的とするものではなく、被災労働者の社会復帰の促進等を目的とする給付であるため、控除の対象外です。
会社への損害賠償請求権の消滅時効
会社への損害賠償請求権には消滅時効があります。生命・身体の侵害による損害賠償請求権は、不法行為に基づく場合は損害及び加害者を知った時から5年、安全配慮義務違反(債務不履行)に基づく場合は権利を行使できることを知った時から5年(行使できる時から20年)です。高次脳機能障害は症状固定まで時間を要することが多いため、早めに弁護士へご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 高次脳機能障害かどうか、どうやって判断するのですか?
記憶障害・注意障害・遂行機能障害・感情や行動の変化などの症状について、専門医の診断・神経心理学的検査の結果や、日常生活における具体的な支障の状況をもとに総合的に判断されます。ご家族が気づいた変化を記録しておくことも重要です。
Q2. 本人は「大丈夫」と言っていますが、家族から見ると明らかに以前と違います。
高次脳機能障害は本人が自覚しづらいという特性があります。ご家族が感じている違和感は重要な情報ですので、遠慮せずに弁護士や専門医に伝えてください。
Q3. 会社が「重機の運転手個人の問題」と言って責任を認めません。
重機の誘導体制・合図者の配置・立入禁止措置など、会社(元請・下請)が整備すべき安全管理体制に不備があれば、運転手個人の問題にとどまらず、会社の安全配慮義務違反が認められる可能性があります。
Q4. 将来介護費はどのくらい認められますか?
後遺障害の程度・必要な見守りや介護の内容・平均余命等によって大きく異なります。高次脳機能障害では、身体的な介護は不要でも見守りが必要なケースが多く、その実情を具体的に主張することが重要です。
Q5. 相談だけでも大丈夫ですか?
はい、ブライトは初回相談無料で対応しています。高次脳機能障害の後遺障害認定がまだ確定していない段階でもご相談いただけます。
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まとめ
- クレーン・重機事故による高次脳機能障害は、本人が自覚しづらく、周囲から誤解されやすい後遺障害
- 重機の誘導体制・合図者の配置など会社側の安全管理体制の不備が、責任追及の重要な手がかりになる
- ご家族からの具体的な聴き取りが、見えづらい後遺障害を立証するための重要な証拠になる
- 将来介護費・将来の逸失利益まで含めた適正な損害賠償額の算定が必要
クレーン・重機事故で高次脳機能障害の後遺障害が残った方・ご家族は、まずは弁護士法人ブライトの無料相談をご利用ください。
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